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野菜は冷凍できる?栄養は?
基本的にどんな野菜でも冷凍できますが、食物繊維や水分の多いものは冷凍保存には向いていません。食物繊維の多い野菜は解凍時に繊維を囲む組織が空洞化して、筋っぽさが強調されてしまいます。
一方、水分の多い野菜は凍結時に氷結晶が大きくなるので、味や食感が変わりやすいです。しかし、栄養価が落ちるということは考えにくく、むしろ冷凍したほうが野菜の栄養を逃がさずに済むことも。それでも1ヶ月以内に使い切るのが理想でしょう。
野菜を美味しく冷凍保存するコツ
国産野菜を冷凍後解凍すると、水っぽくべちゃっとしたりスカスカになったりと、美味しくない状態になってしまった経験がある人は多いかもしれません。
これは冷凍に時間がかかるのが原因です。野菜の水分が凍る際にできる氷結晶が細胞や組織を破壊し、さらに解凍で氷が溶ける際に野菜に空洞ができ食感が悪くなってしまいます。
急速凍結の技術により、市販の冷凍野菜ではこうした問題を解決できました。しかし、家庭用の冷凍庫では叶わないので、できるだけ早急に凍らせられるように工夫することが大切です。
水分はなるべく減らす
野菜に水分が付いていると、それだけ冷凍に時間がかかってしまいます。水気を拭き取ったり絞ったりして、極力水分を減らしてから冷凍するようにしましょう。
下調理後は冷めてから
下茹でなどしてから冷凍する場合は、粗熱をとった後に水気を拭き取ってから冷凍するようにしましょう。冷ましてから冷凍しないと、野菜が冷凍されるまでに時間がかかるだけではなく、野菜についた湯気が余分な水分として付着してしまいます。
平にして冷凍庫へ
冷凍する野菜はなるべく平たくして入れることで、表面積が増え冷却効率が上がりより早く冷凍することができます。冷凍保存できる容器や袋にはなるべく平らに野菜を敷き詰めるようにしましょう。
野菜は小さくする
大きな野菜に火が通りにくいのと同じで、野菜を冷やす場合も大きな野菜ほど芯まで凍りにくくなっています。大きな野菜は刻んで小さくすることで早く凍らせることができます。玉ねぎなどはみじん切りにしておくと、解凍せずに調理できて便利です。
アルミのバットに乗せる
熱伝導に優れたアルミのバットに野菜を乗せて凍らすと、冷気が野菜全体に行き渡りやすくなり冷凍時間を短縮できます。アルミホイルで包んでも同様の効果が得られます。
冷凍保存できる野菜と解凍方法
スーパーの定番野菜は、多くが冷凍保存できます。解凍方法まで説明します。
キャベツ
冷凍方法
炒めて冷凍しても構いませんが、生のままか、さっと茹でてから冷凍庫へ入れるのがおすすめです。生の場合は小さく切ると、解凍時に繊維の筋が気になりません。ビタミンCやUといった水溶性ビタミンは加熱により流出しますが、冷凍によって失われることはありません。
保存期間
生の場合は2週間~1ヶ月、茹でた場合は1~2ヶ月以内に消費しましょう。
解凍方法
凍ったまま調理に使うと良いですが、漬物やサラダなどに使う場合は冷蔵庫で解凍するか、袋に入ったまま氷水に漬けて解凍します。
人参
冷凍方法
好きな大きさに切って熱湯で硬めに茹で、粗熱と水分を取ってから冷凍します。生のままか炒めてから冷凍することも可能です。
保存期間
1~2ヶ月を目途に使い切りましょう。生の場合は2~3週間です。
解凍方法
凍ったまま料理に使います。生で使うときは冷蔵庫で半解凍状態にしてから使用すると良いでしょう。
たまねぎ
冷凍方法
みじん切りや薄切りにしてから、生のまま冷凍します。あめ色たまねぎにして良いでしょう。
保存期間
生の場合2~3週間、加熱した場合1ヶ月ほどで使い切ると良いです。
解凍方法
凍ったまま料理に使います。
トマト
冷凍方法
ヘタを取り、皮を剥かずにざく切りにして冷凍すると、使い勝手が良いですよ。ヘタを取るだけで丸ごと冷凍、またはトマトソースにしてからの冷凍も可能です。
保存期間
生の場合2週間以内に、ソースの場合は1ヶ月以内に使ってください。
解凍方法
ざく切りの場合はそのまま料理に使います。丸ごとの場合は流水で洗うとつるっと皮が剥けるので、その後好きな大きさに切って調理します。ソースは冷蔵庫で自然解凍してください。
白菜
冷凍方法
炒めても悪くありませんが、基本的に生のままざく切りにして冷凍します。
保存期間
2週間~1ヶ月を目安に使い切ります。
解凍方法
凍ったまま使うと良いですが、炒め物にする場合は水分が出るので、冷蔵庫で自然解凍した後、軽く水気を絞って使います。
大根
冷凍方法
皮を厚めに切り、3~4cm厚さの輪切りにして冷凍庫へ入れます。短冊切りやいちょう切り、千切りでも、さらにすりおろしても良いです。加熱後に冷凍するときは味付けしてからがおすすめです。
保存期間
2週間~1ヶ月が目安です。
解凍方法
冷凍のまま使うのが基本で、すりおろした場合は冷蔵庫で自然解凍します。大根は水分を多く含むので、解凍後にぶよぶよの美味しくない食感になることがあります。焦げ目が付くくらいしっかり炒めたり、長めに煮たりすると気にならなくなるでしょう。
小松菜
冷凍方法
適度な大きさに切って生の状態で冷凍すると、ビタミンCが流出せずに保存できます。茹でてから冷凍するときは、さっとお湯にくぐらす程度でOKです。
保存期間
生の場合は2~3週間、茹でた場合は1ヶ月くらいで食べきりましょう。
解凍方法
そのまま料理に使うのが基本です。
オクラ
冷凍方法
塩をまぶしてまな板を使い板ずりをして、ヘタの硬いガクの部分だけカットしてから生のまま冷凍します。スライスして冷凍しても良いです。
保存期間
約1ヶ月が目安です。
解凍方法
そのまま調理に使います。
調理後の野菜は冷凍できる?
