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山芋の食べ過ぎによるデメリットとは?
山芋の食べ過ぎによって被害が出たという事例はほぼありませんので、少しくらい食べ過ぎてもすぐに体に影響が出ることはありません。むしろたくさんの栄養素が含まれていますので、体に良い効果が期待できるでしょう。
ただし、山芋を大量に摂取し続けると、他の食材でも言えることですが、良くない影響をもたらすこともあるようです。では、山芋の食べ過ぎによるデメリットとしてあげられることを紹介しましょう。
サラサラしているため噛む回数が少なくなる
山芋は低カロリーなのでダイエットに向いているのですが、食べ方を間違えると逆効果になりかねません。とろろかけごはんはとても美味しくサラサラっと食べやすいいので、ついつい時間をかけずに食べてしまいますよね。
サラサラっと飲み込むように食べられるということは、噛む回数が極端に少ないことになります。私たちは噛むことによって満腹中枢を刺激し満腹感を得ているのですが、噛む回数が少ないと満腹感がなく、必要以上に食べたくなってしまいます。
せっかく低カロリーのものを食べていても、食事の量が増えてしまうと意味がありませんので、ダイエット中には避けた方が良さそうです。
また、生の山芋には消化酵素が多く含まれていますので、ご飯をよく噛まなくてもしっかり消化されます。ということは、お腹の中で消化されるのに時間がかからないので、当然お腹がすくのが早まってしまいます。
山芋アレルギーを発症することもある
今まで大丈夫だった人でも、食べ過ぎると突然アレルギーを発症するケースもあるようです。皮膚のかぶれやじんましん、肌が赤くなるなどのアレルギー反応を起こさないためにも、過剰に摂取しないように注意しましょう。
そもそも山芋にはアレルギー物質が含まれていますので、人によっては一口食べただけで症状が出ることもあるようです。
大量に食べ過ぎていない人でも、上記のような症状の他に、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など、体に異変が現れた場合には、「山芋アレルギー」の可能性が高いので、以後、長芋を食べないようにした方が良いでしょう。
口のまわりが痒くなる
特にお子様に多いのですが、食べた後に口のまわりが痒くなることがあります。これはアレルギー反応というわけではなく、「シュウ酸カルシウム」という山芋に含まれている成分が、チクチクと皮膚に刺さっているからなんです。
また、皮をむくときに手がかゆくなる方もいるようですが、その防止策として、酸に弱い性質である山芋をあらかじめ酢水にさらしておくとかゆみを軽減できますよ。
離乳食では初期中期は避け、後期になったら加熱したものを与える
生でも食べることができる山芋ですが、離乳食時期の赤ちゃんには、必ず加熱するようにしましょう。加熱して柔らかくした山芋は、離乳食の初期と中期は避け、後期の生後9ヶ月~11ヶ月頃から与えるようにしてください。
月齢によって与え方が異なりますので、以下を参考に赤ちゃんの様子を確認しながら少しずつ変えていきましょう。生後9ヶ月~生後11ヶ月の「カミカミ期」は、加熱したものを5~8mm程度の大きさの角切りにする。生後12ヶ月~生後18ヶ月の「完了期」は、加熱したものを赤ちゃんの食べやすい大きさに切る。
山芋はするため下痢気味の時は控える
食物繊維が豊富に含まれている山芋は、腸の働きを助け消化をよくしてくれます。ですが、体調があまり良くない時や、一度に大量摂取したりすると下痢になってしまうことがあります。
食べ過ぎは食物繊維の摂り過ぎになってしまうので、お腹がゆるくなってしまうというわけです。日頃からお腹がゆるくなりやすい人は、山芋を食べ過ぎないように十分に注意してくださいね。
食物繊維が豊富なためおならが出やすくなる
山芋は腸の働きを助け、消化がよく便秘にも効果があるのですが、困ったことに食べ過ぎるとおならを多発させる原因になってしまいます。
下痢になりやすいうえにおならも出やすいとなると支障が出てしまいますので、自分の体調を意識しながら食べるようにしましょう。
《 ポイント 》
- 少しくらい食べ過ぎても体に影響はない。
- 噛む回数が少ないと満腹感が得られずダイエットに向かない。
- 突然山芋アレルギーを発症する可能性もある。
- 食べた後に口のまわりが痒くなることがある。
- 離乳食後期の生後9ヶ月~生後11ヶ月頃から加熱して与える。
- 食物繊維が豊富なためお腹がゆるくなることもある。
山芋を食べる目安量
山芋は少しくらい食べ過ぎても体に影響はないというものの、一度に大量摂取するといくつかのデメリットがあることがわかりました。では一日どれぐらいを目安に食べると良いのでしょうか?
山芋から栄養を摂るためには、一日に50gほど食べれば十分と言われています。とろろ芋だと、小鉢一杯がおよそ100gですので、それを目安にして食べるようにすると良いでしょう。
栄養豊富で身体に良い山芋でも食べ過ぎはよくないので、体に悪い影響が出ないように一日に100g前後がおすすめです。
《 ポイント 》
- 一日に100g前後がおすすめ。
山芋を食べる効果
山芋に期待できる効果として、どんな栄養成分が含まれているのでしょうか?
