いちじくの育て方!初心者でも失敗しないポイント

いちじく

粒々の果肉が詰まった瑞々しくて独特の味わいが美味しいいちじくは、そのまま食べても、ジャムにしてもおいしい果実です。家庭菜園でも比較的容易に栽培でき、植え付けてから2~3年目から実を収穫できる果樹として根強い人気があります。結実の習性や植え付け方法、剪定などがわかれば、とろけるような甘さの食感を味わうことができます。今回は、そんないちじくの栽培についてご紹介します。

いちじくの育て方のポイント

いちじく

品種選びや苗木の選び方

いちじくの育て方として、ご自宅で育てる時の品種選びは特に重要で、収穫時期により品種を下記の3種類に分けることができます。いちじくの育て方は品種によって時期や環境などが異なりますの。

夏果専用種

6月下旬~7月下旬に成熟します。主な品種は「ビオレードーフィン」

秋果専用種

8月下旬~10月下旬に成熟します。主な品種は「蓬莱柿ほうらいし」「ビオレーソリエス」。「蓬莱柿」は寒さに強く、収穫量も多いのですが、育て方の注意点として、雨にあたっていちじくの実が裂けてしまうことがありますので気をつけましょう。

夏秋兼用種

夏果専用種と秋果専用種の両方の時期に成熟します。主な品種は「桝井ドーフィン」「ブラウンターキー」。

西洋いちじくと呼ばれている桝井ドーフィンはいちじくの中でも最も栽培の多い品種で、青果店で販売されているいちじくはほとんどがこの品種です。

梅雨期と重なる夏果専用種は、果実が腐りやすくなるので、初心者の方には「秋果専用種」、または「夏秋兼用種」をおすすめします。関東地方以北で栽培する場合には、「蓬莱柿」のような比較的耐寒性のある品種を選んで、鉢植えで楽しみましょう。

ご自宅の環境に合った品種と好みの色や形を決めたら、根や幹のしっかりしたよい苗木を選んで自家栽培を始めてみましょう。

日当たりの良い場所で育てる

いちじくは地植えをしても鉢植えをしても日光をとても好みますので、日当たりのよくない場所で育ててしまうと、木が生長せず実もおいしくなりません。

国内で流通している食用のいちじくは、受粉をしなくても果実が大きく実る「単為結果」という性質を持っています。一個体を日当たりの良い場所に置いておくだけで、受粉をせずに実が成ってすくすく育ちますので、他の果実と比べて、比較的育てやすいでしょう。

地植えは南向きの日が当たる所

地植えの場合には、南向きの日が当たる所がベストですが、強風を嫌うのでなるだけ風の当たらない場所に植えるようにします。

もともと亜熱帯地方に原産する植物なので、寒冷地での栽培が難しい場合もあります。鉢植えならば、寒風の当たらない無暖房の室内に置いた方がいいかもしれませんので注意しましょう。

植え付け1年目は収穫しない

苗木の段階から結実が見られるいちじくですが、もったいないからといって植え付け時に切り戻しせずにいると、先端からさらに新梢が伸びて手の届かないところで結実してしまいます。

おいしい実を安定的に実らせるためには、植え付け1年目は収穫せずに、土台となる樹の骨格を作ることを目指します。

2年目以降に安定して収穫

1年目のいちじくの育て方

  1. 植え付け時に苗木を高さ50cm程度のところで切り戻します。
  2. そこから発生する新梢を自分の作りたい樹姿に必要な数だけ発生させます。
  3. 落葉した後に、伸ばした枝をさらに30cm程度の長さで切り戻すと結実準備が完了します。

2年目以降のいちじくの育て方

2年目以降は、これを繰り返すことで側枝を作りながら樹幹を広げていきます。そうすることで、場所をとることなく毎年安定した収穫を楽しむことができます。

カミキリムシに注意しましょう!

