人参の旬は秋から冬!味を落とさない保存方法と下処理のコツ!

にんじん

毎日の食卓に欠かせない人参の旬はいつか知っていますか?野菜の中でも健康に大切な栄養素が豊富に含まれている緑黄色野菜の人参は、一年を通して出回り、値段も安定しているありがたい食材です。特に秋から冬にかけての冬人参は、甘みが増し最もおいしい時期です。今回は味を落とさない為の保存方法や下処理のコツ、そしておいしく食べられるおすすめレシピも合わせてご紹介します。

人参の旬は秋から冬

にんじん

国内の産地リレーにより、1年中スーパーに並んでいる人参ですが、実は旬の時期は年に2回あります。

秋に種まきして春に収穫する「春夏人参」の旬は4月から7月の春から夏にかけての季節。そして栄養価が高い「冬人参」は10月から12月になります。

特に冬人参の旬の時期は甘みが増し、栄養成分からみても最もおいしい時期なので、しいて言えば10月から12月が一番の旬になるでしょう。

ちなみに、3月から5月に出回る「雪下人参」や「新人参」も、甘みが強く柔らかいので、サラダなどの生食用に適しています。

《 ポイント 》

  • 旬は年に2回「春夏人参」と「冬人参」がある。
  • 最もおいしい旬の時期は10月から12月。

人参の特徴と主な産地

人参農家

人参の特徴と種類

人参が日本へ伝わったのは16世紀頃で、明治時代までは葉っぱと根の両方を食べていたようです。

江戸時代に栽培されていた品種は、金時人参などの東洋系が主流でしたが、栽培の難しさから生産量が減り、現在では西洋系の五寸人参がほとんどです。

原産地のアフガニスタン周辺に分布している野生種や、栽培されている人参は12月から2月が旬で、白色、黄色、紅紫色、黒紫色など色とりどりの人参があり、形も丸いものや長いものなどさまざまな種類があります。

日本では、一般的なオレンジ色の五寸人参のほかに、「京にんじん」とも呼ばれる精進料理でおなじみの「金時人参」や、沖縄で作られている黄色い「島人参」などがあります。島人参の旬は11月上旬から2月下旬です。

西洋人参

五寸人参

長さが15cm前後の五寸人参やミニキャロットなど、普段、店頭で見かける人参が西洋人参です。鮮やかなオレンジ色をしていて、金時人参よりもカロテンが多く含まれているのが特徴です。

金時人参

金時人参

江戸時代から戦前まではこちらが主流でしたが、現在では京野菜のひとつとして親しまれています。西洋人参よりも甘みが強く味が濃いので、にんじん臭さがあまり感じられません。西洋人参よりも赤みがかった紅色をしているのは、リコピンが多く含まれていることを意味しています。

人参の主な産地

主な産地は、収穫量が多い順に北海道、千葉県、徳島県となっています。

2018年(平成30年)の収穫量の割合は

  • 1位:北海道(約28.6%)
  • 2位:千葉県(約19.0%)
  • 3位:徳島県 (約8.5%)

参考:https://japancrops.com/crops/carrot/

冷たい気候を好む人参は、夏の初めは徳島県、秋には北海道、冬は千葉県というように、季節によって産地リレー方式で変わります。この中で一番生産量が多い北海道と千葉県2ヵ所の地域で、全国生産量の半分を担っています。

また、京野菜のうちのひとつである金時人参は、関西地方を中心に栽培され、もっとも多く生産されているのは香川県です。

《 ポイント 》

  • 現在は五寸人参などの西洋人参が主に出回っている。
  • 主な産地は北海道、千葉県、徳島県。
  • 金時人参(京にんじん)の主な生産地は香川県。

美味しい人参の選び方

にんじん

美味しい旬の人参を選ぶために、基本的な見分け方のポイントを次のようにまとめてみました。

  • 人参が鮮やかで濃いオレンジ色
  • 人参の表皮がなめらかでつやがあり、傷やひび割れがない
  • 人参の先があまり細くなっていない
  • 人参の茎の切り口が細く、茶色に変色していない(太いものは芯の部分が大きくて硬い)
  • 人参がみずみずしくぷっくらしとして重量感がある
  • 人参の葉付きのものは、葉先までイキイキと濃い緑色をしている
  • 人参から生えているヒゲが少ない

人参の保存方法と下処理

人参の千切りジッパー保存

冷蔵保存方法

旬に限らず人参は湿気に弱いため、買ってきたら、まずはビニール袋から取り出します。

水で洗い、しっかりと水分を拭き取り、乾燥させないように新聞紙かペーパータオルで包んでから、冷蔵庫の野菜室で立てた状態で保存します。

人参の葉が付いているものは、葉の部分を根元から切り落とし、葉の部分と根の部分を別々に保存します。この方法での保存期間は5日間です。

旬の人参に泥がついているものは、洗わずに泥をつけたまま新聞紙に包み冷暗所に置いて保存します。冬であれば、この方法で2~3週間は日持ちします。1本使い切れない時には、先の方からカットして使います。

