目次
キュプラとは
キュプラとは、コットンリッターという綿花の繊維になっていて、綿花の表面に密集しているものを指しています。また、キュプラは化学繊維に分類されています。
レーヨンやポリノジック、リオセルなども同じ種類ですが、特にレーヨンとは似通った性質を持っています。さらにキュプラには「銅」という意味があり、これは製造方法に由来しています。
キュプラを製造する際には、原料に酸化銅アンモニア溶液を溶かし、ギャーポンプというもので凝固液中に押し出す製法が使われています。キュプラの正式名称は「銅アンモニアレーヨン」と呼ばれ、1890年には製造されていた長い歴史を持つ化学繊維です。
キュプラの特徴
まず、絹に近い性質を持つキュプラの特徴に「光沢感」が挙げられるでしょう。絹と同等の独特の光沢を持ち、衣類に高級感を演出してくれます。
また、生地にゆったりとした「ドレープ感」がありますが、それはキュプラの繊維が柔軟性に富んでいるため。ドレープ感があることにより、体を包み込むような肌触りになっていて、それでいてとても滑らかなので、上質な着心地を感じられる素材です。
さらにキュプラは「吸湿・放湿性」にも優れていて、汗を素早く吸い込み、その水分を外に放出してくれます。このことから、様々な局面で良い着心地を維持することができる素材だといえるでしょう。
このほか、「染色性が良い」という特徴も持っていて、染め上がりが色鮮やかになりやすいです。その染色性の良さから、ファッション性の高い素材でもあります。
また、同じ化学繊維に分類されるレーヨンやポリノジックに比べると、摩擦に強くなっているのも見逃せません。ほとんど静電気が発生しない特徴も併せ持ち、衣類を着用する時の静電気に悩まされている人にはおすすめの素材です。
このように、キュプラは着用する上で優れた特徴をたくさん持っています。けれども、後ほど詳しく紹介しますが、シワになりやすく手入れが面倒という特徴もあります。
特に洗濯の際にシワになりやすいので、自宅での洗濯は難しい素材だといえるでしょう。さらに、水にも弱い性質を持っていて、水滴や雨によって、水ジミが発生することもあります。
キュプラのメリット
キュプラの特徴を踏まえた上で、メリットを確認してみましょう。衣類の品質を高めるようなメリットをたくさん持っているのが特徴です。
ドレープ感
キュプラは「ドレープ感」という、着ると優雅な趣を感じさせるような「優しくまとわり付く着心地」が特徴的。さらに滑りがとても良く、しなやかなので、着心地がとても良いのがメリットです。
滑りがいい
キュプラは、衣類の裏地として使われることが多いです。これは、キュプラという素材自体の滑りの良さが関係しています。滑りがとても良い材質なので、肌に触れても不快感はほとんどありません。
光沢感がありキレイ
キュプラはメンズスーツなどの裏地として使われることも多いです。キュプラには独特の光沢感があるため、高級感を演出するのに向いています。そのため、高級志向の衣類には向いていて、これもメリットだといえるでしょう。
吸湿性や放湿性に優れている
優しい着心地を維持するメリットを持つのがキュプラです。その理由が吸湿性や放湿性に優れている点。不快感の元になる汗を素早く吸収して、それを衣類の外に放出してくれます。この特徴を持つからこそ、長時間着用しても着心地を維持することができるのです。
静電気が起きにくい
キュプラは、ほとんど静電気を発生させません。衣類を着た時に静電気を感じる体質の人でも、触れた時のバチッとした不快感が起きにくいので、これもメリットだといえるでしょう。
キュプラのデメリット
キュプラにはたくさんのメリットがありますが、デメリットもあります。どちらの面も踏まえた上で、上手に着こなしましょう。
摩擦に弱い
キュプラは、摩擦に弱くなっています。摩擦を起こしてしまうと、繊維に羽毛立ちが発生してしまうことが多いです。このため、回転より摩擦が発生する家庭の洗濯機での洗濯は向いていないといえるでしょう。
また、一度、羽毛立ちしてしまうと、元に戻すのが難しいです。特に、水に濡れた状態での摩擦が苦手な素材です。
お手入れが面倒
キュプラは、シワになりやすいというデメリットがあります。特に洗濯の際にはシワになりやすく、摩擦に弱いという性質をあわせて、自宅での洗濯はかなり難しいといえるでしょう。
洗濯が難しいということは、お手入れが難しいということ。そのため、キュプラを扱う難しさが最大のデメリットだといえるかもしれません。
キュプラの洗濯方法
キュプラはとてもデリケートな素材で、洗濯が難しいというデメリットがあります。自宅で洗濯する場合は、どうすれば良いのかをご紹介します
手洗いが可能な場合
まずは「洗濯マーク」をよく確認しましょう。基本的にキュプラを洗濯する際には「手洗い」ですが、衣類によっては「水洗い不可」のマークが記載されていることもあります。
そのため、最初に洗濯マークで手洗いが可能なことを確認することから始めます。洗剤は「おしゃれ着用洗剤」を利用して、桶に30度以下のぬるま湯を入れて規定量を溶かしましょう。
押し洗いの方法は?
キュプラには「摩擦に弱い」という性質があるため、擦るのではなく「押し洗い」がおすすめ。押し洗いは汚れを優しく押し出すようなイメージで洗う方法です。30秒程度の押し洗いで、手早く洗濯していきたいところです。
洗いと同じ要領で、すすぎも洗剤を押し出すイメージで行い、洗剤をしっかりとすすぎます。キュプラの水に弱い性質から素早く脱水を終えたいところですが、脱水機を使ってしまうと、摩擦の原因なので、タオルドライを利用します。
タオルドライでの乾燥は、バスタオルなどに衣類を挟み衣類から水分を吸い取る方法です。バスタオルで挟んで乾かす方法なら、キュプラに必要以上のダメージを与えることがありません。
乾燥はどうするの?
乾燥は直射日光を避けた「陰干し」をします。なるべく素早く乾かしたいので、風通しの良い場所を選んで干すようにしましょう。
キュプラが使われた衣類の中には、値段の高いものも多いです。もしお気に入りの衣類なら、自宅で洗濯するよりもプロのクリーニング屋に依頼する方が確実で安心。
また、普段のメンテナンスとして、汗ジミなどを濡れタオルでサッと拭き取る方法もあります。こうすれば、洗濯する回数を減らすことができるでしょう。
まとめ
キュプラは、とても着心地の良い素材であるという反面、自宅でのお手入れが難しいという特徴を持っています。キュプラが使われている衣類には、値段の高いものも多いので、洗濯の仕方を間違って、ダメにしてしまうのだけは避けたいところ。
着心地が良く、独特の光沢により高級感もあります。注意点を守り、素敵な着心地のキュプラを長く愛用したいですね。