目次
ベーキングパウダーが苦いのは何故?
なぜ、ベーキングパウダーを入れると苦いと感じることがあるのか?
それはベーキングパウダーの原料に苦い重曹が含まれていることが原因です。ベーキングパウダーに入っている重曹はアルカリ性で、もともと苦味のある成分です。
この重曹に水を加えて加熱することにより炭酸ガスが発生し、食材を膨らませてくれるのですが、同時に作られる「炭酸ナトリウム」に、苦味と独特の臭いがあるのです。
本来であればお菓子の生地から抜けていくのですが、ベーキングパウダーを入れ過ぎてしまうと、苦みとなって残ってしまうわけです。
ベーキングパウダーに含まれている重曹の量は、かなり少なめですが、適正な量を使用していれば、苦味を感じるほどの炭酸ナトリウムが発生することはありません。
結論を言えば、ベーキングパウダーを使ったお菓子が苦いと感じた時は、ベーキングパウダーの量が多かったと考えて間違いないので、入れすぎないように正確に計量することが大切なのです。
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーの量が多すぎるのが苦い原因。
ベーキングパウダーが苦くならない方法
正確な計量
ベーキングパウダーを使った甘いはずのお菓子が苦い…と感じた時、まずはベーキングパウダーをレシピ通りに正確に計って作りましょう。
特にお菓子づくりの場合には、材料を正確に計量することがとても重要です。ベーキングパウダーを正確に計っても苦いと感じるようでしたら、レシピより少し少なめに調節してみましょう。
注意するポイントとして、「山盛り」にした1杯と、「すりきり」1杯では量が変わってきます。その2つを小皿に移して計量してみると、山盛り1杯の6gに対して、すりきり1杯は4.5gと、大きな差が出てしまいます。
このように同じ計量スプーンを使っても、盛り方でこんなに違ってきてしまうのです。
計量スプーンですりきり1杯の時には、一旦山盛りにすくってからナイフの背を使って、スプーンからはみ出た粉をすりきって落としてから量ると正確に計量できます。または、0.1g単位で量れるデジタル式のはかりを使うと、ベーキングパウダーを入れすぎずに済むのでおすすめです。
ベーキングパウダーの量を減らしてみる
お菓子の膨らみ加減をみて、量を調節できるときは減らしてみるのも良いでしょう。ただし、作り慣れていない時や失敗したくないときは、この微妙なさじ加減が難しいかもしれませんね。
ベーキングパウダーのメーカーを変える
別のメーカーのベーキングパウダーに変えると、苦味がやわらぐことがあります。
外装に「ベーキングパウダー」とはっきり書いてあっても、その中身はだいぶ違うようです。製品によって重曹、助剤、でんぷんを、どのような割合で配合されているのか、どんな種類の助剤やでんぷんが含まれているのか、その性質が微妙に違ってきます。
メーカーによってその成分に違いがあり、場合によっては味に苦味が出やすいものもありますので、もしベーキングパウダーを使ったお菓子が苦いと感じたら、次は違うメーカーのものに変えてみても良いでしょう。
ベーキングパウダー以外で膨らませる
お菓子を膨らませるのはベーキングパウダーだけではありません。作りたいお菓子によっては、他にも膨らませる方法があります。
メレンゲ
例えば、身近にある物で言うと、卵白を泡立てた「メレンゲ」を使うという手があります。
パンケーキ、パウンドケーキ、シフォンケーキなど、ふんわり感がたいせつなお菓子を、ベーキングパウダー抜きで卵白を泡立てたメレンゲで作ってみましょう。
重曹
また、「重曹」もベーキングパウダーと同じく、ガスの力でお菓子を膨らませるという原理なので代用できます。
ですが、どんなお菓子でも可能なわけではなく、シフォンケーキなど、軽い焼き上がりが特徴のお菓子には向きません。焼き色を濃い目につけたいどら焼きや、サクッとした歯触りが欲しいクッキーには、重曹が向いています。
