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日本人になじみの深い神社…知らずにタブーを犯している?
日本には神様が祀られている数多くの神社が鎮座しています。地元に根付いている小さな神社もあれば、全国的に有名な大きな神社もありますよね。
そんな日本に住む人に馴染みのある神社ですが、神様が住まう聖域でもあるため、正しい作法や礼儀を理解していなければ失礼にあたります。日本人であっても知らずにタブーを犯していることは少なくないため、今一度、神社に参拝する前に正しい礼儀作法を理解しておきましょう。
神社参拝には、古くから伝わる作法やマナーがあります。これらは単なる形式ではなく、神様への敬意と感謝を表す大切な方法です。例えば、初詣で賑わう神社では、参拝の順番を待つ列に並んでいる間も、静かに振る舞うことが求められます。
ここからは、神社でやってはいけないタブーと、押さえておくべきマナーや作法について詳しく解説していきます。
実はNG!神社でやってはいけない10のタブー
神社は神様が住む聖域なので、神社ならではの作法や礼儀をおさえておく必要があります。ここでは、実は神社でやってはいけないタブー行為を紹介するので、次に参拝する際には気をつけましょう。
1. お辞儀をせずに鳥居をくぐる
鳥居をくぐる時、何の気なしにそのまま素通りしていませんか。鳥居は神社の玄関にあたる場所です。お辞儀をせずに鳥居をくぐってしまうと、勝手に神様の領域に立ち入ることになるため、大変失礼な行為として捉えられてしまいます。神様の領域に入ることを意味するため、きちんと「お邪魔させていただきます」「足を踏み入れることをお許しください」という敬意を持ってお辞儀しなければなりません。
特に初詣の時期は人が多く、ゆっくりお辞儀をする余裕がないこともあります。そんな時は、歩きながらでも軽く頭を下げる程度で構いません。大切なのは、神様の領域に入るという意識を持つことです。
2. 参道の真ん中を歩く
元々参道は神様が通る道を示しています。そのため、参道の真ん中は、本来神様が通る場所です。神様が通る参道の真ん中を堂々と歩いてしまうと、神様の行手を遮る行為となり大変失礼にあたります。お正月など人が多く混み合っている時期は、どうしても参道の真ん中から端に逸れることが難しいこともあるでしょう。そのような時は、一礼して心の中で「失礼します」と謝罪を入れましょう。
参道には砂利が敷かれていることが多いのですが、これには理由があります。砂利を踏む音で、悪い気を払うという意味があるそうです。また、雨が降っても水はけが良く、足元が汚れにくいという実用的な理由もあります。
3. お賽銭を投げ入れる
お賽銭を賽銭箱に納めるとき、ついお賽銭を投げ入れてしまう人がいます。しかし、お賽銭を投げ入れる行為は神様に対して失礼にあたるため、絶対にやめましょう。もしもお賽銭箱までの距離が遠い場合は、なるべく優しく、下から納めるように投げ入れてください。上から叩きつけるように投げ入れる行為は禁物です。
お賽銭の金額について、「5円玉がご縁を結ぶ」といった俗説を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、実際には金額に決まりはありません。大切なのは、感謝の気持ちを込めて納めることです。
4. 神社の敷地内にペットを連れ込む
古来より、神様の住む神社の敷地内に動物が立ち入ることは穢れを持ち込むことを意味するため、禁じられています。現在では、ペットを連れて立ち入れる神社もありますが、基本的にはタブーであることを理解しておきましょう。ペットと一緒に参拝したい場合は、事前に神社のホームページなどで確認するか、直接問い合わせをすることをおすすめします。
5. 肉や魚などの生ものを持ち込む
買い物の帰りに神社に参拝する人も少なくありません。しかし、スーパーなどで肉や魚などの生ものを購入している場合は、極力神社の敷地内に入ることを控えてください。肉や魚などの生ものは、神社でタブーとされている「殺生」を彷彿とさせます。神様に対して失礼に当たる行為なので、生ものを持ち込む行為は控えましょう。
6. 不適切な服装で参拝する
神社は神聖な場所ですので、参拝時の服装にも気を付ける必要があります。特に、アニマル柄の衣装や毛皮製品は避けましょう。これらは殺生や不浄を連想させるため、NGとされています。また、露出の多い服装や派手な服装も控えめにし、清潔感のある身だしなみを心がけましょう。帽子やサングラスなどは、神社に入る際には外すのがマナーです。
服装について厳密な決まりはありませんが、「神様に会いに行く」という気持ちで、ふさわしい服装を選ぶとよいでしょう。例えば、スポーツウェアやビーチウェアでの参拝は避けたほうが無難です。
7. 本殿のご神体に向かって写真を撮る
SNSの普及により、「映える」写真を求める人が多くなりました。しかし、本殿やご神体に向かって写真を撮ることは厳禁です。ご神体は神様の分身であり、見世物ではありません。本殿の写真を撮りたい場合は、まずしっかりと参拝をしてから、ご神体が見えないよう建物の側面から撮るか、少し離れた位置から撮影するようにしましょう。
多くの神社では、境内の風景や鳥居などの撮影は許可されています。ただし、他の参拝者の迷惑にならないよう気をつけましょう。また、神社によっては撮影禁止のエリアがある場合もあるので、看板や案内に注意を払いましょう。
8. 短時間でさっと参拝を済ませる
