目次
エリンギは旬が無い
天然のエリンギは日本では自生していないので、全国に流通しているものは100%工場で栽培されたものです。1年を通して食べられますので、基本的にエリンギには旬がありません。
エリンギが比較的多く出回るのは9月~12月、特に10月が一番多く流通しているので、よってエリンギは10月が旬の時期と言ってもよいのかもしれません。
《 ポイント 》
- 工場で栽培しているのでエリンギに旬はない
- エリンギが一番多く流通しているのは10月
エリンギの特徴と主な産地
エリンギの特徴
日本のエリンギは工場栽培ですので旬はありませんが、もともとエリンギは南フランスやイタリアなど、地中海性気候の地域を中心に自生するキノコです。
「エリンジウム」というセリ科の植物が枯れたところに生えることから、「エリンギ」と呼ばれるようになったようです。日本ではイタリアでの呼び名をそのまま使っています。
《エリンジウム》
原産地と歴史
原産地は、南欧から中央アジアの草原地帯で、日本にはなかったのですが、1993年頃に愛知県の林業センターが人口栽培を確立してから、日本中に広まり、全国各地で商業栽培が行われるようになりました。
ヨーロッパでは古くから食用として親しまれてきており、柄の部分よりも傘の開いた部分が好まれていますが、日本では主に柄の部分を好んで食べられているようです。
見た目や匂い
エリンギの柄は白くて太く、日持ちもよいのですが、香りは弱く、味の面でもキノコ独特のくせが無いため、特徴があまり感じられません。だからこそいろんな料理と相性が良い食材と言えるのでしょう。
エリンギは噛んだ時の歯ごたえがとても良く、弾力があってコリコリとした食感がアワビによく似ていることから、「白あわびたけ」と呼ばれることもあります。
食べやすい大きさにカットして、煮ても焼いても美味しく調理できるのですが、食中毒になる危険性もあるので必ず加熱してから食べるようにしましょう。
エリンギの主な産地
エリンギに旬はありませんが、全国で栽培されているエリンギの生産量を見ると、長野県と新潟県が多く、それぞれ全国の3分の1ずつ生産しています。エリンギ生産量の全国計は39,087.8t。2018年の国内における生産量上位5は次のとおりです。
- 1位:長野県 16,418t(全体の約42.0%)
- 2位:新潟県 12,154t(全体の約31.1%)
- 3位:広島県 2,723t(全体の約7.0%)
- 4位:福岡県 1,868t(全体の約4.8%)
- 5位:香川県 1,401t(全体の約3.6%)
出典:https://www.yasainavi.com/graph/category/ca=34
《 ポイント 》
- イタリアでの呼び名をそのまま使っている
- 1993年頃に日本中に広まり、全国で栽培されるようになる
- キノコ独特のくせが無くいろんな料理と相性が良い
- 食中毒になる危険性があるので必ず加熱してから食べる
- エリンギの生産量は長野県と新潟県が多い
エリンギの選び方
歯ごたえが持ち味のエリンギですが、その歯触りは鮮度とともに落ちていきます。エリンギが古くなって傷んでくるとアンモニア臭のような異臭がし始めるので、エリンギを購入する際には鮮度を確認するようにしましょう。
エリンギのカサの色が薄い茶色で開きすぎたり割れたりしていないもの、柄の部分が白くて太く、持った時に弾力と硬さのあるものを選んでください。エリンギの裏側のひだが真っ白で綺麗に揃っているものは新鮮ですが、黒ずんでいるものは避けるようにします。
《 ポイント 》
- エリンギの歯触りは鮮度とともに落ちてくる
- エリンギが傷んでくるとアンモニア臭がしてくる
- エリンギのカサが開きすぎたり割れたりしていない、柄が弾力と硬さのあるものを選ぶ