切った人参は、きっちりとラップで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。切り口から傷みだしてくるので、1~2日間のうちに使い切るようにしましょう。

冷凍保存方法

あらかじめ料理に適した大きさ、例えばスライスしたものや、スティック状にカットした人参の水気を拭き取り、バットなどに並べて一気に凍らせます。

人参が凍ったら保存袋に移し、冷凍庫で保存します。保存期間は約1か月です。

旬の人参をカレーや煮物に使用する場合は、大きめの乱切りにしたものを下茹でしてから冷凍したほうが、生のままより食感がよくなります。

また冷凍人参は凍ったまま調理できるので時短にもなり便利です。

下茹では、水をはった鍋にカットした旬の人参を入れ、硬めに茹で上げます。竹串がすっと刺さる状態だと茹ですぎになりますので注意してください。

人参をザルにあげ、そのまま粗熱がとれるまで置き、冷めたらバットなどに広げて一気に凍らせるようにします。

《 ポイント 》

  • 人参を新聞紙かペーパータオルで包んで冷蔵庫の野菜室で立てた状態で保存。
  • 人参の冷蔵庫での保存期間は5日間。
  • 人参の冷凍庫での保存期間は約1か月。
  • 人参を下茹でしてから冷凍すると食感がよく時短できる。

人参の栄養

にんじんの栄養イメージ

β-カロテン

根菜根には珍しい緑黄色野菜である人参は、β-カロテンの宝庫で、その含有量は、しそ、モロヘイヤに次いで3番目です。

β-カロテンは皮の部分に 最も多く含まれていますので、旬の人参を丁寧に水洗いしてから皮つきのまま調理するか、ピーラーなどを使ってなるべく薄く剥いたものを使うようにしましょう。

人参のβ-カロテンは脂溶性なので、油炒めや揚げ物、バターソテーなどの調理方法でいただくと、吸収率を高めることができ、必要量だけビタミンAに変換され、残りは体内に蓄積されます。

ビタミンA

人参を毎日50g食べれば、成人が1日に必要な量のビタミンAを摂取できます。

ビタミンAは、目の網膜にある光や色を感じる物質ロドプシンを作る重要な栄養素で、不足すると、暗い場所で目が慣れるまで時間がかかるなどの視力障害を起こしてしまいます。

また、人参にはビタミンAは胃腸や気管支などの粘膜や皮膚を作る役割があり、それが不足すると、気管に細菌やウイルスが侵入し、風邪をひきやすくなってしまいます。

《 ポイント 》

  • 人参はβ-カロテンとビタミンAが豊富。
  • 人参50gで成人が1日に必要な量のビタミンAを摂取できる。

人参の美味しい食べ方

人参の細切り、千切り

必要な道具

  • 菜箸
  • ザル

鍋を使った茹で方

水の状態からゆっくり茹でると、人参の甘みを存分に引き出し、旬の人参の美味しく味わうことができます。

反対に熱湯から茹でると表面と内部の温度差が生じて煮崩れを起こしてしまいます茹で時間の目安は20分前後ですが、切るサイズによって加熱時間が変わってきますので、注意が必要です。

急ぐときは薄切りや千切りにすると、早く火が通り時短になります。

手順

  1. 人参をカットする
    旬の人参をさっと洗ったらピーラーで薄めに皮を剥き、料理の用途によって、乱切りや角切りなど使い分けます。
    煮物は輪切り、カレーやシチューは乱切り、サラダやスープは角切り。
  2. 中火にかける
    鍋に人参と水をひたひたに入れ、中火にかけ、フツフツした状態を保ちながら20分前後茹でます。
    竹串を刺して様子を見ながら加熱時間を調整しますが、スッと通るようになったら火を止めます。
  3. 冷ます
    人参をザルに上げて自然に冷まします。

電子レンジを使った茹で方

  1. 人参をカットする
    さっと洗った人参の皮をピーラーで剥き、料理に合わせた切り方をします。
  2. 水を振りかける
    耐熱容器に人参を入れ、大さじ1の水を振りかけてからラップをかけます。
  3. 電子レンジで加熱する
    人参を600wのレンジで3分加熱して、一度竹串を刺してチェックし、様子を見ながら加熱時間を加減しましょう。

竹串がスッと通れば加熱完了です。

人参の千切り

人参の千切りは、手間がかかりますが、生の食感を楽しめるサラダや和え物、炒め物などいろいろ使える切り方です。切る幅で食感が変化するので、お好みに合わせてアレンジしてみるのもよいでしょう。

人参を3〜5mmの細切りよりもさらに細い、1〜2mmの細さに切ることで人参の食感を楽しめてお料理の見栄えがぐっとよくなるので、おすすめの切り方です。

特に人参のおいしさを堪能できるのが、オリーブオイルやワインビネガーのドレッシングで和えるだけのフランスの家庭料理の定番「キャロットラペ」です。

こちらで千切りの食感をぜひ試してみてください。ところで、同じ千切りでも人参を切る方向によって、2通りの違った食感が楽しめるってご存知ですか?

