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ニラを食べすぎるとおこる体調不良と原因
どんなに栄養価の高いニラでも食べ過ぎはよくありません。全く影響を受けない人もいますが、ほとんどの人が体調不良を引き起こしてしまいます。
ニラを食べ過ぎると引き起こる可能性のある症状には次のようなものがあります。
腹痛
ニラを食べ過ぎると腹痛を引き起こすことがあります。
ニラに含まれるアリインという成分を摂り過ぎることで胃壁を傷つけ壊してしまうからです。普段に起こる胃痛と同じように胃がキリキリと痛みます。
下痢
ニラを食べ過ぎると下痢を引き起こすことがあります。
ニラに含まれるアリインは酵素と反応することでアリシンという硫黄性化合物へと変化します。
このアリシンには抗菌作用と殺菌作用があるのですが、悪い菌ばかりではなく良い菌にまで抗菌作用と殺菌作用を発揮してしまうんです。
そうすると、腸内に住んでいる善玉菌にまで影響を及ぼします。腸内環境が悪くなり、下痢を引き起こすというわけです。
胸や胃が気持ち悪い
ニラを食べ過ぎると胸や胃が気持ち悪いなどの不快感を引き起こすことがあります。
胃から食道への胃酸の逆流が主な原因ですが、ニラを食べ過ぎてしまい、胃の運動機能が低下してしまったことが考えられます。
これはニラに限ったことではなく、食べ過ぎが原因で引き起こされることがあります。
口の中が気持ち悪い
ニラを食べ過ぎると口の中に不快感を引き起こすことがあります。とくにニラの臭いは口の中に残りやすく、歯磨きをしてもほとんど取り除けません。
口の中にニラ独特の臭いが残り続け、口の中だけではなく、胸やけのような気持ち悪さや吐き気の原因になってしまうこともあります。
食べすぎにならないニラの量の目安はどれぐらい?
一般的なニラ1束の量と重さですが、大きなサイズのニラで200gほど、小さなサイズのニラで100gほどです。
そして、厚生労働省から推奨されている1日の野菜の摂取目安量は350gです。そのうちの120g以上が緑黄色野菜であることが目標として定められています。
小さなサイズのニラ1束でも1日の緑黄色野菜の摂取量目安をほぼ満たすことができます。
ニラ100gほどであれば食べ過ぎと言うほどの量ではないと思いますが、色んな緑黄野菜から栄養素を摂り、バランスよく食べることが大切です。
ちなみに、ニラを使った人気レシピであるニラレバですが、2人分のレバニラに使うニラの量は1束100gほどであることがほとんどです。
1人分で計算すると50gほどとなります。この量であれば美味しく料理を作ることができ、ニラの食べ過ぎにもならない安全な量なのではないでしょうか。
ニラ本来の効能や栄養素について
食べ過ぎると体調不良を引き起こすなどデメリットのあるニラですが、本来は健康食材として美容食材として重宝されている野菜です。
ニラが持つ栄養素とその効能については次の通りです。
カリウム
ニラ100gあたりにはカリウム510mgが含まれています。
カリウムの主な効能は、神経刺激を伝達することや心臓や筋肉の機能を調整することなどです。
また、カリウムの働きによって腎臓内でのナトリウムの再吸収を抑制し、尿への排出を促進します。そのため、血圧を下げる効能があります。ニラから摂取されたカリウムは小腸で吸収され、全身の組織へと運ばれます。
カリウムは、成人の体内に200gほど存在します。
ほとんどは腎臓の働きによって排出されるのですが、その働きによって血液中のカリウム濃度が正常に保たれるようになっていますので、ニラの食べ過ぎでカリウムを摂り過ぎてしまっても健康な体(健康な腎臓)なのであれば問題ありません。
成人男性のカリウムの1日の摂取量目安は2500mgほど、成人女性では2000mgほどです。これは、体の中のカリウムを維持するための適正量です。
カルシウム
ニラ100gあたりにはカリウム48mgが含まれています。
カルシウムの主な効能は、歯や骨を形成する材料となること、ストレスやイライラを緩和させること、心臓の筋肉の機能を正常に保つことなどです。
カルシウム不足を補うことには、高血圧や動脈硬化を予防する効能もあります。
体の中には体重の1%~2%分のカルシウムが含まれており、体の中に存在するミネラルの中で最も多い成分です。骨・歯・血液・筋肉・神経などの軟組織に存在します。
ニラから摂取されたカルシウムは小腸で吸収されますが、吸収率はあまり高くありません。成人の方でも20%ほどの吸収率です。
成人男性のカルシウムの1日の摂取量目安は700mgほど、成人女性では650mgほどです。
ニラの食べ過ぎによってカルシウムを過剰摂取してしまうと高カルシウム血症を引き起こすことがあります。
成人の方のカルシウムの1日の摂取量は2500mgまでとされています。
葉酸(ようさん)
ニラ100gあたりには葉酸100㎍が含まれています。
葉酸はビタミンの一種で主な効能は、ビタミンB12と一緒に赤血球の生産を助けることです。また、細胞の分裂や成熟を左右する成分であるため、胎児の成長に欠かすことのできない栄養素でもあります。
妊娠を望む女性や妊娠中の女性、授乳中の女性への摂取が推奨されています。胎児の成長をサポートするだけではなく、先天性異常のリスクを減らすとされています。
成人男性および女性の葉酸の1日の摂取量目安は240㎍ほどです。
ニラを食べ過ぎると腹痛や下痢を引き起こすことがありますが、ニラから過剰摂取された葉酸によって健康被害が引き起こされる可能性はほとんどありません。
効能をより高めるためにはビタミンB12とバランスよく摂ることをおすすめします。
ビタミンC
ニラ100gあたりにはビタミンC19mgが含まれています。
ビタミンCの主な効能は、コラーゲンの生成です。さらには、軟骨や歯や毛細血管を正常に保つための役割があります。
体の中のビタミンCが不足するとコラーゲンを合成することができず、血管がもろくなります。
血管がもろくなると出血し、貧血・呼吸困難・心臓障害・筋肉の減少などの症状が引き起こされます。イライラし、感情を上手くコントロールすることができなくなるといった症状が引き起こされる人もいます。
美容面での効能は、メラニン色素の生成を抑制することにより、そばかすやシミができることを防ぎます。
私たちの体の中ではビタミンCを合成・生成することができないため、食品から摂取する必要があります。
成人男性および女性のビタミンCの1日の摂取量目安は100mgほどです。
ニラから過剰摂取されたビタミンCによって健康被害が引き起こされる可能性はほとんどありませんので、上限は設けられていません。
最後に:ニラの食べ過ぎによる体調不良を防ぐためには1日の摂取量を50gに抑える
ニラを食べ過ぎると体調不良を引き起こすことがありますが、腹痛を引き起こす原因はニラに含まれるアリイン、下痢を引き起こす原因はニラに含まれるアリシンという成分の作用によるものです。
ニラレバなどのニラを使った人気レシピに使われる2人分の量が100gほどであることから、1日に50g程度のニラであれば食べ過ぎにならず、体調不良の原因になることもないのではないかと思われます。
ニラには健康や美容に良いとされる栄養素が豊富に含まれていますが、他の野菜や食材に含まれる栄養素とバランスよく合わせて摂ることが大切です。
ニラは3月~5月に旬を迎える食材です。食べ過ぎには十分に注意しつつ、旬の時期にも美味しく料理に取り入れてみてください。