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冷蔵庫でお寿司が固くなってしまう理由
お寿司は生ものを使っているため、買ってきた後はすぐに冷蔵庫に入れて保存します。しかし、冷蔵庫に入れたお寿司はシャリが固くなってしまい、翌日に食べると美味しくない経験をした人は多いのではないでしょうか?
実は、お寿司が冷蔵庫で固くなってしまう理由は主に「乾燥」と「でんぷんの老化」の2つです。ここでは、これらの理由を簡単にわかりやすく説明します。
シャリが冷蔵庫の中で乾燥するから
冷蔵庫の中は非常に乾燥しています。特にパックの寿司は完全に密閉されていないため、シャリから水分が奪われやすくなっています。
お寿司の美味しさはシャリの適度な湿り気にありますが、冷蔵庫内の乾燥した冷気に触れることでシャリがカチカチに乾燥してしまうのです。
お米の成分が冷えると固くなるから(でんぷんの老化)
シャリの主な成分であるお米のでんぷんは、温かいときには柔らかくもちもちしています。しかし、一度冷えるとお米のでんぷんが元の固い状態に戻ろうとします。
これを「でんぷんの老化」といいます。特に冷蔵庫内の0〜5℃の温度帯は、お米のでんぷんが最も速く固くなってしまう温度です。そのため、冷蔵庫に入れたお寿司のシャリは一晩で急速に固くなってしまいます。
冷蔵庫でお寿司が固くなるのを防ぐ方法7つ
冷蔵庫に入れたお寿司を翌日まで美味しく食べるためには、シャリが乾燥しないようにすることと、お米のでんぷんが固くなりにくいよう温度管理することがポイントです。
そのためには、保存する際のちょっとした工夫が必要です以下で、家庭で簡単にできて効果の高い方法を紹介します。
①パックごとラップで密閉する
スーパーや回転寿司のお寿司は、透明のプラスチックパックに入っています。蓋を閉じただけでは、わずかな隙間から冷気が入り込み、シャリが乾燥して固くなってしまいます。
そこで、寿司のパックごとしっかりとラップで包み、空気の流れを完全に遮断することでシャリの水分を守ります。この方法は、手間も少なく最も簡単にできるため、まず試してほしい方法です。
②湿らせたキッチンペーパーを使って湿度を保つ
さらに効果を高めたい場合は、湿らせて固く絞ったキッチンペーパーを密閉容器の中に入れておきます。このとき、お寿司に直接触れないように注意してください。
こうすることで、容器の中の湿度が保たれ、シャリの乾燥を防ぐことができます。
③冷蔵庫のチルド室を使う
お寿司を入れる場所も重要です。冷蔵庫の中は場所によって温度が違います。ドアポケットや冷気の吹き出し口付近は、温度変化や乾燥が激しいため、シャリが急激に固くなります。
そのため、安定して温度が低く保たれるチルド室(0〜2℃)か、冷蔵庫の棚の奥側に入れるのがおすすめです。
④マグロやサーモンは個別にラップをする
お寿司のネタの中でも特にマグロやサーモンなどの赤身の魚は乾燥しやすく、放置すると表面が硬くなり、食感が悪くなります。
そのため、赤身のネタが多い場合は、ネタごとにラップで包んでから密閉容器に入れると、ネタの乾燥も防げて美味しさを保つことができます。
⑤巻き寿司や太巻きは切らずに保存する
巻き寿司や太巻きをカットすると切り口から水分が失われてしまいます。できれば切らずに一本のままラップでしっかりと包んで保存することが理想的です。
もし切ってしまった場合でも、切り口同士を密着させてラップで包むと、乾燥が最小限に抑えられます。
⑥海鮮丼はご飯と刺身を分けて保存する
海鮮丼の場合、ご飯と刺身をそのまま一緒に冷蔵庫に入れると、ご飯が早く固くなってしまいます。刺身とご飯を分けて保存することで、ご飯のでんぷんが刺身の水分に影響されずにすみ、食感の悪化を防ぐことができます。食べる直前に刺身とご飯を合わせることで美味しく食べることができます。
⑦いなり寿司は個別に包むと柔らかさを保てる
いなり寿司の油揚げは特に乾燥しやすいため、できれば一個ずつ個別にラップで包んで密閉容器に保存するのがベストです。こうすると油揚げの乾燥が防げて、翌日もふっくら柔らかい食感を保つことができます。
冷蔵庫に入れたお寿司を美味しく食べるための工夫
お寿司を冷蔵庫で保存した後も、ちょっとした工夫でより美味しく楽しむことができます。買ったばかりの握りたてのお寿司に近づけるための簡単な方法をいくつか紹介します。
食べる直前に常温に戻してみる
冷蔵庫から出したばかりのお寿司は冷たく、食感も固くなっています。そこで、食べる10〜15分ほど前に冷蔵庫から取り出して室温で置いておきます。
ほんの少し常温に戻すだけで、シャリの食感が柔らかくなり、ネタの風味も引き立ちます。ただし、長時間の放置は衛生面でよくないので、10〜15分が目安です。
ネタを軽く炙って香ばしさを楽しむ
特に赤身のネタや貝類などは、冷蔵庫で保存すると生臭さが出てしまうことがあります。そこで、食べる直前に表面を軽く炙ってみてください。
炙ることで香ばしさが加わり、固くなったシャリの食感も気にならなくなります。ガスバーナーや魚焼きグリルを使って、ネタの表面だけをさっと炙るのがコツです。
リメイク料理で違った味を楽しむ
翌日のお寿司をそのまま食べるのではなく、違った料理にアレンジするのも美味しく食べる方法です。以下に手軽でおすすめのアレンジ料理を紹介します。
- お茶漬け(お寿司を崩し、熱い出汁やお茶をかける)
- 寿司チャーハン(シャリとネタを刻んで炒める)
- 巻き寿司の天ぷら(巻き寿司に衣をつけて揚げる)
こうした方法で、翌日でも飽きずにお寿司を楽しめます。
固くなったお寿司を柔らかく復活させる方法
もし、お寿司がすでに固くなってしまった場合でも、諦める必要はありません。電子レンジを使った簡単な方法で、ふっくらとしたシャリの食感を取り戻すことができます。
ネタとシャリを分けて温める
お寿司をそのまま電子レンジで温めてしまうと、ネタの風味が落ちてしまいます。
まず、ネタとシャリを別々に分けてから、シャリだけを耐熱皿にのせて軽く水を霧吹きし、ラップをして電子レンジで温めます。温める時間は500Wで10〜20秒ずつ、様子を見ながら調節してください。人肌くらいに温まったら完了です。
温めた後の工夫でさらに美味しくなる
シャリを温めた後は、ラップをかけたまま1〜2分ほど蒸らすことで、シャリがふっくらと柔らかくなります。
風味が物足りない場合は、すし酢をほんの少量シャリに振りかけると、握りたてのような味わいが戻ります。また、外したネタは軽く氷水に通して拭き取るか、表面を軽く炙ると美味しくなります。
まとめ
寿司が冷蔵庫で固くなってしまう問題を避けるためには、環境と方法の両方に気をつける必要があります。ただ、理想的な保存を心がけても、買ったばかりのお寿司の鮮度や風味には敵いません。
結局のところ、一番美味しいのは買ったその日に食べきることです。お寿司は生ものなので鮮度が命。冷蔵保存を前提にせず、できるだけ当日中に食べきれる量を意識して購入しましょう。