布団たたきは逆効果?叩いてはいけない理由と正しいお手入れ方法

布団を干したあと、布団たたきで叩くのは昔からの習慣ですが、実は逆効果になることをご存知でしょうか?叩くことの弊害と正しい手入れ方法を解説します。

布団を叩くのは昔からの習慣だけど…

布団たたきと布団ばさみ

天気の良い日に外で干した布団を取り込むとき、パンパンと叩く光景を見たことがある人も多いでしょう。昔から「布団は叩いてホコリを落とすもの」とされてきました。

しかし、実はこの習慣はあまり良い方法ではありません。

布団を叩くことは、一見するとホコリや汚れを落としているように見えますが、実際には布団にとっても人にとっても悪影響があるのです。

以下の章で、なぜ布団を叩く行為がよくないのか、その理由について詳しく見ていきます。

布団を叩いてはいけない6つの理由

布団を叩く行為は、想像以上に多くの問題を引き起こしています。単にホコリを落とすつもりが、結果的に健康を害したり、ご近所とのトラブルの原因になったりします。

ここでは、布団を叩くのがよくない理由を一つひとつ丁寧に説明します。

1. ダニやホコリを逆にまき散らす

布団を叩くことでホコリが舞い上がるため、きれいになった気がするかもしれませんが、実際は逆効果です。

叩いた衝撃で布団内部にあるダニの死骸やフン、微細なホコリなどが細かく砕け散り、空気中に大量に飛散します。これらはアレルギーの原因となるハウスダストとして体内に吸い込まれやすく、喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの症状を悪化させる恐れがあります。

また、生きているダニは危険を感じると布団の奥深くへ逃げ込んでしまうため、叩くことでダニを取り除くことは難しいのです。むしろ叩かない方がダニを効果的に処理できる方法につながります。

2. 布団の寿命を短くする

布団を強く叩くと、布団に使われている中綿や羽毛の繊維がちぎれたり傷んだりしてしまいます。

特に羽毛布団の場合、叩くことで羽毛が壊れてしまい、保温性が著しく低下します。繊維が傷むことで布団全体が薄くなり、クッション性や寝心地も損なわれてしまいます。

布団は一日の約3分の1を共に過ごす寝具です。そのため、できるだけ傷めずに大切に扱うことが必要です。叩くことが布団に与えるダメージを理解し、寿命を長持ちさせるための適切なケア方法を実践することが重要なのです。

3. 近所迷惑や騒音トラブルの原因になる

布団を叩く音は意外に大きく、生活騒音として問題視されています。特にマンションやアパートなどの集合住宅では、布団叩きの音が響きやすく、近隣から苦情が出たり、時には裁判沙汰になるケースも報告されています。

実際、布団を叩く音は最大で約70〜80dB(デシベル)にも達すると言われています。この音量は交通量の多い道路の騒音に匹敵し、日常生活にストレスを与える可能性があります。

近隣トラブルを避け、良好な人間関係を維持するためにも、布団を叩かず静かな方法でお手入れをすることが求められます。

4. 布団にホコリがつきやすくなる

布団を叩く行為はホコリを払っているように見えて、実際はホコリをさらに引き寄せてしまうこともあります。叩くことで布団の表面に静電気が発生し、その静電気が新たなホコリや花粉を引き寄せてしまうのです。

結果的に布団を清潔に保つどころか、さらにホコリまみれにしてしまう可能性があるため、叩くことは避けるべきです。

布団を清潔に保つためには、表面を静電気が起きないようにやさしく払い、その後のケア方法でホコリを適切に処理することが大切です。

5. 布団の汚れを取る効果がほとんどない

「布団たたきで叩けば、布団の汚れが落ちる」と信じている人は多いですが、これは科学的にほとんど効果がないことが分かっています。

表面についた土ぼこりや花粉は叩けば多少落ちるかもしれませんが、布団内部に溜まったダニの死骸や微細なホコリ、皮脂汚れなどは布団の繊維にしっかり絡まっており、叩いても取れません。

叩くことは労力の割に清掃効果が低く、むしろ前述のようなデメリットが目立ってしまいます。叩くこと以外の方法で、布団を本当に清潔に保つ方法を取り入れることが大切です。

6. 布団本来の機能が損なわれる

布団には身体を支え、快適な睡眠を助けるためのクッション性や保温性、通気性といった大切な機能があります。強く叩くことで、布団の生地や内部の構造が変形し、こうした本来の機能が損なわれてしまいます。

羽毛布団や綿布団は特に叩くことにより空気の層が失われ、ふんわりとした風合いや保温性能が大きく低下します。長く快適に布団を使い続けるためには、布団にダメージを与えず、本来の性能を維持できるような優しいケアを心がけましょう。

布団たたきの正しい使い方とお手入れ方法

布団を叩く行為が良くないことは理解いただけたでしょうか。しかし、布団たたきそのものが悪い道具なのではありません。重要なのは、布団たたきの正しい使い方と、それに続く効果的なお手入れ方法を知ることです。

以下では、具体的な方法をわかりやすく解説します。

布団たたきは「叩く」道具ではなく「払う」道具

布団たたきは、もともとは布団に付いた表面の花粉や土ぼこりを払い落とすための道具です。つまり、布団を強く叩くのではなく、表面をやさしくなでるように動かすことが正しい使い方です。力を入れず軽く払い落とすだけで、十分に表面のホコリや花粉は落ちます。

正しい布団ケアの手順

布団を清潔に保つためには、以下の手順が効果的です。

  1. 布団を天日干しまたは布団乾燥機で乾燥させる
    (ダニを完全に死滅させるには布団乾燥機が推奨)
  2. 布団を取り込む前に、布団たたきで表面を軽く撫で、ホコリや花粉を払い落とす
  3. 布団を室内に取り込んだ後、布団専用ノズルを付けた掃除機でゆっくり丁寧に吸引する(片面につき数分程度)
  4.  シーツやカバーを定期的に洗濯し、清潔な状態を維持する

布団の素材によっては、布団乾燥機の使用や掃除機のかけ方に注意が必要な場合があります。布団を傷めずに長持ちさせるためには、素材に合った方法を確認しましょう。

まとめ

天日干しで布団を干す様子

布団たたきを使って強く叩く行為は、一見清潔に感じますが、逆効果になることが多いため注意が必要です。

近年では騒音トラブルの問題意識も高まっており、生活環境の変化とともに布団ケアの常識も変化しています。布団を清潔に保つためには、叩くという従来の習慣にとらわれず、布団乾燥機や掃除機など現代の家庭用品を活用したケアが効果的です。

新しい布団ケアの習慣を身につけ、家族やご近所の健康と生活環境を守りましょう。

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