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引っ越しが決まった時、入居前のハウスクリーニングを賃貸だとどこまでやってくれるのか気になりませんか?入居後に掃除されていなかった場合はどうしたら良いのでしょうか?
今回は賃貸物件のハウスクリーニングについて、どこまでやってくれるのか、料金は誰が負担するのかなど解説します。引っ越しの予定がある方は参考にしてください。
賃貸ハウスクリーニングはどこまでやるかが決まっていない
結論からいいますと賃貸物件のハウスクリーニングには、どこまでやるのかどのような内容でやるか細かい決まりがありません。
なぜ賃貸のハウスクリーニングはどこまでやるか範囲が決まっていないのか、ご紹介していきましょう。
業者によってサービス内容が異なる
ハウスクリーニングでは基本的に家の中をすべてきれいにしてもらえますが、業者によってクリーニングを行う場所や範囲、掃除の内容は異なります。
目には見えない細かい部分まできれいにしてくれる業者もあれば見える範囲だけを大まかにクリーニングする業者もいて、サービス内容はさまざまです。
作業スタッフの技術力、使っている洗剤や器具の種類によっても仕上がりには差がでます。また、業者に入居前のハウスクリーニングを依頼するのは、物件を管理している管理会社や大家さんです。
ハウスクリーニングを行う範囲については、法律などで決まりがないのでどこまできれいにするかの判断は管理会社や大家さんにゆだねられています。
管理者が「掃除の必要がない」と判断した場所は、クリーニングされていないこともあり得るのです。
完璧にきれいにすることは難しい
賃貸物件のハウスクリーニングは、家の状態によって掃除の内容やきれいになる範囲に差がでます。
掃除のプロがクリーニングを行うため日常的な掃除よりもきれいになることは間違いありませんが、汚れの具合によっては完璧に落としきれないこともあります。
特に、カビや水垢など頑固な汚れはプロの手にかかっても残りやすいでしょう。新築のようなピカピカの状態に戻すことは難しいです。
また、一度人が住んでいる以上、室内の経年劣化はどうしても発生するもの。部屋に傷や損傷があっても、業者や依頼者(大家さんや管理会社)が「修繕の必要なし」と判断すればそのままの状態で引き渡しされてしまいます。
たとえ内見時に「入居前にハウスクリーニングしますよ」と言われていたとしても、隅から隅まで完璧にきれいになるとは言い切れないのです。
コスト削減で大家がハウスクリーニングするケースもある
賃貸物件によっては、コスト削減のために大家さん自らがハウスクリーニングを行う場合もあります。
いくらベテランの大家さんでも、ハウスクリーニング専門業者のような技術や器具、洗剤は持っていないことがほとんどです。どれだけ丁寧に掃除してくれたとしても、業者に依頼した時ほどはきれいになりません。
特にキッチンやお風呂など、カビ・水垢といった落ちにくい汚れがつく水まわりは、綺麗になり切らないことが多いでしょう。
また、部屋のどの部分を掃除するかは大家の判断によって行われるため、クリーニングされる範囲にはバラつきが生じてしまいます。
できるだけきれいな部屋に入居するためにも、内見する時にハウスクリーニングは誰が行うのか、専門業者に依頼してもらえるのかは確認しておいたほうが良いでしょう。
ハウスクリーニングされていないケースもある
賃貸物件は入居者が退去する時、もしくは次の人が入居するタイミングできれいにされるのが一般的ですが、中には全くハウスクリーニングされていないケースもあるので注意してください。
実は、貸主側には新しい入居者に引き渡しをする前に物件のハウスクリーニングを行う義務はありません。国土交通省のガイドラインでは「やるべき」とされていますが、強制ではないのです。
築年数が浅くて大きな汚れがない物件だと、前の入居者が住んでいたままの状態で引き渡しされることもあり得ます。表面上はきれいに見えても、住み始めてから汚れが目につき、掃除されていないことに気づくケースは意外に多いです。
借主からすると「賃貸でもハウスクリーニングは当然やってくれているだろう」と思いがちですが、できれば内見時、もしくは契約前にハウスクリーニングはしてもらえるのか確かめるようにしてください。
基本的なハウスクリーニングの内容
不動産会社やクリーニング業者にもよりますが、ハウスクリーニングで行われる清掃の内容は概ね以下のとおりです。
- コンロ、シンクなどキッチンまわりの清掃
- 換気扇の清掃
- お風呂や浴槽の清掃
- トイレ清掃
- 洗面台の清掃
- フローリング(床)の清掃、ワックスがけ
- 窓ガラス、サッシの清掃
- 壁紙の張り替え
- 和室畳の補修
基本的には、部屋の中すべてがクリーニングされると考えてください。換気扇を含めたキッチンまわりの頑固な油汚れやカビも、業者専用の強力な洗剤を使ってピカピカにしてもらえます。
