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ペットボトルは熱湯で変形する
水筒の代わりとして、ペットボトルに水や温かいお茶を入れて持ち歩いている方っていますよね。ペットボトルの使い回しは、雑菌が繁殖するなどの理由から避けた方がいいのですが、それ以上に熱湯をペットボトルに入れると変形して溶ける危険性があるので注意が必要です。
熱湯を入れることで考えられる危険性について詳しく解説してみましょう。
ペットボトルには温度が上がると柔らかくなる性質があるプラスチックが使われています。それに耐熱温度を超えた熱湯を入れると、柔らかくなり縮むなど変形し始めるのです。
変形するだけでなく50℃~60℃程度のお湯でも溶けてしまう可能性もあるためとても危険です。そして、最悪の場合には破裂することもあるので気を付けなくてはいけません。
一方で、ペットボトルの種類によって耐熱温度が違ってきますので、熱湯を入れたいと思ったときには、しっかりと耐熱用かそうでないのかを見分ける必要があります。耐熱用かどうかを見分けるポイントはキャップの色です。
とくに決まりはないのですが、耐熱温度が50℃~60℃のペットボトルのほとんどのキャップの色は白色です。ただし、これは決められた規則ではないので、実際にはさまざまな色のキャップが使われているのが実情です。
《 ポイント 》
- 熱湯をペットボトルに入れると変形して溶ける危険性がある。
- ペットボトルの種類によって耐熱温度が違う。
- 耐熱温度が50℃~60℃のペットボトルのほとんどは白色のキャップ。
耐熱用のペットボトルでも熱湯はNG
では耐熱用ペットボトルは何℃まで大丈夫なのでしょうか?
「耐熱用」とあるからにはペットボトが熱湯にも強いイメージがありますが、残念ながらそれ程強くはありません。
「普通のペットボトル」の耐熱温度が50℃~60℃なのに対して、「耐熱用のペットボトル」の耐熱温度は85℃程度となっています。沸騰直後のお湯の温度は100℃なので、たとえ耐熱用のペットボトルであってもそれを注ぎ入れるのはNGなんですね。
沸騰した直後ではなく、80℃程度のお湯であれば耐熱用ペットボトルに入れて飲むことは可能です。
ペットボトルのキャップの色が違う理由
さまざまな大きさや形のペットボトルがある中で、キャップの色に注目してみてください。一般的なキャップの色として、「白色」「水色」「オレンジ色」が売られていますが、その中でも耐熱用ペットボトルの場合は「ホット飲料」の目印としてオレンジ色のキャップをしています。
冬場になると、コンビニなどのホットコーナーでオレンジ色のキャップのペットボトルを目にしますよね?オレンジ色のキャップはホット専用のペットボトルであり、他の種類に比べて耐熱温度が85℃と高いことから、高温の飲み物を入れても変形の影響が出にくいので、温かい飲み物に使用されているというわけです。
ペットボトルの口の部分
耐熱用ペットボトルを見分けるポイントとして、キャップの色だけでなくペットボトルの口の部分にも注目してみましょう。「口の部分」とは、ペットボトルのキャップをはずしたあとの先端の部分のことです。
ここの部分が「透明」だと普通のペットボトル、「白色」なら耐熱用のペットボトルなのですが、なぜこのように違いがあるのかというと、ペットボトルを耐熱用に加工するときに口の部分が白く変わるためです。
果汁飲料などのペットボトルでも、口の部分が耐熱用になっているものもあるので、全てがそうなっているわけではありませんが、注意深く観察してみてくださいね。
《 ポイント 》
- 耐熱用のペットボトルの耐熱温度は85℃程度。
- 耐熱用はホット飲料の目印としてオレンジ色のキャップをしている。
ペットボトルに熱湯を入れる危険性
変形するだけでなく破裂することもあると言われている
85℃程度の耐熱温度を超える熱湯を入れると、ペットボトルは柔らかくなり、変形してしまいます。場合によっては、変形にとどまらず破裂してしまうこともありますのでとても危険です。
ペットボトルの有害物質が溶け出してくる心配はない
ペットボトルに熱湯を入れると「有害物質が溶け出す」という内容の記事を、まれに目にすることがあります。熱湯を入れて変形する際に、ペットボトルに使用されている有害な物質が飲料の中に溶け出して人体に影響を与えるということのようです。
もしそうだとすると、熱湯を入れた時に限らず普段から溶け出しているのでは?と心配になってきますよね?詳しく調べてみると、どうやらその情報は間違っていると思われます。ペットボトルから溶け出した物質で、健康上問題が出たという例は見当たりません。