比較的病害虫に強いいちじくですが、カミキリムシの幼虫が枝や幹の中に侵入して中を食べ、枝や木全体を枯らしてしまいますので対策が必要です。

4月以降、株元におがくずのようなものがあれば、それはカミキリムシの幼虫の糞なので、近くの穴の開いている幹や枝を見つけた時には、殺虫剤を吹きかけて駆除していきましょう。

一度で駆除できないこともあるので、3~4日ごとに2~3回散布しますが、被害が大きければ、枝ごと取り除いた方がいい場合もあります。

《ポイント》

  • 品種によって収穫時期が異なる。
  • 日光を好むので日当たりの良いところで育てる。
  • 収穫は2年目以降から。
  • カミキリ虫の駆除には殺虫剤を吹きかける。

鉢植えの場合

いちじくの鉢植え

いちじくの鉢植えの育て方

いちじくの育て方は、関東地方以北の地域でも、鉢栽培なら同じ育て方で十分に栽培することができます。

  1. 直径30cmの10号サイズ程度の深さのある鉢を使用します。
  2. 水はけがよく水もちもいい土を好むので、上から赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3,砂1の用土を混ぜて準備しておきます。
  3. 2に用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料と、苦土石灰20gを加えます。
  4. 鉢底石を鉢に敷き、鉢の底から二分の一ほど土を入れて、苗木を植えつけます。
  5. 苗木の根っこについている土をほぐして根を広げながら土の上に苗を置いていきます。
  6. 周りに土をかぶせるようにいれて、倒れないように支柱を立てて支えます。
  7. 植えつけた後はしっかりと水やりし、樹高30cm程度で切り詰めましょう。

肥料

いちじくは新梢を伸ばしながら実をつけるので、生長のために多めの肥料が必要になってきます。庭植えや鉢植えのどちらの場合もたっぷりの堆肥を必要としますので、11月~1月にかけては元肥を、6月、8月、9月には追肥を施すようにします。

鉢植えの場合では、元肥に使う肥料は、有機固形肥料を使用し、追肥には、ゆっくりと効き目が現れる緩効性化成肥料を与えてください。いちじくは、弱アルカリ性から中性の土壌を好みますので、肥料とは別に年に1回、石灰を施すことで生長をより促進させます。

水やり

夏の水やり

鉢植えの土の表面から水分が蒸発するのが速く、根が水分を吸い上げる速度も速いので、いちじくの育て方のポイントとしては「夏は定期的に水をあげる」です。

鉢土の表面が乾いているようでしたら、鉢底から水が流れ出る量をたっぷり与えますが、土が湿っている状態が続くと根腐れが起こしてしまいますので、過度に水やりをする必要はありません。

冬水やり

夏場ほど頻繁でなくていいのですが、冬場も同じく土の表面が乾いていたら水をあげるようにしまします。

鉢の植え替え

  1. 植え替えをする場合は、植え付け2年後の2~3月の時期に、古い根を切って新しい培養土を用いて行ますが、鉢増しする時は古い根を切ってから10号鉢に植え替えます。
  2. 鉢の植え替えをする場合にも、赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3,砂1の割合で混ぜ込んだ用土を使うか、果樹用の培養土を使用してください。それに用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料と、苦土石灰20gを加えます
  3. 最初の植え付けと同様に、鉢底石を鉢に敷いてから、鉢の底から二分の一か三分の二ほど土を入れて、苗木の根っこについている土をほぐして根を広げながら土の上に苗を置いていきます。
  4. 苗を置いたあと、周りに土をかぶせるようにいれて、倒れないように支えとなる支柱をつけて、たっぷりと水をあげてください。

《ポイント》

  • 11月~1月には元肥を、6、8、9月に追肥を施す。
  • 水やりは夏と冬では頻度が異なる。
  • 鉢の植え替えは、植え付け2年後の2~3月の時期に行う。

地植えの場合

いちじく

いちじくの地植えの育て方

いちじくを地植えするのに最適な時期は、12~3月の休眠期ですが、寒冷地に限っては芽が動き出す直前の春植えがよいでしょう。

  1. 地植えをする手順は、基本的には鉢植えの方法と同じです。日当たりがよく、水はけと保水性がよい肥沃な土壌に、直径50cm、深さ50cm程度の穴を掘ります。
  2. 腐葉土3、赤玉土小粒2、掘りあげた土5、それに粒状肥料をよく混合したものを、半分から2/3程度を埋め戻します。
  3. 次に、根張りのよい、コンパクトな苗木の根鉢をくずして、傷めないように根を広げた苗を置き、さらに用土を入れます。
  4. 苗木を50cm程度の位置で切り詰め、倒れないように支柱を立て、最後に十分に水やりします。

肥料

いちじくは新梢を伸ばしていきながら実をつけるため、他の果樹と比較して肥料が多く必要になってきます。肥料が切れてしまうといちじくの体力がなくなってしまうので、肥料切れになったりしないように注意しましょう。

