目次
じゃがいもが苦くなる原因
身を守るための天然の毒素
なぜじゃがいもが苦くなるのか。理由は「自分の身を守るため」です。害虫や鳥などに食べられてしまわないように「ポテトグリコアルカロイド」という天然の毒素をじゃがいも自身が作り出すことが苦味の原因です。
たとえ買ったばかりの新じゃがであってもポテトグリコアルカロイドが作り出されている場合には食べた時に苦いと感じることがあります。これは特定のじゃがいもに限ったことではなく、メークインや男爵薯など品種に関係なく起こります。
長期保存をしていた
買って来てすぐに調理せず、自宅で長期保存をしていると苦くなる原因になりやすいです。長期保存している間、じゃがいもから芽が出てきてしまい、その芽や皮が緑色に変色してしまいます。変色はすでに苦くなってしまっているサインです。
20℃以上になる場所に置かれていた
じゃがいもは20℃以上になると発芽します。買って来た次の日には芽が出始めているなんてこともあります。芽や芽の変色は苦味の原因になります。
じゃがいもは冷蔵庫で保存する必要のない野菜ですが、20℃以上になる場所を避け、暗く涼しい場所で保管するようにしましょう。
苦いじゃがいもを食べても大丈夫?危険性は?
じゃがいもが苦い原因である「ポテトグリコアルカロイド」は、主にじゃがいもの芽や皮に含まれている天然の毒素です。とくに緑色に変色した部分に多く含まれています。
じゃがいもの芽や皮が緑色に変色している時は、その部分に強く苦味を感じることがあります。調理する前に取り除いておくと良いです。
食べても大丈夫?
じゃがいもが苦い原因である「ポテトグリコアルカロイド」は、少量食べてしまったくらいでは人体に悪影響を及ぼす可能性は低いです。しかし、少しでも苦いと感じるじゃがいもは食べない方が良いです。
料理の美味しさも感じられにくくなってしまいますし、じゃがいもが作り出す天然の毒素とは言っても結局は「毒素」であることに変わりありません。
風邪気味の時、免疫力が低下している時などの体調が思わしくない時、ほんの少量でも苦いじゃがいもを食べてしまうと体調を悪くしてしまうまたは悪化させて可能性があります。
食べた時の危険性は?
苦いじゃがいもを食べてしまった時、口の中や喉がイガイガするなどの違和感が続いたり、舌がしびれるなどの症状が起こる可能性があります。これは、毒素(ポテトグリコアルカロイド)によって引き起こされる主な症状です。
少量の苦いじゃがいもを食べてしまった時は、すぐには症状が起こらないこともあります。しばらくは体調の変化に注意が必要です。
食中毒の危険性は?
ポテトグリコアルカロイドには「ソラニン」と「チャコニン」という2つの種類があります。農林水産省では、ソラニンとチャコニンによる食中毒の注意喚起が行われています。
毒素であるソラニンとチャコニンは、じゃがいもを加熱調理しても分解されることは基本的にはありません。量や影響が少なくなるといったこともありません。170℃以上の熱を加えると分解が始まるとの報告もあるようですが、毒素をゼロにまで減らすことは期待できないとされています。
もしも食中毒の危険性があるほど大量の苦いじゃがいもを食べてしまった時、頭痛・めまい・腹痛・下痢・嘔吐などの症状が起こることがあります。今すぐに医師に相談しなければならない状態であると考えてください。
苦い・舌がしびれるじゃがいもを食べた時の対処法
赤ちゃんの離乳食を作る時にもじゃがいもは使いやすいですよね。子供が好きな食事のメニューにもじゃがいもが使われることが多くあります。
味見をして苦いと感じた時、子供が苦いと言ってきた時、舌がしびれるなどの症状が起きた時は正しく対処しましょう。
苦いじゃがいもを少量食べた時の対処法
まだ口の中に入っているのであればすぐに吐き出してください。飲み込んでしまった場合にも焦って対応する必要はありません。少量の毒素(ポテトグリコアルカロイド)を飲み込んでしまった程度では人体に悪影響を及ぼす可能性は低いです。
苦いじゃがいもを大量に食べた時の対処法
相手が子供であった場合にはこんなことが起こることがあります。食事を終えた後で「さっきのカレーのじゃがいも苦かったよね」と言ってくるケースです。苦いじゃがいもを全部食べてしまった後の報告ほど危険性が高いです。
しばらく時間をおいて様子を見るのも良いですが、診察時間内であるのであればすぐに病院で診察を受けた方が安心できるでしょう。
苦いじゃがいもを食べて舌がしびれた時の対処法
ただ苦いと感じるだけではなく、舌がしびれるほどの苦いじゃがいもを食べてしまった時、大量のポテトグリコアルカロイドが含まれていたと考えられます。
大人では200mg~400mgのポテトグリコアルカロイドを摂取すると食中毒を引き起こす危険性が高まるとされています。子供では大人の1/10程度の量を摂取すると食中毒を引き起こす危険性が高まるとされています。
少量の苦いじゃがいもだったからといって安易に対応せず、すぐに病院で診察を受けてください。
苦いじゃがいもの特徴・見分け方
芽が出ているじゃがいも
苦味の原因であるポテトグリコアルカロイドは主にじゃがいもの芽や皮に含まれています。芽が出てしまった場合には取り除いてから調理すると良いです。また、芽が出ているじゃがいもは買わないようにしましょう。
皮が緑色に変色しているじゃがいも
苦味の原因であるポテトグリコアルカロイドはじゃがいもの芽や皮が緑色に変色した部分にとくに多く含まれています。芽や皮をしっかり取り除いてから調理すると良いです。
また、芽や皮が緑色に変色しているじゃがいもはかわないようにしましょう。まだ若いじゃがいもなのではないか?これから茶色く成長するのではないか?と勘違いしてしまいやすいです。
じゃがいもの苦味を取る方法
水に浸しておく
ポテトグリコアルカロイドであるソラニンやチャコニンは水に溶けやすいという性質を持っています。
じゃがいもに含まれている毒素が少量であれば、切ったじゃがいもを水に浸しておくことで溶け出し、苦味が軽減されることがあります。しかし、調理後の味見は必ず行ってください。苦いと感じたら食べないでください。
厚めに皮をむく
皮が緑色に変色している時は、皮をいつもよりも厚めにむきます。苦味を多く含んでいる部分が取り除かれ、苦味が軽減されることがあります。
じゃがいもの皮の付近にだけ苦味があった場合には有効的です。しかし、奥の方まで毒素が浸透していることがあります。調理後の味見は必ず行ってください。苦いと感じたら食べないでください。
最後に
じゃがいもが苦いのは、ポテトグリコアルカロイドという毒素であるソラニンやチャコニンが主な原因です。芽や皮に含まれており、緑色に変色した部分にはとくに多く含まれています。
ほんの少量を摂取した場合でも頭痛・めまい・腹痛・下痢・嘔吐などの症状が起こることがあります。また、食中毒を引き起こした場合には重症化します。苦いじゃがいもを食べてしまってから30分後、遅くても半日後には症状が起こりやすいです。
じゃがいもによる食中毒は全国的に毎年起きています。下記のことに気をつけてください。
- 芽が出たり緑色に変色した部分のあるじゃがいもは購入しないこと。
- 購入したじゃがいもは新鮮なうちに食べること。
- 自宅での長期保存はしないこと。
- 苦いと感じたらすぐに吐き出すこと。
じゃがいもの苦味や毒素は加熱調理しても分解されません。離乳食や子供の食事は与える前に大人が味見をするなど十分に注意してください。