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画用紙には「表」と「裏」がある
お絵かきや工作など、ご家庭で画用紙を使う機会ってありますよね?そんな画用紙の裏表を見極めて、表側を使って描くとどのような違いがあるのでしょうか。まずは画用紙を手に取って触ってみてください。
手触りがツルツルしている側と、凹凸がしっかりしてザラザラしている側との違いがわかるかと思います。このザラザラしている方が「表」です。
見た目や触り心地でそれほど大きな違いは感じられませんが、製造工程によってきちんと表と裏ができているのです。
また用紙によっては、裏表を気にせずにどちらを使っても良いようにと、できるだけ表と裏に差が出ないように作られている画用紙もあります。
表側には「サイジング」というにじみ止め加工をしている
ザラザラした表側には、絵の具の染み込みを調節したり絵の具の載りを良くする「サイジング」という加工がされています。そのおかげで鉛筆や色鉛筆、クレヨンを使った場合も画用紙に色が付きやすいと感じるでしょう。
インクの載りや吸収のための「にじみ防止加工」や、紙そのものの「耐久性」を高くするような工夫もされています。
消しゴムを使っても紙が毛羽立ちにくくなっている
画用紙の表は、消しゴムを使っても毛羽立ちにくくなっています。反対に、裏側で消しゴムを使いすぎると毛羽立ったような感じになりますので、どんな感じの作品を描くかによって使い分けると面白いかもしれませんね。
《 裏表の見分け方 》
- 凹凸がしっかりしてザラザラしている側が「表」。
- 手触りがツルツルしている側が「裏」。
- 表にはサイジングという加工がされている。
画用紙の裏表を見分けるコツ
画用紙の裏表を見分けるコツがあります。
目で見て確認する
分かりづらいかもしれませんが、紙の表面にある繊維の向きが規則的に並んでいる方が「裏」になります。透かしのある画用紙だと、ほんの少し反り返って凹んで見えるのが「裏」だとわかります。
端の部分を触ってみる
目で見ただけでわからないときには手で触ってみてください。裏側はツルツルしているだけでなく、横に繊維の方向があるのが指で分かるでしょう。
また、画用紙の端の部分を手でさすってみて、繊維質が上に上がっている方が表、紙の端にひっかかりを感じるほうが裏です。
消しゴムをかけてみる
見て触って、それでもわからないときは、消しゴムをかけてみましょう。消しゴムをかけたときに、画用紙に毛羽立ちがあるかどうかでも確認できます。鉛筆で描いた下書きを消そうと消しゴムで画用紙をこすると、パルプの繊維が切れて毛羽立ちの原因になります。
パルプの種類によっては摩擦に弱く、消しゴムをかけると紙がボロボロにささくれて薄くなってしまう方が「裏」です。
描いたときに気が付く
「表」は、絵具や鉛筆、色鉛筆、クレヨンなどの色がのりやすくて描きやすくなっています。「裏」だと、鉛筆で下書きをするときに粉が付きにくい感じがしたり、水彩画を描くとにじんでしまい色をのばしにくく感じるようです。
本格的に絵を描こうとするのでしたら、画用紙の裏表は意識してしっかりと確認しておきましょう。
大体のメーカーは面が表になるように包装してある
画用紙にはいろいろな種類があり、場合によってはザラザラの表とツルツルの裏との見分けがつきにくいものもあります。特に水彩用紙は裏表の見分けがつきにくいものが多いようです。
ほとんどのメーカーでは、ロール紙であっても包装紙を開いたときに見えている面が表になるように包装してあります。
透かしの文字やエンボス加工で確認する
画用紙に透かし(ウォーターマーク)やエンボス加工が施されている画用紙の場合は、ロゴや文字が正確に読める側が「表」です。ケント紙の場合、もともとがツルツルした紙質なので、普通の画用紙のようにザラザラ面がありません。
画用紙の裏表を逆に使う技法もある
最近では、画用紙を制作する技術が進歩しているので、裏側を使用したからと言って絵の具がにじんで失敗してしまったと言った大きなトラブルはほとんどありません。表面の方が描きやすいようになっているものの、その一方では画用紙の裏面を使って描く技法もあります。
あえて使いにくい裏面を風合いとして利用するのも好みの問題であり、表現方法のひとつといえるでしょう。鉛筆だけを使って描く時には、裏のツルツルな面を活かすとシャープな線が描けるので印象が変わりますので、最初から裏側の紙質の特徴を活かして使う方もいらっしゃいます。
このように、絶対に表でなければいけないという訳ではありませんので、どのような画風にしたいかによって使い分けてみましょう。
ただし、先にもお伝えしましたが、裏面で消しゴムを使いすぎると毛羽立ったような感じになって紙自体が薄くなってしまうので注意してくださいね。
水彩紙の場合
水彩画を描く場合にはサイジングによる性能は必要ないため、裏表のどちらを使っても構いません。強いて言えば、精密に描きたいならツルツルめの画用紙を、かすれた感じや絵の具のグラニュエーションを活かしたい場合には、荒目の画用紙が適しています。
もし、そのような紙質の画用紙を用意出来なかったときには、手元にある画用紙の裏を使ってみるのはいかがでしょうか?
