目次
キャノーラ油の特徴
キャノーラ油は体に悪いという話もありますが、本当でしょうか?
結論から先に言いますと、キャノーラ油が体に悪いと研究で証明されてはいません。ただし、キャノーラ油には多くの種類がありますので、安全な原料を使っているキャノーラ油を選ぶことで体に悪いかもしれないという心配は無くなります。
キャノーラ油とは?
キャノーラ油は、キャノーラという植物を原料として作られた油になります。キャノーラとは、菜種油に使われているセイヨウアブラナを改良した品種で、カナダで開発された新種の菜種になります。
キャノーラとは、「カナダ(CANADA)」と「Oil low acidの略(Ola)」を組み合わせて考案された言葉になるそうです。キャノーラを原料として作られたキャノーラ油には、従来の菜種油とは全く違う特性があると言われています。
キャノーラ油と菜種油の大きな違いは、エルカ酸(エルシン酸)とグルコシノレートという成分の有無になります。一般的な菜種油には、この2つの成分が含まれていますが、キャノーラ油には、これらの成分が含まれていないそうです。
これら2つの成分は、摂りすぎると健康に悪影響があると言われています。エルカ酸は、過剰摂取が心疾患の原因になる可能性が実験結果により指摘されており、WHOが警告を出しています。また、グルコシノレートも、動物の甲状腺に異常きたすといった実験結果があります。
しかし、過去のある時期においてエルカ酸がキャノーラ油に含まれており、こういったことから、キャノーラ油は体に良くないという説が流れましたが、香港食物環境衛生署食物安全センターが2011年にこの説を否定しています。
また、2019年に欧州連合(EU)もエルカ酸の低い品種を使用することで、低減を達成することは可能と発表しています。
キャノーラ油は健康に良い?
キャノーラ油には、健康に良いとされている、オレイン酸やビタミンEが、菜種油よりも多く含まれている特徴があります。
このオレイン酸は、健康に良いとされているオリーブオイルにも多く含まれており、その成分は酸化しにくく、血中の悪玉コレステロールを減らす働きがあると言われているそうです。
オレイン酸は、この悪玉コレステロールだけを減らすことで血管を健康に保ち、善玉コレステロールはそのまま減らさない働きがあると言われています。
これに加えて、抗酸化能力が高いビタミンEも多く含んでいることから、油の酸化や体の内側の酸化も予防する働きがあると考えられています。
また、キャノーラ油は風味が良く加熱にも強いため、炒め物や揚げ物に向いており、揚げ物はカラっと揚がるため人気があります。
キャノーラ種の菜種は、健康に悪影響があると言われているエルカ酸とグルコシノレート成分を取り除く改良を年々重ねていると言われており、キャノーラ油の原料となるキャノーラ自体には健康被害に結びつくような成分は少ないと言われています。
《 ポイント 》
- キャノーラ油は、キャノーラという植物を原料として作られた油。
- キャノーラ油にはオレイン酸やビタミンEが、菜種油よりも多く含まれている。
「キャノーラ油は体に悪い」と言われている理由
ここまで調べてきて、特にキャノーラ油が極端に体に悪いといった決定的な事故や実験結果などは見当たりませんでしたが、キャノーラ油が体に悪いと言われている理由を見つけることができました。
キャノーラ油の原料のキャノーラは遺伝子組み換え作物?
