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ファスナーが噛んだとき、まず落ち着くことが大切
洋服やズボン、カバンのファスナーを急いで閉める時に、布が挟まって動かなくなることがあります。特に時間がない時ほど焦ってしまいますが、ここで冷静になることが重要です。
無理な方法で対処すると、衣服やカバンが傷つくだけでなく、ファスナーそのものが壊れてしまいます。 ファスナーが噛んだ時はまず落ち着き、適切な方法で解決することが必要です。
ファスナーが噛んだときにやってはいけないNG行為
ファスナーが噛んでしまうと、パニックになりやすく、やってはいけない行動を取ってしまうことがあります。なぜやってはいけないのか、理由を詳しく見ていきましょう。
①力任せにファスナーを引っ張る
一番やりがちで、共感されることの多いNG行為が力任せにファスナーを引っ張ることです。急いでいるときは特に焦り、つい強引に引き上げたり下げたりしてしまいます。
しかし、この方法は非常に危険です。力を入れるほど挟まった布はさらに深く噛みこみ、生地が破れたり伸びたりする可能性があります。ファスナー自体にも大きな負荷がかかり、金具が破損する恐れがあります。
力任せに引っ張ると、以下のトラブルが発生します。
- 布が破れる、穴が開く
- 生地が引きつれてシワになる
- ファスナーの金具が歪む、壊れる
噛んだらまずは手を止め、冷静に対処しましょう。
②ペンチなどの工具で無理やり引き抜く
噛んだ布を取り除くために、ペンチやドライバーといった工具を使いたくなることもありますが、これもおすすめできません。工具でスライダーを無理やり広げたり、布を引き抜こうとすると、ファスナーが変形したり破損したりする原因になります。
特にプラスチック製のスライダーは壊れやすく、少しの力でも割れてしまうリスクがあります。もし工具を使う場合でも、細心の注意を払う必要があります。
《工具を無理に使うと起きるトラブル》
- スライダーが割れたり、曲がる
- 金具部分が広がりすぎて元に戻らなくなる
- ファスナー自体が使用不能になる
工具を使用するのは最終手段と考えましょう。
③オイルや潤滑剤を直接布につける
ファスナーの動きを滑らかにしようと、オイルや潤滑剤を塗る方法もあります。しかし、焦って布や周囲に直接塗ってしまうのはNGです。
布に潤滑剤がつくと、油ジミになり取れなくなります。特にシリコンスプレーや機械用潤滑油は生地への影響が強く、跡が残りやすいです。
正しく使えば有効ですが、布に直接塗布しないよう注意が必要です。
《潤滑剤を直接つけると起きるトラブル》
- 油ジミができ、生地が汚れる
- 洗濯やクリーニングでも取れないシミになる
潤滑剤は布につけないように注意して、必要最小限の量を使いましょう。
④熱に弱い生地にドライヤーを長時間当てる
ファスナーが噛んだ布を取り出しやすくする方法として、ドライヤーの熱を当てる方法があります。ただし、布の素材を確認せずに長時間熱を当てるのは絶対に避けてください。
ナイロンやポリエステルなど化学繊維の生地は熱に弱く、ドライヤーの熱で縮んだり溶けたりします。また、金属ファスナーは熱伝導が高く、長く温めると火傷の危険があります。
《熱を誤って使用すると起きるトラブル》
- 生地が溶けたり縮む
- ファスナーが熱くなり、火傷をする可能性がある
品質表示タグを確認し、適切な方法で熱を使いましょう。
⑤無理やりファスナーを閉じたまま着脱する
時間がないとき、ファスナーが中途半端に閉じた状態で洋服やカバンを無理やり着脱する習慣もNG行動の一つです。これは日常的にファスナーや布地に負荷をかけ、噛みこみの原因を作ります。無理に着脱することでエレメント(歯部分)が歪み、ファスナーの動きが悪くなります。
《無理な着脱によって起きるトラブル》
