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なぜ揚げ物をすると油がはねるの?
揚げ物をするとき、多くの人が気になるのが『油はね』です。実は、油がはねる原因は主に2つあります。
水分が油の中で爆発するから
揚げ物で油がはねる一番の原因は食材や調理器具についた水分です。油の温度は通常170℃~180℃、対して水の沸騰する温度は100℃です。この温度差が重要です。
食材についた水分が熱い油に入ると、急激に沸騰して水蒸気になります。水が水蒸気に変わると、体積が約1700倍にも膨張し、小さな爆発を起こして油を飛ばしてしまうのです。
また、冷凍した食品を完全に解凍せず揚げると、食材の中の氷が溶けて激しく爆発するように油がはねる原因になります。これも水分が急激に蒸発して起きる現象です。
食材の中の空気がふくらむから
もうひとつの原因は、食材に含まれる空気の膨張です。
ウインナーやナス、イカなど、中に空洞がある食材は、油で加熱すると内部の空気が膨張します。逃げ場のない空気は膨らんだ結果、食材を破裂させてしまい、油が飛び散ります。
油はねを防ぐ7つのポイントと対策
油がはねる原因を知ったら、次は家庭で簡単にできる対策を見ていきましょう。それぞれの方法が「なぜ効果的なのか」を理解すると、実践しやすくなります。
①食材の水気をきちんと取り除く
油はねを防ぐ最も大切なポイントは、食材についた水分をきちんと拭き取ることです。揚げ物をする前にキッチンペーパーや布巾で水気を取ると、油がはねるリスクを大幅に減らせます。
特に注意したい食材は、水分が多い魚やエビ・イカなどの海鮮類、野菜なら洗った後のピーマンやナスなどです。また、調味料(しょうゆ・酒)で下味をつけた肉なども水分を拭き取らないと、油がはねやすくなります。
②破裂しやすい食材には切り込みを入れる
内部に空気や水分を閉じ込めている食材には、事前に切り込みを入れておくことで油はねを防げます。
ウインナー、ナス、オクラなどは、中の空気や水分が熱で膨張し破裂を起こしやすいため、表面に数ヶ所小さな切り込みを入れましょう。切り込みから空気や水分が逃げる道ができ、破裂を防ぐことができます。
③油の温度を正しく管理する
油の温度が高すぎても低すぎても油はねが起こりやすくなります。油の温度が高すぎると食材が急激に熱せられ、表面だけ焦げて内部の水分が蒸発する際に爆ぜます。逆に油温が低いと衣が油を吸ってしまい、水分が衣の中に溜まり、後から遅れて油がはねることがあります。
揚げ物の最適な温度は約170℃~180℃です。温度計を使ったり、菜箸を油に入れて細かい泡が出るのを確認すると、適切な温度を簡単に把握できます。
④一度に揚げる量を少なくする
意外に思うかもしれませんが、食材を一度に大量に入れることも油はねの原因になります。
なぜなら、食材をたくさん入れると油の温度が急激に下がり、食材の表面が早く固まらずに油を吸収しやすくなります。油を吸った食材は、内部の水分が抜けるのが遅くなり、やがて内部で蒸発した水分が勢いよくはねる原因になります。
揚げ物をするときは、一度に入れる食材を少量ずつにし、油温を安定させるようにしましょう。油温が安定すれば食材の表面が素早く固まり、水分が早く蒸発するため油はねが起きにくくなります。
⑤揚げカスをこまめに取り除く
揚げ物をしていると、鍋の中に揚げカスが溜まります。この揚げカスを放置していると油はねの原因になります。
揚げカスには多くの油や水分が含まれていて、そのまま高温で加熱されるとカリカリに焦げて破裂します。破裂した揚げカスが油を激しく飛び散らせてしまうのです。
網じゃくしや専用の道具を使って、揚げカスはこまめに取り除くようにしましょう。揚げ油をキレイに保つことは、油はねを防ぐ上で欠かせません。
⑥深めの鍋を使う
油はねを抑えるためには、浅いフライパンではなく、底の深い揚げ鍋を使うことがおすすめです。
深さがある鍋を使うことで、油がはねたとしてもコンロやキッチン周りに飛び散りにくくなります。また、深めの鍋には油をたくさん入れられるため、食材を入れても油温が下がりにくくなり、油はねを抑えることができます。
揚げ物を頻繁に作る家庭では、底が深く安定性が高い専用の天ぷら鍋を使用すると良いでしょう。
⑦油はね防止ネットを活用する
油はね防止ネット(オイルスクリーン)とは、揚げ鍋の上にかぶせて使う細かいメッシュ状のネットのことです。揚げている最中の油はねを物理的に遮ることで、キッチンの汚れや火傷の危険を大幅に軽減できます。
油はね防止ネットはステンレス製のものが一般的で、蒸気はしっかり通しますが、大きな油滴は外に飛び散らせません。価格もお手頃でホームセンターや通販などで購入可能です。ただし、細かい油粒は完全に防ぎきれないため、油はね防止ネットだけに頼らず他の対策と組み合わせて使うのが最も効果的です。
揚げ物調理後の片付けと安全のポイント
揚げ物が終わった後、気になるのはコンロ周りや調理台の油汚れです。また、揚げ物をする上で安全面も見逃せません。油汚れの対処方法と安全対策をまとめました。
重曹水で油汚れを簡単に落とす
揚げ物の後に残る油汚れは、冷えると頑固で落としにくくなります。ここで役立つのが重曹水です。重曹水はアルカリ性で油を分解するため、揚げ物後すぐにコンロや調理台を重曹水で拭き取れば、ベタベタ汚れを素早く簡単に落とせます。
重曹水の作り方は以下のとおりです。
- 水500mlに重曹大さじ1杯を混ぜる
- スプレーボトルに入れて油汚れに吹き付け、キッチンペーパーで拭き取る
この方法なら手間をかけずに清潔を保てます。
油の処理は安全に
揚げ終えた油を再利用する場合は、油が完全に冷めてから細かい目の油こしを通して清潔な容器に入れましょう。油を再利用しない場合は、油を吸わせる専用シートや新聞紙に染み込ませ、燃えるゴミとして捨てることができます。
熱い油はやけどや火災の原因になるため、処理する際は完全に冷ましてから扱うことが重要です。
まとめ
揚げ物の油はねは、水分や空気が油の中で急に膨らむことによって起こります。防止するには、食材の事前準備や適切な油温管理、鍋の選び方など、基本的なポイントを押さえることが大切です。
また、揚げ物は健康面でもカロリーが気になるもの。油切れをよくするためには、揚げ物を取り出した後すぐに金属製の網やキッチンペーパーの上に乗せ、油を十分切ることでヘルシーに仕上げることができます。揚げ物のコツを掴んで、安全かつ健康的に料理を楽しみましょう。