世界の高い山ランキングTOP10!富士山は世界で何位?エベレストとの標高差を解説

世界で最も高い山はエベレスト(8,848.86m)。この記事では、世界の高い山ランキングTOP10と、なぜアジアに高峰が集中するのかをわかりやすく解説。富士山の世界での位置づけも紹介します。

地球で最も高い山とは?

世界には数え切れないほど多くの山がありますが、そのなかで標高8,000mを超える山は、地球上にたった14座しかありません。しかも、これらの山々はすべてアジア大陸のヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に集中しています。

その頂点に立つのが、世界最高峰のエベレスト(標高8,848.86m)です。エベレストの頂上は、一般的な旅客機が飛ぶ高度(約9,000~13,000m)に近く、対流圏と成層圏の境界にも迫る高さ。

そのため、空気中の酸素濃度は地上の3分の1以下という過酷な環境で、「デスゾーン(死の地帯)」とも呼ばれます。まさに、人類の限界を試す究極の高さなのです。

世界の高い山ランキングTOP10

エベレスト

ここからは、世界に14座ある8,000m級の高峰のうち、特に標高が高い10座をご紹介します。それぞれの山には独自の歴史や個性があり、世界中の登山家や冒険家を惹きつけてやみません。それではランキングを見ていきましょう。

1位:エベレスト(8,848.86m/ネパール・中国)

世界最高峰のエベレストは、ネパールと中国の国境にそびえるヒマラヤ山脈の主峰です。

ネパールでは「サガルマータ」(宇宙の母)、チベットでは「チョモランマ」(世界の母神)と呼ばれ、古くから人々の信仰の対象となってきました。

1953年にイギリスのエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイが初登頂を成功させ、その後も世界中の登山家たちの憧れとして挑戦を続けられています。

2位:K2(8,611m/パキスタン・中国)

K2はエベレストに次いで世界で2番目に高い山です。パキスタンと中国の国境をなすカラコルム山脈に位置します。

K2は登頂の難易度が極めて高く、「非情の山(サベージ・マウンテン)」という異名を持っています。技術的な困難さと予測できない気象条件のため、エベレスト以上の登攀難易度を誇り、熟練した登山家でも命がけの挑戦となる山です。

3位:カンチェンジュンガ(8,586m/ネパール・インド)

カンチェンジュンガはネパールとインドの国境にそびえる山で、「偉大な雪の5つの宝庫」という意味を持っています。

その名前通り、5つの頂を持つ独特な姿が特徴です。地元の人々からは神聖な山として崇拝され、山頂に足を踏み入れないことが伝統的な登山のマナーとなっています。

カンチェンジュンガ周辺は豊かな生態系を持つ「カンチェンジュンガ国立公園」として世界遺産にも登録されています。

4位:ローツェ(8,516m/ネパール・中国)

ローツェは、世界最高峰エベレストの南側に位置し、「南の峰」を意味するヒマラヤの名峰です。

ローツェとエベレストは稜線がつながっているため、途中までは同じ登山ルートを共有します。1956年に初登頂されましたが、登頂難易度は高く、急峻な岩壁や氷壁が登山者を苦しめます。

特に南壁は「ローツェ・フェイス」と呼ばれ、世界中の登山家から畏敬の念を集めています。

5位:マカルー(8,485m/ネパール・中国)

マカルーは独特の四角錐型の山容を持つヒマラヤの美しい高峰で、エベレストの東側約20kmに位置します。

登頂ルートは長く険しく、体力だけでなく高度な登攀技術が求められます。初登頂は1955年、登山隊10人全員が登頂成功という画期的な出来事でした。

当時は数人が登頂できればよいとされていたなか、全員が頂上に立ったことで世界的に注目されました。

6位:チョ・オユー(8,188m/ネパール・中国)

チョ・オユーはチベット語で「トルコ石の女神」を意味し、ヒマラヤの中でも比較的登頂が容易な山として知られています。

実際に8,000m峰登頂を目指す登山者が、エベレストの前哨戦として選ぶこともあります。ネパールと中国の国境に位置し、山頂からはヒマラヤ山脈の壮大な景色が一望できます。

7位:ダウラギリ(8,167m/ネパール)

ダウラギリはヒマラヤの中心部に位置し、「白い山」を意味する堂々とした姿が特徴の山です。その巨大な山塊は周囲を圧倒し、初めて目にした者はその存在感に息を呑むほどです。

