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スナップエンドウを食べ過ぎるとどうなる?
4月~5月にかけて旬を迎えるスナップエンドウ。1970年代後半にアメリカから入ってきた野菜で、シャキッとした食感と肉厚のサヤ、軟らかい豆が特徴的です。
程よい甘みがあり思わず食が進んでしまうのですが、大量に食べ過ぎると下痢や腹痛などの症状が起こることがあります。それはどうしてなのでしょうか?
食べ過ぎると消化不良を起こし腹痛の原因になることもある
スナップエンドウは食物繊維が豊富に含まれているため便通がスムーズになりますが、過剰摂取すると下痢になってします。
食物繊維はご存じのように「水溶性食物繊」と「不溶性食物繊維」の二種類に分かれますが、スナップエンドウが持つのは「不溶性食物繊維」です。
この「不溶性食物繊維」は腸内まで届いて便のカサを増やし、腸を刺激することで排便を促します。適量であれば何の問題もなく腸内環境が整って便秘が改善されるのですが、過剰に摂取してしまうと腸内で上手く消化しきれず、下痢や腹痛を引き起こしてしまうのです。
下痢になると各栄養素が吸収されにくくなり、水分とともに体内のミネラルまでが排出されてしまいます。特に、胃腸の弱い方は食べ過ぎによって消化不良を起こし、それが腹痛となって現れてしまうようです。
茹でたり炒めたりせずに生のまま食べると、より多くの食物繊維を摂ることになりますので、普段からお腹が強くない方は、しっかり加熱されたスナップエンドウを食べるようにしましょう。
以上のように、食べ過ぎによって大きな健康被害が出るわけではありませんが、何事もほどほどが一番ですよね。
食べ方によっては太る原因になる
スナップエンドウのカロリーは100gあたり43kcalです。1さやの平均的な大きさは5g前後なので、20さやくらいの量で43kcalだと低カロリーと言っても良いでしょう。
カロリー自体は低いのでスナップエンドウそのもので肥満につながることはないのですが、調理の仕方や調味料によってカロリーが高くなってしまいます。
例えば、ゆで上がったスナップエンドウにマヨネーズをたっぷりかけて食べるととても美味しいのですが、マヨネーズのカロリーはとても高いので体重増加になってしまいます。そうならないように調理方法には注意してくださいね。
その一方で、先ほど食物繊維が豊富なことをお伝えしましたが、食物繊維は水を含んで粘性が増します。そうすると胃の中にとどまる時間が長くなり満足感が得られるので食べ過ぎ防止に一役買ってくれるでしょう。
《 ポイント 》
- 腸内で上手く消化しきれず、下痢や腹痛を引き起こす。
- 調理の仕方や調味料によっては高カロリーになる。
- 大きな健康被害があるわけではないが何事も程々が一番。
スナップエンドウの栄養や健康効果
スナップエンドウには食物繊維が豊富に含まれていますので、食べ過ぎると消化不良を起こす可能性がありますが、スナップエンドウには体に良いさまざまな栄養素があります。
美肌を作る「ビタミンC」
驚くことに、スナップエンドウ10さやほどで、30代女性が1日に必要な奨摂取量のビタミンCが取れると言われています。
ビタミンCは皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果があり、さらには粘膜を強くして風邪やストレスから体を守る働きをします。
また、活性酸素を消去する抗酸化作用があるため、動脈硬化予防にも効果があります。
抗酸化作用がある「β-カロテン」
スナップエンドウのβ-カロテン量は100g中400μgで、グリーンピースや絹さやよりも少ないのですが、ビタミンCとの相乗効果で、より抗酸化作用が高められます。
そして、抗動脈硬化を防いで心臓病の予防、体内でビタミンAに変化して夜盲症を予防、そして皮膚や粘膜の健康を維持する効能があります。
三大栄養素の代謝を助ける「ビタミンB1」と「ビタミンB2」
ビタミンB1、ビタミンB2は、三大栄養素の代謝を促してエネルギーを生成する働きがあり、不足する疲れやすくなります。
また、脳や神経機能を正常に保ち動脈硬化を防ぐ他、肌荒れや口内炎の予防にも効果的です。ビタミンCと同じ水溶性で水に溶けやすく、煮たり水にさらしたりしていると流れ出てしまいますので、調理は短時間で済ませるようにしましょう。
煮汁も一緒にとれる料理にするとビタミン類を効率よく摂取できますよ。
骨の形成を促す「ビタミンK」
骨に含まれているタンパク質を活性化し骨の形成を促す作用のあるビタミンKは、ビタミンDとともに体にとっていいことづくめです。
骨からカルシウムが溶けて血液に流れ出るのを防ぎ、骨の形成になくてはならない重要な役割をしています。
骨粗しょう症の予防に必要な「カルシウム」
なんと、体の中にあるカルシウムの99%は骨と歯に存在していると言われています。それほど私たちの骨や歯を作るのに欠かせないミネラルです。
また、筋肉を動かしたり、精神を安定させて興奮をおさえたりする効果も期待できます。カルシウムは吸収されにくい栄養素ですが、ビタミンDと一緒にとることで吸収率を上げることができるでしょう。
