目次
ネギの旬の時期
ネギは基本的に年間を通して流通していますが、ネギがもっとも甘くおいしい時期である、冬から春にかけてが「旬」となります。
春ネギの旬
群馬県などで収穫される「春ネギ」は、4~6月頃が旬の時期になります。収穫期が冬の収穫時期に比べて短いのですが、他の地域ではあまり収穫していないので、比較的高値で取引されます。
夏ネギの旬
北海道と茨城県を中心に出荷される「夏ネギ」の旬は、7~9月頃が最も美味しい時期です。
秋冬ネギの旬
千葉県や埼玉県の地域で出荷される「秋冬ネギ」は、10~3月頃が旬の時期となります。白ネギの改良が進み、それぞれの地域で一年中、手に入れることができるようになりましたが、最盛期である霜が降りる12月以降が、最も美味しく栄養価も高くなる「旬」と言って間違いないでしょう。
ネギの種類別の旬の時期
ネギは大きく分けると白ネギ(根深ネギ)と青ネギ(葉ネギ)の二つの種類があります。
白ネギ(根深ネギ)
白ネギとは主に白いところを食べる根深ネギのことを言います。一般的には「長ネギ」と呼ばれることが多く、根元に土寄せして白い部分が長くなるように栽培する「加賀ネギ」「千住ネギ」「下仁田ネギ」「曲がりネギ」がそれにあたります。そして、これらのネギの種類でも旬の時期が微妙に異なります。
加賀ネギの旬
加賀ネギの収穫期間は11~1月の約3か月間と他と比べて短く、旬の時期は収穫期間と同様の11月~1月の3か月間です。
千住ネギの旬
関東一帯の多くの地域で栽培されている千住ネギは、収穫時期もそれぞれ異なり、一年中美味しく食べることができます。その中でも特に美味しい旬の時期が12~2月です。
下仁田ネギの旬
群馬の下仁田ネギの収穫期間は10~1月ですが、旬の時期は栃木の曲がりネギと同じく、11~12月と短い期間になります。
曲がりネギの旬
栃木の曲がりネギの収穫期間は10~2月です。旬の時期は11~12月の2カ月間と短いのですが、千住ネギに次いで比較的長期間にわたり食べることができます。
青ネギ(葉ネギ)
青ネギとは、関西で「葉ネギ」と言われているもので、京都の伝統野菜としても知られている「九条ネギ」のことをさしています。福岡特産の「万能ネギ」や「やっこネギ」など、小ねぎと言われているものはこの種類のひとつになります。
広島の「観音ネギ」など、他の地域にも青ネギはありますが、観音ネギは九条ネギを品種改良した物です。昭和初期から葛飾区や足立区周辺で栽培されてきた「ワケネギ」も青ネギの種類のひとつです。
九条ねぎの旬
11~2月頃が九条ねぎの旬です。口当たりがとても柔らかで甘味を感じます。葉の内部にぬめりがありますが、寒さが厳しくなる頃に、霜が何回か降りるとこのぬめりが徐々に多くなり、それによってますます甘味が強くなります。
ネギの種類と特徴
下仁田ネギ
群馬県下仁田町の特産である下仁田ネギは、「上州一本ネギ」、「殿様ネギ」とも呼ばれています。短めですが太く、甘味と辛味共に強いので煮物にすると旨みが引き立ちます。収穫期間は10~1月と時期が短く、市場に出回る量も少ないので、主に関東を中心に消費されています。
先住ネギ
「白ネギ」や「根深ネギ」と呼ばれる中で、代表的なものが先住ネギです。どこのスーパーにも並んでいる白ネギ(長ネギ)がこれにあたりますので、皆さんにとって馴染があるものと思われます。
今では日本全国で普通に売られているのですが、昔は関西ではあまり作られず、主に関東で好んで作られ、食べられていたネギです。育てる時に葉先が成長すると同時に、土寄せを行って白く柔らかい部分を長くしていきます。
信長ネギ
滋賀県近江八幡のブランドネギである「信長ネギ」は、2003年から栽培され始めました。安土城近くの地域で栽培され、りんごと同じくらいの糖度を持つと言われる甘いネギです。1本100g以上、そして白い部分の長さは25㎝以上などの厳しい基準を満たしたものだけが出荷されます。
曲がりネギ
曲がりネギは主に栃木県、宮城県、福島県で栽培されています。
「栃木県」の曲がりネギの特徴
栃木県の特産物である曲がりネギは、土の層が浅いために斜めにして植え、その上に土を寄せていくので根の部分から大きく曲がっています。甘味があって柔らかく、そして辛味も備えた美味しい味のネギです。
「宮城県」の曲がりネギの特徴
宮城県の仙台でも曲がりネギが作られています。地下水位が高いこの地域では、土壌を深く掘れないために考えられた方法で、栽培途中で一度ネギを抜き取って、それを斜めに埋めなおして育てます。
「福島県」の曲がりネギの特徴
福島県の阿久津地方で作られている曲がりネギも栃木県と同様に土の層が浅いため、栽培途中で一度ネギを抜き、斜めに埋めなおして育てます。
赤ひげネギ・赤ネギ
赤ひげネギ、通称「赤ネギ」は、普通のネギの白い部分が表面だけ赤くなっているもので、主に山形県、茨城県で作られています。
「山形県」の赤ネギの特徴
山形県庄内地方の伝統野菜「平田赤ネギ」は、伝統野菜のうちの一つで、1年半にもわたる栽培期間を経て、曲がって大きくなります。
