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無意識に相手を傷つける「マイクロアグレッション」とは
自分では悪気なく発言していることが、実は相手にとって深く心を傷つける発言だったという事例は数多くあります。これらは『マイクロアグレッション』といわれ、無意識で相手を見下したり貶したりする言動を指す言葉です。
「マイクロ」という言葉は、日常的に誰もが被害に遭ったり加害者になったりし得る可能性を含んでいて、何気ない日常生活の中でうっかりやりがちな言動ばかりです。
「自分はいつも相手を思って話しているから大丈夫」と思っている人も、それはあくまで主観に過ぎません。良かれと思ってかけた言葉が相手を傷つけていることもあるので気をつけましょう。
相手の心を無意識に傷つけている『5つのタブー』
マイクロアグレッションの事例によくみられる相手の心を無意識に傷つけているタブー行為を紹介します。自分は大丈夫と思い込まず、うっかりやっていないか改めて自身の言動を振り返ってみましょう。
1.相手ができないことを前提とした褒め言葉
相手を褒めるとき、良かれと思って発言した内容が相手に違和感や不快感を与えたり、あるいは心を傷つけてしまっているケースもあります。
- 「〜にしては」
- 「〜なのに」
以上のような発言を無意識にしていませんか。例えば「女性なのに、こんなこともできるなんてすごい」「新入社員にしてはやるね!」などの発言は、その人ができないことを前提として考えているからこそポロッと出てしまう発言です。
こうした発言が相手を小さく、少しずつ傷つけてしまい、やがて大きな傷やストレスにつながってしまうこともあります。
2.固定概念を押し付けるような発言
自分の固定概念を押し付けるような発言を職場や家庭内でしていませんか。
- 「〜なんだから」
- 「〇〇なのに〜しないの?(できないの?)」
- 「これだから〇〇は〜」
「あなたはお兄ちゃんなんだから」や「30歳超えているのに結婚しないの?」など、悪気はなくてもその人の固定概念を押し付けるような発言は、相手を不快にさせたり傷つけたりします。
3.相手の悩みや苦悩を過小評価する発言
愚痴や悩みを友人や家族から聞いているとき、つい相手が悩んでいることに対して過小評価するような言い方をしていませんか。
- 「そんなことよくあるよ!」
- 「気にしすぎだよ」
本人は相手を慰めたり元気を出してもらいたいという気持ちで言っているつもりでも、相手は「そんなことって…私にとっては深刻な悩みなのに!」「私のこころがせまいって言うの?」など、相手を傷つけたり絶望させてしまう可能性があります。
4.自分の価値観にないものを否定する
自分が経験してきてないこと、興味のないこと、知らないことなど、自分の価値観の範囲内に入っていないことに対して否定的な意見ばかり述べたり、見下すような発言をしたりしていると、相手の心を傷つけ、徐々に周りから人が離れていってしまいます。
人の数だけ育ってきた環境、経験してきたこと、考え方、好きなことがあります。自分の価値観がすべて正しいと言うような態度は、あまりにも相手への配慮が足りていません。
5.上記の内容を発言せずに態度に出す
ここまで紹介してきた発言を口には出さずとも、態度に出している人もいます。口に出していないから大丈夫、と思っていても、実際は表情や視線、相槌の打ち方などで、相手は聞き手側がどのような感情を抱いているのか察してしまうでしょう。
言われていなくても態度に出されることで傷ついてしまう人も多いため、まずは相手の話を正面から受け止め、共感することを心がけてください。
無意識に相手を傷つけないために意識すべきこと
無意識に相手を傷つけ続けていると、徐々に周りから人がいなくなってしまいます。周りの人を悪気なく傷つけるような発言を回避するためには、日頃から以下のポイントを頭の片隅に置き、相手に寄り添った言動を心がけましょう。
- 相手の事情や立場を考慮して発言することを心がける
- 日頃から自分にある固定概念を見直す機会を作る
- まずは相手に共感することを意識する
- 思いつきで話さず一呼吸置いて考えながら言葉を紡ぐ
無意識に相手を傷つけてしまう人は、相手に共感し寄り添う姿勢が足りていなかったり、思いつきで発言していることが多くみられます。したがって、上記の注意点を参考に、明日から周囲の人への話し方を意識してみてください。
自分の固定概念や差別視点で発言しないよう注意して
いかがでしたか。マイクロアグレッションは、自分の内にある無自覚な固定概念や差別視点が大きく影響しています。また、相手に寄り添う姿勢が足りていないことも多いので、家族や知人と会話するときは、最後に紹介したポイントを意識して発言しましょう。