人参の根元から葉の方に向かって、縦に入っている繊維を断ち切るか、繊維に沿ってカットするかで味が変わったり、染み込みやすさが変わったりするのです。

歯ごたえを残すには繊維に沿って切る

人参は縦に繊維が走っているので、繊維に沿う切り方をすることで、歯ごたえを楽しめます。サラダに使うなど、シャキッと仕上げたいときにおすすめの切り方です。切った厚みと同じ幅にするのがポイントです。

柔らかい食感にするには繊維を断つ切り方をする

人参の繊維に対して直角に包丁の刃を入れて輪切りにし、切った断面を下にして、1〜2mm程度の薄さに千切りします。炒めものに使う場合、細いと火の通りが早いので、やわらかく仕上げたいときにおすすめです。

人参を使ったおすすめレシピ

きんぴらごぼう

料理に彩りを添えてくれる人参は、炒めもの、和え物、煮物、ジュースなど、多くの料理に応用できる優れた食材です。和洋問わず家族が喜ぶ絶品料理を作ってみましょう。

キャロットラペ

材料(2人分)

  • 人参:1本
  • 塩:小さじ1
  • 酢:大さじ1
  • レモン果汁:小さじ1
  • はちみつ:大さじ1/2
  • 塩こしょう:少々
  • オリーブオイル:大さじ1杯

作り方

マリネ液で和えるだけで簡単にできる初心者向けのキャロットラペは、サラダとしても、箸休めとしてもおいしいメニューで、人参の鮮やかな色を楽しめるひと品です。

人参きんぴら

材料(2人分)

  • 人参:1本
  • ごま油:大さじ1
  • 酒:大さじ1
  • 砂糖:大さじ1
  • しょうゆ:大さじ1
  • 刻み赤唐辛子:1/2本
  • 白ごま:小さじ1杯

作り方

  1. 人参を縦に薄切りにする
    人参を4~5cmくらいの幅に切ってから縦に薄切りにし、少しずつずらして並べます。
  2. 細切りにする
    人参の繊維に沿って3mm程度の細切りにします。
  3. 炒める
    フライパンにごま油と赤唐辛子を加えて中火で熱し、細切りにした人参を炒めます。
  4. 味付けする
    人参がしんなりとしてきたら、調味料を加えてからめ、お好みの味に調整してください。
  5. 煮含める
    フライパンを斜めにして、汁気がほとんどなくなるくらいまで煮含めます。
  6. ごまをふりかける
    皿に盛り付けて仕上げに白ごまをふりかけます。

人参とりんごのスムージー

材料

  • 人参:1本
  • りんご:1/2個
  • レモン:1/4個

作り方

  1. 人参をカットする
    人参とりんごを丁寧に水洗いし、できれば皮が付いたままカットします。
  2. ジューサーにかける
    スロージューサー(低回転式)でジュースにしますが、ミキサーやブレンダーを使用したときはサラシで絞ったりしてもよいでしょう。

人参のスムージーはりんごとの相性もよく、いろんな効能も期待できる人気のレシピです。レモンを少し絞ることでにんじん臭さがなくなり、無理なく飲み続けられます。

《 ポイント 》

  • 人参の茹で時間の目安は20分前後。
  • 人参の歯ごたえを残すには繊維に沿って切る。
  • 人参を柔らかい食感にするには繊維を断つ切り方をする。
  • 人参の人気のレシピは、キャロットラペ、きんぴら、スムージー。

最後に

にんじん

人参の旬についていかがだったでしょうか?

通年、地域を代えながら出荷されている人参ですが、秋から冬にかけての物が、甘味や栄養成分から見ると最もおいしい旬の時期だといえるようです。

普段スーパーなど店頭で見かける人参は、五寸人参がほとんどですが、西洋人参、金時人参ともに甘みが強く、最近ではクセが少ない人参としてさまざまな料理でも美味しく食べられるようになりました。

生で食べるサラダの他にも、カレーやシチュー、肉じゃがなど、いろいろな料理で重宝する人参は、調理に適した切り方によって食べやすくなったり、味が浸み込みやすくなったりと、料理の味をワンランクアップさせることができます。

紹介した選び方を参考にして、おいしく食べやすい新鮮な人参を調理してみてくださいね

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