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共働き夫婦の離婚率は本当に高いの?
近年、夫婦ともに働く「共働き夫婦」が増え続けています。2024年には日本の夫婦のうち約7割が共働きというデータがあります。一方、日本全体の離婚率(人口1,000人あたり)は2002年をピークに減少傾向にあり、現在は約1.5となっています。
しかし、年代や家庭環境によって離婚の傾向は異なります。特に30代前半の共働き夫婦は離婚率が高い傾向にあり、子育てやキャリア形成の負担が重なるこの時期に問題が起きやすいようです。
専業主婦家庭との違いは?
専業主婦家庭と共働き家庭では、離婚を切り出す側に明確な違いがあります。専業主婦家庭では離婚を言い出すのは約8割が夫側ですが、共働き家庭では約6割が妻側から離婚を切り出しています。
この差の背景には、女性が経済的に自立しているかどうかという点が大きく影響しています。
専業主婦家庭では妻の経済的自立が難しいため、離婚後の生活を心配して離婚をためらう傾向がありますが、共働き家庭では女性側も収入があるため、離婚へのハードルが下がっています。
共働き夫婦が離婚する5つの主な原因
共働き夫婦の離婚の原因には、専業主婦家庭とは異なる共働き特有の問題があります。主に次の5つが挙げられます。
①家事や子育ての負担が不公平だから
共働き夫婦でも家事や子育ての負担が妻に偏っている家庭が少なくありません。日本の調査では、子どもが6歳未満の場合、女性が家事育児に費やす時間は平均7時間以上ですが、男性は約2時間弱です。この差により、妻側の不満が蓄積しやすくなります。
よくあるケースとして、
- 子どもが病気のとき、迎えや看病がいつも妻任せになる
- 夫の家事協力が「手伝いレベル」で主体性がない
こうした状況が続くと妻は精神的・肉体的に疲れ果て、離婚を考えるようになります。
②お金の管理が夫婦別でわかりにくいから
共働き家庭では、お金の管理を夫婦別々にしていることがよくあります。そのため相手が何にどれだけ使っているのか把握できず、不信感につながりやすいのです。
例えば、
- 夫婦で生活費を折半するが、夫が趣味に多額を使い、貯金が増えない
- 教育費や家のローンなど大きな出費について十分話し合えていない
などが離婚の原因になることがあります。
③夫婦の生活リズムが合わないから
共働き夫婦の場合、お互いの仕事のスケジュールや休日が合わず、すれ違い生活が続くことがあります。顔を合わせる時間が少ないため、コミュニケーション不足になり、夫婦関係が冷えやすくなります。
例えば、
- 一方が夜勤や土日勤務で家族団らんの時間がない
- 一緒に過ごす時間が減り、会話が減少し、気持ちのすれ違いが増える
といった状況が典型的です。
④キャリアや将来の考え方が合わないから
共働き夫婦では、それぞれが仕事を持つために将来的なキャリアや働き方について意見が食い違うことがあります。特に、転勤や異動、出世を目指すか否かなどの問題は夫婦の将来設計に直結します。
例えば、
- 転勤を希望する夫と転職を望まない妻の意見が対立する
- 出産後も仕事を続けたい妻に対し、夫が専業主婦を希望する
などのケースでは、双方が自分のキャリアや価値観を譲れず、離婚に至ることがあります。
⑤経済的に自立していて離婚のハードルが低いから
経済的な自立は、離婚の選択肢を広げる一因になります。専業主婦家庭の場合、離婚後の経済的な不安から離婚をためらう妻が多いですが、共働き夫婦では女性自身が安定した収入を得ているため、我慢してまで婚姻関係を続ける必要性を感じない場合があります。
具体的には、
- 離婚しても生活できる収入があるため、些細な問題でも離婚を選択肢に入れる
- 経済力があるため、精神的ストレスを我慢しない傾向がある
といった状況が共働き夫婦に特有の問題として挙げられます。
共働き夫婦が離婚を避けるためにできる方法
離婚を避けるためには、原因を理解し、夫婦で問題に向き合うことが必要です。そのために役立つ具体的な対策を紹介します。
家事と育児の役割を「見える化」して話し合う
家事や育児の役割分担を曖昧にせず、やるべきことを「見える化」することで、不公平感を防げます。
具体例として、
- 1週間ごとに家事や育児のスケジュールを立て、役割を明確にする
- 定期的に家族で話し合い、役割分担を調整する
こうすることでお互いの負担を減らし、不満が蓄積することを防ぎます。
お金の管理方法を夫婦で決める
夫婦のお金の管理は共働き夫婦にとって重要な問題です。管理方法を夫婦で明確に決め、収入や支出を透明化することで信頼関係を深められます。
実践的な方法としては、
- 共同口座を作り、生活費や子どもの教育費などを管理する
- 家計簿アプリを共有し、お互いの支出を確認できる環境を作る
ことが効果的です。
夫婦で過ごす時間を作る工夫をする
共働き夫婦では生活リズムのすれ違いから夫婦関係が悪化しがちです。意識的に夫婦で過ごす時間を増やし、コミュニケーション不足を解消しましょう。
工夫できることとしては、
- 週に1回は夫婦だけでゆっくり話す時間を設ける
- 家族で共通の趣味や楽しめることを見つけ、会話を増やす
ことが夫婦関係の改善に役立ちます。
お互いのキャリアプランを理解しあう
それぞれの仕事やキャリアに対する考えを共有し、相互理解を深めることも重要です。
具体的には、
- 転職や転勤など、将来のキャリアに影響する出来事について事前に話し合う
- お互いの働き方に理解を示し、仕事への応援や協力の姿勢を示す
ことが離婚リスクを下げるポイントになります。
まとめ
共働き夫婦の離婚リスクは単純に「高い」「低い」と判断するのではなく、夫婦が直面する具体的な問題に着目することが重要です。特に若い世代では結婚生活の初期に問題が表面化しやすいため、この時期に互いの働き方や価値観を共有することが必要です。
また、離婚を避けるためには「我慢」よりも、「夫婦がチームとして問題を解決する力」を養うことがポイントです。日頃からお互いの負担や気持ちに配慮し、細かなコミュニケーションを積み重ねていく姿勢を持つことが夫婦円満の秘訣と言えるでしょう。