目次
栗が水に浮く理由
たっぷり水を入れた容器に栗を入れてそのまま半日放置しておくと、いくつかの栗が水に浮くことがあります。
水に浮いた栗は、虫食いの可能性があるため取り除きますが、水に浮く栗の全てが虫に食われているとは限りません。
中には問題なく食べることができる栗もあるのです。では、どのような栗が水に浮くのでしょうか。
虫に食われている
虫に食われた栗には穴が開いています。虫は栗の実を餌にするため実が減ってその分軽くなります。
目で確認できない小さな穴でもそこから空気が入り、それによって比重が軽くなるというのが水に浮く理由です。水に浮く栗には、虫がいる可能性が高いので処分の目安になるということです。
ただし、虫の食害がそれほど進んでいない場合は、水に沈んでいることもありますので、虫食い栗を確実に選別することはで難しいかもしれません。
乾燥して皮と実の間に空洞ができる
栗の中にできた空洞は必ずしも虫食いが原因とは限りません。
栗は艶のある茶色の「鬼皮」という硬い皮に覆われていて、中に空気が入らないようになっているのですが、内部が乾燥すると実が縮み空気が入ってしまうことがあります。
収穫から時間が経ち乾燥してしまった栗に限らず、もともと実が痩せている栗も鬼皮との間に空洞ができてしまうため乾燥した実は「おいしい栗」ではない可能性が高いということです。
デンプンが少ない栗
栗に含まれているデンプンは、さつまいもと似ており、収穫して3日程度寝かせることで、デンプンが糖に変わり甘味を強く感じるようになります。
でんぷんがたくさん含まれている栗はずっしりと重いため沈みやすく、でんぷんが少ない栗は水に浮きやすい傾向があります。このため、水に浮く栗は甘みが少ないと言われているのです。
栗が水に浮かなくても虫食いの可能性はある
大量の栗で押さえつけられている
水を入れた容器の中に一気に大量の栗を入れると、栗同士が押さえつけられて浮き沈みを正確に確認できないことがあるので大量に入れるのは注意が必要です。
穴が開いていないのに虫が入っている?
栗に入り込む虫は、実になる前の花の段階で卵を産みつけるため、中でふ化している可能性が高く、穴を開けなくても中でしばらく生息することができます。
実になった後の栗に卵を産んだとしても、まだ青い状態であれば成長する段階で針よりも細い穴から入り込むので、外側からでは虫が中に入っていることに気が付きません。
プロにも穴の開いていない栗の中の虫の選別は難しいようです。
栗に虫がついていた時の対処法
店頭に並んでいる栗は殺虫剤で処理されているため、虫がいる可能性は低いですが、天然栗や無農薬栗は殺虫剤で処理されていないため、虫が食べたと言われることが多いと言われています。
虫食い栗を見つけたらその場で取り除く
実に穴が開いている栗はその場で取り除きましょう。また、栗から白い粉が出ている場合、虫が幼虫になって中で活動しているため、取り除きましょう。
下処理を行う
虫に食われた栗を取り除いたら、早めに下処理を行いましょう。天然や無農薬の栗をそのまま何もせずに放置しておくと、虫が中身をどんどん食べてしまいます。
下処理を行わずに冷蔵庫に入れて保存すると、時間の経過とともに虫が大量発生してしまいます。卵がふ化しないように下処理を済ましておくとよいでしょう。
〈準備するもの〉
- 下処理が必要な栗
- 水
- 穴あきビニール袋
- 温度計
- 鍋
- ザル
〈手順〉
- 栗の表面についている汚れを洗う
- 大きめの鍋に栗が完全に浸かる量の水を入れ弱火にかける。
- お湯の温度が80℃になったら、温度をキープしたまま1分間煮る。
お湯を沸騰させずに煮るのがポイントです。 - ザルでお湯を切ったら、新聞紙の上に重ならないように栗を並べて表面が乾くまで陰干しする。
- 乾いたら結露で湿らないように穴の開いたビニール袋に入れて冷蔵庫で保存する。
ビニール袋の口を全開にして保存しても良い。
虫を食べてしまったら?
気づかないうちに虫を食べてしまうことがあります。栗に生息する虫は主に「クリシギゾウムシ」や「クリミガ」ですが、毒性はなくタンパク質が豊富なので食べても健康上の問題はありません。
万が一、栗の中にいる虫を食べてしまったとしても心配はいりませんが、いいものではないので、早めに下処理を済ませてから保存することをおすすめします。
よい栗の選び方と保存方法
ここではよい栗の選び方と保存方法をご紹介します。
栗の構造について
栗は木に実っている時には、「イガ」と呼ばれるトゲのついた皮で覆われています。一つのイガには通常3個の栗が入っています。外側の艶々した茶色の皮が「鬼皮」と呼ばれています。
実は、鬼皮は「皮」ではなく他の果物の果肉の部分にあたります。この鬼皮を見ておいしい栗かどうか見分けることができるのです。
よい栗の選び方
鬼皮に張りと艶があり丸みがあるもの
鬼皮の表面が固く張りがあり、艶があるもの、平べったい形のものより、ふっくらと丸みがある方がよい栗です。鬼皮の茶色が濃いのも判断材料になります。
ずっしりと重みがあるもの
手に持った時にずっしりと重みが感じられるものは、水分を含んでいて新鮮です。
十分に養分が行き渡っていないものや、収穫してから時間が経ち乾燥してたものは実が軽くなっています。栗を指で押してみるとふかふかして空洞があるのがわかります。
座がきれい
底の部分の「座」に、黒っぽい部分があるものは虫に食われている可能性があります。座がきれいなものを選ぶようにしましょう。
小さな穴や傷があるものは避ける
小さな丸い穴は虫が中に入っていると思って間違いないでしょう。鬼皮に傷があるものも避けてください。
栗の保存法
先程紹介した下処理方法(80℃お湯で茹で沸騰しないように1分茹でる)の後、穴開きビニール袋、または袋を開けたまま冷蔵庫で保存しましょう。
保存期間は1週間から1ヶ月程度になります。また冷蔵庫で保存することで、栗の甘みが3~4倍に増すと言われています。
栗を美味しく茹でる方法
ここでは栗を美味しく茹でる方法をご紹介します。
〈栗の茹で方〉
- きれいに表面を洗った栗を一晩水に浸しておく。
- たっぷりの水を入れた鍋に塩を少々入れて沸騰させる。
ミョウバンを少し加えると渋皮を剥きやすくなります。 - 沸騰したらお湯に栗を入れたら栗が踊らない程度の弱火にして、ときどき混ぜながら30分~50分間ほど茹でる。(栗のサイズや量によって茹でる時間は変わります。)
- 火を止めたらお湯が自然に冷めるまで浸したままの状態にしておく。
最後に
栗が水に浮く理由と、虫がついていた時の対処法についてご紹介しました。
驚くことに、天然の栗の70〜90%に虫がいるのだとか。栗拾いなどで収穫したする場合はしっかり選別し、持ち帰ってから早めに下処理をすることで虫を避けることができるでしょう。
虫が気になる方は、店頭に並んでいる殺虫処理済みの栗がおすすめですが、天然栗も処理方法で美味しく食べることができますので、是非参考にしてみてください。