目次
リンドウとは
「リンドウ」は、紫や薄紫とグラデーションの色合いが綺麗な、野山や草原でよく見かける花です。本州や四国、九州などで見られ、その色合いの美しさから人気の高い花ですが、薬草としても知られています。
秋が近くなると、先端に釣鐘型の小さな蕾が並び始め、暖かい陽射しを浴びて青紫色の美しい姿を見せてくれます。リンドウは品種も多いので、鉢花や切り花などでも楽しめる花です。
リンドウの漢字表記
「リンドウ」は漢字で「竜胆」と書き、「リュウタン」または「リュウドウ」と読みます。これは、リンドウの根が漢方薬として使われていたことに由来する名前と言われています。
リンドウの根が「竜の胆のように苦いこと」から、これらの字が用いられたという説があります。なお、日本では、この「竜胆」の読みが変化していったものと考えられています。
リンドウの英名
リンドウの英名は、「Gentian(読み:ジェンシャン)」です。
この英名は、イリュリア最後の王「Gentius (読み:ゲンティウス)」に因んで命名されたもので、ゲンティウス王は、竜胆の薬効を発見した人と言われています。
リンドウの誕生花
リンドウの誕生花は、8月末から秋の終わり頃までの9月10月に多く、他にも色別に誕生花があります。
誕生花の由来には諸説あり、「何月何日の誕生花がどの花か」という定義も出典によって異なります。
以下の誕生日の方にリンドウを贈ると喜ばれるでしょう。
8月31日、9月12日、9月16日、9月17日、9月18日、9月20日、9月26日、10月2日、10月3日、10月13日、10月20日、10月23日
花の色「紫」:9月13日、9月20日
花の色「白」:9月18日
リンドウの基本データ4つ
ここでは、リンドウの基本情報について紹介していきます。世界に約500種もある多年草ですが、一部の地域では一年草として扱われています。
学名や属名をはじめ、原産地と開花時期、国花として制定している国、そしてリンドウとウサギの伝説の4つについて詳しくみていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
リンドウの基本データ1:リンドウの学名と属名
リンドウは、学名を「Gentiana(ゲンチアナ)」といい、リンドウ科・リンドウ属に属する植物です。そのため、学名と同じ「ゲンチアナ」という別名でも呼ばれます。
リンドウの花には、晴れた時にだけ花が開き、一斉に空に向けて花を咲かせるという性質があります。ただし、暑さには弱いので直射日光は避けるようにしましょう。
リンドウの基本データ2:リンドウの原産国と開花時期
リンドウは日本原産の植物で、本州から四国、九州など全国的に見られる花です。一般的には一年草とされていますが、日本でも暖かい地域では多年草として扱われます。
開花時期は、秋が始まる9月下旬から10月中旬です。青紫色や白い色の花が見られ、30~50cmくらいに成長する花は、凛とした立ち姿が美しく育てがいがあります。
また、リンドウの耐寒性や耐暑性は普通で、あまり手をかけなくても育てられると言われています。
リンドウの基本データ3:リンドウを国花にしている国
スイスでは、リンドウの一種である「アルペンエンツィアン」が国花になっています。スイスではエーデルワイスが有名ですが、エーデルワイスは、乱獲の影響でその姿を見られる機会がほとんどなくなってしまいました。
そのため、スイスではエーデルワイスの採取を法律で禁じています。また、スイスでは他にも、アルペンローゼとエンツィアンという花が国花とされています。これらは、エーデルワイスと合わせて「アルプス三大名花」と呼ばれています。
このエンツィアンもリンドウ科の仲間で、森林にたくさんエンツィアンが咲くことから、この花もスイスの国花とされています。
リンドウの基本データ4:リンドウとウサギの伝説
ここでは、リンドウとウサギにまつわる伝説を紹介します。
