目次
玄米とは?
玄米の基本情報
玄米とは籾(もみ)から籾殻を取り除いた状態のもので、一般的には精白されていないお米のことを指します。玄米は表面を糠(ぬか)が包んでおり、そこから精白することで胚芽米や白米になるのです。
糠にはビタミンや食物繊維が多く含まれているため、精白をすればするほど栄養分がそぎ落とされることになります。白米から玄米に変えたからといってすぐに効果が出るわけではありません。
いつから効果がでるのか
玄米を食べ始めて最初に効果が表れるのが1~2週間、遅くても1ヵ月程度です。腸内環境や普段の食生活が悪ければ悪いほど早く効果が表れる傾向にあります。
玄米を食べる効果5つ
①便秘の解消効果
玄米を食べ始めてから一番に効果が出やすいのが便秘解消です。玄米には便の元となる食物繊維と炭水化物が含まれているため、これらが不足した食生活を続けていると便秘になりやすくなります。
玄米を食べることで食物繊維が便秘の解消を促してくれると同時に、腸内環境を整えてくれるのです。特に女性の方は、腸内環境が改善されれば美肌効果に繋がるため、玄米を食べれば一石二鳥です。
②糖尿病のリスクを低下させる効果
糖尿病には先天性の1型と後天性の2型があります。白米や麺類の食べすぎで起こる糖尿病は2型です。玄米の中身は白米ですが、それを覆う糠に含まれているγ-オリザノールがインスリンを分泌させ、血糖値を低下させる効果があることが琉球大学の研究により分かっています。
また、アメリカが行った看護師健康調査と医療従事者追跡研究に参加した男女約19万人を14~22年間追跡し、朝昼晩に食べる白米を玄米に変えることで2型糖尿病のリスクが16%低下したことが分かっています。
③食欲の抑制効果
白米に比べると食物繊維の多い玄米は消化が遅いため、とても腹持ちが良くなることが大きな特徴です。一般的に食物繊維が多い食べ物は硬めな傾向にあります。
同じ量の白米と比べてすぐには飲み込めず、咀嚼する回数が自然と増えることで満腹中枢を刺激されるため、満腹感が得られやすくなるのです。また、「2」で説明したインスリンの分泌により、糖尿病だけでなくメタボリックシンドロームの抑制にもつながります。
偏った食生活を続けているとインスリンを分泌させるβ細胞が減少しますが、玄米を食べることでγ-オリザノールがβ細胞を回復するだけでなく細胞死を抑制する効果が期待できます。
④がん、循環器疾患の抑制効果
アメリカの国立がん研究センターはがん抑制効果のある食材をまとめたデザイナーフーズピラミッドを発表しています。ピラミッド図は3段階に分けられており、玄米はピラミッドの真ん中の位置にあります。また、玄米には動脈硬化や心筋梗塞など循環器疾患を抑制する効果もあることが分かっています。それにより、脳梗塞や脳卒中の抑制にもつながるのです。
⑤デトックス効果
玄米は薬効の強い食べ物とも言われており、日本で水俣病が大問題になった時も玄米を主食として食べていた方は発症しなかったり、軽度で済んでいたことが分かっています。
玄米には重金属を排出する働きがあるほどデトックス効果が高いだけでなく、玄米に含まれるフィチン酸が体に蓄積している有毒なミネラル(老廃物など)を積極的に排出してくれます。また、原爆で被爆した方たちに玄米を食べさせるようにしていたことは有名な話です。
玄米と白米の違い
同じお米ですが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか?栄養価や吸水時間など気になるポイントを解説します。
栄養価
玄米は100gあたり水分15.5%、タンパク質6.8%、脂質2.7%、炭水化物73.8%でできており、ミネラルはマグネシウム110mg、リン290mg、マンガン2.05mgなどです。白米に比べて食物繊維が約7倍、ビタミンB1が約5倍もあるとされています。
対して白米は100gあたり水分15.5%、タンパク質6.1%、脂質0.9%、炭水化物77.1%、ミネラルはマグネシウム23mg、リン94mg、マンガン0.80mgなどです。
吸水時間
お米を炊く前に水に浸すことで美味しく炊くことができます。玄米は糠の吸水を妨ぐだけでなく発芽が必要なため、12~15時間程度必要になります。白米は30~40分程度で十分です。
相場
玄米は1kgあたり600~1,000円程度で、白米は400~500円程度が相場です。玄米は普通に洗っても糠に農薬が残りやすいため農薬を削減しています。白米にすることを目的で精米する玄米よりも、農薬を減らし神経質に育てるほうがコストはかさむのです。
玄米がダイエットに効果的というのは本当?