たんぱく質
山芋の中でも特に食卓に並びやすい「長芋」には、良質なたんぱく質が含まれています。100gの長芋に含まれているたんぱく質の量は2.2gで、 他の野菜と比べるとレタスの4倍、トマトの3倍のたんぱく質が含まれています。
大和芋やいちょう芋には4.5g、自然薯は2. 5gとさらにその上をいく良質なたんぱく質が含まれています。山芋類の中では、大和芋といちょう芋のたんぱく質含有量は突出して高いと言えるでしょう。
カリウム・マグネシウム
カリウムは、体内の余分な塩分や水分を排出してくれるため、むくみが気になる人はぜひ摂取しておきたい栄養成分です。カリウムの含有量は、長芋430mg、大和芋590mg、自然薯550mgとそれほど大きな差はありません。
マグネシウムの含有量は、長芋17mg、大和芋28mg、自然薯21mgという具合に、大和芋がもっとも高く、長芋の約1. 6倍です。カリウムやマグネシウムなどのミネラル成分は、高血圧予防も効果が期待できます。
炭水化物
芋類である長芋には、炭水化物も多く含まれていますので、生活するのに必要なエネルギーを作ってくれます。
長芋の炭水化物含有量は100gあたり13.9g、大和芋は27.1g、自然薯は26.7gの順となっています。
食物繊維
食物繊維は、腸内環境を整えて便通を良くしてくれるので、お通じを良くしたい方にはおすすめの成分です。
食後の血糖値を緩やかにして糖分の吸収を抑えてくれる他、腸内環境を整えることでむくみも防いでくれるでしょう。
消化酵素
山芋の特徴として、消化酵素が多く含まれていることがあげられますが、そのおかげで生でも食べることができます。アミラーゼやジアスターゼといった消化酵素によってでんぷんの一部が分解されるため、胃もたれ解消や胃腸機能の回復に役立ちます。
消化を促すだけでなく、新陳代謝を高めて血行を促しますので、デトックス効果も期待できるでしょう。
ビタミン類
山芋には、ビタミンB群を始めビタミンCやビタミンD、ビタミンKなど、複数のビタミンが豊富に含まれています。それにより免疫力をアップさせたり、美容にも効果が期待できます。
カロリー
山芋の中でも大きく異なるのはカロリーです。長芋の100g当たりのカロリーは65kcal、大和芋は123kcal、自然薯は121kcalと長芋に比べて大和芋と自然薯はどちらも2倍近いカロリーになります。
《 ポイント 》
- 良質なたんぱく質、ビタミン類、食物繊維が豊富に含まれている。
- カロリーは種類によって異なる。
山芋を食べる時の正しい下処理方法
山芋は少々食べ過ぎても大丈夫ですが、実は熱に弱いという特徴を持っています。先ほど述べた消化を助けるアミラーゼとジアスターゼという酵素は、60℃以上の温度で効果が無くなってしまうのだとか。
よって、消化酵素を無駄にしないためにも、加熱せずに生で食べるのがおすすめです。効率的に摂取するためには、とろろ芋や、短冊切りにしたものをサラダにして食べるなどの食べ方が好ましいでしょう。
生で食べられる理由
とろろを生で食べても大丈夫なのは、大根に多く含まれていることで有名な「アミラーゼ」という消化酵素が含まれているからです。アミラーゼはデンプンの消化を助けてくれるので、生のデンプンを食べてもお腹が痛くなりません。
あく抜きして変色を防ぐ
山芋の皮の下には「あく」があるので、水洗いしたら厚めに皮をむきましょう。山芋がかぶるくらいの水に酢を1~2滴加え、10分ほど浸けておきます。
切ったときに黒っぽく変色するのは、山芋に含まれる「チロシン」という成分が空気にふれて酸化するためです。酢水に浸けて空気を遮断することによって、変色だけでなくかゆみも防ぐことができます。
《 ポイント 》
- 消化酵素は、60℃以上の温度で効果を失うため生で食べるのがおすすめ。
- 酢水に浸けることであく抜き、変色、かゆみを防げる。
最後に
山芋には、食物繊維やカリウムなど、体に有益な栄養素が豊富に含まれていることがわかりました。ただし、山芋を過剰に食べ過ぎると、便通改善を通り越してお腹がゆるくなったり、アレルギーを引き起こす危険性もあるため、1日に100g程度を限度に食べるようにしましょう。
山芋に含まれている消化酵素は熱に弱いので、加熱せずに食べられるとろろにすると栄養素をそのまま摂り入れることができます。
また、短冊切りにした山芋をサラダや酢の物にして、噛む回数を減らすことなくゆっくり噛むようにすると、ダイエットにも効果が期待できそうですね。山芋に限らず食べ物全てに言えることですが、好きなものを長く食べ続けるためには、食べる量や頻度を調整するようにしましょう。