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自分が「潔癖症」と感じることはある?
皆さんは日常生活を送る中で「自分は潔癖症かも」と感じることはありますか。他の人よりも衛生面や散らかった様子などが気になり、片付けたり掃除したりしないと気が済まないと感じる人は、「潔癖症かも」と考える人もいるかもしれません。
しかし、単にきれいな状態を好むだけであれば、それは『きれい好き』の枠組みに入っていることが多いです。一般的に『潔癖症』と言われている人々は、医学的に『不潔恐怖症(汚染恐怖症)』と病名がついており、日常生活に支障を来してしまう例も少なくありません。
こうした本当の『潔癖症』に苦しんでいる方は、少しでも生きやすく改善するためにも、専門外来やカウンセリングを受けることが推奨されています。
『潔癖症』と『きれい好き』の5つの違い
では、具体的に『潔癖症』と『きれい好き』には、どのような違いがあるのでしょうか。今まさに「潔癖症かも」と悩んでいる方や周囲から指摘されている方は、以下の違いを参考に自身の状況と比較してみてください。
1.自分の行動に対するストレス度合い
きれい好きな人は、掃除をすることや部屋を片付けることなどを苦に思っていません。むしろ、部屋をきれいにすることを好んで行っているので、「気分がいい」「楽しい」とすら感じる人も多いです。
しかし、潔癖症と言われる人々は、自分が掃除をすることや部屋を片付けることが好きだからやっているのではなく、強迫観念に囚われて行っています。そのため、自身の行動に対してストレスを感じたり、生きづらさを感じている人が多い傾向にあります。
2.日常生活に支障が出ているか
きれい好きな人に比べると、潔癖症と言われる人々は、自身の「こうしなくちゃいけない」「こうでなければ許せない」という行動によって、日常生活に支障が出ているケースが少なくありません。
例えば、一度部屋を掃除しきれいになったにも関わらず、「なんだか物足りない」「もう一度掃除しなければ」と何度も部屋を掃除する行為を繰り返します。
他にも一度手を洗ったのに再び何度も手を洗い直したり、他の人が触ったものだからと公共の場の物を触ったり使ったりすることができず、生きづらさを感じるといったケースも多く報告されています。
3.周囲の人に対しても影響が出ているか
通常、きれい好きな人は自分の好きで行っていることなので、強迫観念に囚われたように他人に強要することはありません。あくまでその行為は『趣味』に似た行為であったり、必要最低限の習慣だからです。
しかし、潔癖症の人は「こうしなければいけない」「こうしなければ恐ろしい」といった強迫観念に似た感情に囚われている傾向があります。そのため、周囲の人に対しても「こうしてほしい」と強要し、周囲との人間関係に悪影響を及ぼしている例もあります。
特に、同じ家に暮らす家族にストレスを与えている例が多く、「本当にきれいになったのか」「もう一度手を洗うべきなのでは」と衛生面に関わる事柄に対し、まるで強要するかのような言動が見え隠れします。
4.見えない『もの』に対して恐怖を感じるか
きれい好きな人の多くは、見えている状態を確認した上で「あそこを掃除しなきゃ」「もう少し片付けたほうがいいかな」「整理しよう」と判断します。しかし、潔癖症の人は見えないものに対して恐怖や嫌悪感、不安を感じる傾向が強いです。
例えば、手洗いに関しては目に見えていない菌を怖がり、何度も洗ってしまいます。電車のつり革をつかまなければ倒れてしまう状況でも「菌がついているのでは」と不安を感じ、意地でも触ることができません。
このように、見えない『もの』に対して、異常なまでの恐怖感や嫌悪感、不安を感じてしまうため、日常生活に支障を来したり、生きづらさを感じたりする人が多いです。
5.「やらなくていい」とコントロールできるか
きれい好きな人は、「これをしなくてはいけない」という強迫観念には囚われていないため、スケジュールや状況に応じて「今はやらなくていいよね」「今度にしよう」と自身でコントロールすることができます。
しかし、潔癖症のように強迫観念に囚われている人は、こうした感情のコントロールが効きません。それをしなければ「どうしよう」「嫌だな」と必要以上に不安や嫌悪感に襲われてしまうため、結局スケジュールを変更して、その行動を継続してしまうことがあります。
こうした感情のコントロールが効かないほど、強い強迫観念に駆られてしまっているため、周囲の人にも不安や恐怖感を与えてしまうケースが報告されています。
『潔癖症』は本人や周囲を苦しめることがある
紹介したように、『きれい好き』と『潔癖症』では、「こうしなければいけない」といった強迫観念があるかどうかといった大きな違いが挙げられます。こうした『潔癖症』は本人や周囲の人を苦しめてしまうことがあります。
潔癖症が行き過ぎると『強迫性障害』の可能性も
潔癖症は、最初にお話した通り、医学的には『不潔恐怖症(汚染恐怖症)』と呼ばれています。これは強迫性障害の一種に分類されており、いわゆる精神疾患の一種です。
10代〜20代のうちに少しずつ現れることが多いですが、中には何らかのきっかけにより、ある日突然発症することもあります。
本人はもちろん、家族や親しい友人もストレスを感じたり、不安や恐怖感を覚えたりする恐れがあります。こうした症状は、そのまま放置していても良くなることは少ないため、心療内科や精神科、または専門とするカウンセラーを訪ねて相談するといった方法で改善していきます。
『潔癖症』に苦しんでいる人は適した場所に相談を
『潔癖症』は単に過度なきれい好きでは済まされないことが多いです。現在、100人に1〜2人の割合で潔癖症は存在すると言われているため、潔癖症に悩んでいる人が多くいます。ぜひ1人、あるいは家族で抱え込まず、心療内科やカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。