イースト
さらには、お菓子をふくらませる方法として、「イースト」を使ってみるのも良いでしょう。
ベーキングパウダーで膨らませるのに比べて、イーストは発酵時間がかかったり、生地作りにコツがあったりと手間がかかって上手にできないこともありますが、相応しいレシピを選べば失敗のリスクを減らすことができます。
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーは、厳密な計量が必要な材料。
- ベーキングパウダーは、メーカーによって成分に違いがある為、別のメーカーに変えてみる。
- ベーキングパウダーは、卵白を泡立てたメレンゲや重曹、イーストを使い分けて代用できる。
ベーキングパウダーで苦くなった時の対処法
アルカリ性を中性に近づける
生地を膨らませるのはアルカリ性の「炭酸ガス」です。これにクエン酸やお酢、レモンなどの酸性を加えて中和させると、膨らませようとする炭酸ガスの効果を阻害してしまいます。
ベーキングパウダーの入れすぎにより、蒸しパンやスコーンなどに苦味が出るのは避けたいのですが、膨らまないのも困ってしまいますよね。
このような時の対処法としておすすめしたいのは、少量のレモンを加えることです。レモンで重曹のアルカリ性を中性に近づけることで、ベーキングパウダーの苦い味が緩和されることでしょう。
ただし、入れすぎると酸味がきつくなってしまいますので、くれぐれも注意してくださいね。
濃い味でアレンジする
ベーキングパウダーを入れ過ぎてしまったら、焼く前の生地にココアやスパイスなど、味が濃い素材を混ぜてアレンジしてみましょう。他にも、チョコチップやナッツ類、ドライフルーツを加えて風味をつけて、苦味をある程度カバーしてくれるでしょう。
クリームやジャムなどを多めにつける
焼き上がった後で生地のにおいや苦味が目立つときは、クリームやジャム、はちみつをたっぷりつけるなど、味の濃いトッピングを添えて苦味をカバーすると食べやすくなります。もともとクリームやジャムをたっぷりつけて味わうスコーンなら、違和感なく楽しむことができるでしょう。
冷蔵庫に1日置いてみる。
焼き上がりが苦いお菓子でも、冷蔵庫の中に1日置くことで、炭酸ナトリウムの苦味と独特の臭いが多少抜けるのか、多少苦味を緩和できるようです。ラップをして冷蔵庫の中に一日置くだけです。
《 ポイント 》
- レモンでアルカリ性を中性に近づけることで、重曹の苦味が緩和される。
- 味が濃い素材を混ぜてアレンジする。
- 味の濃いトッピングを添えて苦味をカバーする。
- 冷蔵庫に一日置いて苦味を緩和してみる。
ベーキングパウダーと重曹の違い
ベーキングパウダーとは何?
ベーキングパウダーとは、パンやお菓子などの生地の風味を損うことなく膨らませるための食品添加物です。通称「ふくらし粉」とも言い、お菓子やパン作りによく使われる膨張剤です。
水分に反応して発生する炭酸ガスによって生地を膨らませ、熱でその反応が加速するので、生地は寝かせず混ぜたらすぐに焼くようにします。
ガスを発生させる重曹(炭酸水素ナトリウム)と、膨らむのを助ける助剤、そしてこの二つが触れ合わないようにするためのでんぷんで成り立っています。
- 重曹(炭酸水素ナトリウム):熱や助剤の働きで分解し、炭酸ガスを発生させる
- 酸性剤:重曹が炭酸ガスの発生をコントロールする助剤。
- でんぷん:小麦粉やコーンスターチを使って、ガスが発生する重曹と助剤とが化学反応をおこさないようにする遮断剤。
「アルミニウムフリー」という言葉を耳にしたことありませんか?
これはベーキングパウダーに加えられている酸の種類のひとつなのですが、今まで酸性剤としてよく使われていた硫酸アルミニウムカリウム(焼きミョウバン)には、有害なアルミニウムが含まれていたため、最近ではアルミニウムが含まれていない「リン酸カルシウム」などの酸で代用するようになりました。
重曹とは何?
