目次
手土産の渡し方
渡すタイミングは挨拶がすんでから
手土産をお渡しする時は、まず最初に「どこで渡すのか」の渡し方を事前に考えておきましょう。
渡し方のタイミングとして、玄関先で渡すことは基本的にNGだと思ってください。できれば部屋の中に通していただき、ひと通りの丁寧な挨拶を済ませてから、その後にお渡しするのがマナーです。
一方、個人宅に訪問した際の渡し方で、家に上がらずに相手の玄関先で話す程度であれば、玄関先で挨拶をした後に手土産を渡します。また、ビジネスシーンにおいて、会社に訪問していきなり手土産を渡されても、どう対応すればよいのか困ってしまいますので、これは好ましくありません。
渡し方のベストなタイミングとしては、応接室や会議室などに通されてから、一言添えて手土産を渡すのが大人のマナーです。
紙袋や風呂敷から出して渡す
手土産を紙袋に入れて持参することが多いですが、渡し方として紙袋のまま差し出していいのかどうか、迷ってしまいますよね?
紙袋や風呂敷は、持ち運びの時に品物を傷めないようにするためと、ホコリよけでもありますので、そのまま渡すのは失礼にあたります。紙袋や風呂敷は基本的にさっとたたんで持ち帰るのがマナーです。
品物を取り出した後に、スムーズにたたんでから相手にお渡しした方がよいのですが、立って渡す場合の渡し方は、品物を渡した後にたたんでも構いません。不要になった紙袋や風呂敷は、自分で持ち帰るのが基本ですが、親しい間柄であれば、処分をお願いしてもよいでしょう。
また、素敵なデザインの紙袋は置いてきた方が喜ばれることも多いので、「恐れ入りますが、紙袋の処分をお願いしても宜しいでしょうか」とお詫びしながら渡すのもいいかもしれませんね。ただし、風呂敷は持ち帰るようにします。
相手から見て正面の向きで渡す
手土産をただ渡せばいいという訳ではなく、渡し方にもマナーがあります。手土産を渡す際の向きや表と裏を間違えてしまうと、相手に失礼な印象を与えてしまうので注意が必要です。
包装紙や外装に柄や文字がプリントされていて、上下の区別が付くものであれば、相手から見て正しい位置になる向きに直してから渡すが正しい渡し方です。
具体的な渡し方には、紙袋や風呂敷から取り出した品物は、いったん自分の方に正面を向けて傷や破れなどがないか確認し、時計回りに90度、さらに90度回して相手に正面を向けて差し出すと、大切に思う気持ちが伝わりよい印象を与えます。
《 ポイント 》
- 紙袋や風呂敷をそのまま渡すのは失礼にあたる。
- 玄関先で渡すことは基本的にNG。
- 素敵なデザインの紙袋は置いてきた方が喜ばれる場合もある。
- 風呂敷は持ち帰るようにする。
- 渡す際の向きや表と裏を間違えないように注意する。
- 時計回りに90度を2度、回してから相手に正面を向けて差し出す。
手土産の渡し方のマナー
手土産を渡す時に添える言葉
せっかく選んだ品物ですので、手渡す時に添える言葉で、嬉しさに差がつきます。
手渡す際に「つまらないものですが」というのが定番の渡し方と思っている方もいるようですが、この表現は謙遜し過ぎるということで、最近ではあまり使われなくなってきています。
手土産の品物というのは、だいたいパターンが決まっていますので、「ありきたりのものですがどうぞ」という言葉を添えるのが主流になっているようです。確かに「つまらないもの」という表現よりは「ありきたりのもの」という言葉の方が、相手に与える印象がいいでしょう。
あまり謙遜せずに相手への気配りが感じられる表現、例えば
- 「心ばかりの品ですが」
- 「すごく美味しかったから、味わって戴きたくて」
- 「地元で評判が良いとききましたので」
- 「お口に合うといいのですが」
- 「お気に召すと嬉しいのですが」
などの方がよい渡し方でしょう。