先に説明したデトックス効果や便秘の解消効果、満腹中枢の刺激により玄米は非常にダイエットに向いた食材と言えます。玄米ダイエットのやり方はとてもシンプルで、普段食べている白米を玄米に変えるだけです。
また、便秘がひどい方はパンや麺類を玄米に変えるとより一層効果を期待できます。他のダイエットと同じく間食や必要以上の糖分の摂取には気を付けましょう。
玄米の正しい炊き方
計量カップで1号(180ml)を基準に炊きたい量をボールに入れ軽く水で洗います。玄米を1とすると水は1.5です。釜にメモリが付いていればいいですが、付いていない場合は1号に対して計量カップ半分が目安です。
白米のようにとぎ汁は白くならないので、目安として2~3回洗います。炊飯器に玄米を入れる前、もしくは炊飯器に入れて炊飯が始まるまで丸1日は水に浸しておきましょう。発芽玄米なら5~6時間で十分です。
蒸らしは10分必要ですが、ほとんどの炊飯器には蒸らし機能が付いているので鍋で炊く時以外は気にする必要はありません。炊けたら釜の底から空気を含ませるように軽く混ぜて終了です。
玄米の効果的で安全な食べ方
一般的にお茶碗1杯ならそのまま食べても安全ですが、必要以上に食べてしまうと食物繊維が豊富なため、消化に時間がかかりすぎて消化不良になってしまいます。病み上がりの方や消化機能が不十分な子供、お年寄りはおかゆにして食べるようにします。
白米で作るおかゆよりも時間をかけて煮込み、玄米の形が崩れそうになるほどドロドロに煮込むといいでしょう。健康な方は無理して食べる必要はありません。
玄米を食べるデメリット!危ない玄米食とは?
健康な方が健康に気を使って玄米を食べてもあまり効果がないどころか、玄米に含まれる成分によって体に良くないことも。体内に有毒なミネラルがほとんど存在しない場合、フィチン酸が玄米と一緒に食べた食材のミネラルを余分に奪って体外に排出させてしまうのです。
これをミネラル不溶化と言い、栄養失調にもつながります。また、玄米を食べすぎると食物繊維が腸にあるカルシウムの吸収を邪魔してしまうため、骨粗鬆症のリスクが上がる危険性があります。また玄米にはアブシジン酸という毒が含まれています。これは12時間水に浸すことで発芽し無毒化できますが、スーパーで売っている玄米は発芽しない玄米もあるのです。
心配なら発芽玄米を買うか、フライパンで乾煎りすることをおすすめします。そのまま炊いて食べても消化不良や下痢を引き起こす危険があり、玄米を食べて体調を崩した口コミが多いのはアブシジン酸が原因です。
玄米の効果を最大限発揮するには
どの食材も食べすぎは健康に良くありません。玄米の効果はかなりのものですが、効果を過信しすぎて健康状態を無視していると思いもよらない病気に掛かってしまうこともあります。
基本はお茶碗1杯を朝昼晩食べることですが、胃に違和感のある時は白米に戻すといいでしょう。自分自身とよく相談して、玄米で健康な体を手に入れましょう。