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2025年の十五夜はいつ?
2025年の十五夜(中秋の名月)は、10月6日(月)です。秋の夜が少しずつ長くなり、空気が澄みわたるこの時期、夜空にはまん丸の月が輝きます。
ただし、2025年は十五夜と満月がぴったり同じ日ではなく、翌日の10月7日(火)に満月を迎えます。
「十五夜=満月」と思われがちですが、実際には少しずれる年も多いのです。月を見上げながら、「今日は満月じゃないの?」と不思議に思った方も、これを知っておくと納得できるでしょう。
十五夜は、毎年決まった日ではありません。ここからは、どうして毎年日付が変わるのかを簡単に説明します。
十五夜と満月がずれる理由
十五夜の日付が変わるのは、私たちが使う暦の仕組みが関係しています。
今のカレンダー(新暦)は、太陽の動きを基準にしていますが、十五夜は旧暦で決められており、月の満ち欠けをもとにしています。そのため、新暦では毎年少しずつずれるのです。
また、月が地球のまわりを回る軌道は完全な円ではなく、楕円形です。月の速度や距離が変化することで、満月になるタイミングもわずかに前後します。
つまり、「十五夜(旧暦8月15日)」=「満月の日」ではないのです。2025年のように、満月が翌日にずれる年も珍しくありません。
このような仕組みを知ると、毎年違う日に訪れる十五夜を、より興味深く感じられるでしょう。月のリズムに寄り添って暮らしていた昔の人々の知恵が、今も私たちの生活の中に息づいているのです。
今後5年間の十五夜の日付(2025〜2029年)
十五夜の日を覚えておくと、毎年のお月見がもっと楽しみになります。次の5年間の十五夜の日付は次の通りです。
- 2025年:10月6日(月)
- 2026年:9月25日(金)
- 2027年:9月15日(水)
- 2028年:10月3日(火)
- 2029年:9月22日(土)
秋の夜に月を見上げる習慣は、昔も今も変わりません。ススキを飾り、団子を用意し、家族や友人と月を眺める——そんな穏やかな時間を、今年も過ごしてみてはいかがでしょうか。
十五夜(中秋の名月)の本当の意味とは?
十五夜は「お月見の日」として知られていますが、その本質は「自然への感謝」を表す行事です。秋の豊かな実りを月に感謝し、穏やかな時間を分かち合う日。それが、昔から受け継がれてきた十五夜の本当の姿です。
「十五夜」と「中秋の名月」は同じ?少し違う?
「十五夜」と「中秋の名月」は、同じ日のことを指す場合が多いですが、意味には少し違いがあります。
「十五夜」は旧暦で毎月15日ごろの夜を意味しており、月がもっとも美しく見える時期のことを指します。その中でも、秋の真ん中である旧暦8月15日の夜は特別で、「中秋の名月」と呼ばれました。
つまり、十五夜という言葉はもともと“毎月ある満月の夜”を指し、その中でも特別なのが中秋の名月です。季節の中で最も澄んだ夜空に浮かぶ月を、昔の人々は一年でいちばん美しい月として愛でたのです。
「芋名月」と呼ばれる理由
十五夜が「芋名月(いもめいげつ)」と呼ばれるのは、秋の収穫と深く関係しています。
古くから日本では、十五夜のころに里芋やさつまいもなどの芋類が実りを迎えました。そのため、十五夜には里芋をお供えし、豊作を感謝したのです。
米がまだ貴重だった時代、芋は生活を支える大切な食べ物でした。土の香りを残したまま蒸した里芋を供え、月に祈りをささげる——そんな素朴な風習は、今も地域によって受け継がれています。
芋を供えるのは単なる習慣ではなく、「自然への感謝」と「家族の無事を願う」心そのものなのです。
日本独自の「十三夜」とは
日本には「十五夜」だけでなく、「十三夜(じゅうさんや)」というお月見の行事もあります。
旧暦9月13日にあたるこの夜は、十五夜から約1か月後。十五夜を見て十三夜を見ないことを「片見月(かたみづき)」と呼び、昔は縁起が悪いとされていました。