お風呂や洗面台などの水まわりはカビ・水垢などを徹底的にきれいにし、トイレでは尿石落としやニオイ対策にも対応してくれるので安心です。
フローリングはベタつきやホコリを掃除し、ワックスがけをします。小さな傷もワックスをかけることでほとんど目立たなくなるでしょう。窓ガラスやサッシなど、日常の掃除では手が届きにくい場所も掃除してもらえることがほとんどです。
日焼けしやすい壁紙や畳も張り替えができます。壁紙・畳の補修は退去時ではなく、入居前のハウスクリーニングのみで行われることが多いです。
経年劣化による汚れや変色はきれいにならないことが多い
賃貸のハウスクリーニングでは家中をピカピカにしてもらえますが、経年劣化による汚れや変色はきれいにならないことがほとんどでしょう。
貸主がハウスクリーニングを行うのは、次の人に入居してもらえるよう見栄えをよくするためです。日焼けが目立つ畳や壁紙は張り替えてもらえますが、設備の劣化や床についた傷などはそのままにされることもあります。
部屋の中を新築のようにするためには、フローリングやドアなども含めてすべてやり直しをしないときれいにはなりません。賃貸のハウスクリーニングでそこまでやることは、ほぼないでしょう。
国土交通省のガイドラインにも「建物は時間の経過とともに劣化するもの」と記載があるように、新築でない限り多少の汚れや変色は許容する必要があります。
エアコン内部はオプションであることが多い
賃貸のハウスクリーニングでは、エアコン内部のクリーニングはオプションになっていることが多いです。
オプションは追加料金が取られるため、基本料金の範囲でしかクリーニングを行わない貸主は少なくありません。エアコンの見えている部分だけをきれいにし、内部はホコリやカビだらけのまま次の入居者へ引き渡される可能性はかなり高いです。
カビやホコリが溜まっているとニオイの原因になりますし、エアコンの効きも悪くなってしまいます。
「他の部分がきれいで安心していたのに、夏に備え付けのエアコンをつけてみたらカビ臭くて使えない」なんてことにならないように、内見時にエアコン内部までクリーニングされるか確認しておくようにしましょう。
浴槽エプロンも対応外なケースがある
浴槽の前の部分「エプロン」も、基本のハウスクリーニングでは対応外の場合があります。
浴槽エプロンは外すことができ、内部まで掃除しなければカビが繁殖して悪臭の原因になる部分です。日常の掃除ではなかなか手入れしにくい部分でもあるため、できれば入居前にプロの手できれいにしておいて欲しいと思う方も多いでしょう。
しかし、業者にもよりますが、入居時のハウスクリーニングでは基本的に浴槽エプロン内部まで清掃されることはありません。対応してもらいたい場合はオプションになることが多いようです。
入居する前に浴槽エプロンまできれいにしてもらいたい場合は、管理会社や大家さんに相談しておくようにしましょう。
賃貸ハウスクリーニングの費用負担
賃貸ハウスクリーニングの費用は、基本的に大家さん・管理会社側の負担となります。
ただし、契約時の特約に「退去時クリーニング費用は借主負担」のような記載がある場合は、クリーニング費用を入居者が負担しなければなりません。
もし「クリーニング代、一律〇円」と記載されているなら、どれだけ部屋の状態が良くても契約書にある金額が入居者に請求されてしまいます。入居する際には、契約書の内容にしっかり目を通すことが大切です。
また、特約がなくても日常的な手入れを怠ったことによる汚れ、落書きなど入居者が故意につけた汚れ、タバコやペットによる壁の汚れがある場合は、クリーニング代は入居者が負担します。入居中はできるだけこまめに掃除を行い、部屋をきれいに保つように努めてください。
入居時のクリーニング費用は貸主負担が普通ですが、念のためどちらが負担するのか契約時に確認しておきましょう。
入居前にできる対応
「入居してみたらハウスクリーニングされていなかった」「高額のクリーニング費用を請求された」など、賃貸のハウスクリーニングに関するトラブルは数多くあります。
このようなトラブルを回避するために、入居前にできる対応をご紹介するので参考にしてください。
内見時どこまでハウスクリーニングするか確認しておく
トラブルを避けるため、賃貸物件を内見する時、入居前にどこまでハウスクリーニングしてくれるかを不動産屋に確認しておきましょう。
クリーニングされるかどうかだけでなく、換気扇やエアコン内部、浴槽エプロンなど細かい部分までクリーニング対象になるか聞いておくことが大切です。
不動産屋の担当者に「たぶんやるはずですよ」など曖昧な回答をされたら、「大家さんにすぐ確認してもらえませんか」と言ってみましょう。汚れがひどい部分は、どの程度きれいになるかも聞いておいたほうが安心です。