大切なのは、相手の負担にならないように気をつけて、自分らしいひと言を添えることです。他にも、要冷凍のアイスクリームや生鮮食品などの要冷蔵品は、できるだけ早く冷蔵庫に入れた方がよいので、その旨を一言添えてお渡しするようにします。
また生花など水気のあるものも、早めに水に入れてもらえるように、一言添えてお渡しする心くばりが必要です。
和室での正しい渡し方
和室に通された場合の渡し方は、下座に手土産を置き、座布団の脇に正座します。そこで挨拶を済ませてから、紙袋や風呂敷から品物を取り出し、いったん自分の方に正面を向けて、包装紙やリボンをきれいに整えてから畳の上に置くようにします。
そして時計回りに90度、さらに90度という具合に2度回して、相手に正面が向くように置き直してから、両手で相手の前に差し出します。和室では机の上に置いて渡すのはマナー違反ですので気をつけて下さいね。
洋室での正しい渡し方
洋室での渡し方は立ったままの状態で挨拶を済ましてから、紙袋や風呂敷から取り出した手土産を、正面が相手に向くようにして両手で差し出します。
この時、机を挟まずに直接、相手と向き合って両手で手渡しします。片手で品物を持って、もう片方の手で品物の底を支えるようにして渡すと丁寧でよい印象を与えるでしょう。その後に促されてから椅子に腰かけるようにします。
《 ポイント 》
- 「つまらないものですが」という表現は使われなくなってきている。
- 相手の負担にならない自分らしいひと言を添える。
- 要冷凍や要冷蔵品は、その旨を一言添えて渡す。
- 和室では机上に置いて渡すのはマナー違反。
- 洋室では立ったまま正面を相手に向けて差し出す
手土産を渡す時の紙袋について
基本は紙袋は自分で持って帰る
手土産を相手に渡した後に不要になってしまう紙袋や風呂敷は、もともとホコリや汚れから守るための物ですので、それを渡すことは失礼になってしまいます。なので、渡した後は、素早く折りたたんでバッグなどにしまいます。
不要になった紙袋は、持ち帰るのがマナーではあるのですが、親しい間柄であれば袋も一緒に渡して処分をお願いしてもよいでしょう。
また、素敵なデザインの紙袋など、差し上げたほうが喜ばれそうな場合には、「こちらの紙袋はお使いになりますか?」などと伺ってからお渡しするのがいいかもしれません。紙袋ひとつにも、その場にふさわしい対処法があるので、臨機応変に対応してくださいね。
もう一枚紙袋が入っている場合
重いものを入れる場合の渡し方は、その重量で底が抜けてしまわないように、紙袋を二重にすることがあります。
それとは別に、デパートで手土産等を購入すると、紙袋をもう1枚付けてくれることがあります。これは重さで底が抜けるのを防ぐためだけに限らず、その手土産をお渡しするときに使うものです。
購入したときに品物を入れてもらった紙袋は、持ち運ぶ途中でヨレたり汚れたりして形が変形してしまうことがありますので、 正しい渡し方はお渡しする直前に真新しいきれいな紙袋に移し替えるようにという心使いなのです。
紙袋のまま渡すのが良い場合
個人宅や会社ではなく外出先での渡し方は、紙袋のまま渡しした方が都合がよい時があります。特にビジネスシーンでの外出先では、紙袋のままの渡し方でも差し支えありません。
その際の渡し方は、紙袋の底と取っ手の付け根のあたりに手を添えて、相手が受取りやすいように差し出し、「紙袋のままで失礼致します」などの言葉を添えてから渡すようにしましょう。
そうように伝えることで、本来は紙袋のまま渡すのは失礼なことだとわかっているうえでの行動だということが伝わり、失礼にはあたりません。
《 ポイント 》
- 紙袋や風呂敷は、もともとホコリや汚れから守るため。
- 渡す直前に真新しいきれいな紙袋に移し替えることもできる。
- 外出先では紙袋のまま渡しした方が都合がよい場合もある。
ビジネスシーンにおける手土産の渡し方