初登頂は1960年、スイスとオーストリアの合同隊が成功しました。登山難易度が高く、氷河や雪崩などのリスクも多いため、熟練者向けの山として知られます。

8位:マナスル(8,163m/ネパール)

マナスルはヒマラヤ山脈の中で「精霊の山」と呼ばれる神秘的な山で、日本隊が1956年に初登頂を達成したことから、日本とも縁が深い山です。

登頂ルートには氷河や深いクレバスが多く、地元シェルパの支援が欠かせません。世界各国の登山家が訪れますが、登頂までの道のりは険しく、多くの登山家がその美しさと厳しさに魅了されています。

9位:ナンガ・パルバット(8,126m/パキスタン)

ナンガ・パルバットはヒマラヤ山脈の西端に位置し、「裸の山」を意味します。山の南側にそびえる「ルパール壁」は世界で最も標高差のある巨大な岩壁として有名で、その迫力は世界のどの山にも負けません。

1953年に初登頂されましたが、その後も数多くの登山家が挑戦し、犠牲者も多いため「人食い山」とも呼ばれることがあります。

10位:アンナプルナ(8,091m/ネパール)

アンナプルナは、世界で初めて8,000m峰登頂が成功した歴史的な山で、1950年にフランス隊が初登頂しました。その後の登山成功率は非常に低く、死亡率が高いことから「世界一危険な山」とも言われます。

山の名前はヒンドゥー教の豊穣の女神に由来し、周辺地域は美しい景観と豊かな文化を誇る「アンナプルナ保護区」として多くの観光客に愛されています。

なぜ世界の高い山はアジアに集中しているのか?

地球上には多くの山々がありますが、標高8,000メートルを超える14の高山はすべてアジアに集中しています。これは偶然ではなく、地球規模の大きな理由が関係しているのです。

プレートがぶつかり合う巨大な力

地球の表面は、「プレート」という巨大な岩盤でできています。このプレートはゆっくりと動き、時にぶつかり合って地形を大きく変えます。アジアにあるヒマラヤ山脈やカラコルム山脈が誕生したのも、プレート同士が衝突した結果なのです。

具体的には、約7,000万年前、インド亜大陸を乗せた「インドプレート」が、巨大なユーラシアプレートにぶつかり始めました。その衝突は地球の表面を押し上げ、現在のヒマラヤ山脈を形成しました。この衝突は現在も続いており、これがアジアに高山が集中する理由となっています。

世界に存在する14座の8,000メートル級の山々が、この地域に集中しているのは、この強力な地殻変動によるものなのです。

今も成長を続けるヒマラヤ山脈

ヒマラヤ山脈は過去の遺物ではなく、現在もなお少しずつ成長を続けています。インドプレートがユーラシアプレートを押し続けているため、地表は年に数ミリから数センチずつ上昇し続けているのです。

実際、世界最高峰のエベレストも例外ではありません。測量結果によると、エベレストの標高は毎年約4ミリほど高くなっているといわれています。これは非常に小さな変化に見えますが、数百万年というスケールで見ると大きな影響を及ぼします。

このように、生きている地球の動きをリアルタイムで観察できる場所として、ヒマラヤ山脈は世界の地質学者や研究者、そして登山家にとって、非常に魅力的で重要な存在となっています。

富士山の標高は世界で何位?

富士河口湖町 富士山と精進湖

日本を代表する美しい山、富士山。その標高は3,776メートルで日本一ですが、世界の山々のランキングに当てはめると、意外な事実が見えてきます。

標高3,776mは世界では約500位前後

富士山の標高は3,776メートルです。日本国内では高い山として知られますが、世界の山々の高さランキングでは、実は約500位前後に位置します。この順位が意外に低いのは、世界には富士山よりはるかに高い山々が数多く存在するためです。

特に、世界トップレベルの山が集中するヒマラヤ山脈やカラコルム山脈には、富士山の倍以上もある標高8,000メートル級の山が14座も存在しています。また、世界にはアンデス山脈、ロッキー山脈、アルプス山脈など、4,000~6,000メートル級の山々が数多く存在しており、これらを含めると富士山の世界ランキングは大きく下がってしまうのです。