昔、役小角(えんのおづの)という修行僧がおりました。ある日、役小角が日光の山道を歩いていると、一匹のウサギを見かけました。そのウサギは、雪の中からリンドウを掘り出してなめているところでした。
不思議に思った役小角がウサギに尋ねると、「主人が病気なのでこの草を探していました」と言い、去って行きました。役小角がその草の根を掘り、試しに病人に飲ませてみたところ、優れた効き目が表れました。
役小角は「これは二荒神のお告げに違いない」と思いました。それから、日光では「霊草」として扱われるようになりました。
【タイプ別】リンドウが持つ花言葉12選
「花言葉」とは、花に意味をもたせる言葉で、花の特徴や伝承が由来になっています。たとえば、花を贈る際にメッセージカードなどをつけなくても、花言葉がメッセージ代わりになって思いを伝えられます。
リンドウには複数の花言葉があります。中には「怖い」と言われてしまう花言葉もあるので、贈り物としては躊躇する方もいるでしょう。しかし、その由来を知れば、その花言葉は決して怖くはないでしょう。
主なリンドウが持つ花言葉6選
一般的なリンドウの花言葉の、「悲しい」「寂しい」といった意味は、色や咲き方に、「正義」「勝利」といった意味は、薬用効果に由来します。
「寂しい愛情」や「正義」「勝利」といった、一見同じ花とは思えない花言葉を持っているのは、それぞれの由来が異なっているからです。
以下に、リンドウの花言葉の由来を紹介していきます。どのような由来でどの花言葉が生まれたかを知れば、贈る時の参考になるでしょう。
リンドウの花言葉1:勝利
「勝利」は、リンドウの薬用効果に由来する花言葉です。この場合は、「病に勝利してほしい」という願いを込めて贈られます。
病気のお見舞いとしては、ガーベラのような明るく華やかな花を贈ることが多いですが、リンドウもお見舞いにふさわしい花です。
この場合は、花言葉の由来を説明しながら贈るのがおすすめです。薬用の由来から、胃腸の弱いの人へのお見舞いとしても喜ばれるでしょう。
リンドウの花言葉2:正義感
「正義感」は、リンドウが薬用に用いられたことに由来する花言葉です。「正義」という花言葉は、悲しい印象とはかなり趣が違う花言葉と言えるでしょう。
医学が発達していない時代、病は今以上に人々に恐れられていました。薬用効果があるリンドウは、まるで正義の味方のように頼もしい存在でした。このような状況から、「正義感」という花言葉が生まれたとされています。
リンドウの花言葉3:寂しい愛情
「寂しい愛情」という花言葉は、花の色と咲き方に由来します。「寂しさ」や「悲しみ」といったポジティブとは言いにくい花言葉が多いのも特徴でしょう。
そっと寄り添いあって咲くリンドウは、孤独な者同士が寄り添うような印象を与えます。また、リンドウを代表する青い色には悲しみのイメージがあります。
花を贈るのは愛の告白やお祝いの時とは限りません。悲しみを癒すためにも、美しい花は必要です。
リンドウの花言葉4:あなたの悲しみに寄り添う
「あなたの悲しみに寄り添う」という花言葉は、悲しんでいる相手を思いやる、そんな優しい気持ちを伝える花言葉でしょう。
「愛」を花言葉に持つバラや、同じ秋の花でも「深い愛情」を花言葉に持つ桔梗(キキョウ)とは印象が違います。
本当に落ち込んでいる時に必要なのは、愛の告白よりも悲しみに寄り添うことではないでしょうか。
リンドウの花言葉5:悲しんでいるあなたを愛す
「悲しんでいるあなたを愛す」は、リンドウの花言葉の中でも「怖い」と言われる花言葉です。悲しんでいる時ほど、愛情が必要になることから、悲しみにつけ込むような解釈が生まれて怖いイメージにつながったのでしょう。
愛情は恋愛に限りません。親しい友人などに悲しいことがあった時には、リンドウの花を贈って「一人じゃないよ」というメッセージを伝えましょう。
リンドウの花言葉6:愛情
「愛情」もリンドウの花言葉です。誰かに花を贈るのは、深い愛情を伝える行為なので、愛の花言葉を持つ花を贈ることが多いでしょう。
