目次
板ゼラチンと粉ゼラチンの違い
主成分
板ゼラチンも粉ゼラチンも主成分は同じで動物性タンパク質のコラーゲンです。全体の約86%以上をコラーゲンが占めていて、それ以外は水分、灰分となっています。
ぷるぷるとした独特の食感は主成分であるコラーゲンが作り出しています。成分は同じですが、製造の過程で板状にかためられたものを「板ゼラチン」、粉末にされたものを「粉ゼラチン」と呼んでいます。
計量
板ゼラチンは1枚の重量が同じため枚数で正確な計量ができます。特に多くの量を一度に使うプロや業務用には適しています。必要な量をハサミでカットして使うこともできますが、メーカーによって1枚当たりの重さが違うため気をつけましょう。
一方、粉ゼラチンの計量は粉末状のためグラム数など細かい数量も調整がしやすいのが特徴です。必要な量だけを使えるため、ご家庭で少量使う場合にも扱いやすいです。
使い方
板ゼラチンも粉ゼラチンも水にふやかして使います。温かい水でふやかすと板ゼラチンの場合はゼラチンが溶け1枚当たりの容量が変わってくるため、必ず冷たい水でふやかします。
粉ゼラチンは熱湯でふやかすとダマになりやすいため、水か60度くらいまでのお湯を使うようにします。粉ゼラチンは水を加えるとうまくふやけないことがあるため、水を張った容器に粉ゼラチンを加えるようにします。
ふやけた後、板ゼラチンは水気をしっかりと切ってから使いますが、粉ゼラチンはふやかした水ごと使うことが出来ます。
板ゼラチンのほうが溶けにくいという難点はありますができあがりに透明感があり、ゼラチン独特のクセも少ないです。扱いやすいのは粉ゼラチンのため慣れていない人は粉ゼラチンから使うのがおすすめです。
顆粒ゼラチン
板ゼラチンと粉ゼラチンの他に顆粒ゼラチンもあります。顆粒ゼラチンは液体へ溶かす場合、ふやかす手間がかかりません。温かい液体へ直接振り入れて軽くかき混ぜるだけで、簡単にゼラチンが溶けるため使いやすさがメリットです。
板ゼラチンと粉ゼラチンをそれぞれで代用できるか
代用するには
板ゼラチンも粉ゼラチンも主成分は同じため、同量のグラム数であればそれぞれ代用することはできます。代用した場合、同量であれば出来上がりの差はあまりありませんが、板ゼラチンのほうが透明感の出る仕上がりとなることと、口当たりが柔らかく滑らかになるでしょう。
また粉ゼラチンのほうが弾力があると言われています。そのため弾力を生かした料理に板ゼラチンを代用するのであれば、少し多めに使っても良いかもしれません。固める力は粉ゼラチンのほうが板ゼラチンよりも強いと言われています。
代用する際の注意点
レシピによっては粉ゼラチンをふやかす水の分量が、材料のなかに計量されているケースがあります。そのため、板ゼラチンは水をしっかりと切って使うため厳密に同じ量とするのは難しいレシピもありますので気をつけましょう。
水分を切ってから使うため、合わせる材料の味を薄めないで作れる点も板ゼラチンのメリットです。固まる時間は、粉ゼラチンより板ゼラチンのほうが少し長く時間がかかるようですのでその点も覚えておくとよいでしょう。
ゼラチンとは
コラーゲンからできている
ゼラチンはタンパク質の一種で牛や豚の骨や皮に含まれているコラーゲンからできています。弾力性や粘性を持ち合わせているため、柔らかくぷるんとした食感が作り出せます。
体温でも溶けるため、寒天などと比較しても口どけが良いのも特徴です。また、泡を抱き込む起泡性もあるため、ムースやマシュマロなどのふわふわした柔らかな食感を出すこともできます。
美容と健康によい栄養素が含まれている
コラーゲンが主成分のゼラチンは、なかでもタンパク質が栄養素の80%以上を占めると言われています。体内では作り出せない必須アミノ酸も8種類含まれているため、美肌や健康を維持するために必要な栄養素が手軽に摂取できます。
