目次
扶養の範囲とは?
扶養についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、まず扶養について解説し、その範囲や条件についても紹介します。扶養と聞いてもシステムが良くわからない方は、まずは理解することから初めましょう。
そもそも「扶養」とは?
扶養とは自分が働くことができない、または、働いたお金だけでは生活できない家族と生活を一緒にして、その家族を支える制度のこと。扶養は所得税や社会保険面で大きく関わってきます。
扶養の範囲は条件によって違いがあるのです。詳しくは後で説明します。
《 ポイント 》
- 家族と生活をともにして支える制度
- 所得税や社会保険面に関わる制度
扶養の範囲や条件
ここからは扶養の範囲や条件について紹介します。とても大切なので、よく読んで理解しましょう。
税金面(所得税)
扶養でよく聞くのが、103万円の壁と130万円の壁ですよね。税金面で関わってくるのは、103万円の壁の方です。結論から言ってしまうと、年間で103万円以下の給与所得であれば、所得税がかかりません。
では、なぜ103万円なのでしょうか?所得税は基礎控除額の38万円を差し引いて、その後給与所得控除額の65万円を差し引いた金額に税率をかけます。103万円以下の稼ぎだと控除額の方が高くなってしまうので、所得税は0円になるというわけです。
ちなみに住民税については103万円の壁には当てはまりません。収入100万円以下であれば住民税は0円です。
《 ポイント 》
- 年間で103万円以下の稼ぎであれば、所得税がかからない
社会保険面
社会保険面の扶養では、130万円の壁のほうが適用されます。そのため、103万円以上130万円以下の給与所得がある方は、所得税を払う必要があるのです。
しかし、健康保険と厚生年金は配偶者の扶養範囲となるため、社会保険料を支払う必要はありません。
ただし、以下の5つの要件をすべて満たしている場合には、扶養から外れてしまうので、注意が必要です。
- 週の労働時間が20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込まれる
- 月額賃金が8.8万円以上
- 学生でない
- 従業員が501人以上の企業に勤めている
ちなみに上記の条件で働いた場合、年間給与所得が106万円になることから、106万円の壁ともいわれています。
《 ポイント 》
- 年間給与所得130万円までは、社会保険料を払う必要は無い
- 年間給与所得106万円の5つの要件をすべて満たすと、扶養から外れてしまう
扶養に入るメリット
ここからは扶養に入るメリットについて解説していきます。自分の家庭の状況に合ったメリットか確認してみましょう。
一部の税金を支払う必要がなくなる
扶養するメリットとしては、税金を一部支払う必要がなくなるという点があげられます。扶養してもらう側は所得税、扶養する側は所得税と住民税を安くすることが可能です。
配偶者控除や扶養控除、また勤務先によってはもらえることのある手当などによって結果的に収入が上がることもあります。
《 ポイント 》
- 所得税・住民税(扶養する側のみ)が安くなる
- 企業によっては手当が貰える
さまざまな措置が受けられる
扶養に入ることで、本来社会保険料を支払って受けられる措置を、社会保険料を支払わずに受けることができます。その措置とは以下の2つです。
- 年金を受け取ることができる
- 病院での窓口の自己負担額が3割になる
年金の手続きは扶養する側の配偶者の勤務先で手続きします。扶養される側の手続きは特に必要ありません。また、自己負担額が3割になるのも大きなメリットです。
扶養に入ると得をするのはこんな人
扶養に入ると得をする人は以下のような人です。
- 収入130万円以下の両親・妻・子供(フリーター)
- 専業主婦
- 16歳未満の子供
- 障害者
子供を扶養に入れる場合、一般の控除対象扶養親族に含まれるか、特別扶養親族に含まれるかによって控除金額が違ってくるので注意しましょう。
一般の控除対象扶養親族は16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満で、38万円。特別扶養親族は19歳以上23歳未満で63万円で、この時期に大学に通うことが多く費用がかかるため、控除額が多くなっています。
障害者と同一の生計を立てている場合には、障害者控除が適用されます。控除額は27万円・40万円・75万円と分かれているのが特徴です。
《 ポイント 》
- 障害者の場合にも控除を受けられる
扶養に入るデメリット
扶養に入ることにはメリットが多いように見えますが、デメリットもあります。メリット・デメリット両方を把握した上で、扶養に入るか検討しましょう。
将来受け取れる年金額が減ってしまう
扶養に入ると老後の年金額が減ってしまいます。扶養内で働いていた場合、基礎年金が貰えるので金額は年間およそ75万円です。
一方、厚生年金は年間およそ123万円になります。金額差は48万円となるので、老後の生活には大きく響く額と言えるでしょう。
《 ポイント 》
- 扶養内で働いていた場合、国民年金は年間約75万円もらえる
- 年間で、厚生年金でもらえる額とおよそ48万円の差がある
高額療養費制度の自己負担限度額が高くなる
扶養に入っていないと、高額医療費制度の自己負担額が高くなってしまう可能性があります。
高額医療費制度とは、医療費を病院の窓口で払った際、上限額を超えた場合に超えた分の金額を支給してもらえる制度です。69歳以下の方は、制度の適用区分は5つに分けられます。
- 年収1,160万円:ひと月の上限額252,600円+(医療費-842,000)×1%
- 年収770万円〜1,160万円:ひと月の上限額167,400円+(医療費-558,000)×1%
- 年収370万円〜770万円:ひと月の上限額80,100円+(医療費-267,000)×1%
- 年収〜370万円:ひと月の上限額57,600円
- 住民税非課税者:ひと月の上限額35,400円
出典:高額療養費制度
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
扶養に入れる側は、働き盛りなことが多いので、限度額が高くなり、自己負担額が高くなってしまうことがあります。
《 ポイント 》
- 自己負担額が高くなってしまう
- 上限額は扶養に入れる側の収入が基準
扶養から外れた方がいいのはこんな人
扶養から外れたほうがいいのは以下のような方です。
- 家族でもらえる年金額を増やしたい人
- 高額医療費制度の自己負担額を減らしたい人
損をせずに扶養から外れるには会社員やフリーターとして年収150万円以上稼ぎましょう。そうすることで、年金額を増やすことが可能です。
《 ポイント 》
- 年収150万円以上稼いでいる場合は扶養から外れた方がいい
まとめ:メリット・デメリット把握した上で扶養に入るか決めよう!
今回は扶養について紹介しました。
扶養とは、自力で生活ができない家族を支えるためにできたシステム。税金面や社会保険面でのメリットはかなり大きいです。しかし、年金額が減るなどのデメリットもあります。
扶養に入るか決める際は、将来のライフプランをしっかり考えてから決めるようにしましょう。扶養に入るかどうかを検討するときに、この記事を役立ててみてくださいね!