花言葉には、悲しみや寂しさと関連した愛の言葉が多くありますが、どのような形でも相手に愛を伝える気持ちは変わりません。悲しんでいる人や病の人にも愛情を伝えられるのがリンドウの魅力でしょう。
英国でのリンドウが持つ花言葉2選
同じ植物でも、国によって花言葉が違います。国の歴史や宗教、風習に合わせた花言葉がそれぞれの国で作られていますが、この花言葉が日本にやってきたのは明治初期と言われています。
はじめの頃は、外国からやってきた花言葉をそのまま日本で使っていましたが、日本人の生活や風習に合うように少しずつ変化しています。
西洋ではリンドウにどのような花言葉があるのでしょうか。その違いに注目しながら、西洋の花言葉を見ていきましょう。
リンドウの花言葉7:固有の価値
西洋のリンドウの花言葉「intrinsic」には、「本来備わっている」「固有の」「本質的な」という意味があります。
群生せずに独立して咲くリンドウは、日本の花言葉では「悲しみ」や「寂しさ」といった意味を持たされています。
西洋でもそうした意味はありますが、それに加えて「本質的な価値を持つ」という意味でも見られています。西洋と日本の、ものの捉え方の違いがわかる興味深い花言葉でしょう。
リンドウの花言葉8:愛らしい
「loveliness(愛らしい)」は、リンドウの可憐な花の姿をイメージしてつけられた花言葉です。
「可愛い」「愛らしい」という単語には「lovely」のほかに「cute」「pretty」があります。子供のような可愛らしさを指す「cute」や女性らしい可憐さを指す「pretty」と違い、「lovely」には対象に愛を感じるという主観的要素も含まれます。
野山で可憐に咲くリンドウの姿に魅力を感じて「loveliness」という花言葉がつけられました。
白いリンドウが持つ花言葉2選
リンドウといえば、青紫の花が代表的ですが、他にも白やピンク、紫があり、青紫とは違う印象を与えます。
そのため、同じ花でも色によって違う花言葉がつけられている場合があります。たとえば、白いリンドウは青紫とは異なり、可憐ではかなげな印象を与えます。
ここでは、白いリンドウの花言葉を紹介していきます。
リンドウの花言葉9:貞節
「貞節」は白いリンドウの花言葉です。白い花には無垢な美しさがあるため「純潔」「貞節」といった花言葉が用いられます。
カーネーションやバラも、白い花には「純粋な愛」「純潔」という花言葉がつけられています。
リンドウは太陽に向かって咲き、曇りや雨の日は花を閉じます。その姿がひたむきで一途な印象を与え、「貞節」という花言葉の由来になったとも言われています。
リンドウの花言葉10:適確
リンドウの花言葉である「適確」は、花言葉としては珍しい言葉です。他に「適確」という花言葉を持つ花には、オーストラリア原産でピンクの花を咲かせるボロニアがあります。
「適確」も「貞節」と同じように、晴れている時だけ花を咲かせる性質が花言葉の由来になっています。
他の色の花も同じ性質を持っていますが、無垢な印象を与える白いリンドウは、そのひたむきさや正確さが、よりいっそう際立って見えます。
紫のリンドウが持つ花言葉2選
紫のリンドウは、青紫に比べて高貴な印象を与えます。青は悲しみのイメージと結びつきやすいですが、紫には悲しみからは離れた花言葉がつけられています。
紫のリンドウは秋を象徴するシックな色合いで、青紫のリンドウと同じくらい人気があります。また、紫のリンドウは美しく、高貴な印象を与えてくれるでしょう。
ここからは、紫のリンドウの花言葉を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
リンドウの花言葉11:満ちた自信
「満ちた自信」は、病に打ち克つ薬用効果と、ひたむきに太陽に向かって咲く姿の両方からイメージされた花言葉です。
胸を張って困難に立ち向かうには自信が必要になります。紫色には、直観力やインスピレーションを高める効果もあります。