「茨城県」の赤ネギの特徴
茨城県水戸地方で作られている赤ひげネギは、伝統野菜の赤ねぎを品種改良したもので、「レッドポアロー」という名称で出荷されています。
同じく茨城県の赤ねぎである「ひたち紅っこ」は、独特のボリューム感があり、20~25㎝の範囲が濃い赤紫色に発色します。軟らかいうえに、熱を通すと甘みが強く感じられるので、薬味や鍋物などいろいろな料理で重宝します。
九条ネギ
九条ネギは、黒種と言われる色が濃く太めの太ネギと、浅黄色で株分かれしいやすい細ねぎの2種類の品種にわけることができます。
京都市南区九条の伝統的な野菜で、口当たりがとてもやわらかで甘味があり、葉の内側部分にぬめりがあります。冬の季節、霜が何度か降りる頃にぬめりと甘味が強くなります。
昔、行われていた伝統的な栽培方法は、非常に手間がかかっていました。秋に種を撒き、春に植え替え、夏にはいったん株を掘りだして1ヶ月間天日で乾燥させます。それからまた植え付けをして、晩秋にやっと収穫できるようになるのですが、最近ではこのような手間をかけることはなくなったようです。
小ネギ
小ネギの多くは九条ネギを品種改良したり、若採りしたものです。そうした小ネギの品質を向上させ、一定の基準を維持したブランドネギが各地で栽培されています。
根が付いている状態で袋に入れられて販売している小ネギですが、この根の部分を10cm残した状態で土に植えておくと、また新たにネギが伸びてきますので、それを収穫することができます。
万能ネギ
「博多万能ネギ」として販売されている小ネギは、山口県下関の特産である「安岡ネギ」をもとに福岡県でブランド化されたものです。
やっこねぎ
高知県土佐香美地区でブランド化された小ネギです。
ワケギ
ネギとタマネギの雑種であるワケギは、主に関西以西で栽培されています。根元の部分がエシャロットのように、球根状に膨らんでいるのが特徴です。ワケギは香りもやさしくクセがありません。
ネギ独特の辛味が少ないのですが、甘みがありますので「ぬた」などの料理にはワケギをうまく活かして調理します。似たような名前の「ワケネギ」は青ネギの種類のひとつで、球根状には膨らまず、ワケギとは別種になります。
あさつき
あさつきはネギとは違う独立した品種なのですが、一般的な細ネギとよく似ていて、とても細い葉をしています。辛みが強いため、薬味として使います。
冬から早春にかけてが旬なのですが、旬の時期以外に出回っているあさつきの多くは、葉ねぎを若取りしたもので代用しています。
関西をはじめ多くの地域では細い青ネギ状に成長したものを食用とします。山形県や福島県などの東北地方では、冬から春にかけて球根から伸びてきた新芽の部分を、春の味覚として味わいます。
山形県ではこれを伝統野菜の一つとしており、庄内地方では冬に掘り起したあさつきを、1週間温めることで新芽を出させてから出荷しています。
やぐらネギ
普通のネギは5月頃に、ネギの頭に丸く小さな花が集まった「ネギ坊主」が種となり、その種を植えることで芽が出てネギになります。
このやぐらネギはその間の過程を省略し、5月頃に花の代わりに珠芽(しゅが)ができ、そこからいきなり小ネギが伸びてきます。そしてそのまま放置しておくと、その先の小ネギが地面に接してそこに根を張って増えていきます。
畑に植えられているやぐらネギは、春に珠芽(しゅが)が出来るまでは普通のネギと見分けが付きませんし、味も食べ方も一般的な青ネギと同じです。
ネギの生産量
国内の生産量トップ3
生産量は関東が圧倒的に多く、ベスト10に関東地方の5県がランクインしています。
- 1位:千葉県(約6万5千t)
- 2位:埼玉県(約6万t)
- 3位:茨城県(約4万9千t)
世界の生産量トップ3
- 1位:中国(約95万t)
- 2位:ニジェール(約67万t)※西アフリカ
- 3位:日本(約53万t)
風邪を引いたらネギ!
ネギが日本に伝わったのは奈良時代と言われおり、古くから全国で栽培されてきた歴史ある野菜です。東日本では白い部分を食べる「根深ネギ= 長ネギ」、西日本では緑色の葉の部分が多い「葉ネギ = 青ネギ」が好まれてきました。
そのようなネギですが、昔から風邪をひいたときに、焼いた白ネギをのどに充てたり、ネギを食べるといいと言い伝えられています。
栄養面に優れているだけではなく、ネギ特有の刺激臭や辛味の成分でもある「硫化アリル」により、強力な殺菌作用と鎮静効果が期待でき、のどに当てるだけでも効くという民間療法なのです。このように、昔から日本には欠かすことのできない野菜のひとつなのです。
管理栄養士取得後、病院で1000人以上の食事サポート、栄養・給食管理を経験。現在は「食の力で、心身ともに”健幸”になり、彩り豊かな人生を自己実現できる社会を作りたい!」思いから独立しセミナーや個別サポートを行っている。その他、事業立ち上げ、商品開発、記事監修、特定保健指導、講師活動などを行っている。