- エリンギの裏側のひだが黒ずんでいるものは避ける
エリンギの保存方法
冷蔵保存
エリンギの常温での保存は、冬場の短い期間であれば問題ないのですが、気温や湿度が高ければあっと言う間に傷んでしまいますので、冷蔵保存をおすすめします。
エリンギは比較的日持ちしますが、他のキノコと同じように水気を嫌いますので、水分がついたり乾燥したりしないように袋に入れるか、ラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。そして3~4日後までに使い切るようにしましょう。
冷蔵庫の扉を開閉するごとに空気が入り、少しずつ酸化が進みますので、長期間の保存は避けます。調理する前は必ず見た目やニオイなどを確認し、できるだけ早めに食べるようにしてください。
冷凍保存
もしどうしても使いきれない場合には、エリンギの歯触りや食味は落ちるものの冷凍保存も可能です。
保存期間は1ヶ月が目安です。
その際はエリンギを生のまま冷凍するのではなく、あらかじめ食べやすいようにカットし、軽くソテーしてからラップを敷いたバットに広げて冷凍します。凍ったら保存袋に移して、使う時になったら冷凍のまま炒め物や汁物、きのこのマリネなどに用いましょう。
《 ポイント 》
- エリンギを袋に入れるかラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存する
- エリンギは3~4日までに使い切る
- エリンギの歯触りや食味は落ちるが冷凍保存も可能
- エリンギの冷凍での保存期間は1ヶ月
- エリンギを冷凍保存する場合は軽くソテーしてから
エリンギの栄養
エリンギは生活習慣病の予防に効果がある食物繊維やカリウム、ナイアシンが他のキノコに比べて豊富です。エリンギはカロリーがほとんどないのですが、ビタミンB1・B2・ビタミンD、パテント酸も多く含まれている優秀な食材です。
成分 | 効果 |
食物繊維 | 腸内を掃除しコレステロール値を下げる。含まれる量は4.3%と豊富。 |
カリウム | 体内のナトリウムを排出し高血圧の予防に有効。 |
ナイアシン | 皮膚や粘膜の健康を維持し、アルコールの解毒が期待できる。 |
ビタミンD | カルシウムの吸収を高めて骨粗しょう症の予防にもなる。 |
ビタミンB | 炭水化物の代謝を促進し、疲労回復の効果がある。 |
パントテン酸 | 善玉コレステロールの生成を促して、悪玉コレステロールを軽減させるので、心筋梗塞や動脈硬化の予防に効果がある。 |
《 ポイント 》
- エリンギは食物繊維やカリウム、ナイアシンが他のキノコに比べて豊富
- エリンギのカロリーはほとんどない
- エリンギはビタミンB1・B2・ビタミンD、パテント酸も多く含まれている
エリンギの美味しい食べ方
調理するときのポイント
エリンギに限らず、キノコ類は全般的に水気を嫌いますので、人工栽培のエリンギは水で洗う必要はありません。
エリンギそのものにあまり味や香りが無いので、しっかり味と香りがある食材と組み合わせて、歯ざわりの良い触感を楽しめるような料理にするとよいでしょう。
例えば、ニンニクを効かせバターやオリーブオイルでソテーにしたり、汁物や煮物に加えたり、天ぷらなどの揚げ物にしても充分楽しめる食材です。
エリンギを使った料理
エリンギのそぼろ煮
材料
- エリンギ:5本
- ひき肉:100g
- 和風だしの素
- 醤油
- 砂糖
- 酒
- 生姜
- 水溶き片栗粉
調理方法
- 縦半分に切ったエリンギをフライパンに入れ、中火で両面にきつね色になる程度の焼き目をつけます。
- 豚ひき肉と塩を少々加えて炒めたら、水と調味料を加え、蓋をして中火で4~5分煮込みます。
- 水溶き片栗粉でとろみをつけ一煮立ちさせたら完成です。