腸内環境を整える「食物繊維」
サヤごと食べるスナップエンドウは、食物繊維をしっかり摂ることができます。
不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸い込んで便の量を増やし、腸を刺激することでスムーズな排便を促す効能があります。
噛み応えがある食物繊維を摂取すると腹持ちがよくなり、加えて低カロリーなので肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防に効果が期待できます。
《 ポイント 》
- 10さやで30代女性が1日に必要なビタミンCが取れる。
- β-カロテンはビタミンCとの相乗効果で抗酸化作用を高められる。
- ビタミンB1、B2は三大栄養素の代謝を促してエネルギーを生成する。
- カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると吸収率が上がる。
- 腹持ちがよい食物繊維は肥満や生活習慣病の予防に効果的。
スナップエンドウを食べる時のポイント
スナップエンドウの注意点は食べ過ぎないことですが、ここでは楽しみ方のコツを紹介します。
エンドウ豆よりも筋が太いスナップエンドウは、きちんと筋を取らないと口の中に残ってしまいます。また、茹ですぎたり、水に浸しすぎたりすると食感が悪くなり、水溶性ビタミンが流れ出て、栄養が損なわれてしまいます。
スナップエンドウの独特の食感や栄養を損なわない茹で方をご紹介しましょう。
加熱する前の下処理
加熱する前に筋やヘタを取って下処理をします。
筋の取り方ですが、尖った先(ガクの反対側)を上にして先端をヘタ側に折り、そのままヘタに向かってスーッと筋を引っ張って剥きます。反対側の筋はヘタをポキっと折って先端に向かいながら筋を取ります。
食感と栄養が失われにくい茹で方
- 1ℓのお湯を沸かした中に、塩大さじ1杯と油を数滴入れます。
- スナップエンドウを入れて、1分半~2分茹でたらザルに上げ、水が抜けるようにヘタ側を下に向けてうちわなどを使って扇いて冷まします。
- 冷水にさらして粗熱をとる場合は約30秒、短時間で冷水から引き上げます。
茹で上がったスナップエンドウは色鮮やかでほんのり塩味がついていますので、そのまま食べても美味しいですよ。
炒めものなどの加熱調理には、5~10秒ほどサッと湯通して固めに茹でたものを使うと青臭さをなくすことができるでしょう。
油で調理する
スナップエンドウに含まれているβ-カロテンやビタミンKなどの脂溶性の栄養素は、油と一緒にとると吸収率がアップするので、炒めものやサラダなど油を用いる調理がおすすめです。
オリーブ油を使ったドレッシング、和えものにごま油を加えるなど油と一緒に調理してみたらいかがでしょうか。
汁ごと食べられる料理にする
ビタミンCなどのビタミン類は水溶性で水に溶け出す性質があります。これらの栄養素を効率的に摂取するなら、スープに加えるなど栄養が溶け出た汁ごと食べられる料理を作るようにしましょう。
電子レンジを使った調理はビタミンの損失を抑えられるので、電子レンジを活用するのもおすすめです。
《 ポイント 》
- 茹で過ぎたり水に浸し過ぎたりすると栄養素が流れ出てしまう。
- 加熱する前に筋やヘタを取って下処理をする。
- 油と一緒にとると栄養素の吸収率がアップする。
- スープに加えるなど栄養が溶け出た汁ごと食べられる料理にする。
スナップエンドウを食べきれない時の保存方法
冷蔵庫での保存方法
スナップエンドウは乾燥に弱くて痛みやすいので、シャキシャキした食感がある新鮮なうちに食べるようにしましょう。
ただし、残さないよう無理に食べると食べ過ぎになってしまいます。そんな時は冷蔵庫か冷凍庫で保存しましょう。
冷蔵庫で保存する場合は、軽く湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋の保存袋に入れてから冷蔵します。スナップエンドウは味が落ちやすいので、賞味期限は1~2日と短めです。
冷凍庫での保存方法
- 冷凍保存する場合、筋を取り除く下処理をしてから固めに湯がきます。
- 水気をしっかりと切り、冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べて入れて冷凍します。
冷凍保存の賞味期限の目安は3ヶ月程度です。また、解凍する際は、自然解凍がベストでしょう。自然解凍後、そのまま食べるのはもちろん、サラダのトッピングや和え物にしてみてはいかがでしょうか。
最後に
スナップエンドウを食べ過ぎると腹痛の原因になってしまうのかどうか、お分かりいただけましたか?
シャキシャキした食感と程よい甘みが魅力のスナップエンドウは、ビタミンや食物繊維が豊富に含まれている栄養満点の野菜です。
どんな食材でも食べ過ぎにならないように気をつけなければいけませんが、バランスが取れた栄養素のスナップエンドウは、手軽に一品加えるのにうってつけの食材と言えるでしょう。
爽やかな彩りが目を引きますので、サラダや和え物、炒め物、パスタなど、さまざまな料理に使って美味しくいただきましょう!