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70歳を超えたら車の免許返納が推奨されている
近年、高齢ドライバーによる交通事故が全国的に目立つようになり、70歳を超えた高齢ドライバーは車の免許証の自主返納が推奨されています。
また、高齢者による免許の自主返納を促すため、各自治体でも公共交通機関の割引サービスや商業施設の優待サービスなど、さまざまな施策が打ち出されています。
しかし、こうした施策を打ち出しても、高齢ドライバーの中には「まだ運転できる」と自主返納せず、家族からの返納を促す声にも耳を傾けない人が一定数以上いるようです。
実際、70代で免許を返納することを検討する人は多いものの、70代までに免許を自主返納する人は全体の約6割にとどまっています。80歳を超えるとさらに運転リスクが高まるため、単独事故だけでなく、周囲を巻き込む大事故に発展する恐れも高まります。
高齢ドライバーによる車の運転…懸念されるリスクとは
高齢ドライバーが運転をし続けることで、具体的にどのようなリスクが懸念されるのでしょうか。
- 身体能力低下に伴い、運転操作を誤る
- 認知能力低下に伴い、危険運転してしまう
- 身体能力・認知能力低下に伴い、不注意が目立つ
年齢を重ねるにつれて、自分では自覚がなくとも身体能力(運動能力)や認知能力が徐々に低下していくのは当然です。しかし、それを客観的に認識せず、運転を無理に続けていると、上記のようなトラブルを起こし、最悪の場合、命に関わる大事故に発展する危険もあります。
実際、高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えて、前方にいる歩行者を跳ねてしまう事故や、無自覚に逆走してしまい、パニックを起こして大事故を起こす事例などが多数報告されています。
『高齢ドライバー』に車の運転を止めさせる説得方法
70歳を超えると、徐々に身体能力や認知能力が低下していきます。無理に運転を続けてしまうと、命に関わる事故を引き起こしかねないので、ご家族の説得も必要になるでしょう。
では、高齢ドライバーである家族に車の運転を止めさせるためには、どのように説得すべきなのでしょうか。
1.日頃からコミュニケーションを積極的にとる
まずは最初から車の免許返納の話を出すのではなく、日頃から世間話などのコミュニケーションを積極的にとり、信頼関係を築いておくことが重要です。
日頃からきちんと話し合える信頼関係を築いておけば、何気なく日常会話の中で「車の免許を返納したら?」という話題が出ても抵抗感なく受け入れやすくなります。
本人が抵抗を示した場合でも、日常的にコミュニケーションをとっていれば、その後も会話の中で話し合う機会を多く設けやすいので、説得しやすくなるでしょう。
2.客観的な運転継続の危険性を伝える
感情的に「車の免許を返納しないとダメだよ!」と説得しても、かえって高齢ドライバーの神経を逆撫でしてしまい、意固地にさせる恐れがあります。
まずは高齢ドライバーによる運転がどれほど危険なのか、客観的な情報を収集してください。その上で、味方である家族の感情的な意見ではなく、世間一般的に言われている客観的な運転継続の危険性を冷静に伝えましょう。
第三者の客観的な意見ならば、世間の目を気にして受け入れやすいという人も一定数いるからです。
3.免許返納のメリットや代替案を提案する
免許を返納することに抵抗感を示す人の中には、免許を返納するメリットがないと考えている人も多くいます。返納してしまうことで、移動手段が限られるというデメリットに目を向ける人も少なくないでしょう。
そのような高齢者の場合は、免許を返納することで得られるメリットや代替案を提案することをおすすめします。
- 自治体から受けられる割引サービスの紹介
- 商業施設や公共交通機関で受けられる優待サービスの紹介
- 交通事故のリスクが下がることを伝える
- 外出時には連絡を入れれば家族が車を出すことを提案する
以上のように免許を返納することで得られるメリットや、車を自分で運転できないことで起きるデメリットへの代替案を提案することで、免許を返納しない理由がなくなり、前向きに検討してくれる高齢者も多いです。
4.税金や維持費に関する具体的な数字を用いて説得する
免許を所持しているということは、自家用車を所持しているということです。駐車場代や自動車税、ガソリン代、車検代、メンテナンス費用など、車にかかる維持費を具体的な数字を用いて説明してみましょう。
若い人もあまり詳しく把握していない人が多くいますが、具体的な数字にして見てみると、車を1台所有しているだけでも、高額な費用がかかっていることがわかります。
このように、家族の感情や世間の視線などは関係なく、数字という事実として突きつけられることで前向きに免許返納を検討してくれる人もいます。
5.第三者に協力してもらう
家族だけでは説得できないという場合は、第三者にも協力してもらいましょう。この時、感情的にこちらの意見を押し付けることは逆効果となるため、落ち着いて冷静に説得できる人を選ぶのがポイントです。
高齢ドライバー当事者が信頼している親戚や友人、実際に免許を返納した知人の元高齢ドライバー、さらにかかりつけの病院の担当医など、本人が信頼を預けている人に頼るのが最適です。
家族の意見には親としてのプライドが邪魔をして耳を傾けられない人も、第三者の信頼している人の意見ならばすんなり受け入れられるケースは非常に多く見られます。
感情的にならず客観的な事実や情報を交えながら説得しよう
高齢ドライバーには、高齢ドライバーとしての理由やプライドがあります。無理に免許を返納させようとすると、かえって意固地になって状況が悪化してしまうでしょう。説得する際は、感情的にならずに客観的な事実や情報を交えながら、前向きに検討できるような説得方法を実践してください。