器に盛ってから、お好みで青ネギや一味唐辛子をかけてもいいですね。
エリンギの醤油煮こみ
材料
- エリンギ:2~3本
- 醤油
- 酒
- 砂糖
- ごま油
調理方法
- 適当な大きさに割いたエリンギと調味料を合わせて、電子レンジで3~4分温めます。
- エリンギがくたっとなったら、調味料が全体に行き渡るように軽くからめたらできあがりです。
ナスとエリンギの中華浸し
材料
- エリンギ:1本
- ナス:2本
- ネギ
- 醤油
- 酢
- 砂糖
- 生姜
- ニンニク
- ごま油
調理方法
- 縦に3~4等分に切ったエリンギとナスを、耐熱皿に並べてラップをしてからレンジでしんなりするまで5分程度加熱します。
- 熱いうちにみじん切りしたネギと調味料をボウルの中で絡め、そまま浸け込みます。
アボカドとエリンギの温サラダ
材料
- アボガド:1個
- エリンギ:2~3本
- バター
- オリーブオイル
- 醤油
- 黒こしょう
調理方法
- 食べやすい大きさにカットしたエリンギを、バターとオリーブオイルを熱したフライパンに入れ、火が通るまで炒めます。
- アボガドと調味料をフライパンに入れて軽く揺すり、全体になじませたらお皿に盛り、好みで黒こしょうをかけたら出来上がりです。
エビとエリンギのアヒージョ
材料
- エリンギ:2~3本
- エビ:200g
- ニンニク
- 唐辛子
- 塩
- オリーブオイル
- パン
- パセリ
調理方法
- たっぷりめのオリーブオイルを入れたフライパンに、調味料とニンニクを入れ、弱火でじっくりとニンニクの香りを出します。
- しっぽを残して殻と背ワタを取り除いたエビと、カットしたエリンギを加えて中火で火を通します。
- 器に入れてパセリを振り、薄切りのパンを添えるとプロ級の料理が出来上がります。
チンゲン菜とエリンギの中華スープ
材料
- チンゲン菜:1株
- エリンギ:1~2本
- 生姜
- 鶏がらスープの素
- ごま油
- 塩
- こしょう
調理方法
- 鍋に水と調味料を入れ中火で煮立たせたところに、3~5㎝幅に切ったチンゲン菜と、縦4~5等分に切ったエリンギを加えます。
- 具材に火が通ったところで、塩とこしょうで味を調えてから器に移し、ゴマ油を垂らして完成です。
ソテーするときの注意点
- 火を通しすぎると筋っぽくなるので炒めすぎに気を付けてください。
- エリンギを加熱調理すると、水分が抜けて少しだけ縮むので、若干厚めに切るようにすると、ちょうど良く仕上がります。
- エリンギは縦方向に切るとなめらかな口当たりに、輪切りにするとホタテのような食感を味わえます。
また包丁を使わず手で割くと表面に味がよくしみ込みますので、料理に合わせて使い分け、それぞれの食感を楽しんでみてください。
《 ポイント 》
- エリンギは水気を嫌うので水で洗う必要はない
- 味と香りがある食材と組み合わせて、歯ざわりの良い触感を楽しむ
- エリンギを炒めすぎると筋っぽくなってしまう
- エリンギは加熱調理すると水分が抜けて縮むので若干厚めに切る
- エリンギの切り方によって食感に違いが出る
最後に
手ごろな価格のきのことして人気が定着しているエリンギの旬について、おわかりいただけましたか?
エリンギは日本では自生しないので、温度・湿度管理のもとに工場で栽培され、一年中全国に流通しています。旬に限らず、特徴、産地、保存の仕方、美味しい料理の作り方をご紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。
繊維が豊富で食べごたえがあるのに、意外と低カロリーなエリンギの食感を活かし、松茸味のお吸い物の素と一緒に炊き込むことで松茸風味の炊込みごはんを気軽に楽しむことができます。
さっそくエリンギを今晩の食卓にいかがでしょうか。