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共働き夫婦が固定的な「分担」から柔軟な「シェア」へ
近年、日本では共働き世帯が増加の一途をたどっています。一方、家事の負担が女性側に偏る現状は大きく改善されておらず、多くの家庭で女性の不満やストレスが高まっています。
従来の「家事分担」とは、決まった家事を決まった人が必ず担当するという固定的なものでした。しかし、こうした方法では夫婦どちらかの仕事が忙しくなった際に対応しづらくなり、かえって不満の原因になります。こうした背景から、近年注目されているのが「家事シェア」という考え方です。
家事シェアとは、家事を固定的に分けるのではなく、その日の勤務状況や体調、家庭内の事情に応じて柔軟に役割を変えながら協力し合うことを意味します。家事シェアを採用すれば、互いが無理なく支え合い、ストレスや疲労感を軽減できるメリットがあります。
家事のシェアを実践するには、互いの生活状況を日頃からオープンにする必要があります。
共働き夫婦のための家事シェア5つのルール
固定的な家事分担から柔軟なシェアへ移行するためには、実際の生活で具体的なルールを取り入れることが大切です。家庭の状況に合わせて柔軟に調整し、無理なく継続できる仕組みを作りましょう。
①勤務スケジュールは常にオープンに
お互いがどれだけ忙しいのかを常に把握できるように、勤務スケジュールや外出予定はオープンに共有しましょう。
例えば、残業や飲み会などがある日はあらかじめ伝えておくことで、片方に家事が集中しないように配慮できます。勤務状況を見える化することで、信頼関係が深まり、協力しやすい環境が生まれます。
②得意を軸にした役割分担を柔軟に
家事には料理、掃除、洗濯など多くの種類があります。お互いが得意と感じる家事を中心に担当を決めましょう。
ただし、「完全に固定する」のではなく、相手の状況次第で臨機応変にカバーしあえる体制を整えることが重要です。例えば、普段は洗濯を妻が担当しつつも、妻が多忙な時は夫が柔軟にサポートするといったシェアが理想的です。
③状況別に家事を見える化する
家事の内容を「掃除」「洗濯」と漠然としたカテゴリーで分類するのではなく、「ゴミ出し」「浴室掃除」「キッチンの片付け」など、具体的な作業単位で見える化しましょう。
さらに、忙しい時と余裕がある時で家事を分類しておくと、お互いがどのタイミングで協力できるかを自然に判断できるようになります。細かく見える化することにより、お互いの協力体制がより具体的で実践的になります。
④担当の家事には干渉しすぎない
家事をシェアするときに重要なのは、相手が担当した家事に対して必要以上に口出しをしないことです。細かなことを指摘され続けるとモチベーションが下がります。
ただし、明らかに問題がある場合(食器に汚れが残っている、ゴミの分別が間違っている等)は、感情的にならず優しく伝えましょう。お互いを尊重しあう姿勢が円満な家事シェアにつながります。
⑤疑問や不満はその都度共有する
家事を行う中で疑問や困ったことがあれば、その場で伝え合いましょう。不満やストレスをため込んでしまうと、後に大きなトラブルになる可能性があります。
自分で調べて対応した結果、後から相手に指摘されると家事への意欲を失う原因にもなります。疑問点や改善案はすぐに話し合い、その場で柔軟に調整する習慣をつけましょう。
育児も夫婦で柔軟にシェアする時代へ
家事だけでなく、育児に関しても柔軟なシェアが必要です。「育児は母親がメインで、父親はサポート役」という考えは古くなっています。
今は「手伝う」ではなく、父親も当たり前に責任を持つべき時代です。
夫婦で育児タスクを細かくリスト化しておき、おむつ替えや食事の準備、寝かしつけなど、その場の状況に応じてどちらかが柔軟に対応できる体制を作りましょう。
また、男性には妊娠・出産の身体的負担がない分、積極的に育児用品の買い出しや、妻が休息を取れる環境作りなどを進めることができます。
何をすべきか迷ったときには、自分から観察し動く意識を持つことが重要です。育児のシェアは家族全体の幸福感を高め、夫婦の絆を強める重要な役割を果たします。
家事・育児を楽にする便利なツールやサービスの活用法
家事や育児の負担を軽減するためには、積極的に便利な家電やサービスを活用しましょう。
食洗機やロボット掃除機、ドラム式洗濯乾燥機などの時短家電は、忙しい共働き家庭にとって大きなサポートとなります。また、週に一度の家事代行サービスやネットスーパーを利用して、食材の買い物や掃除の手間を省くのも良いでしょう。
最新のアプリやスケジュール管理ツールを活用すれば、夫婦間で家事や育児の状況をリアルタイムで共有できます。負担を感じた時には、こうしたツールを活用することで物理的・心理的なストレスを大幅に減らすことができます。
家事や育児を「一人で完璧にこなす」ことを目指すのではなく、「効率的にシェアし協力する」ことを目指していきましょう。