手土産を渡すのにベストなタイミングの渡し方は、応接室や会議室などに通され、名刺交換をした後が最適です。挨拶を済ませて落ち着いた後、仕事の話に入る前に渡しましょう。
あなたが誰なのかを知ってもらうことで、手土産を渡した際に困惑させることなく受け取ってもらうことが出来るからです。
役職や地位が上の人と一緒に訪問した場合の渡し方は、その上司の顔を立てて、手土産を任せるのがマナーです。その際には、忘れずに紙袋から手土産を出して、それから上司に託すようにしましょう。
また、訪問先の担当者が複数いた場合の渡し方は、立場が上だと考えられる上席の人に渡すのがマナーですので、挨拶の内容や名刺の肩書きをチェックしたうえで、どなたの役職が一番上なのかを判断します。
《 ポイント 》
- 渡すタイミングは部屋に通され名刺交換をした後。
- 上司が相手の上司に手土産を渡すのがマナー。
手土産の渡し方に関するQ&A
A.手土産を選ぶ際は、贈る相手だけでなく、家族の皆さんに喜んでもらえるようなものを選ぶといいですね。2,000円~4,000円くらいの品物でしたら、相手に気を使わせずに済みます。
A.相手の部署の皆さんに配ったりすること、さらには配る人数が多い場合なども考慮したうえで選びます。分けやすいように個別包装になっているものや、日持ちなども考慮して、4,000円~10,000円くらいまでが相場でしょう。
A.手土産の渡し方にもマナーがあるように、受け取り方にもマナーがあります、その場合の受け取り方は丁寧に両手で受け取り、相手の目を見て「ありがとうございます」とお礼の言葉を述べましょう。
うれしいという気持ちが、相手に伝わるように表情にも気を配ることで喜んでくれてよかったなと感じてくれるはずです。そのまま置きっぱなしにするのではなく、お礼の挨拶が済んでから「少々失礼致します」と断りを入れてから別室に移動させます。
《 ポイント 》
- 個人宅への手土産相場は2,000円~4,000円程度。
- 会社や取引先への訪問の手土産相場は4,000円~10,000円程度。
- 丁寧に両手で受け取り、相手の目を見てお礼の言葉を述べる。
手土産を選ぶ時に気を付けること
手土産を選ぶ際に気をつけたいポイントをいくつかご紹介します。
- 渡す相手の好き嫌いや家族構成、会社でしたら部署の人数などをそれとなくリサーチしておきます。
- 相手先の近所にある店や、どこででも簡単に手に入るお菓子、そして相手の地元のものは避けます。時間がなくて、適当に用意した気遣いのない人という印象を与えてしまいます。できれば流行を意識したものや季節限定品など、今しか手に入らないものを選ぶと喜ばれるでしょう。
- 会社へ持参す場合の渡し方は、皆さんで分けやすいように個別包装で人数分入ったものを選ぶのがベターです。切り分けるなど、手を煩わせてしまうものや、当日中に食べないといけない生ものなどは避けた方が無難です。
- 相場よりもはるかに高額な品物は、相手に負担をかけてしまいますので、遠慮なく受け取って貰える手土産を持参するように心がけましょう。
《 ポイント 》
- 近所の店、簡単に手に入る物、相手の地元の物は避ける。
- 流行を意識したものや季節限定品などが喜ばれる。
- 会社訪問では個別包装で人数分入ったものを選ぶようにする。
- 高額な品物は、相手に負担をかけてしまう。
最後に
今回は手土産の渡し方やマナー、選び方のポイントついてご紹介しましたが、いかがでしたか。
手土産を渡すのに大切なことは
- 「いつ」
- 「どこで」
- 「誰に」
- 「誰が」
- 「何を」
- 「どのような手順で」
渡すのかを、事前に想定しておくことです。
もちろん、渡し方以外に挨拶の仕方や言葉づかいなどにも気を配らなくてはいけません。
大事な取引先や、知人の自宅、親戚などに手土産を持参する機会は、これからも何度もあると思いますので、手土産に込めたあなたの心遣いが、しっかり相手に伝わるヒントにしてくださいね。