米油にデメリットはある?知っておきたい選び方や使い方とは

米油

体に悪いと言われることもある米油ですが、本当にデメリットはあるのでしょうか?クセや油の臭みがほとんどなく、他の食用油と同じようにどんなお料理にも使いやすい米油。酸化に強いこともあって常用としてキッチンに置いている方もいるのではないでしょうか。この記事では知っておきたい選び方や使い方、そして健康効果や栄養について紹介します。

米油にデメリットはある?

米油

「米油」とは、その名の通りお米から作られている油です。玄米を精製したときに出る「米ぬか」と、米の「胚芽」を原料にして作られる米油は、クセがなく栄養価も高いので様々な用途に用いられています。

ところが、一部では米油は危険で体に悪いなどのデメリットがあると言われているようです。過去に米油に関係した事件が発生したことがあり、そのせいで米油は危険だという印象を持つようになったと考えられます。

結論を言えば、米油が危険という噂は嘘と考えて良いでしょう。実際には米油はデメリットよりもメリットの方が多いにもかかわらず、危険な食材と言われている理由について説明します。

「ノルマンヘキサン」を製造過程で使用しているから

「抽出法」で作られる米油の場合は、精製される過程でノルマンヘキサンという溶剤を使用します。このノルマンヘキサンはガソリンに含まれている成分なので、それを使っている米油は危険だと思われているようです。

実際には、抽出に使われたノルマンヘキサンは、蒸留してすべて取り除かれていますので、成分が米油に残るようなことはありません。よって、ノルマンヘキサンが理由で危険だと言われるのは誤りと言えるでしょう。

過去に「カネミ油症」という食中毒事件があったから

1968年に北九州市で作られていた「カネミライスオイル」という米油を摂取した人に、健康被害が発生したという大きな事件がありました。

この食中毒の症状が改善するまでには長い時間がかかり、中には死亡者もいたため海外でも大きく取り上げられました。

その結果、米油は危険だと誤った認識につながったのでしょう。実際には、米油そのものに危険性があったわけではなく、製造過程でダイオキシンが誤って混入してしまったことが原因だと明らかになりました。

トランス脂肪酸を含んでいるから

米油には多量に摂取すると体に害を及ぼすことが立証されている「トランス脂肪酸」が含まれています。そのため、体に悪い影響を与える危険な食材だと思っている人が多くいるようです。

ただし、害を及ぼすとされるトランス脂肪酸の量を米油に換算すると、1日に100g以上を摂取する量になります。毎日、100g以上を摂取するようなことはまず無いので、必要以上にトランス脂肪酸の害を気にする必要はないでしょう。

冷蔵庫で冷やすと白く濁ることがある

米油は冷蔵庫内で保存する必要はないのですが、冷蔵庫で冷やすと白く濁ることがあります。これは低温によって成分が固まり結晶化するからです。

米油の値段が高い

大量生産が難しいため、価格が高めなところがデメリットでしょうか。というのも、玄米100㎏を原料とした場合、抽出法でとれる米油はたったの1㎏です。圧搾法で作られた米油は、もっと少なくなりますので当然、他の油と比べて高くなるわけです。

《 ポイント 》

  • ガソリンに含まれているノルマンヘキサンは、蒸留してすべて取り除かれている
  • カネミ油症という食中毒事件は、米油そのものに危険性があったわけではない
  • 害を及ぼすとされるトランス脂肪酸の摂取量は1日に100g以上
  • 玄米100㎏から抽出法でとれる米油はたったの1㎏
  • 冷蔵庫で冷やすと成分が固まり白く濁る

米油のデメリットが気になるなら製造方法で選ぼう

米油原料

米油が危険ではない事は分かりましたが、デメリットが気になるようでしたら製造方法で選んでみてはいかがでしょうか。お米の栄養は約60%がぬかと胚芽に集中しています。

そのため日本をはじめ東南アジアでは米油を「米ぬか油」とも呼びます。そして現在、以下の2種類の方法によって米ぬかから油を抽出していますが、その技術の開発は今も進められています。

化学溶剤での抽出法

化学溶剤であるヘキサンなどを使用して抽出する製法で、大豆油の製造によく使われる方法です。店頭で一般的に売られている安いものは、生産コストを抑えて大量生産するために、化学溶剤を使った製法で作られた米油がほとんどです。

これらは廃液が少なく抑えられることから、先進国の多くではこの化学溶剤を使った抽出法が用いられています。当然、商品になるまでには化学溶剤は完全に取り除かれ、安全性のチェックがされているので、心配する必要はないでしょう。

圧搾法

専用の機械で潰して油を抽出する、昔ながらの製法です。米油の質を決める「予備処理」を施したぬかと胚芽を、蒸留脱酸法にかけて圧搾してから蒸留しますので、お米本来の健康効果をそのまま摂れる最高品質とされています。

圧搾法で手間をかけて作られた米油は、「化学溶剤での抽出法」よりも天然成分のビタミンや抗酸化物質が多く残り、健康効果により期待できます。繊維質やビタミンEが豊富、精製率が高く明るい色に仕上がる、汚水が出ない、製品の安定性が高いなどの理由から注目されています。

《 ポイント 》

  • 「化学溶剤での抽出法」は、生産コストを抑えて大量生産できる
  • 「圧搾法」は、昔ながらの製法で、お米本来の栄養効果がそのまま摂れる最高品質

米油はデメリットよりメリットが多い良質な油!

