目次
ベゴニアの育て方の前に
ベゴニアの特徴
ガーデニング愛好者に人気のベゴニアは、亜熱帯など温かい地域に生息する植物です。彩り豊かなベゴニアにはとても多くの種類があり、育て方にそれぞれ違いがあります。
ベゴニアの育て方が比較的簡単なのは花持ちが良く1年中咲く花だからです。3~5月、そして真夏を除いた9~10月頃が最も開花する時期であり、特に5月と9月は一番の見ごろの時期を迎えます。
特徴的なのは、葉が左右非対称なことと、ひとつの株に形の違う八重咲きの雄花と、一重咲きの雌花がそれぞれ咲く「雌雄異花」だということでしょう。
ベゴニアの種類
ベゴニアの種類は2,000種以上ありますが、園芸品種を含めると10,000種を超えるといわれています。花姿がさまざまな見た目や性質から、ベコニアは大きく5つに分類されます。
ベゴニアの分類
- 茎がまっすぐに立って伸びる「木立性ベゴニア」
- 1年を通して花を楽しめる「四季咲きベゴニア」
- 茎が太く、地面をはうようにして成長する「根茎性ベゴニア」
- 気温が下がると地上部が枯れて、球根で冬過しする「球根ベゴニア」
- 冬に咲く鉢花として人気がある「エラチオールベゴニア」
苗の選び方
ベゴニアの苗や種はホームセンター、園芸店、街のフラワーショップで入手することができます。また球根ベゴニアは、種苗会社のカタログ販売やインターネットで球根を入手することができます。
元気な苗を選ぶには、以下の点をチェックしましょう。
元気な苗の条件
- 適度な厚みとつやのある葉がついている
- 葉の大きさが揃っていて、下葉まで多く葉がある
- 茎は太くしっかりとしていて間伸びしていない
- 株元は蒸れがない通気性が保たれている
- 手に取ったときに根元がぐらぐらせず安定している
- 葉に黒い病斑などがついていない
適した用土
ベゴニアの育て方で用土も大切なポイントです。鉢植えに適した用土とは、空気を適度に含んでいて水はけがよく保水性があり、肥料の持ちがよい土です。これは多くの植物に共通して言えることです。
鉢植えの場合は市販されている草花用の培養土を使うと手軽に植え付けることができますが、自分で配合するならピートモス5、赤玉土2、腐葉土1、パーライト1を目安にしてください。そして、夏はパーライトを冬はピートモスを多めにするなど、季節ごとに調整してみましょう。
ベゴニアの育て方をもっと専門的におこなうとしたら、
- 球根の植え付けの場合
- 赤玉土7、腐葉土3の割合の配合土
- 種まきをする場合
- 小粒の赤玉土と調整ピートモスまたはココピートを同じ割合で混ぜたもの
そして、地植えにする場合には、庭の土に腐葉土やピートモス混ぜ込んで、水はけをよくし、ベゴニアの好む酸性の土にします。
《 ポイント 》
- 3~5月と真夏を除いた9~10月頃が最も開花する時期です。
- 葉が左右非対称で雌雄異花なのが特徴的。
- 空気を適度に含み水はけがよく保水性があり肥料の持ちがよい土。
ベゴニアの育て方
苗の植え付け方法
鉢植え
ベゴニアの育て方は種類によって多少異なりますが、4〜6月、または9〜10月が植え付けに最適な時期です。
- 購入時のビニールポットよりもひと回り大きな鉢を用意し、鉢底ネットを敷いて鉢穴をふさぎます。
- 鉢底が隠れるように鉢底石を敷き、新しい土に肥料を混ぜ込んだものを鉢の4分の1ほど入れます。
- ビニールポットから苗を抜き取り、新しい土を入れた鉢に置き、苗を安定させます。
- 鉢の上部2〜3cmのところまで土を入れます。
- 鉢底から水が流れ出すまでたっぷり水を与えます。
地植え
ベゴニアを庭に地植えする育て方として、腐葉土にピートモス、有機性肥料を混ぜ込んで土をよく耕し、苗と苗の間隔を20〜25cm程度開けて植え付けます。そして植え付け後はたっぷりと水やりをします。
球根性
球根性は凹んでいる方を上向きにして植え、支柱を立てておきます。
置き場所と温度
