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アセテートの特徴
アセテートは肌に優しい自然な質感で、ふっくらとした絹のような、肌触りを持っています。
レーヨンと同じようにパルプやコットンリンターから抽出されるセルロースを原料とし、酢酸を作用させて作る化学繊維です。優雅な光沢と発色、適度な吸湿性と速乾性があり点も特徴です。
縮みにくくプリーツ性もあり、美しいドレープとシルエットが表現できるため、ファッションなど服飾分野で多く使われています。一般的には、レーヨン・ポリエステルなど他の繊維と複合されて使われ、衣類の他にはレインコートや傘を作るのに使われることもあります。
また、製造方法が確立されたのは19世紀末で、現在のアメリカではレーヨンよりもアセテートは多く生産されているそうです。
アセテートのメリットとデメリット
メリット
- シルクのような美しい光沢と肌触りで、撥水性にも優れています
- 親水性と疎水性を持ち合わせているので、汚れにくく、汚れても洗濯で汚れが落ちやすいです
- 天然素材が使われているため、静電気の発生が抑えられ毛玉ができにくいです
- プリーツ性に加え、熱を加えるその形が固定される性質を持っているため、プリーツの耐久性が良いです
- 適度な吸湿性、保温性、弾力性があり、ふっくらとした風合いと豊かな感触がありながら、綿やレーヨンより軽いです
デメリット
- 摩擦に弱く、強度の低い素材のため、洗濯の時は気を付ける必要があります
- 太陽の熱や大機中の汚染ガスにより変色したり、退色することがあります
- しみ抜きに使うアセトンやシンナーなどの溶剤で、繊維が溶けだすことがあります
- シワになりやすく、濡れてシワができたまま放置すると、シワが残ったままになることがあります
アセテートの性質
アセテートの繊維比重は、1.32で羊毛と同じくらいです。繊維は自然と水分を大気中から吸収していて、繊維の原料や糸は、すべて目方によって取引が行われるため、公平に取引されるよう、繊維の公定水分率が定められています。
アセテートの公定水分率は3~7%で、羊毛やレーヨンほどではありませんが、適度な吸湿性と速乾性を持っています。また200度を超えると軟化する性質があります。
アセテートの洗濯方法
手洗いの場合
- 40度くらいのぬるま湯を用意します。洗剤は中性洗剤を使います。
- 優しく振り洗いか、押し洗いで洗うようにしましょう
- 水を交換して、泡が無くなるまですすぎます。
- バスタオルなどで、水分を拭き取り、自然乾燥をするようにしましょう。
洗濯機の場合
- 必ず洗濯をする衣類をいれる洗濯用ネットを用意します。中性洗剤を使います。
- 時短コースやおしゃれ着洗いコースなどを選びます。
- すすぎは1回にしておくことをおすすめします。
- 脱水も1分程度の短めにしておきましょう。
注意点
- アセテートはデリケート素材で熱や摩擦に弱いため、洗濯の時は他の物とは別に洗い、脱水も短めにします。
- アセテートは水に触れることで、シワになりやすい性質があるため、手短に洗うよう心がけましょう。
- 洗剤は、アルカリ性洗剤を使わず、おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使ってください。
- 洗濯機で洗う時は、必ずネットに入れて下さい。
- 塩素系漂白剤は絶対に使用しないようして下さい。酸素系漂白剤を使う場合も、粉末ではなく液体を使うことをおすすめします。
- 乾燥機は使わないようにしましょう。
- アイロンを使う場合は、低温~中温にして当て布を使うことをおすすめします。
アセテート繊維の歴史
- 1923年:英国のCelanese 社がジアセテート人絹糸の生産を開始する。
- 1930年代:米国でジアセテート繊維の生産が開始される。
- 1954年:米国・英国がトリアセテートの生産を開始する
- 1958年:日本では三菱アセテートが生産を開始する。
- 1967年:三菱アセテートがトリアセテートの生産を開始する。
まとめ
アセテートはとてもデリケートな素材でもあるので、摩擦や熱、洗濯の時に使う洗剤には注意が必要なのですね。素材は、シルクのような光沢やふっくらとした上品な風合いで、軽く、吸湿性にも優れています。気を付けて洗濯をすれば、長持ちしますが、大切な洋服の場合は、クリーニングに出したほうが安心かもしれません。