炭酸水素ナトリウムが 99%以上含まれているのが「重炭酸ソーダ」ですが、それを略した名前が「重曹」です。
重曹は加熱されることで炭酸ガスを発生させ、このガスで生地を膨らませます。重曹は生地がアルカリ性になるので、色が黄色っぽくなり、独特の苦い味が特徴です。
しかし、加熱されるまで炭酸ガスは発生しないので、生地を寝かせるお菓子でもしっかりと膨らみます。縦に膨らむベーキングパウダーとは違って、重曹は横に膨らみます。
このようにベーキングパウダーと重曹は特徴が異なるため、お菓子に合わせてじょうずに使い分けて、おいしい焼き菓子を作りましょう!
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーの成分は、重曹、酸性剤、でんぷんの三つ。
- ベーキングパウダーの重曹は、色が黄色っぽくなり独特の苦い味が特徴。
- 特徴が異なるベーキングパウダーと重曹をお菓子に合わせて使い分ける。
ベーキングパウダーおすすめ5選!
愛国 ベーキングパウダー(アルミ不使用)
アルミニウムフリーの缶入ベーキングパウダーです。
成分
- 炭酸水素ナトリウム25.0%
- コーンスターチ25.0%
- グルコノデルタラクトン18.0%
- 酸性ピロリン酸ナトリウム15.0%
- 第一リン酸カルシウム10.0%
- d-酒石酸水素カリウム6.0%
- ステアリン酸カルシウム1.0%
日清ベーキングパウダー
湿気を防ぐアルミ袋入りで、幅広くご使用できるベーキングパウダーです。小さじ1杯分(4g)ずつの分包タイプなので、保存性もよく計量の手間が省けて便利です。ご家庭でも使いやすく、お菓子作りや天ぷらなどのメニューに最適です。
成分
- 食品素材(でん粉) 30%
- 炭酸水素ナトリウム 26%
- リン酸二水素ナトリウム 17.4%
- リン酸二水素カルシウム 12.4%
- グルコノデルタラクトン 6.6%
- L-酒石酸水素カリウム 6%
- リン酸一水素カルシウム 1.6%
ラムフォード アリサン ベーキングパウダー
原材料は全て天然由来のもの、遮断剤のコーンスターチは非遺伝子組み替え品を使用しています。生地に水が加わった時と熱を加えた時の2回、生地が膨らむので、ふっくらと美味しいお菓子が焼き上がります。
成分
- 第一リン酸カルシウム(42%)
- 炭酸水素ナトリウム(32%)
- コーンスターチ(遺伝子組み換えでない)(26%)
ホームメイド ベーキングパウダー (アルミフリー)
焼ミョウバン不使用のアルミフリーなので、幅広い世代に安心して使用できます。おまんじゅうや蒸しパンはふっくらソフトに、天ぷらの衣はカリッとおいしく仕上げます。
成分
- 酸性ピロリン酸ナトリウム28.0%
- 炭酸水素ナトリウム27.0%
- コーンスターチ(遺伝子組換えでない)23.5%
- 第一リン酸カルシウム20.0%
- ステアリン酸カルシウム1.0%
- d-酒石酸水素カリウム0.5%
TOMIZ(富澤商店)ベーキングパウダー (アルミ不使用)
缶入アルミニウムフリーのベーキングパウダーです。使用量の目安は、小麦粉300gに対し、本品9g~15g(小さじ1杯は約3.5g)です。
成分
- コーンスターチ44.5%
- 第一リン酸カルシウム31.5%
- 炭酸水素ナトリウム24.0%
最後に
ベーキングパウダーが苦い理由と、その対処法についていかがでしたか?
人によっては「苦い」というより「薬臭い」と感じる方もいるようですね。ベーキングパウダーは、少ない量の違いでお菓子の膨らみや美味しさを左右するため、正確な計量が何より大切です。適正な使用量のベーキングパウダーは苦い味はでませんので、入れ過ぎないように細心の注意が必要です。
ベーキングパウダーは、料理ではなく科学に近い感覚なので、量を増やせば膨らんで見栄えよくできるというわけではなく、逆に美味しさを失うこともあるんですね。そのようなことからも、レシピ通りに正確に計量して、美味しいお菓子づくりを楽しんでくださいね。