目次
法事の表書きは宗教・宗派によっても違う
表書きを書くときは、まず宗教や宗派を確認します。間違えると故人を亡くした親族に大変失礼になるので、注意しましょう。
仏教の表書き
仏教の表書きは
- 御香典(ごこうでん)
- 御霊前(ごれいぜん)
- 御仏前(ごぶつぜん)
の3種類あります。
どの表書きを使うのが適切かの判断基準は、四十九日を過ぎているか、過ぎていないかです。四十九日前の初七日法要から七七日(四十九日のこと)までは、「御香典」「御霊前」を持参しましょう。
四十九日以降の法要は「御仏前」を持っていきます。四十九日後の法要は、一周忌や七回忌、17回忌です。よく確認してから持参するようにしましょう。
ちなみに、「御供物料」は香典とは別に包むことも、代わりにも包むこともできます。香典と別に包む場合には、表書きに「御供物料」と書きましょう。
香典の代わりに包むときは上記のルールに則って、「御霊前」または「御仏前」と表書きをしてください。
《 ポイント 》
- 「御香典」「御霊前」「御仏前」の3種類
- 四十九日以前は「御香典」「御霊前」
- 四十九日以降は「御仏前」
浄土真宗の表書き
浄土真宗の法事に行く際は、全て「御仏前」を持っていきます。同じ仏教ですが、浄土真宗は対応が違うので注意しましょう。
ほかの仏教では四十九日を過ぎたら仏様に。しかし、浄土真宗は亡くなった直後から仏様になると考えられています。そのため、「御仏前」で統一するのです。
《 ポイント 》
- 全て御仏前を持っていく
- 亡くなった直後から仏様になると考えられているため
キリスト教の表書き
キリスト教は「御霊前」または、「御花料」の香典袋を使用します。キリスト教ではお金ではなく献花をおこなっていました。
現代では、仏教のお金を渡す風習とキリスト教の献花をすることから「御花料」が使われています。キリスト教の法事には蓮の花が印刷された香典袋を使うのは止めましょう。
無地または、十字が書いてある香典袋を使用するのがベターです。
《 ポイント 》
- 「御霊前」または、「御花料」の香典袋を使用
- 無地か十字が書いてある香典袋を使用する
神式(神道)の表書き
神式の場合は
- 御霊前(ごれいぜん)
- 御榊料(さかきりょう)
- 玉串料(たまぐしりょう)
- 御玉串料(おたまぐしりょう)
のいずれかを使用します。
「玉串料」や「御玉串料」は神式の葬儀で使われる玉串奉奠の道具が由来です。
玉串奉奠の儀式は故人への弔いの気持ちを伝える儀式になります。葬儀中は供養という言葉を使わないのも特徴です。
香典袋のデザインは蓮の花が使われていないものを選ぶようにしましょう。
《 ポイント 》
- 4種類の内どれかを使う
- デザインは蓮の花が使われていないものを使用する
無宗教または不明な場合の表書き
参列する法事が無宗教または不明な場合もあります。そのようなときは「御霊前」を選ぶようにしてください。
無宗教の場合には、「ご厚志お断りします。」と申し出があるケースがあります。意味は、香典や供え物は必要ないということです。
その時は香典を持参せずに、追悼する気持ちや感謝の気持ちを心の中で故人に伝えるようにしましょう。
《 ポイント 》
- 「御霊前」を選ぶ
- 香典を持っていかないケースもある
香典の表書きの書き方
ここからは香典の表書きの書き方を紹介。香典には名前・お布施に書き方のポイントがあります。合わせて墨の濃さもお伝えするので、参考にしてください。
名前の書き方
香典袋の書き方は香典を出す人数によって違います。まずは、個人の場合。個人で香典を出すときには、水引の下の中央に名前を書きます。
代理で香典を出すときは名前の左斜め下あたり「代」と記載しましょう。夫婦2人で出すときには、基本的には夫の名前だけでOKです。
しかし、夫婦ともに故人と親しくしていた場合は、夫の名前の横に妻に下の名前のみを記載しておきましょう。夫の代わりに妻が参列する場合は夫の名前の左斜め下あたり「内」と記載します。
《 ポイント 》
- 香典を出す人数によって違う
- 個人の場合は水引の下に名前を書く
- 夫婦で出すときは夫の名前だけでOK
お布施の書き方
お布施とは簡単に言うとお寺のお坊さんに渡すお礼のお金のことを指します。お布施は遺族が包んで渡すのが一般的です。
お布施に選ぶ表書きは
- 御布施(おふせ)
- 御回向料(ごえこうりょう)
- 御経料(おきょうりょう)
- 御礼(おれい)
のいずれかで大丈夫です。表書きの下の中央に記載する名前は「(名字)家」または「喪主のフルネーム」で問題ありません。
地域によっては裏面に住所と名前を書く場合があります。
《 ポイント 》
- 表書きは「御布施」「御回向料」「御経料」「御礼」のいずれか
- 下に記載するのは(名字)家または喪主のフルネームでOK
香典・お布施で違う墨の濃さ
香典・お布施では以下のように墨の濃さを分けましょう。