キャノーラは先にご紹介した通り、海外で開発された菜種を原料としています。
輸出元の海外によっては、遺伝子組み換え作物と従来からの遺伝子組み換えではない作物とを区別せずに扱われています。また、遺伝子組み換え不分別の作物、遺伝子組換えの作物を使用して作られているものも多くあるようです。
国内のメーカーによっては、この件についてホームページのQ&Aのコーナーにおいて、明確に遺伝子組み換え不分別の作物の使用を認めているケースがあります。
遺伝子組み換え不分別の作物の中には菜種も含まれていることから、キャノーラ油はこの遺伝子組み換え不分別の作物の使用がされている商品が多いと考えられ、近年キャノーラ油は体に悪いといわれる原因となっているようです。
安価な油のほとんどで使用されているノルマルヘキサン
植物から油を抽出する際、ノルマルヘキサンという有機溶剤を使います。ヘキサン液にキャノーラなどを漬けることによって油が溶出されます。それを加熱すると、ヘキサンは69度以上で蒸発するので溶出した油だけが残ります。
この時点で、この油にはまだ多くの不純物が含まれているため、それらを除去していきます。リン脂質を主成分とする澱(おり:液体中に沈んだカス)を除去するためにリン酸を使用し、油の中にある遊離脂肪酸を除去するため苛性ソーダを加えてから遠心分離機にかけます。
また、固有の色を抜くための脱色に活性白土が使われます。最終製品工程では、酸化防止剤のクエン酸を添加し、業務用の油には消泡剤としてシリコンが添加されます。
ノルマルヘキサンは加熱によって蒸発し、製品には残留しませんが、これ以外に油を精製するために様々な化学薬品が添加されます。
精製までに使用されるこれらの化学薬品のについては、商品のラベルには記載がありません。そして大量生産キャノーラ油については、多くの商品がこの製法によって製品化されているため、キャノーラ油は健康に悪いと言われる一因となっているようです。
ノルマルヘキサンはキャノーラ油に限らず、大量生産のコーン油など、他の原料の油の製品においても一般的に使用されています。
《 ポイント 》
- キャノーラ油の種類によって、原料のキャノーラは遺伝子組み換え作物もある。
- 油を精製するために様々な化学薬品が添加されている。
キャノーラ油の危険性を気にしないでいい理由
キャノーラ油は、体に悪いといわれている理由の1つにキャノーラ油は認知症に影響があるという話があります。
それはアメリカのテンプル大学で行われた研究で、キャノーラ油をたっぷり使った食事をとったマウスの記憶力が低下したからです。ですが、あくまでもマウスだけの結果であって人への影響は証明されていません。
キャノーラ油に含まれる物質で認知症の原因となる物質は少なく、認知症に影響するほどのものでは無いので気にしなくて良いようです。
キャノーラ油が人体へ影響を及ぼすことは実証されていません。キャノーラ油が痴呆症に影響するという話は過剰表現でしょう。
また植物から油を抽出する際、ノルマルヘキサンという有機溶剤(化学物質)がキャノーラ油に残留されると懸念されています。
ですがノルマルヘキサン油は、加熱処理中に完全に取り除かれますので心配しないで良いそうです。実際にキャノーラ油には残りませんので心配はいりません。
キャノーラ油ではない安全な菜種油の選び方とは
安全な菜種油の選び方のポイントは「原料」と「製法」です。原料は国産の菜種であること、製法は圧搾法を選びましょう。
遺伝子組み換えでない国産の原料を選ぶ
菜種油の原料になる菜種のほとんどは輸入品で、キャノーラ油の9割以上はカナダから輸入されており、カナダで栽培されている菜種の98%が遺伝子組み換えのようです。
輸入品の中には非遺伝子組み換えもあると思いますが見分けることは難しいです。国産の菜種は遺伝子組み変えしていませんので、国産の菜種を使っているものをおすすめします。
圧搾法で抽出されたものを選ぶ
「圧搾法」で抽出された菜種油は、ビタミンや抗酸化物質を多く残すことができるといわれている方法です。
最後に
キャノーラ油が体に悪いと言われる理由の多くが過剰表現や誤った情報が原因のようですね。
キャノーラ油には体に良いオレイン酸やビタミンEなどの素晴らしい栄養素が含まれています。オレイン酸は血中の悪玉コレステロールを減らす働きがあり、ビタミンEは抗酸化作用が高く血液をさらさらにする働きもします。
また、ビタミンEはアンチエイジングとしての効果もあります。それを考えたらヘルシーな油と言えるでしょう。キャノーラ油を選ぶ時は、非遺伝子組み換えのキャノーラ油をおすすめします。