調理後の野菜も基本的に冷凍できます。しかし、もやしや葉物などは解凍時に水分が出やすいので注意が必要です。凍ったまま調理するのではなく一、度冷蔵庫や氷水で解凍した後に水気を取ってから調理するようにしましょう。
ジャガイモなどのでんぷんが多い野菜もスカスカの食感になるため、あまり向いていません。インゲンの肉巻きなど、肉と一緒に調理したものだと脂や旨味が加わっているので、解凍時も味の変化が少ないです。
冷凍できる野菜のおかず
おかずを冷凍保存しておけば、忙しくてご飯作りが難しい日や突然のお弁当の日も安心です。簡単に作れて冷凍保存できる野菜のおかずを作り方と共に紹介します。
きんぴらごぼう
材料
- ごぼう:200g(細2本)
- 人参:100g(1本)
- ごま油:大さじ1
- みりん:大さじ3
- 酒:大さじ1
- 醤油:大さじ1
- 炒りごま:少々
ごぼうと人参を細切りにします。ごぼうは水にさらしてアクを抜いておきます。細切りにした人参とごぼう(アク抜き)をごま油を熱したフライパンで軽く炒め、大さじ2のみりんと大さじ1の酒を入れて汁気が少なくなるまで炒めます。
汁気がなくなったら大さじ1の醤油を回しいれてさらに炒めます。調味料が行き渡ったら弱火にして大さじ1のみりんを投入し、いりごまをふって汁気を飛ばしたら出来上がりです。
かぼちゃの煮物
材料
- かぼちゃ:1/4個(500g)
- 酒:大さじ1
- みりん:大さじ1
- しょうゆ:大さじ1
- 砂糖:大さじ1
- 水:100mL
かぼちゃ1/4個の種を取り除いたら一口大に切ります。この時皮もところどころそいでおくと味が染みやすいです。1口大に切ったかぼちゃは皮目を下にして鍋に敷き詰めます。
酒とみりん、醤油、そして砂糖を大さじ1ずつと水100mLを加えて蓋をし、火をかけます。煮だったら蓋を外して落し蓋をし、弱火にかえてコトコト煮込みます。かぼちゃが柔らかくなったら完成です。
筑前煮
材料
- 鶏モモ肉:250g
- こんにゃく:1枚(250g)
- れんこん:1節(200g)
- にんじん:1本(150g)
- ごぼう:細1本(100g)
- 酒:大さじ2
- みりん:大さじ1.5
- 砂糖:大さじ1.5
- 水:100mL
- しょうゆ:大3
こんにゃく1枚は小さく切って下茹で、ごぼう1本とれんこん1節は一口大に切った後に水にさらしてあく抜きをします。人参と鶏モモ肉も一口大に切っておきます。
油を熱した鍋に一口大に切った鶏モモ肉を入れて、表面の色が変わるまで中火で炒めます。炒め終わったら、こんにゃくやごぼう、人参などの野菜を投入し炒め合わせます。
その後酒大さじ2とみりんと砂糖各大さじ1.5、水100mLを入れて蓋をして煮立たせます。煮立ったらふたを取り、醤油大さじ3を入れて落し蓋をして弱火で20分煮、汁気が程よく少なくなったら完成です。
野菜を冷凍する時の注意点
野菜を冷凍するときは、以下のことに気をつけましょう。
冷凍用保存袋を使用
空気に触れると野菜の劣化が速まるので、野菜は冷凍用保存袋に入れて、空気を抜いて冷凍しましょう。小分けにするときは、ラップで包んでから冷凍用保存袋に入れると良いですよ。
でんぷん質の多い野菜はマッシュする
ジャガイモなど、でんぷん質が多い野菜は冷凍によって食感が損なわれてしまうため、マッシュしてから保存すると良いでしょう。電子レンジを利用すれば簡単にマッシュを作れます。
水分は厳禁と考える
前項で説明した通り、水分が多いと野菜が凍るまで時間がかかり、解凍時も余分な水分が出て美味しくなくなります。水分は冷凍保存には厳禁!と意識して極力取り除きましょう。
トマトの種の部分は旨味があるので取り除かなくて良いのですが、大根をおろしはある程度水分を絞って冷凍しましょう。
賢く美味しく!野菜の冷凍保存を活用しましょう
旬の野菜を買っても使わずに冷蔵庫で保存しておくと、どんどん栄養が逃げてしまいますが、冷凍保存をすれば新鮮に保つことができます。キャベツや白菜などを小さく切って冷凍しておくと解凍時にしんなりするので、餃子の種を作るのも簡単です。
また、あめ色たまねぎを作り置きしておけば気軽に本格カレーも作れますよ。色々な野菜を凍らせて、日々の料理を楽にしてください。