できれば部屋の中の写真を撮っておき、入居後に比較できるようにしておくのがおすすめですよ。全くきれいになっていない、汚れが残っている場合はやり直しを希望しましょう。
ハウスクリーニング後に改めて内見を希望する
入居予定の賃貸物件には、ハウスクリーニングが終わった後にもう一度中を見せてもらえるように不動産屋に頼んでみましょう。
内見時には「ハウスクリーニングする」と口約束しておきながら、実際は清掃を行わない悪質なケースもあるからです。通常ならば見せてくれるはずなので、理由をつけて断られる場合は怪しいと思ってください。
入居してから汚れが残っているのを見つけ、清掃を依頼すると費用を請求されることもあるため、ハウスクリーニングが終わった状態の部屋を入居前に確認しておいたほうが安心です。
対応が悪い物件は候補から外す
内見に行った賃貸物件の管理会社や大家さんの対応が悪いと感じたら、その物件は候補から外すことをおすすめします。
管理会社や大家さんは、物件に住んでからも何かと関わることが多い相手。トラブルがあった時にきちんと対応してもらえない可能性がある場合は、初めから入居しないほうが安心です。
入居の話が進んでいても、契約書にサインするまでの間に違和感を覚えたら、別の物件を探しましょう。トラブルを回避するために、誠意ある対応をしてくれる貸主や不動産屋を選ぶようにしてください。
入居後掃除されていない場合の対応
新しい入居者が入る前に賃貸物件はハウスクリーニングされることが一般的ですが、まれに全く掃除されていない、もしくは汚れがかなり残っている場合があります。
そんな時にどうすれば良いのか、具体的な対応をご紹介します。
大家・管理会社に相談し対応してもらう
掃除されてなかったり、汚れが残っている場合は、入居後すぐに大家さんや管理会社に相談してください。時間が空いてしまうと入居者による汚れだといわれる可能性もあるので、汚れを見つけたら即連絡するのが鉄則です。
部屋がどんな状態であるかと、「ハウスクリーニングをやり直して欲しい」ということを伝えましょう。クレーマーになる必要はないので、冷静に「このままでは快適に暮らせない」と訴えてください。
常識のある管理会社や大家さんなら、すぐに何らかの対応をしてくれるはずです。悪質な貸主だとやり直しを拒否される可能性もありますが、入居直後なら応じてもらえることが多いので、とにかくすぐに連絡を入れましょう。汚れの状態を写真に撮り、メールや郵送で送るのも有効です。
写真などで証拠を残しておく
もし入居後に部屋の汚れや傷などを見つけたら、すぐに写真を撮るようにしましょう。
退去する時に汚れや傷があると入居者自身がつけた汚れだと言われて、クリーニング代を別途請求される可能性が高いです。
写真を撮る時は、元々あった汚れだという証拠を残すため日付も分かるようにしてください。汚れや傷を指摘されても、入居前からのものだと証明できればクリーニング代を請求されることはありません。
自分でハウスクリーニングする
賃貸のハウスクリーニングが行われておらず、貸主にやり直しを拒否されてしまった場合は、自分で掃除するしかありません。
自分で掃除すると時間と労力がかかりますし、何より素人が部屋中をピカピカに掃除するのには限界があります。隅から隅まできれいにするためには、ハウスクリーニングの専門業者に依頼するのがおすすめです!
ハウスクリーニング業者に依頼すれば専門の洗剤や器具を使い、高度な技術で水まわりから窓やベランダまでありとあらゆる部分をピカピカにしてもらうことができます。
ハウスクリーニングの費用はワンルームで3万円前後かかりますが、交渉次第で貸主にいくらか負担してもらえることもあるようです。
業者によって清掃範囲や費用は異なるので、何社か見積もりをしてもらい比較すると良いでしょう。
まとめ
賃貸物件では、ハウスクリーニングをどこまでやってくれるかは具体的に決まっていません。
清掃の範囲は業者によって異なりますし、場合によってはプロではない大家さんが掃除していたり、ハウスクリーニング自体が行われていないこともあります。
トラブルを防ぐためには、入居前にハウスクリーニングをどこまでやってくれるのか確認しておくことが大切です。契約書の内容にもしっかり目を通すようにしましょう。気になる部分があれば交渉し、納得してから契約するようにしてください。
できればハウスクリーニング後にも改めて内見を行い、部屋の状態を写真に撮っておくのがおすすめです。
万が一、入居後に部屋が掃除されていない場合は、すぐに貸主に連絡しやり直しをしてもらってください。やり直しに応じてもらえない時は、ハウスクリーニング業者に自分で依頼してきれいにしてもらうと良いでしょう。費用は交渉次第で貸主にも負担してもらうことができます。
賃貸のハウスクリーニングにおけるトラブルは、入居前の細かい確認と入居後すぐの行動で対策・対応しましょう!