悪玉コレステロール

米油はデメリットよりメリットがたくさんあります。

酸化しにくい

食用油の多くは開封後、短期間で酸化してしまいますが、米油の場合は成分に含まれているスーパービタミンEやトコトリエノールのおかげで、最後まで酸化することはありません。なので、急いで使い切る必要もなく、加熱しても栄養が損なわれずに済みます。

風味や香りにクセがなくどんな料理にも合う

他の食用油と比べて匂いやクセがなく、揚げ物をした時の臭いで食欲が減退する「油酔い」しにくいのが特徴です。

揚げ物がカラッと揚がり美味しさが長持ち

揚げ物をしていると種や衣から出た水分によって泡ができ、この泡が揚げむらや油っぽさの原因となってしまいます。米油はコーン油の次に泡ができにくいので、米油で揚げたものを入れたお弁当は、時間が経っても美味しくいただけます。

米油の成分によって期待できる効果

米油に含まれている主な栄養成分は

  • コレステロールの消化吸収を抑える「植物ステロール」
  • 細胞の健康を保ってくれる「ビタミンE」
  • スーパービタミンEとも呼ばれ、強い抗酸化作用を持つ「トコトリエノール」
  • 米油にしか含まれない固有の栄養成分の「γ‐オリザノール」

などあります。ここでは、成分によって期待できる効果を詳しく紹介しましょう。

血糖値の上昇を抑制する

米油にしか含まれない固有の栄養成分であるγ-オリザノールは、抗酸化作用に優れています。また、インスリンの分泌を促進する働きがあることから、血糖値の上昇を抑制する効能が期待できます。血糖値が気になる人は日常的な料理に米油を使用すると良いでしょう。

自律神経を調整して更年期障害を緩和する

また、γ-オリザノールの栄養素が自律神経の調整や緊張感、不安、ストレスを抑え、更年期障害の緩和にも効果的と言われています。

悪玉コレステロールの値を低下させる

別名「油の食物繊維」とも呼ばれている「植物ステロール」という成分は、悪玉コレステロールが体内に吸収されるのを抑制してくれます。善玉コレステロールには影響を及ぼさずに、悪玉コレステロールのみを減らしてくれますので、生活習慣病の予防に繋がるでしょう。

さらに「γ-オリザノール」には、脂質の吸収を抑え、肝臓でコレステロールが作られるのを抑える働きがあります。

アンチエイジングや美肌効果がある

米油に含まれるビタミンE、トコトリエノール、γ‐オリザノールには抗酸化作用があることが分かりましたが、この抗酸化作用によって肌の健康を保ち、老化を防ぐ効果が期待できます。アンチエイジングや美肌を気にしている女性は、ぜひ米油を取り入れてみましょう。

がんや生活習慣病の予防

γ‐オリザノールやビタミンEが持つ抗酸化作用は、体内の酸化防止にも効果を発揮します。体の酸化はがんや生活習慣病の主な原因になりますから、米油を取り入れることでこれらの予防効果に期待できるでしょう。

《 ポイント 》

  • 開封後でも酸化しないため急いで使い切る必要がない
  • 風味にクセがなく、揚げ物をした時に油酔いしにくい
  • 揚げむらや油っぽさがなく時間が経っても美味しい
  • 血糖値の上昇を抑制する
  • 更年期障害を調整し緩和する
  • 善玉コレステロールには影響を及ぼさずに、悪玉コレステロールのみを抑制する
  • 抗酸化作用によって肌の健康を保ち老化を防ぐ
  • がんや生活習慣病の主な原因である体の酸化を予防できる

米油の効果的な使い方

揚げ物

米油は健康面でのデメリットは無く、体に良い栄養素が豊富に含まれています。ここでは、米油の栄養素をどのようにして日常に取り入れたらいいのかを説明します。

米油は風味や香りにクセがなく、どんな料理にも合いますので、普段使っている食用油と同じように、サラダのドレッシングや和え物、炒め物、揚げ物などの加熱調理にも使うことができます。では、具体的な使い方をいくつか紹介してみましょう。

揚げ物の油に使う

抗酸化作用が強く胃もたれしにくい米油は、揚げ物の油に使うのがおすすめです。様々な調理に使うことができますが、からっと美味しい揚げ物に仕上げるには、米油が一番良いともいわれています。

バターやマーガリンの代わりとして使う

熱したフライパンに米油を引きその上でパンを焼くと、香ばしく美味しいトーストが出来上がります。このように、バターやマーガリンの代用品として米油を使用するのもおすすめの使い方です。

ご飯を炊くときに混ぜる

より美味しいご飯を食べたい人は、お米を炊くときに米油を混ぜてみてください。米油を混ぜて炊くことで仕上がりがふっくらとし、冷めたご飯でも美味しく召し上がれます。炊くときに混ぜる量は、米4カップに対して油小さじ1程度です。

お鍋やみそ汁に入れる

寄せ鍋、おでん、すき焼き、煮物などの隠し味として入れると風味が増します。また、みそ汁のお椀に4~5滴、米油を入れると味がまろやかになりますよ。

《 ポイント 》

  • 普段使っている食用油と同じくどんな料理にも合う

最後に

米油

米油にデメリットはあるのか?を調べてみると、メリットこそあれデメリットがないことがわかりました。米油はクセがなく油酔いもしないので炒め油や揚げ物にも使いやすい万能油です。

さらには、過去の米油に関係した事件が起きた名残から、「米油は危険」という噂がありましたが、これは間違っていることもわかりました。そればかりか、米油には栄養成分が豊富に含まれています。

ぜひ、毎日の料理に積極的に使用してみてはいかがでしょうか。

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