地植えや鉢植えの両方とも、11月から1月にかけて元肥を、6月と8月、9月には追肥を施すようにしましょう。

地植えをしている場合では、元肥と追肥はどちらも化成肥料を使って構いませんが、化学肥料はできるだけ最小限にして、堆肥などを用いたり、生長を促進させるために、肥料とは別に年に1度石灰を与えるとよいでしょう。

施肥する時は、株元ではなく、樹冠の下ぐらいにまくと肥料の効きがよくなります。

水やり

地植えしたいちじくへの水やりは自然の雨や土が持つ湿度に任せますが、夏に何日も日照りが続いた時などは、水をあげてもかまいません。

《ポイント》

  • 地植えするのに最適な時期は12~3月の時期。
  • 11月~1月には元肥を、6、8、9月に追肥を施す。
  • 水やりはお天気次第。

剪定方法

いちじく

品種によって剪定方法は異なる

品種によって果実のつき方が違いますので、不必要なわき芽を摘み取る芽かきの方法も異なります。

夏果専用種

新しく伸びた前年の枝の先についた芽が次の年に実を実らせるため、枝先を切り落とすと花芽もいっしょに落とすことになりますので枝を多めに残しながら間引きます。

秋果専用種

その春に伸びた新梢に花芽がつくので、長く伸びきった前年の枝を2~3芽残して剪定します。

春になると新梢が伸びてくるので、若木や樹勢の強い枝木を切り込み、垂直に誘引していくようにします。このやり方を毎年繰り返すことにより、毎年収穫が期待できます。

夏秋兼用種

夏果が2年前の枝の先に、そして秋果がその年の新しい枝に花芽をつけるため、剪定は2種類の方法で行うことになります。

つまり、秋果の収穫のために新梢の一部は剪定せず、その他の枝は、夏果のために2~3芽を残して剪定するという仕立て方をします。

鉢植えの剪定の場合

鉢に植え付けた場合、大きくなりすぎないように伸びてくる枝をきっちり剪定するようにします。

そうすれば、こぢんまりと1mほどの高さに収まって収穫できますので、マンションやベランダでも栽培することができます。

地植えの場合の剪定

地面に植え付けることの利点は、鉢植えに比べて大きく成長できることですが、特にいちじくの根の生長量はすごいので、それをふまえての剪定が必要です。

剪定の時期は、12月~2月のいちじくがあまり生長しない冬に行いますが、植えた年数によっても変わってきます。

  • 1年目植え付け後:地面からおよそ40cmに剪定し、3本の芽を残して他は切りとる。
  • 1年目の冬:伸びた3本の枝をおよそ60cmの長さに剪定し主枝にする。
  • 2年目:それぞれの主枝から伸びてきた枝を20cm~40cmになるように剪定する。
  • 3年目以降:新しく伸びてきた枝が、木に対して25本前後になるように剪定する。

《ポイント》

  • 品種によって剪定方法が違ってくる。
  • 鉢植えと地植えによっても剪定方法が違ってくる。

収穫時期

いちじく

いちじくの収穫時期は2回あります。果実の先端部分が割れてきた頃が熟したタイミングなので、株の下から上に向かって収穫していきます。

夏果専用種

6月から7月頃に収穫の時期を迎えます。

前の年に伸びた枝の先の花芽が膨らみ、収穫できるようになります。梅雨の時期に実がなる夏果専用種は腐りやすいのでため、秋果専用種より流通量が少ないので、イチジク=秋の果物というイメージが定着しているようです。

秋果専用種

秋のイチジクは8月から10月頃が旬の時期として収穫されます。

夏果専用種と比較して、秋果専用種はより実が小さいなどの特徴がありますが、その分甘みがぎゅっと凝縮されています。

《ポイント》

  • 品種によって収穫時期は6月~7月頃と8月~10月頃の2回に分かれる。

最後に

いちじく

いちじくの育て方をご紹介しましたがいかがでしたか?果樹を家で育てるというのは難しいと思われますが、いちじくは初心者でも育てることができる果樹です。

品種によって収穫時期や育てるポイントが変わってくるので、植え付ける前にどのような品種なのかを確かめておくようにしましょう。

実をつけたいちじくは毎日少しずつ収穫できるので、長い期間に渡っていちじくのとろけるような食感と美味しさを楽しむことができます。

そのまま食べるだけでなく、ジャムなどにも利用できますのでぜひご家庭で育ててみてくださいね。

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