- ファスナーの歯が歪む、欠ける
- 生地が繰り返し噛まれ、傷む
普段から正しく開閉し、ファスナーを壊さないようにしましょう。
ファスナーが噛んだ時の安全な直し方
ファスナーが噛んだときは、噛んだ方向と逆方向にゆっくりファスナーを動かすことが基本です。ただし、それだけでは解決できないケースもあります。噛み込みの程度によって、対処法を分けて見ていきましょう。
浅く噛んだ場合の直し方
ファスナーが浅く布を噛んだ場合、比較的簡単に取り除けます。
布を優しく上下左右に軽く引っ張りながら、スライダー(持ち手部分)を噛んだ方向とは逆向きにゆっくり動かします。この時、力を入れすぎると布を傷めるため、ゆっくり丁寧に行うことがポイントです。
布に余計な負荷をかけないためにも、両手で生地をピンと張った状態で行うと効果的です。軽度の場合は、この方法だけで十分解決できます。
深く噛んで動かない場合の直し方
ファスナーが深く噛んで動かなくなった場合は、少し手間がかかりますが、安全に直す方法があります。まずは布を強く引っ張らず、次の方法を順に試しましょう。
薄いカードで隙間を作る
ICカードやポイントカードなど、薄く硬めのプラスチックカードを用意します。スライダーと布の間にカードをゆっくり差し込み、隙間を作ります。カードを動かして少しずつ隙間を広げ、布を優しく引っ張り出します。
カードはドライバーなどの金属工具よりも布やファスナーを傷つけにくく、安心して使えるアイテムです。
潤滑剤を最小限の量だけつける
隙間を作ったら、滑りを良くするために潤滑剤を少量だけ使います。シリコンスプレーや鉛筆の芯(黒鉛)がおすすめです。
この時、布に直接潤滑剤をつけるとシミになるため、綿棒や歯間ブラシに潤滑剤を少量取り、ファスナーの歯の部分だけに軽く塗りましょう。布はマスキングテープなどで保護すると、より安全です。
ドライヤーで温める(素材確認必須)
金属製のファスナーで、かつ布地が熱に強い素材(デニム、厚手コットンなど)の場合は、ドライヤーの熱を短時間だけ当てることで動かしやすくなります。
品質表示タグで素材の耐熱性を必ず確認してください。また、ファスナー部分は熱くなるため、布越しや手袋をつけて触れるなど、火傷には十分注意が必要です。
最終手段としての工具使用
上記方法でも外れない場合は、最終手段として工具を使います。細い先端のラジオペンチなどでスライダー部分の隙間を少しだけ広げます。広げすぎるとファスナーが壊れてしまうので、慎重に少しずつ作業してください。
もしこの方法でも無理だと感じたら、それ以上無理をせず、プロ(洋服の修理店やクリーニング店)に任せましょう。
カバンのファスナーが噛んだときの注意点
衣類と比べて、カバンのファスナーには特有の注意点があります。カバン内部の裏地は薄く柔らかい生地が多く、無理に引っ張るとすぐに裂けたり破れたりします。また、荷物の重みで力がかかりやすく、布が深く噛み込みやすい構造でもあります。
《カバンのファスナーが噛んだ場合の安全な対処法》
- まずはカバンの中身をすべて取り出して負荷を軽減する
- カバンを開けられる範囲で開き、内側から布を軽く押し戻す
- カードを使った隙間作りや、潤滑剤の点付けを慎重に行う
- カバンの生地が熱に弱いことが多いため、ドライヤーは原則避ける
カバンのファスナーが動かなくなった場合は、上記の方法を優先的に試して安全に直しましょう。
まとめ
ファスナーが噛んだときに最も大切なのは、焦らず落ち着いて対応することです。噛んだファスナーを無理に動かすと、壊れたり布が傷ついたりするリスクが高まります。
普段からファスナーが噛み込まないよう、定期的に糸くずを歯ブラシで掃除したり、開閉は必ず端まで行うよう心がけると、トラブル予防に役立ちます。お気に入りの衣類やカバンを長く安全に使うために、日常的なケアを忘れないようにしましょう。