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子どもが感情的に泣くのは自然なこと
子どもは感受性が強く、大人がささいだと思うようなことでも強く心が揺さぶられます。そのため、大人から見ると理解しがたいような場面で泣いてしまうこともあるでしょう。
「そんなことで泣かなくても…」と感じてしまうかもしれませんが、子どもは自分の感情を言葉で正確に表現する術をまだ十分に身につけていません。自分の感情がうまく伝えられないもどかしさから、泣くという方法で感情を伝えようとしているのです。親がこの子どもの心理を理解し、感情を受け止める姿勢を持つことが非常に重要です。
しかし、親が感情的に対応してしまうと、子どもが否定的な感情を持つこともあります。
間違った対応が子どもの心を傷つける
子どもが泣いている理由を深く考えずに「泣かないの!」などと否定的な言葉をかけてしまうと、子どもは自分の感情そのものを否定されたような気持ちになります。
子どもにとって親は最も信頼できる存在ですが、その親から感情表現を拒否されると、自分自身が否定されているように感じてしまいます。すると、子どもは次第に感情を表に出すことを恐れるようになり、我慢や孤立を選ぶようになる可能性があります。親が子どもの感情を理解し、受け止めることが大切なのはこのためです。
子どもへの間違った言葉が与える影響を詳しく理解することで、対応の改善に役立てることができます。
泣いている子どもに言ってはいけないNGワード5選
子どもが泣いているときの対応次第で、その後の性格形成や自己表現に大きな影響を与えることもあります。親がついつい言ってしまいがちなNGワードを具体的に知って、日頃の対応を振り返ってみましょう。
1.「そんなことで泣かないで」
子どもが思い通りにならずに大泣きしてしまう場面はよくあります。親から見れば「また?」とうんざりする気持ちになることもあるでしょう。
しかしこのとき「そんなことで泣かないで」と否定する言葉をかけてしまうと、子どもは自分の感情を理解してもらえない寂しさや悔しさを感じてしまいます。「悔しい」という感情を否定された子どもは、今後感情を押し殺しやすくなったり、ストレスを溜め込みやすくなったりする可能性があります。
子どもが泣いているときは、泣くこと自体を否定しないような言葉がけが重要です。
2.「もう泣かないの!」と突き放す言葉
子どもに悲しい出来事が起きたとき、「もう泣かないの!」や「メソメソしないで」といった言葉を投げかけてしまってはいないでしょうか。
泣くという行為は、子どもにとって自然な感情表現であり、それを否定すると感情の出し方が分からなくなります。悲しい気持ちを我慢する癖がつき、誰にも感情を伝えられなくなったり、信頼できる人がいないという孤独感を抱えてしまったりするかもしれません。
「悲しかったね」「つらかったね」と子どもの気持ちに寄り添い、安心させてあげることが望ましい対応です。子どもの心の成長を促すためには、こうした寄り添う姿勢が重要になります。
3.感情の起伏に対して「泣くのをやめなさい!」
子どもは感情の切り替えが激しく、遊んでいたかと思えば急に泣き出してしまうことも珍しくありません。しかし、この感情の揺れこそが、自分の気持ちをしっかりと認識し、素直に表現している証拠なのです。
そんなときに「泣くのをやめなさい!」と抑え込むような言葉をかけてしまうと、子どもは徐々に自分の感情を押し殺してしまうようになります。感情を抑え込む癖がつくと、後々の人生においてストレスの処理が上手くできなくなる危険性があります。
子どもが自分の感情を健康的にコントロールできるようになるためには、抑え込まずに適切な表現方法を教えてあげることが大切です。
4.「男の子でしょ?泣かないの!」と性別を理由にした言葉
子どもが泣く理由や感情表現は、男女に関係なくさまざまです。しかし、昔から「男の子だから強くあるべき」「泣いてはいけない」といった考え方が根強く残っているため、つい男の子に対して「男の子なんだから泣かないの!」と言ってしまうケースも少なくありません。
こうした言葉をかけると、男の子は自分の感情を出すことが間違っていると感じ、自分自身の存在や価値を否定されたような気持ちになりやすいのです。また、性別による感情表現の差別的な認識が植えつけられる可能性もあります。
子どもの個性や感受性を尊重し、「男の子だから」「女の子だから」という理由で行動を制限しないよう心掛けることが重要です。
5.「泣いちゃだめ!」と叱る言葉
保育園や幼稚園で親と離れる際、子どもが寂しさから泣いてしまうのはよくあることです。朝の忙しい時間帯に子どもが泣いていると、親自身も焦りやストレスを感じてしまうでしょう。
しかし、子どもは親の愛情を求めて寂しさから泣いているのであり、決してわがままや悪意があるわけではありません。「泣いちゃだめ!」と叱ってしまうと、子どもは自分の自然な感情を否定され、ますます不安になってしまいます。
このような場面では「ママも寂しいよ」「早くお迎えに来るからね」と優しく寄り添い、子どもが安心できる言葉をかけてあげることが大切です。たとえ泣き止まなくても、親の愛情がしっかり伝われば、子どもは安心感を抱き、徐々に落ち着きを取り戻します。
子どもが泣くこと自体を否定せず、受け止める姿勢が、親子関係をより良いものにします。
泣くことを否定せず子どもの心を育てる対応とは?
子どもが泣いている姿を見ると、親もつらくなったり、つい感情的に対応してしまったりすることもあるでしょう。
しかし、子どもにとって「泣く」という行為は自分の感情を伝えるための重要なコミュニケーション手段です。泣くことを否定してしまうと、子どもは自分自身を否定されたように感じ、自信や自己肯定感が損なわれることにつながります。
子どもが泣いている時には、その理由や感情をしっかりと理解し、以下のポイントを意識しながら対応してみてください。
- 寂しい、悲しい、痛いなどの気持ちで泣いている時は、しっかり甘えさせて愛情を伝える。
- 悔しい、つらい、怒りなどの強い感情で泣いている時は、感情に共感し、一緒に寄り添う言葉をかけて安心させる。
子どもは自分の感情を親に受け止めてもらえることで、「自分は愛されている」「どんな感情も理解してくれる」と感じることができます。その安心感があるからこそ、子どもは素直に感情を表現し、健やかな成長を遂げられるのです。
話ができる年齢の子どもには、落ち着いた後で「どうして泣いていたの?」「次はこうしてみようね」と対話する機会を持つことで、さらに良い関係が築けるでしょう。
子どもが泣いている時こそ、親が感情を受け止めよう
子育てをしていると、子どもが泣く姿を見る機会は毎日のようにあります。つい感情的に対応してしまいがちですが、子どもにとって親は最も信頼できる存在です。
子どもが泣くときは、「感情を理解してほしい」「受け止めてほしい」という切実なメッセージを発していることを忘れないでください。親が落ち着いて寄り添う言葉をかけることで、子どもの心は穏やかになり、安心感や信頼感を深めることができるでしょう。