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赤飯やおもち作りに使われることの多い『もち米』
もち米といえば、もちもちとした独特の食感が魅力です。赤飯やおこわ、おもちなど、特別な料理に欠かせない存在ですが、このもちもち感の秘密をご存じですか?
実は、もち米に含まれる「でんぷん」の種類が大きく関係しています。一般的なうるち米には「アミロース」というでんぷんが含まれていますが、もち米にはそれがほぼゼロ。そして、アミロペクチンという粘りのもとになるでんぷんがほぼ100%を占めています。このため、もち米は独特の粘りを持ち、赤飯やおもちのような食感を生み出すのです。
また、見た目の違いも意外と面白いポイントです。炊く前のうるち米が半透明でガラスのように光るのに対し、もち米は真っ白で不透明な色合いをしています。この視覚的な違いからも、うるち米との区別がつきやすいと言えるでしょう。
さらに、もち米はその性質から調理方法や保存方法に少し気をつける必要があります。次からは、実際の扱い方や注意すべきポイントを具体的に見ていきましょう。
もち米で絶対やってはいけないNG行為
もち米は特別感がある一方で、その扱いには注意が必要です。以下では、もち米を使う際に絶対に避けるべきポイントを掘り下げて解説していきます。これを知っておくだけで、調理失敗をぐっと減らせます。
1. 洗米する際に強い力でとぐ
もち米を洗う際に、うるち米と同じ感覚で力強くといでしまう人も少なくありません。しかし、もち米はその粒がうるち米よりもデリケートです。力を入れすぎると、米粒が割れたり欠けたりしてしまいます。これでは、炊き上がりの食感に悪影響を与え、もちもち感が損なわれてしまいます。
もち米を洗うときは、以下のポイントを守りましょう。
- 1. 手を水の中で優しく回すようにして洗う。
- 2. とぎ汁が白く濁ったらすぐに捨てて、2〜3回繰り返します。
- 3. 洗米の時間はできるだけ短く済ませ、米を割らないよう心がける。
このように丁寧に扱うことで、もち米の良さを引き出すことができます。
2. 炊飯前に長時間水に浸ける
一般的なうるち米の場合、炊飯前に1時間程度水に浸けるのが一般的ですが、もち米の場合は話が別です。もち米はうるち米よりも水を吸いやすく、長時間水に浸けてしまうと、必要以上に吸水し、炊飯時に水分が足りなくなることがあります。
適切な浸水時間は30分程度が目安です。水分を吸いすぎず、もちもち感を保ったまま美味しく仕上げるために、この時間を守るようにしましょう。また、浸水時間を計る際はキッチンタイマーを使うと便利です。つい他の作業をしている間に時間が過ぎてしまう、という失敗も防げます。
3. 均等にならさずに炊飯する
もち米を炊く際、炊飯器に入れた後に表面をならさないまま炊いてしまうと、炊きムラができる原因になります。特に、もち米は吸水しやすいため、ムラができると部分的に硬さが違ったり、水分量が不均一になったりしてしまいます。
炊飯前には、以下の手順を取り入れることでムラを防ぐことができます。
- 炊飯器にもち米を入れたら、しゃもじやスプーンで表面を平らにならします。
- 水が均等に行き渡るよう、軽く押し固める程度に整えます。
- 浸水が終わったら、そのまま炊飯器のスイッチを入れるだけです。
少しの手間で仕上がりが大きく変わるので、ぜひ実践してみてください。
4. 高温多湿の場所に保管する
もち米は保存の環境が悪いと傷みやすく、特に高温多湿の場所に置いておくとカビが生えたり虫が湧いたりするリスクがあります。直射日光が当たる場所に保管していると、劣化が早まり、風味が落ちてしまうことも。
適切な保存環境は以下の通りです。
- 冷暗所(温度10~15℃、湿度が低い場所)が理想的。
- 夏場はキッチン周辺が高温になることが多いため、冷蔵庫の野菜室に移す。
- 開封後は密閉容器に移し替え、湿気や虫の侵入を防ぐ。
もち米は長期保存が可能ですが、適切な環境で保管することが条件です。少しの工夫で、風味を長持ちさせることができます。
5. カビなどの異常が生じているのに食べる
もち米は長期間保存されることが多い食材ですが、賞味期限や保存状態を無視して使うのは危険です。カビが生えたり、異臭がするもち米を食べると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に注意すべき兆候として、以下のような異常があります。
- 見た目にカビが生えている。
- 異臭がする、または色が変わっている。
- 手で触った際、ザラザラした感触がある。
このような場合は迷わず破棄してください。正しい方法で廃棄することで衛生面のリスクを最小限に抑えられます。
6. 余ったもち米を常温放置する
炊きあがったもち米を常温で放置してしまうと、傷みやすくなるため注意が必要です。特に夏場は数時間で腐敗が進むこともあります。また、冷めたもち米は硬くなりやすく、美味しさが損なわれます。
余ったもち米は、以下の方法で保存すると良いでしょう。
- 冷蔵保存の場合は、清潔な容器に入れて、ラップで密閉した上で冷蔵庫へ。2~3日以内に食べきるのが目安です。
- 長期保存する場合は、ラップで小分けにして冷凍します。冷凍保存なら1ヶ月程度は美味しさを保てます。
再加熱する際は、電子レンジを活用して蒸気を加えるとふっくら感が戻ります。少しの手間で美味しさをキープできますので、ぜひ試してみてください。
美味しいもち米を楽しむために
もち米はその特性から、少し手間がかかる食材ですが、正しい扱い方を知ることでぐっと美味しさを引き出すことができます。炊き上がりの香りやもちもち感は格別で、食卓に特別感をもたらしてくれる存在です。この記事で紹介した注意点を実践しながら、ぜひ美味しいもち米を楽しんでください。