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タンス貯金で後悔しないために知っておくべきこと
タンス貯金は、急な出費に備えるために古くから親しまれてきた方法です。しかし、現代社会においては、そのリスクがかつてないほど高まっています。日本銀行の統計によると、2021年時点でタンス貯金の総額は100兆円を超えており、多くの人々がこの方法を選択していることがわかります。
現金をタンスに貯めることは、手軽で安心だと感じるかもしれません。しかし、実際には多くのリスクが潜んでいます。現在の社会状況や金融環境を考えると、タンス貯金のデメリットがこれまで以上に明らかになってきています。
タンス貯金とは、単に生活費として財布に入れておくお金以外に、まとまった資金を自宅に保管することを指します。その保管場所は実際のタンスに限らず、冷蔵庫や仏壇の中、靴箱など、様々な場所が選ばれています。
では、タンス貯金の具体的なリスクについて深掘りしてみましょう。
タンス貯金してはいけない7つの理由
タンス貯金には、表面的には見えにくいリスクが多々あります。以下に、その代表的な7つの理由を挙げます。
1. 盗難や災害で失う危険がある
自宅に現金を保管していると、泥棒に入られたり、地震や火災などの災害でお金を失ったりするリスクが常に伴います。近年、自然災害の頻度が増していることを考えると、このリスクは決して無視できません。
2. 税務署に目をつけられる可能性がある
多額の現金を保有していると、税務署の監視対象になるリスクがあります。国税庁が運用するKSKシステム(国税総合管理システム)により、不自然な資金の動きが検出される可能性があります。例えば、突然多額の現金を銀行に預け入れた場合、その資金の出所を説明できない場合には、税務調査の対象となる可能性があります。
3. 保管場所を忘れるリスクがある
人は誰しも年を取ります。加齢や認知機能の低下により、貯めたお金の存在や保管場所を忘れてしまうリスクも考慮する必要があります。家族にも場所を共有していない場合、いざという時にお金を取り出せないこともあり得ます。
4. 利息がつかず、資産が増えない
タンスに現金を保管しても、そこからは何も生まれません。銀行に預ければ利息がつき、投資に回せば資産が増える可能性がありますが、タンス貯金ではその機会を逃してしまいます。
5. インフレによる資産価値の目減り
タンス貯金は、インフレによる資産価値の低下に対して無防備です。例えば、年2%の物価上昇があった場合、1,000万円のタンス貯金の価値は5年後に約900万円、10年後には約800万円相当にまで減少してしまいます。この目に見えないリスクは、長期的な資産管理において大きな問題となります。
6. 相続時のトラブルリスク
タンス貯金は、相続時に大きなトラブルの種となる可能性があります。銀行預金とは異なり、客観的な残高を証明する手段がないため、相続人間で金額について争いが生じる可能性があります。また、相続税申告の際にも、適切に財産として計上しないと脱税とみなされるリスクがあります。
7. お金が使えなくなる恐れがある
旧紙幣は法的には引き続き有効ですが、極端に古い紙幣は一般的な店舗や自動機械では使用できない場合があります。このような場合、銀行で新しい紙幣に交換する必要がありますが、すぐに現金が必要な状況では、タンス貯金している現金がすぐに使えなくなるリスクがあります。特に新札が発行された際には、旧札が流通しにくくなるため、こうした不便が生じやすくなります。
これらの理由から、タンス貯金は現代社会においては非常にリスクの高い資産管理方法だと言えます。では、どのような代替方法があるのでしょうか。次に、より安全で効果的な資産管理方法について考えてみましょう。
タンス貯金のメリットは?少額なら問題ないかも…
もちろん、タンス貯金にもメリットはあります。例えば、ATM手数料を気にせずに現金をすぐに利用できたり、銀行口座が凍結された場合でも支払いが可能だったりします。小額であれば税務署の監視を避けられるという点もあります。
また、銀行が破綻した場合のペイオフ制度の影響を受けないことも、タンス貯金のメリットの一つとして挙げられます。ペイオフ制度では、銀行破綻時に預金者一人当たり1,000万円までしか保護されないため、それ以上の金額を持つ人にとっては一定の安心感があるかもしれません。
しかし、これらのメリットはあくまで小規模な貯金に限られたものであり、大きな金額をタンスに保管することは、非常にリスクが高い行為です。リスクを分散させるためにも、銀行預金や投資商品を活用する方が賢明です。
安全で効果的な資産管理方法
タンス貯金のリスクを避けつつ、効果的に資産を管理する方法はいくつかあります。以下に、おすすめの方法をいくつか紹介します。
分散型の銀行預金
複数の銀行に預金を分散させることで、ペイオフのリスクを軽減しつつ、安全に資産を管理することができます。また、普通預金と定期預金を組み合わせることで、流動性と利回りのバランスを取ることも可能です。
投資信託の活用
投資信託は、専門家が運用を行うため、個人で株式投資を行うよりもリスクを抑えつつ、資産の成長を期待できます。初心者でも始めやすい商品が多いのも特徴です。
NISA(少額投資非課税制度)の利用
NISAを利用すると、年間の投資枠内で得た利益が非課税となります。長期的な資産形成に適した制度であり、タンス貯金の代替手段として検討する価値があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入
iDeCoは、老後の資金づくりに適した制度です。掛け金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税となるため、税制優遇を受けながら資産形成を行うことができます。
少額の現金は金庫で保管
緊急時のために少額の現金を手元に置いておきたい場合は、自宅用の小型金庫を利用するのも一案です。ただし、あくまでも少額に留め、大部分の資産は他の方法で管理することをおすすめします。
これらの方法を組み合わせることで、リスクを分散しつつ、効果的な資産管理を行うことができます。自身の生活スタイルや将来の目標に合わせて、最適な資産管理方法を選択することが重要です。
資産管理の方法は個人の状況によって異なります。自身のライフスタイルや将来の目標、リスク許容度などを考慮し、専門家のアドバイスも参考にしながら、最適な資産管理戦略を構築することをおすすめします。
まとめ
タンス貯金は、一見安心に見えますが、現代社会では多くのリスクを伴います。盗難や災害、インフレ、税務問題など、様々なデメリットがあります。より安全で効果的な資産管理のためには、銀行預金や投資信託、NISA、iDeCoなどを活用することをおすすめします。
自身の状況に合わせて、これらの方法を組み合わせることで、将来の安心につながる資産管理が可能になります。専門家のアドバイスも参考にしながら、最適な戦略を構築しましょう。