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高齢ドライバーによる交通事故が全国的にも多発
近年、高齢ドライバーによる交通事故のニュースを頻繁に見かけるようになりました。しかし、実際は約15年前に比べると、高齢者による交通事故件数はほぼ横ばいとなっており、特段増えているわけではありません。
ただし、若年層の運転免許保有率が減少している一方で、70歳以上の高齢者の運転免許保有率は年々増加傾向にあります。昭和61年ごろと比較すると、その数は約15倍弱にまで上り、運転免許保有者全体の約14.5%を占めると言われているのです。
そのため、全体的に高齢ドライバーによる交通事故が多いと印象を受けやすく、また、事実として高齢ドライバーによる交通事故は頻繁に発生しています。
高齢者が交通事故を起こしてしまう『5つの原因』
なぜ今まで問題なく運転できていない人でも、高齢者になると交通事故を起こしがちになるのでしょうか。
1.身体機能低下による誤った運転操作
高齢ドライバーが事故を起こす原因として、まず身体機能の低下が挙げられます。実際、高齢ドライバーの車による事故では、操作不適が原因として最も多いことが判明しており、このうちハンドル操作が大半を占めています。
これは、以前に比べて身体機能が衰えているため、今まで当たり前のようにできていた運転操作もミスをおかしがちになっているのです。他にもブレーキとアクセルの踏み間違いは、高齢ドライバーによる事故でよく見聞きします。
2.体力低下による長時間運転の難しさ
体力が低下していることも交通事故を引き起こす要因となります。体力低下に伴い、長時間の運転で疲れを感じやすくなり、注意力や集中力が散漫しがちになるからです。
注意力や集中力が低下することで、周囲への確認不足や運転操作ミスにつながり、交通事故を起こすリスクが高まります。
3.視力が弱まり周囲の状況を適切に判断できない
年齢を重ねるごとに視力が弱まったり、老眼の傾向が強くなるため、周囲の状況を十分に把握し、適切に判断することが難しくなります。
車を運転していると、さらにその傾向は強まります。自分では周囲を確認していたつもりでも、少し離れた場所の状況を見逃していたり、少し離れた場所に視線を集中させてしまったため、近場の危険性に気づけず事故を起こしてしまうことも。
4.反射神経が鈍ることで咄嗟の対応が遅れる
身体能力の低下に伴い、車の運転に必要な反射神経も鈍っている高齢者が大半です。年齢に伴い、反射神経が鈍るのはごく自然な変化ですが、車を運転する者としては致命的です。
反射神経が鈍っている状態で車を運転していた場合、咄嗟の事態に対応できず、衝突事故を引き起こすなどの事例が増加しています。
5.認知機能低下による判断・記憶力の低下
高齢になるにつれて認知機能も徐々に低下していきます。自分では自覚症状がないケースも多いですが、認知機能が低下することによって判断能力や運転に関する記憶能力が衰え、交通事故や交通事故につながる危険運転につながるケースも頻発しています。
注意力や集中力の低下、周囲の確認不足、パニックによる運転操作の誤り、さらに逆走や禁止経路への侵入なども発生しがちです。
70歳を超えたら要注意!75歳以上は免許の自主返納推奨
年々、高齢ドライバーによる免許保有率が高まっていますが、70歳を超えると、自覚症状はなくとも身体機能や認知機能が低下している可能性が十分に出てきます。
また、75歳を超えるとこうした機能面がガクッと衰えるため、基本的には75歳になる前に自主返納することが推奨されています。
とはいえ、公共交通機関が充実していない地方などでは、車がないと生活が不便になるという方も多いでしょう。
その場合は、ご家族の協力を得たり、お住まいの自治体で免許返納に伴い、タクシー料金の割引サービスや送迎サービスが受けられる支援策が実施されていないか確認してみてください。免許を自主返納することで、あらゆるサービスが受けられる自治体も年々増加していますよ!
ご家族の協力を得て高齢者は免許の自主返納を
いかがでしたか。70歳を過ぎたら、普段運転し慣れている道でも十分に注意を払って運転することを心がけてください。また、75歳をすぎると身体機能や認知機能が著しく低下するため、自主返納することを検討しましょう。