ベゴニアの育て方で温度も重要なポイントのです。ベゴニアは暑さにも寒さにも弱く、特に強い日差しは苦手な植物ですが、ある程度の明るさは必要とします。
屋外なら明るい日陰、室内ならレースのカーテン越しの明るさで良く育ちます。直射日光は葉焼けを起こすので苦手ですが、日陰すぎても葉の色が変色してしまいます。
ベゴニアを元気よく育てるには20℃前後の気温を必要とし、反対に気温が30℃を超えると株の元気がなくなってしまいます。そして10℃になると生長が止まり、5℃以下だと枯れてしまいます。
最低でも7℃以上の環境が必要なので、屋外で育てているものは室内に移動させて冬越しさせましょう。気温が10℃以上になるまで、室内で管理するようにしてください。
夏タイプのベゴニアは、冬が休眠期なので、肥料を与えずそっと室内で冬越しさせます。冬タイプのベゴニアは、冬から春にかけて花を咲かせ、冬越しのあと休眠期を迎えますので、花がよく咲くように液体肥料を与えながら冬越しさせます。
また、湿度もある程度必要とはいえ、日本のじめじめとした梅雨時期や暑い夏の多湿は苦手なので、一年を通して風通しの良い場所に置くようにしましょう。
水やり
ベコニアは過湿に弱い性質なので、地植えの場合は水やりにそれほど神経質になる必要はありません。真夏に土が乾いているようであれば、その時にはたっぷり水を与えましょう。鉢植えの場合は、生育時期に土の表面が乾いてきたら、水を与えるタイミングです。
水は鉢底から流れるくらいたっぷりと与えますが、10月下旬ごろからは徐々に乾かし気味にしていきます。鉢植え、地植えとも夏場の水やりは朝のうちに済ませましょう。
肥料
植え付ける際に元肥として緩効性の化成肥料を土に混ぜ込んでおきます。生育期である5〜10月の間は、2週間に1回程度液体肥料を追肥します。
ただし、気温が30℃を超える時期や元気がないように感じる株への追肥は控えます。球根ベゴニアは、気温が下がり地上に出ている部分が枯れ始めたら肥料を中止します。
《 ポイント 》
- 4〜6月、9〜10月が植え付けに最適な時期。
- 元気よく育てるには20℃前後の気温が必要。
- 10℃で生長が止まり5℃以下で枯れてしまう。
- 地植えの水やりは真夏に地面が乾いているときだけ。
- 鉢植えの水やりは、生育時期に土の表面が乾いてきた時に。
- 5〜10月の間は、2週間に1回液体肥料を追肥する。
ベゴニアを育てる時に気をつけたい病害虫
ベゴニアの育て方で悩むのは病気や害虫だと思いますが、それぞれの対処方法をご説明します。
病気
ベゴニアが病気にかかってしまう原因には、温度差や乾燥と多湿の変化が激しかったりすることがあげられます。
ベゴニアがよくかかる病気は、ウドン粉をふりかけたかのように茎や葉が白くなってしまうウドンコ病ですが、一度かかると治りにくいので、殺菌剤を使って予防しましょう。
初期の場合は、水で薄めた酢や重曹水を霧吹きで葉に吹きかけることで効き目が現れることがありますが、重症の場合は、病気にかかった葉を取り除き、薬剤散布で対処しなくてはいけません。
害虫
ベゴニアにはあまり多くの害虫はつかないのですが、球根ベゴニアには害虫により被害が出ることがあります。
- ハダニ
- ヨトウムシ
- アブラムシ
- カイガラムシ
- ナメクジ
などの被害を確認したら専用の薬剤で駆除しましょう。毎日観察することが、病気や害虫を予防するコツでもあるのです。
《 ポイント 》
- ウドンコ病は殺菌剤を使って予防する。
- 毎日観察することが、病気や害虫を予防するコツ。
ベゴニアの育て方に関するQ&A
A.園芸店などに球根の取り扱いがない場合は、種苗会社のインターネットやカタログ販売で入手することができます。球根の品種によっては変わった形のものもありますが、出来るだけ色はこげ茶で硬いもの、ふっくらしていてどんこの椎茸のようなものを選ぶと良いでしょう。
販売されている中で芽が出ているものを見つけたら、それは元気な証拠なので例え形が悪くても手に入れましょう。反対にブヨブヨした触感であったり、白っぽいものはやめておいたほうが無難です。