- 香典:葬儀のときは、薄墨で書き、四十九日の法要からは濃墨で書く
- お布施:普通の濃さの墨で書く
香典は、故人が亡くなってしまった悲しみを表しているので、葬儀では薄墨で書くようにしましょう。四十九日の法要からは濃墨で書きます。
お布施は、施主がお坊さんにお礼として渡すものです。よって、悲しみの気持ちを表す必要はありません。普通の濃さで書くようにしましょう。
《 ポイント 》
- 香典は葬儀では薄墨で書き、四十九日の法要からは普通の濃さで書く
- お布施は普通の濃さで書く
中袋の書き方
ここからは中袋の書き方を紹介します。中袋にも書き方のルールがあります。正しい知識を身に付けて、中袋を書いていきましょう。
氏名と住所の書き方
まずは、氏名と住所の書き方です。基本的に縦書きで書いていきます。書く場所は中袋の裏面、左下あたりにはっきりと丁寧な字で記載しましょう。
右から住所・名前の順番で書いていきます。数字は漢数字で書いてください。
ちなみに墨は薄墨・濃墨どちらでも問題ありません。ペンの種類も黒色であれば何でも大丈夫です。
《 ポイント 》
- 中袋の裏面の左下に書く
- 右から住所・名前の順番で書く
金額の書き方
ここからは金額の書き方を説明します。場所は、中袋の中央または裏面の住所と名前を書いたところです。金額の前に「金」を書いてから、旧字体の漢数字で金額を記入しましょう。
漢数字の旧字体をまとめましたので参考にしてください。
- 3,000円:参仟圓・参仟円
- 5,000円:伍阡円・伍仟圓
- 10,000円:壱萬圓
- 30,000円:参萬圓
- 50,000円:伍萬圓
- 100,000円:壱拾萬圓・什萬圓
間違えないように注意して、記載しましょう。なぜ旧字体を使うのかというと、漢数字にした場合数字に線を加えて書き換えることが簡単にできてしまうためです。
改ざんを防ぐために旧字体にします。
《 ポイント 》
- 表か裏面に記載する
- 金額の前に「金」を書いてから、旧字体の漢数字で金額を記入
香典袋の種類と選び方
香典袋にはたくさんのデザインがあり、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。実は、選ぶ基準が金額ごとにあります。
以下にまとめたので、ご覧ください。
- 30,000円以上:水引が双銀で高級な和紙製の香典袋
- 10,000円以上:白黒または双銀の水引の香典袋
- 5,000円以下:水引がプリントされた香典袋
金額によって、水引のデザインをチョイスするようにしてください。入れる額は少ないのに、あまりにも派手なデザインのものを選んでしまうと、バランスが悪いので避けましょう。
《 ポイント 》
- 金額によって、水引のデザインをチョイス
法事の相場とお金の入れ方
ここからは法事の相場とお金の入れ方について紹介します。故人との関係性で包む額は変わるので、よく考えてから入れましょう。
法事の相場
法事の相場は故人との関係性と法要後の会食があるかで決定します。自分の分かる範囲で判断しましょう。
【故人と血縁関係があるケース】
- 個人(法要のみ):10,000〜30,000円
- 個人(法要+会食):20,000〜50,000円
- 夫婦(法要のみ):20,000〜50,000円
- 夫婦(法要+会食):30,000〜50,000円
【故人と血縁関係が無いケース】
- 友人(法要のみ):10,000円〜
- 友人(法要+会食):10,000〜30,000円
- お世話になった人(法要のみ):10,000〜30,000円
- お世話になった人(法要+会食):30,000円〜
判断するのが難しければ、個人は10,000円。夫婦の場合は20,000〜30,000円を基準にして選んでみてください。
《 ポイント 》
- 金額は故人との関係性と法要後の会食があるかで決める
- 迷ったら個人は10,000円、夫婦の場合は20,000〜30,000円用意する
正しいお金の入れ方
最後にお札の入れ方を紹介します。以下の手順に沿って入れてみてください。
- お札の向きを揃える
- 裏返しにして、顔が下を向くように中袋に入れる
このように裏返しに入れる意味は、顔を伏せるというところからきているようです。ちなみに、お札は新札でも問題ありません。
持っているお札の中で、きれいめなものを選んで入れましょう。
《 ポイント 》
- お札は裏返しにして入れる
さいごに
今回は、法事の表書きについて紹介しました。
表書きは、宗教や宗派によって選ぶものが違います。失礼にならないように、準備しましょう。また、名前や住所の書き方にも決まりがあります。気をつけるようにしてください。
実際に法事に持っていくときは、香典は袱紗に包んで持っていきましょう。袱紗を持っていない場合は、地味な色の大判のハンカチや風呂敷で代用します。
この記事を参考にして、法要のときに落ち着いた対応ができるようにしましょう。