2025年の十三夜は11月2日(日)です。この夜には、栗や豆の収穫に感謝を込めてお供えをします。そのため、「栗名月」や「豆名月」とも呼ばれます。十五夜とあわせて二度の月見をすることで、実りを祝い、自然とのつながりをより強く感じることができるのです。
秋が深まるこの時期、少し肌寒い夜風に包まれながら月を眺めると、昔の人が感じた秋の静けさを追体験できるかもしれません。
十五夜にすることと、その意味
十五夜は、美しい月を眺めながら秋の実りを感謝する行事です。けれども「何をすればいいのか分からない」という人も多いかもしれません。
実は、昔から伝わるお供えには一つひとつ意味があり、それを知るだけでお月見の楽しみ方がぐっと深まります。
ススキを飾る理由と飾り方の工夫
十五夜といえば、やはりススキを飾る風景が思い浮かびます。
ススキは、もともと稲穂の代わりに供えられるようになった植物です。十五夜の時期は稲刈り前で稲穂がまだ手に入らなかったため、見た目が似たススキを用いたのが始まりといわれています。また、ススキの茎は中が空洞になっており、「神様が宿る依り代」としての意味もあります。
さらに、ススキには魔除けの力があると考えられていました。月見のあと、ススキを玄関や軒先につるすと、家を悪いものから守ってくれると信じられていたのです。
花瓶に生けるだけでも、風に揺れるススキの姿が秋の気配を感じさせてくれます。お部屋にひと束飾るだけでも、十五夜の夜をぐっと特別に演出できます。
月見団子の意味とお供えのコツ
十五夜に欠かせないのが、まん丸の月見団子です。団子は月をかたどったものとされ、収穫に感謝する気持ちや、家族の健康と幸せを願う意味が込められています。お米を粉にして作るため、「実りの象徴」として古くから供えられてきました。
お団子は、十五夜にちなみ15個を用意するのが基本です。並べ方の目安は次の通りです。
- 1段目:9個
- 2段目:4個
- 3段目:2個
このようにピラミッド型に積むことで、月へ感謝の思いを“高く届ける”という意味があります。お盆や三方に白い紙を敷いて飾ると、より本格的に見えます。
お月見のあとは、家族みんなで団子をいただくのが昔からの習わしです。お供えした団子を食べることで、月の恵みを分けてもらい、1年の健康や幸福を願うとされています。
小豆餡やきな粉を添えて食べると、ほっとする優しい甘さが秋の夜にぴったりです。
お月見にぴったりの旬の食べ物
十五夜は別名「芋名月」と呼ばれるように、旬の食材をお供えする日でもあります。お供えするものに決まりはありませんが、秋らしい食べ物を選ぶと季節感が出て雰囲気がぐっと高まります。
たとえば、
- 里芋やさつまいも
- 栗や枝豆
- 柿や梨、ぶどうなどの果物
これらには、収穫への感謝の気持ちと、「自然の恵みを家族で分かち合う」という意味があります。お供えしたあとは、みんなでおいしくいただくのが十五夜の楽しみ方のひとつです。
無理に形にこだわらなくても大丈夫です。スーパーで手に入る秋の果物をひと皿用意し、食卓に飾るだけでも、十分に十五夜の気分を味わえます。
お月見は“おごそかに過ごす行事”というよりも、身近な自然に「ありがとう」と伝える優しい時間。小さな工夫で、季節を感じる豊かな夜になります。
まとめ
十五夜は、一年の中でもっとも月が美しく輝く夜。
忙しい毎日の中でも、ほんの少し立ち止まって夜空を見上げる時間をつくることで、心がふっと落ち着くものです。月を眺めながら団子を食べたり、家族で季節の果物を分け合ったり——そうした何気ないひとときに、昔の人々が感じていた「自然への感謝」と「暮らしの豊かさ」が息づいています。
お月見は、特別な準備をしなくても始められる行事です。部屋の明かりを少し落として、窓から見える月を静かに眺めてみてください。
その瞬間、秋の空気の澄み具合や月のやわらかい光が、季節の移ろいをそっと教えてくれるはずです。今年の十五夜は、そんな穏やかな夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。