《 ポイント 》
- あえて画用紙の裏面を使って描く技法もある。
- 鉛筆だけの時にツルツルな裏側を使うとシャープな線が描ける。
- かすれた感じやグラニュエーションをつけたい場合には裏を使う。
画用紙の種類と特徴
画用紙にはいろんな種類がありますので、描きたい絵や使用する道具によって画用紙を選んでみましょう。
サンフラワー
水彩やパステル、色鉛筆、マーカーに適した初心者にも使いやすい紙質です。とても使いやすい柔軟性のある中目の画用紙で、消しゴムをかけても毛羽立ちにくく水に強い性質をもっています。A画とM画の2種類があり、M画の方が厚手で水に強いです。
ニューキャンバスペーパー
水彩画やアクリル絵の具を厚く塗るのに適した画用紙です。キャンバス柄のエンボス加工が施されているザラザラした粗目の紙質です。厚みがあり荒い質感なので、アクリル絵の具を厚く塗りたい時にもおすすめです。
鉛筆やパステルの載りもよく、表面のキャンバス柄を上手に活かすと面白い作風の絵を描くことができるでしょう。
スケッチブック
表紙が黄色と深緑のマルマンのスケッチブックは有名ですよね。程よい凹凸があり、吸水性もよいので水彩画にも使うことができます。強い紙質なので、マーカーのインクが裏に出ることもなく、消しゴムをつかってもほとんど毛羽立ちません。
ケント紙
ツルツルとした質感のケント紙は、ペンでもきれいに描くことができます。ひっかかりがなく絵具がにじむこともないので、ポスターやペーパークラフトでもキレイに着色することが可能です。もともとは細密な鉛筆やペンを想定して作られた製図用の紙なので、ツルツル面が表になります。
ケント紙の裏側を使うと、インクのかすれやにじみが出やすくなり、鉛筆の跡を消しゴムで消したときも毛羽立ちやすくなります。
ニューTMKポスター
目が細かくナチュラルホワイト色の最高級画学紙であるニューTMKポスターは、鉛筆、水彩、アクリル、墨に適した画用紙です。紙肌がとても強く、水分を多く含んでいるものでも安心して使うことができます。
一般的な厚口画用紙
100均でも売られている身近な画用紙です。あまりデコボコがなく、表裏の凹凸の違いはほとんどわかりません。厚口のものは強度があるので、水彩画にも工作にも適しています。何より100均で手軽に購入できるので、コスパも良く扱いやすい画用紙です。
《 ポイント 》
- 初心者にも使いやすい「サンフラワー」
- 水彩画やアクリル絵の具を厚く塗るのに適した「ニューキャンバスペーパー」
- 程よい凹凸・裏表があり強い紙質の「スケッチブック」
- もともとは製図用の紙で、ツルツル面が表になる「ケント紙」
- 強い紙肌で安心して使える最高級画学紙の「ニューTMKポスター」
- 100均で手軽に購入でき扱いやすい「一般的な厚口画用紙」
最後に
画用紙の裏表の見分け方は、意外なことにザラザラしている面が「表」だったのですね。「表」と「裏」、どちらでも関係ないと思っていた方は試してみてください。描き心地が全然違います。
画用紙は表を使うことで、色がのりやすく、鉛筆の線がきれいに出ます。
特に裏を使った技法を用いたいのでなければ、手で触って質感を確かめて表で描くようにした方が完成度が高いのではないでしょうか。
- 「凸凹があり、ザラザラが目立つほうが表」
- 「つるつるすべすべした感触のほうが裏」
- 「紙の端っこにひっかかりを感じるほうが裏」
思いどおりの絵や工作を仕上げるためには、これを覚えておいてくださいね。