目次
タバコの不始末は火災の原因になる
タバコの不始末は、火災の原因につながる行動です。住居火災はもちろん、空き地や河川の近くの火災なども、タバコのポイ捨てが原因というケースも少なくありません。決して大きな火ではないタバコの火ですが、不始末が原因で火事が起きる可能性は非常に高いです。
実は、タバコ火災は長年にわたって火災原因の上位を占めています。消防庁の調べによると、2021年の1年間で35,222件の火災が発生し、そのうちタバコが原因のものは3,042件(8.6%)を占めています。これは、こんろや放火よりも多い数字であり、出火原因の中で最多となっているのです。
タバコの火種の温度は500℃を超えており、非常に高温です。しかし、この火種を可燃物に接触させてもすぐに炎は立ち上がりません。代わりに、「無炎燃焼」という目に見えない燃焼形態を継続します。
この過程で、タバコの火種が紙類、綿などの繊維類、落葉等の可燃物に接触すると、時間の経過とともに可燃物に燃え広がります。そして、条件が整えば最終的に有炎現象、つまり目に見える炎になるのです。この特性により、タバコの火種が接触してから数時間後に出火することもあるため、特に注意が必要です。
【状況別】タバコの不始末が火事になるまでの時間
タバコの不始末が原因で火事になるまでにかかる時間は、どれくらいなのでしょうか?
吸い殻をゴミ箱に捨てた場合
<7分前後で出火>
タバコを吸った後、吸い殻を灰皿に押し付けて処分する人は要注意!タバコの吸い殻を灰皿に押し付けただけだと、火が消えていない可能性があります。そのままゴミ箱に入れてしまうと、ほかのゴミに燃え移って火事につながることも少なくありません。
ゴミ箱に複数の吸い殻を入れたときに火が出始めるまでには、7分前後かかるといわれています。吸い殻を捨てて7分ほどしか経っていない場合、なぜ火が出ているのかわからず混乱してしまうかもしれません。
実は、タバコ火災の大部分は、吸い殻の投げ捨てや、火種が落下することにより出火しています。紙巻たばこの火種は消えているように見えて実は消えていないことが多くあるので、吸い殻を処分する際には、水につけて確実に消火することが重要です。
寝タバコの場合
<数十分~数時間で出火>
寝ながらタバコを吸う、寝タバコ。火災を引き起こすだけでなく、一酸化炭素中毒になる恐れもある、危険な行為です。
就寝時のタバコということで、布団やまくらなど燃えやすいものが周囲にたくさん置かれています。寝タバコが火事になるまで、環境によって発火までに時間のばらつきがあります。早ければ数十分、遅ければ数時間かかる場合も多くあります。睡眠中ということで、ぼやや焦げ臭さといった異変に気付くのが遅くなりやすいのも特徴です。
忙しい朝、出勤する準備をしながらタバコを吸うことで、知らないうちに布団や座布団などに火種が落下し、外出後に出火する事案も多く発生しています。このような場合、火災に気づくのが遅れ、被害が大きくなる可能性が高くなります。
タバコをポイ捨てした場合
<数時間で出火>
タバコを吸って、吸い殻の火を消すこともなく、その辺にポイ捨てしてしまうのは絶対NG!道路であれば車や自転車、人が踏んでくれるだろうと思ってしまうかもしれませんが、火種になるものがどこに転がっているとも限らないので危険です。河川敷や山などに吸い殻をポイ捨てするのは、もってのほか!数時間とせず火が出て、大規模な火災が起きる可能性があります。
特に、屋外でのポイ捨ては予測不可能な結果を招く可能性があります。風で吹き飛ばされた吸い殻が、乾燥した草木や落ち葉に接触すると、数時間後に突然火災が発生することもあります。このような火災は、発見が遅れやすく、大規模な山火事につながる危険性もあります。
タバコの不始末による火災を防ぐために
タバコの不始末による火災を防ぐためには、以下のことを心がけましょう。
- 外出時は、必ずポケット灰皿に吸い殻を入れる
- 自宅でタバコを吸う場合は、灰皿の中に水を入れて吸い殻を消火する
- 寝タバコは絶対にしない
- 灰皿がない場所での喫煙は避ける
さらに、以下の点にも注意を払いましょう。
<灰皿を使用し、吸殻は確実に消火する>
- カップ麺の容器やペットボトルなど、灰皿以外のものを灰皿代わりに使用しないでください。
- 灰皿には水を張り、吸殻は確実に消火しましょう。
- 灰皿に吸殻をためないように、こまめに捨てましょう。
<安全な場所を喫煙場所とし、決まった場所で喫煙する>
- 喫煙場所を決め、決まった場所でタバコを吸うようにしましょう。
- 寝たばこ(布団の上で寝転びながらタバコを吸うこと)をしないようにしましょう。
<就寝前、外出前の最終チェックを忘れずに>
- タバコの火はしっかり消したつもりでも火種が残っていることがあります。
- 就寝前や外出前にもう一度確認し、水を掛けるなどして、確実に火を消しましょう。
タバコのポイ捨てや不始末が原因で火災が発生した場合、責任が取れない事態を招く可能性が高いです。万が一死亡事故が起きてしまったら取り返しがつかないため、ポイ捨てや寝タバコなどの問題行動は絶対に避けましょう。
まとめ
タバコの火の不始末は、火災につながる大きな問題です。軽い気持ちでやってしまい、取り返しがつかない事態を招かないためにも、タバコの火はしっかりと始末しましょう。
火災は一瞬の不注意から起こりうるものです。タバコの火の取り扱いには細心の注意を払い、自分自身の安全はもちろん、周囲の人々の安全も考慮し、責任ある行動を心がけましょう。そうすることで、安全な生活環境を維持することができます。