目次
御霊前の正しい書き方
御霊前の不祝儀袋の正しい書き方を順を追って解説します。
御霊前などの不祝儀袋は薄墨で書くとされています。これは弔事の場合には「涙で墨も薄まる」という意味で「薄墨」を使って書くのがしきたりとされています。薄墨用の筆ペンも市販されているので、ご家庭に1本常備しておくと便利です。
表書きの書き方
表書き上部(水引より上の部分)の中央に御霊前の文字を書きます。ご霊前の文字を印刷済みの不祝儀袋を使用する場合は印刷されている文字のまま使用します。
下部(水引より下の部分)の中央に会葬者のフルネームを書きます。このときの文字の大きさは、上部の御霊前の文字よりも大きくなってしまわないように注意してください。
夫婦で出席する場合
夫婦揃って会葬する場合には夫の名前のみでも問題ありませんが、妻の親族の葬儀に夫婦揃って会葬する場合や故人との縁が深かった場合には夫婦連名にします。夫の名前をフルネームで書いた名前の部分の左側に妻の名前のみを書きます。苗字は必要ありません。
連名の場合は結婚して間もない場合でも新しい姓で書くことが正式です。但し、結婚の挨拶が間に合わなかった相手の場合には旧姓を書き添えます。表書きには新しい姓のままで書きますが、中袋の氏名を書くところに旧姓を書き加えたり、表袋の裏面に旧姓を書きます。
また、夫が出張などで妻が代理で出席する場合には夫のフルネームを書いた左下に「内」と小さく書きます。
会社で上司の代理で出席する場合
会社で上司の代理で会葬する場合には上司の会社名を書いて上司のフルネームを書きその左側に「代」と小さく書きます。
※受付に渡す際には、上司の名刺を預かって上司の名刺の右上に「弔」と書いて、名詞の左端か下隅に「上司の代わりにご会葬をさせて頂きます。○○○○(出席者名)」と小さく書いて名詞も一緒に受付に渡しましょう。
会社で数人で出す場合
会社で連名にて御霊前を出す場合は3名までならば全員分フルネームで書きます。このときに注意する点は右側に書く名前が目上となります。右から目上の人から順に左側に目下の人となるように書きましょう。
3名以上になってしまう場合は代表者の名前を書いてその左側に「外一同」と書く場合と職場内の場合には○○株式会社○○部一同と書き、中袋に一同の名前を記載した明細を入れます。明細は縦書きで右側から目上の人から順にフルネームと連絡先を記載しておきましょう。
中袋の書き方
中袋が無地の場合は表に「金○○円」と中に入れる金額を書き、裏面に名前と住所を記載します。但し、中袋に金額などを記入する場所を印刷にて指定されている場合には、指定されているとおりに書きましょう。
数字に関しては旧字体を用いて記入するのが正式な方法なのですが略式でも問題はありません。10,000円の場合には金一万円と書いても旧字体の金壱萬円と書いても問題ありません。最近では数字で書く人も増えてきましたが、数字で書いた場合は改ざんが簡単にできてしまう為、旧字体で書くのが良いとされています。
表袋の裏側の書き方
表袋の裏面に住所や金額を記入する場所が印刷されている場合はそこに金額を書きます。
お住まいの地域によっては中袋が無い場合があります。これは中袋があると袋が二重になるので、不幸が重なり縁起が良くないとされる解釈からです。中袋が無い場合には表袋の裏側の水引より下段の左側に住所と金額を記入します。
御霊前の書き方のマナーと注意点
薄墨で書く
御霊前の書き方として「不祝儀袋は薄墨で書く」というのが正式なマナーとされていますが、これは弔事の場合には「涙で墨も薄まる」という意味を持っています。
個人との関係を書く場合
不祝儀袋に故人との関係を書く欄が印刷されている場合には親族、町内会、○○株式会社勤務、などと関係がわかるように書きましょう。
香典返し不要の書き添え
連名の場合などで香典返しが不要の場合には、喪家が香典返しで困らないように「香典のお返し等はご無用に願います」と書き添えておくと良いでしょう。
御霊前の正しいお金の入れ方
御霊前の書き方以外に御霊前の中袋へのお金の入れ方にもマナーがあります。
新札を避けましょう
これは「不幸を待って用意していた」という考えから新札を入れるのは避けましょう。新札しか無い場合には、お札を1度四つ折りにして折り目をつけてから揃えて入れます。汚れてしまっているお札やしわしわになりすぎているお札を入れるのもマナー違反になってしまいます。
お札は裏向きになるように入れる
お札を不祝儀袋に入れるときはお札の肖像画の面が表書きの裏を向くように入れます。
お札の肖像画を袋の下になるように入れる
お札を不祝儀袋に入れるとき漢字の金額が記載されている側を上にくるように肖像画のある方を下にして入れます。これは弔事では「悲しみのため顔を見せない」と考えて覚えておくと自然にできますね。
御霊前の正しい表袋の閉じ方
表袋にお札を入れた中袋を入れて表袋を閉じるのですが、表袋の上下の折り返しはまず下側の折り返しを折ってから上側の折り返しを折ります。水引が印刷されているものは間違えがないように上側の折り返し部分に水引が印刷されていますが、水引が印刷されている物では無い場合には注意してください。
これは「喜びの穂は上を向き、悲しみの穂は頭を垂れる」と覚えておくと間違えることはありません。(喜びの穂=慶事、結婚式などのお祝いを示し、悲しみの穂=弔辞、葬儀などの悲しいことを示しています。)
香典の表書きに関して
不祝儀袋の表書きは故人または喪家の宗教に合わせて用意します。本来は訃報の連絡を受けた時に先方の宗教を確認して、その宗教に合わせた表書きの不祝儀袋を用意するのですが、先方の宗教がわからないときには、基本的にどの宗教でも使える表書きとして「御霊前」を選びます。
浄土真宗やキリスト教の中でもプロテスタントでは「御霊前」は認められておらず、注意が必要です。「御霊前」は宗教形態を問わず用いられるとされていますが、一部の宗派に対しては失礼となってしまう場合があります。蓮の花の絵がついている不祝儀袋は仏教にしか使えませんので、袋の種類にも注意が必要です。
香典をお渡しする時のマナー
ご霊前はふくさに包んで持参するのがマナーです。弔事用ふくさの包み方は、ふくさを菱形になるように広げて、中央に不祝儀袋を表向きに置いてから、右側、下側、上側の順にたたみます。最後に左側を折り余った端を裏側に回して完成です。台付きふくさの場合には、爪を左側にしてたたみます。ふくさの色は灰色や紫などを選んで使用しましょう。
香典を受付で渡すときにはお悔やみの言葉を述べます。不祝儀袋を受け取る相手側から読めるように向けて差し出して「この度は、誠にご愁傷様でございました。」などのお悔やみの言葉を添えて渡しましょう。
お通夜に会葬して香典を持参した場合に、翌日の告別式にも会葬する場合は香典は持参しません。また、香典の額が少なかったからと思って、追加で香典を持参するのもマナー違反になります。これは、2度渡すという行為が不幸が重なるという考えでタブーとされています。
金額に関してどうしても気になってしまう場合には、後日で構いませんので供花や供物などをご自宅へ送りましょう。
まとめ
今回は突然の訃報で急に葬儀に出席しなければならなくなってしまった場合に、用意しなくてはいけない御霊前の不祝儀袋の書き方とマナーについて紹介しました。
表書きの書き方も状況に応じた書き方を紹介しています。冠婚葬祭のマナーは大人になると誰かに教えてもらう機会もないので参考にして知らなかったでは済まないマナーを覚えておくのは重要ですよ。