気を付けること
ゼラチンは常温で溶ける性質があるため冷蔵庫から出した場合は、常温に置きっぱなしでは溶けてしまうこともあります。タンパク質を分解する酵素が含まれているキウイや生のパイナップルでは、ゼラチンが固まりにくくなります。
それらと一緒に使う場合は缶詰を使うことや、加熱して酵素を分解させてから使うようにしましょう。またレモンやグレープフルーツ、梅果汁など酸味が多く含まれるものはゼリーを柔らかくする性質がありますので、ゼラチンの分量を多めにする必要があります。
工業用や医療用ゼラチンもある
ゼラチンは人体に無害であるため、食用のほか医療用、写真用などさまざまな分野で利用されています。ゼラチンの歴史は古く、古代エジプト時代では動物の毛皮から取れるノリとして作られたことが始まりと言われています。
このようにゼラチンは接着剤として使われていましたが、19世紀ころになって食用として使われ始めたそうです。無害であり消化吸収されるゼラチンは、現在では医薬品の分野にも活用されているほか、化粧水や乳液などのスキンケアやヘアケア製品など美容分野でも利用されています。
ゼラチンを使ったレシピ
板ゼラチンで簡単オレンジゼリー
材料
- 板ゼラチン:2枚(約5g)
- オレンジジュース:500~600CC
作り方
- 氷水の入ったバットなどに板ゼラチンを入れてふやかします。残った氷水は容器に入れたゼリーの粗熱を取るのに使うためそのまま残しておきます。
- 板ゼラチンがふやけたら軽くしぼります。鍋にオレンジジュースと絞った板ゼラチンを入れゼラチンが溶けるまでゆっくりと弱火にかけます。
- ゼラチンが溶けたら容器に入れましょう。とっておいた氷水に少しつけて粗熱を取り、冷蔵庫で冷やしたら完成です。
板ゼラチンを使っているため、ぷるんぷるん食感の口当たり滑らかなゼリーです。ジュースは100%ジュースがおすすめです。オレンジの他お好きなジュースで作ってみるのも良いでしょう。
板ゼラチンのふわふわレモンムース
材料
- 板ゼラチン:2枚(約5g)
- レモン汁:1個分
- 生クリーム:400ml
- グラニュー糖:40g
- 熱湯:100ml
作り方
- 氷水の入ったバットなどに板ゼラチンを入れてふやかします。生クリームはグラニュー糖と合わせ6分だてにしておきましょう。
- ふやかした板ゼラチンを100mlの熱湯に入れて、氷水で冷やしながら生クリームと同じくらいのかたさにします。
- 6分だての生クリームに溶かした板ゼラチン、レモン汁を加えてよく混ぜます。器に入れて冷蔵庫で2~3時間冷やしたら完成です。
飾り用にレモン果実のスライスやミントの葉を添えてみるのもおすすめです。生クリームを泡立てすぎないことがふわふわ食感のコツです。
粉ゼラチンで作る濃厚プリン
材料
- 粉ゼラチン:5g
- 水:大さじ2杯
- 牛乳:300ml
- 生クリーム:100ml
- 砂糖:大さじ3.5杯
- 卵(常温に出しておく):2個
作り方
- 水を張った容器に粉ゼラチンを加えよく混ぜておきます。卵はボウルに入れよくほぐしておきます。
- 鍋に牛乳・生クリーム・砂糖を入れて混ぜたら、ふやかしたゼラチンも加え沸騰直前に火を消します。
- 粗熱を取ったら卵を溶いたボウルに少しずつ入れて混ぜ合わせます。容器に入れて冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めたら完成です。
ゼラチンを使ったプリンはほどよい弾力があります。卵は火を通さずに使っているため新鮮な卵を使い、できるだけ早目に食べるようにしましょう。
最後に
ゼラチンは常温保存ができますが、高温多湿は避けるようにします。紫外線に長いことさらされてしまうと、不溶性になり固まらない原因となることもあるそうです。直射日光の当たらない冷暗所で保存してください。