凛と咲く紫のリンドウは、自信に満ちた様子を思い起こさせてくれます。試験に挑む人や新しい事業に挑戦する人には、「満ちた自信」という花言葉を添えて紫のリンドウを贈るのをおすすめします。
リンドウの花言葉12:尊敬
紫のリンドウの花言葉の「尊敬」という言葉は、紫が「尊い色」と言われてきたことに由来します。
これは、聖徳太子が定めた「冠位十二階」という制度で「紫」が最上位の位階を示す色であったからです。
紫色を出すために使う紫草は、古来から貴重な紫色の染料の材料として大切にされてきました。しかし、今では絶滅の危機に瀕しています。
リンドウの種類と品種5つ
リンドウの紫の花は、昔は野山や田んぼの畦など各地の地域で咲いていました。しかし、現在では自然に咲く数が減少しているため、自然種の代わりとして、切り花や鉢花を品種改良することで市場に流通しています。
リンドウは暑さに弱いため、涼しい地域で自生しているものが多く見られます。また、多くのリンドウの花は多年草のため、品種改良された種を上手に育てることで、長く花を楽しむことができるでしょう。
ここでは、リンドウの種類と品種をいくつか紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
種類と品種1:ハルリンドウ
ハルリンドウは漢字で「春竜胆」と書きます。低地の湿原や湿った草地に自生していますが、咲く場所や地域によって花の色の濃さが微妙に違ってきます。
花は小さめで2~3cmくらい、高さは5~15cmぐらいと、小ぶりです。春になると芽を出すことから、ハルリンドウと呼ばれています。3月〜5月頃まで花を咲かせますが、庭で育てるのは難しいと言われています。
種類と品種2:タテヤマリンドウ
タテヤマリンドウは漢字で「立山竜胆」と書き、別名を「コミヤマリンドウ」といいます。このタテヤマリンドウは、ハルヤマリンドウの高山型の変種で、ハルリンドウと似ているため区別するのが難しいとされています。
開花時期は6~8月と、夏に咲く珍しいリンドウです。花丈は5~15㎝とさまざまで、夏の間、可愛らしい小さな花を楽しませてくれます。白と薄紫の2種類の色があり、白い花の方は「シロバナタテヤマリンドウ」と呼ばれています。
種類と品種3:オヤマリンドウ
「オヤマリンドウ」は漢字で「御山竜胆」と書きます。亜高山から高山に自生していることから、この名前が付けられました。
オヤマリンドウの特徴は、花丈が高く、開花時期は真夏の暑い時期から9月頃までです。オヤマリンドウの花の色は濃紫色で、茎の先端に複数の花を咲かせます。花の開き方に特徴があり、あまり花びらを開かせず、細長くすぼまった花の形が印象的です。
種類と品種4:シンキリシマリンドウ
シンキリシマリンドウは漢字で「新霧島竜胆」と書きます。園芸種のシンキリシマリンドウは、キリシマリンドウとナツリンドウとの園芸交配品種で、コンパクトに育つように改良されています。
本州から四国、九州の湿った野山に自生しています。シンキリシマリンドウの開花時期は秋頃で、晴れた日には釣鐘型の濃い紫の花を咲かせます。
種類と品種5:トウワタリンドウ
トウワタリンドウは、漢字で「唐綿竜胆」と書きます。このトウワタリンドウの花は、白以外にも濃い青い色の花を咲かせます。
開花時期は夏で、花の大きさは普通で3〜4cmくらいになり、上向きについた花が数多く咲きます。トウワタリンドウは、鉢植えでも育てられます。
また、白い花をプレゼントにしたい時に花束にして贈れば、清楚でとても素敵な印象になるでしょう。
リンドウの花言葉について知ろう
ここまで見て来たように、紫色や薄紫色、白色などがあるリンドウは、とても特徴的な花です。凛とした日本の美しさがあるため、落ち着いたお花を求める人や年配の人に喜ばれるでしょう。
また、リンドウの根の薬用効果にあやかり、お見舞いや敬老の日の長寿を願うための贈り物としても用いられます。
リンドウの花を贈る際は、言葉の由来を添えたメッセージなども送ってみましょう。この記事を参考に、リンドウの花言葉を上手に使いこなしてください。