もちろんメーカー各社も自社のホームページ上で、「ペットボトルに有害な物質は使用されていません」と記載してあります。よって、ペットボトルを使っていると有害物質が溶け出てくるという心配はしなくてもよいのではないでしょうか。
熱湯によって有害物質が発生する可能性もあると一部で言われている
「ペットボトルから有害な物質は発生しない」という意見がある一方で、ペットボトルに熱湯を入れると、有害物質が発生する可能性があると一部で言われているようですね。
<アンチモンが発生する>
各メーカーはホームページなどで「ペットボトルに有害な物質は使用されていない」と否定していますが、アンチモンという発がん性のある物質が微量に発生し、ペットボトルの中に入っている飲料へ流れ出すという意見があるようです。
ペットボトルの周りの温度が高い、または液体がペットボトルの中に入っている時間が長いほど、多くのアンチモンがペットボトル内の飲料へ流れ出すというわけです。ですが、今のところアンチモンが人体に影響を及ぼすという証拠はあがっていません。
<ビスフェノールA(BPA)が発生する>
ペットボトルを熱湯ですすいだ時に、最高で55倍のビスフェノールA(BPA)が検出されたという実験結果があります。
BPAとは、乳がんや前立腺がんを誘発する有害物質で、プラスチック容器に含まれる環境ホルモンです。ですが、このBPAが人体に影響を及ぼしたという報告は今のところ出ていないようです。
《 ポイント 》
- 85℃を超える熱湯を入れると変形し破裂する可能性があり危険。
- 有害物質が溶け出て人体に影響を及ぼすという証拠は今のところあがっていない。
ペットボトルを熱湯で消毒したい場合
この記事を読んでいる人の中には、ペットボトルに熱湯を入れることはなくても、熱湯を使って消毒したいと思っている方もいるいらっしゃることでしょう。消毒するのなら熱湯による熱殺菌が一番手軽なのですが、熱に弱いペットボトルに熱湯消毒は向きません。
では、ペットボトルの中を身近なもので消毒するにはどんな方法があるのでしょうか。
ここでオススメしたいのは「重曹」や「液体漂白剤」を活用した浸け置き洗いです。熱湯を使わなくても、水で薄めた重曹や液体漂白剤を使って浸け置き洗いをすることで、洗浄だけでなく殺菌まで一気に仕上げられます。
重曹は一晩浸けておいてもよいのですが、漂白剤は臭いが残ることがあるので浸け置き時間は短めにした方がよいでしょう。
《 ポイント 》
- 水で薄めた重曹や液体漂白剤を使って浸け置き洗いをする。
ペットボトルを湯たんぽ代わりにしたい場合
耐熱温度が85℃の耐熱用のペットボトルは、飲み物を入れるだけでなく他にも活用することができます。そのうちの一つが、寒い時期に布団の中に入れて体を温める「湯たんぽ」です。
ペットボトルを湯たんぽにすることは、電気代の節約にもなるおすすめの方法です。思いのほか快眠でき、しかも簡単に作ることができる湯たんぽの作り方を紹介しましょう。
湯たんぽの作り方
- 耐熱温度の高いペットボトルを選ぶ。
- 耐熱用のペットボトルに85℃以下のお湯をやけどしないように注意しながら注ぐ。
- タオルでしっかりペットボトルを包んでから輪ゴムでとめる。
たったこれだけです。
湯たんぽを作る際の注意点
- 熱湯でなくとも直接肌に触れると低温やけどを引き起こすので、必ずタオルでしっかり包み、はずれないように輪ゴムでとめる。
- 耐熱用のペットボトルであっても熱湯ではなく85℃以下のお湯(普通のペットボトルは50℃程度)を入れる。
- しっかりと蓋を閉める。
- 破損する危険性があるので傷やへこみなどがあるペットボトルの使用は避ける。
- 人によって暖かさの好みは違うので、タオルの厚さや置き場所で調節する。
《 ポイント 》
- 寒い時期に布団の中にいれると体を温めてくれる。
- 電気代の節約にもなるおすすめの方法。
最後に
今回はペットボトルと熱湯の関係について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
ペットボトルに熱湯を入れると変形して容器が溶けてしまうだけでなく、最悪の場合破裂することがあるとわかりました。
熱いお茶やお湯を入れる場合は、耐熱性の目印であるオレンジ色のキャップのものを使いますが、それでも沸騰した直後の熱湯ではなく、80℃程度に冷ましたものでなければいけません。
また、湯たんぽとしてペットボトルを使用する場合も、お湯の温度には十分に注意して、低温やけどにならないようにタオルで巻いたものを使うようにしましょう。