A.種まきから育てることができる四季咲きベゴニアなら、気温が上がりはじめる4〜5月が失敗することなく栽培できるでしょう。ベゴニアは発芽時に太陽光が必要な「好光性種子」なので、種をまいた後は土で種を覆わないようにするのが重要なポイントです。
《 ポイント 》
- 芽が出ている球根は元気な証拠。
- 種まきは4〜5月頃におこなう。
- 種をまいたら土で種を覆わないようにする。
ベゴニアの育て方のポイント
花がら摘み
5月と9月にあたる花の盛りが終わったら、花茎のつけ根で切り落として花がらを摘み、落ちた花がらも取り除いておきましょう。
このようにしてこまめに摘むことによって、より多くの花を咲かせることができますし、過湿を解消し病害虫対策にもなりますので、上手に育てるコツのひとつです。
剪定
花が咲かなくなってきたベゴニアは、切り戻すことで樹形を整え新しい花を咲かせてくれます。
切り戻しをする時は、茎の半分程の長さの所にあるわき芽の節の少し上で切るようにしましょう。剪定したところからは新しい茎や葉が出てきますので、思いきって強めに剪定するのがポイントです。
種類別剪定方法
- 木立性ベゴニア・四季咲きベゴニア
- この2つのタイプは、1年を通して切り戻しができます。生育期であればある程度切り詰めてもいいのですが、真夏と冬は混み合った葉や茎を整理する程度にしておきます。
- 根茎性ベゴニア
- 梅雨時や真夏の蒸れやすくなる時期に、混み合った茎と葉を剪定します。
- 球根ベゴニア
- 初夏の時期、花が咲き終わった株を半分程度の高さに切り戻すと、秋にまた新たに花を咲かせてくれます。
- エラチオールベゴニア
- 3月中旬〜4月に軽く切り戻します。5月下旬〜6月中旬には花が終わりを迎えるので、株を半分くらいの高さに切り戻します。
植え替え
長い期間、植え替えをせずに育てられた株は、劣化した土の中に栄養や空気が入りにくい状態になっていますので、定期的に植え替えをする必要があります。
水はけが悪くなったと感じた時、鉢底から根がはみ出ていたり、株の大きさと鉢がふつりあいになって不安定になった時が植え替えるイミングでしょう。
時期としては5〜6月と9〜10月上旬。その頃に一回り大きな鉢に植え替えましょう。
増やし方
ベゴニアは挿し木で簡単に増やすことができます。真夏はなかなか発根しにくいので、適温である4〜5月頃と9月下旬〜10月上旬頃が最適です。
挿し木には、茎の先端のほうを使う「天芽(てんめ)挿し」と、葉芽がある節がついている茎の部分を使う「管(くだ)挿し」のふたつがあります。
- 上部の葉を2〜3枚残して下葉は取り除き、大きな葉はハサミで半分にカットします。
- 湿らせた清潔なバーミキュライトに挿します。
- 直射日光の当たらない場所に置き、土が乾いたら水やりします。
- 一ヶ月ほどで新しい葉が出てきたらビニールポットに鉢上げし、その後は生育状況に合わせて植え替えをしていきます。
根茎性ベゴニアは「葉挿し」で増やせます。球根ベゴニアは、球根の繁殖も挿し木も難しいので、1年性の花と割り切って育ててください。
《 ポイント 》
- 花が終わったら花がらをこまめに摘む。
- 思いきって強めに剪定する。
- 植え替えの時期は5〜6月と9〜10月上旬。
- 挿し木で簡単に増やすことができる。
最後に
ベゴニアの育て方はいかがでしたか?
ベゴニアは置き場所など、ちょっぴり難しく感じますが、彩りが華やかで1年中育てられる魅力的な花です。
花が咲いた後、剪定や植え替えをちゃんと行うことで、次のシーズンにも元気な花を咲かせてくれますし、剪定した時の枝を挿し木にして増やす過程も楽しめることなどが、愛好者が多い理由なのでしょう。
春と秋の2回、街の花屋さんをのぞいてベゴニアを探してみてください。豊富な種類の中から、自分好みのベゴニアを見つけて美しい花の栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。