忙しい日常の中で、ついつい参拝も手早く済ませてしまいがちです。しかし、神社は神様の住まう場所であり、ゆっくりと心を落ち着かせる場でもあります。可能であれば、境内をゆっくり歩き、神社の雰囲気を感じ取る時間を持ちましょう。
参拝の際、神域にとどまりその土地の食べ物やお水を飲食することで、さらに神様の御利益を得ることができると言われています。せわしなく参拝だけして帰るのではなく、時間に余裕があれば境内を散策したり、授与所でお守りを選んだりするのもよいでしょう。
9. 「ながら参拝」をする
スマートフォンを見ながら、飲食しながら、音楽を聴きながらの「ながら参拝」は避けましょう。これらの行為は、神様への敬意を欠くだけでなく、他の参拝者の迷惑にもなります。参拝中は、できるだけ神様に意識を向け、心を込めて祈りを捧げることが大切です。
特に初詣など混雑時は、列に並びながらスマートフォンを操作する人をよく見かけます。しかし、これも避けたほうが良いでしょう。待ち時間は、静かに自分の心と向き合う貴重な機会と捉えましょう。
10. 穢れの状態で参拝する
神道の考え方では、病気や怪我、喪中などの状態を「穢れ(けがれ)」と呼び、この状態での参拝を避けるべきとされています。これは神様に対する礼儀というよりも、むしろ体調不良の人を労わる意味合いが強いと言えます。
例えば、風邪をひいているときは、無理に参拝せず家で静養することが望ましいでしょう。また、喪中の場合は、一般的に四十九日までは参拝を控えるとされていますが、地域や神社によって考え方が異なる場合もあります。
これらのタブーを知っておくことで、神様に対して失礼のない参拝ができるようになります。次に、神社に参拝する際に押さえておくべきマナーや作法について詳しく見ていきましょう。
神社に参拝する際に押さえておくべきマナーや作法は?
神社を参拝する時は、その地に住む神様に失礼がないように作法やマナーを押さえておくべきです。先ほど紹介したタブー行為は避けつつ、以下の作法やマナーを守りましょう。
手水舎での作法
多くの神社には、参拝前に手と口を清める「手水舎(てみずや)」があります。ここでの作法は以下の通りです。
- 1. 右手で柄杓を持ち、左手に水を注いで清める
- 2. 左手で柄杓を持ち、右手を清める
- 3. 再び右手で柄杓を持ち、左手に水をためて口をすすぐ
- 4. 最後に柄杓を立てて持ち手を清め、元の場所に戻す
これらの動作を通して、心身を清める意味があります。初めての方は周りの人の様子を見ながら行うとよいでしょう。また、混雑時は手短に済ませるのがマナーです。
手水舎がない神社もあります。そのような場合は、心の中で「清めの心」を持つだけでも十分です。中には、ペットボトルの水で簡単に手を清める方法を取り入れている方もいますが、神社によっては望ましくないとされる場合もあるので注意が必要です。
二礼二拍手一礼の作法
お賽銭を納めたら、鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼の作法で参拝します。
- 1. 深いお辞儀を2回行う
- 2. 胸の高さで手を合わせ、2回拍手を打つ
- 3. 手を合わせたまま祈る
- 4. 最後に1度深くお辞儀をする
この作法は神様への挨拶と感謝を表す大切な儀式です。心を込めて行いましょう。ただし、神社によっては異なる作法を取る場合もあります。例えば、出雲大社では「二拝四拍手一拝」が正式な作法とされています。事前に確認できる場合は、その神社の方法に従うのがよいでしょう。
参拝時の心構え
参拝時は、願い事をするだけでなく、日々の平穏や神様の見守りに感謝する気持ちを持つことが大切です。また、初めて訪れる神社では、自己紹介として氏名と住所を心の中で伝えるとよいでしょう。
願い事をする際は、「〇〇が欲しい」という直接的な表現よりも、「〇〇できますように」というような前向きな表現を心がけましょう。神様は私たちの努力を後押ししてくださる存在だと考えると良いでしょう。
参拝の適切な時間
一般的に、神社の参拝は早朝から午後2時頃までが望ましいとされています。特に早朝の参拝は、心が落ち着き、雑念を払いやすいため良いとされています。ただし、神社によって参拝可能な時間が決められている場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
夜間の参拝については、24時間開いている神社もありますが、基本的には避けたほうが無難です。夜間は神様の休息の時間とされているためです。ただし、初詣など特別な行事の際は例外となります。
これらのマナーや作法を意識しながら参拝することで、より神様に敬意を表した参拝ができるようになります。ただし、形式にとらわれすぎて参拝に集中できないのでは本末転倒です。何よりも大切なのは、感謝の気持ちを持って心を込めて参拝することです。
神社参拝の基本を知って、心を込めてお参りしよう
いかがでしたか。神社参拝の際は、場に合った服装と正しい作法・マナーを心がけましょう。ただし、これらは厳格なルールというよりも、神様への敬意と感謝を表す方法です。何より大切なのは、感謝の気持ちを持って心を込めて参拝することです。
神社によって独自の参拝方法がある場合もあるので、初めての神社では事前に確認するとよいでしょう。正しい知識を身につけることで、より深い精神的な体験ができ、地域の歴史や文化を学ぶきっかけにもなります。これからの神社参拝が、皆さまにとってより意義深いものになることを願っています。