しかし一方で、富士山は島にある山としては世界で第7位の高さを誇るという意外な特徴も持っています。

エベレストとは異なる「火山」の山

富士山は、エベレストやその他多くの高山と異なり、火山活動によって形成された山です。エベレストやヒマラヤの山々はプレートの衝突によって地殻が折り重なってできた褶曲山脈ですが、富士山は地下から噴出したマグマが積み重なり、徐々に高くなった「独立峰」です。

そのため、富士山は裾野が広く、均整の取れた美しい円錐形をしています。この独特の姿が日本を象徴する美しい景観となり、古くから多くの人々に愛されてきました。標高の高さだけでなく、その成り立ちの違いも富士山が世界的に注目される大きな理由となっています。

標高がすべてではない!富士山が世界的に評価される理由

世界には富士山より標高が高い山はたくさんありますが、なぜ富士山は世界中で特別な存在として知られているのでしょうか?

その理由は、単なる高さの競争ではなく、他の山にはない特別な魅力を持っているからです。

独立した美しい姿

富士山は「独立峰」と呼ばれ、周囲に高い山がなく、すそ野まで広がる美しい円錐型の姿が特徴です。その優美なシルエットは他の山にはない独特なもので、日本国内はもちろん、世界中の観光客や登山家を魅了しています。

世界の山々を比較した際にも、富士山のように均整のとれた美しい形を持つ山は非常に稀であり、その点で世界的に高い評価を受けています。

文化と芸術の象徴

富士山は古くから日本の芸術や文学の題材となってきました。特に葛飾北斎の『冨嶽三十六景』をはじめとする浮世絵作品は、世界の芸術界に大きな影響を与えました。

こうした文化的な価値が評価され、富士山は2013年にユネスコの世界文化遺産に「信仰の対象と芸術の源泉」として登録されています。この文化的側面があることで、富士山は世界でも屈指の知名度を誇るようになりました。

信仰の対象としての歴史

富士山は古来より神聖な山として崇拝され、巡礼者が山頂を目指して登る「富士講」が栄えました。数百年以上にわたる信仰の対象としての歴史があり、多くの神社や仏閣が富士山の周囲に建てられています。

現在でも、富士山は「霊峰」として、多くの人々の心を惹きつける特別な存在です。

高さだけが基準じゃない!4つの世界一の山

世界一の山といえばエベレストを思い浮かべますが、実は「世界一」の定義によって山のランキングは大きく変わります。「標高」だけでなく、異なる基準で世界一の山を見てみましょう。

海抜標高の世界一:エベレスト(8,849m/ネパール・中国)

一般的に「世界一高い山」とされるのがヒマラヤ山脈のエベレストです。海抜から山頂までの標高は8,849mで、地球上でもっとも高い地点として世界的に知られています。

根元から山頂までの高さ世界一:マウナ・ケア(10,210m/ハワイ)

ハワイのマウナ・ケアは、海面からの標高は4,205mですが、実際には海底からそびえ立っています。そのため、海底の根元から山頂までの高さを計測すると10,210mにもなり、エベレストを超えて世界一の高さとなります。

体積の世界一:マウナ・ロア(約75,000km³/ハワイ)

同じくハワイにあるマウナ・ロアは、体積という視点では世界最大の山です。その体積は約75,000km³にもおよび、富士山の約50倍という規模を誇ります。巨大な盾状火山で、緩やかな斜面が特徴的な山です。

地球の中心からの距離世界一:チンボラソ(6,268m/エクアドル)

エクアドルのチンボラソは、標高こそ6,268mですが、地球が赤道付近で膨らんだ楕円体であるため、実は地球の中心からもっとも離れた位置にある山です。

この視点で考えると、エベレストよりも約2km地球の中心から離れているため、別の意味で世界一の山と言えるのです。

まとめ

世界の山々を「標高」だけで比較すると、圧倒的な高さを誇るエベレストが頂点に立ち、富士山は500位以下に位置します。しかし、山の魅力や価値は決して高さだけで決まるものではありません。富士山が世界中で愛される理由は、その美しい形や文化・信仰としての深い背景があるからです。

また、「世界一」の定義次第ではエベレスト以外にもマウナ・ケアやチンボラソなど異なる山が注目されます。このように、山の魅力は視点を変えることで何倍にも広がります。山を知り、山を感じることは、私たちの世界への理解を豊かにする第一歩となるでしょう。

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