目次
ハナミズキの育て方の前に
ハナミズキの育て方の前に、ハナミズキの特徴、植え付け時期、苗木の選び方、栽培ポイントなどハナミズキの育て方に必要な情報をご説明します。
ハナミズキの特徴
桜と入れかわるようにきれいな花を咲かせるハナミズキは、ミズキ科・ヤマボウシ属に分類される花木です。
大きいものだと10m前後まで成長する落葉高木樹なので、街路樹や家のシンボルツリーとして、全国各地で目にすることが出来ます。丈夫で枯れにくく、和風洋風どちらの庭にも違和感なくマッチしますので、春の訪れを知らせる庭木として人気があります。
4枚の花弁がきれいに咲いているように見えますが、実はこれは花ではなく総苞(そうほう)、いわゆる「葉っぱ」なのです。この葉っぱをハナミズキの花と勘違いされていますが、実際の花は総苞の中にある直径5mm程度の目立たない部分。ここにたくさんのちいさな花が密集していて、順次開花していくのです。
ハナミズキの花の色は、白、赤、ピンクと華やかで、秋の紅葉シーズンに入ると赤い実が成り、色鮮やかな姿を一年中見せてくれます。寿命は桜と同じく80年前後でしょうか。
栽培カレンダー
植え付け適期は3月です。きれいな色の花を楽しめる一番の見頃は4月中旬~5月頃です。そして、10月頃には赤い実をつけ、10月中旬~11月上旬には紅葉を楽しむことができます。
剪定は12~3月の間、または5~6月上旬に行いますが、不要な枝や徒長枝を切り戻す程度にしましょう。
苗木選びのポイント
よい苗木は、幹がまっすぐ伸びていて、芯が止まっていないものです。
根がしっかりしていると、ハナミズキの幹や枝葉が貧弱に見えたとしても順調に成長します。根づかずに枯れてしまったら意味がありませんので、植木づくりは根づくりだといわれるくらい根が大切です。
お店では根を見ることができませんが、根本の土が見えている場合、細根が出ているものや、根本が太いのは根張りのよい証拠です。そして枝が太くて間のびしていないものなら問題ないでしょう。
他に、ハナミズキの木のサイズにも注意してください。ハナミズキが広い場所にたくさん植えられていると小さく見えてしまうのですが、実際植え付けてみると、思いのほか大きかったりします。そのようなことがないように、事前にどのくらいのサイズのハナミズキを購入するのかを考えておかなければいけません。
栽培の楽しみは、「小さなものを時間をかけて大きく育てる」ということを忘れないでくださいね。
《 ポイント 》
- 花と思われている花弁は総苞といわれる葉っぱ
- 実際の花は総苞の中にある直径5mm程度の目立たない部分
- 一番の見頃は4月中旬~5月頃
- よい苗木は、幹がまっすぐ伸びていて芯が止まっていないもの
- 細根が出ているものや、根本が太いのは根張りのよい証拠
ハナミズキの育て方
庭植えの植え付け方法と用土
- 苗木の根鉢より2~3割ほど大きな穴を掘ります。
- 底に腐葉土と緩効性の化成肥料を適量入れて土と混ぜます。
- 掘り上げた土を戻したところに、根鉢を少しくずした苗木を根元が地表より少し高くなるように置きます。
- 水をたっぷり与えます。
- 強い風で倒れないように、支柱を添えてあげるとよいでしょう。
鉢植えの植え付け方法と用土
ハナミズキは地植えと鉢植えでは用土の配合が違うので注意が必要です。鉢への植え付けや植え替えは、3月に行うようにします。
高さ80cm前後の接木苗の場合は6~7号鉢に、植え替えなら一回り大きい鉢に植え替えます。
- 鉢から取り出し、根鉢を少しくずします。根はなるべく切らないようにしますが、長い根があれば切り詰めます。
- 鉢底にネットを敷き、ゴロ土や鉢底用の石を少し入れます。
- 赤玉土小粒7、腐葉土3の割合に混ぜた用土を作り、鉢と根鉢の間に用土を入れます。
- 鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。
置き場所
ハナミズキは日当たりのよい場所で育てるのが適しています。しかし、乾燥には弱く、暑い時期に1日中直射日光が当たっていると乾燥しすぎて枯れるのを防ぐ為に葉を落としてしまいます。
できれば直射日光を避け、午前中だけ日光を浴びれる、西日を避けた場所が好ましいですね。真夏に一日中日が照るようであれば、グランドカバーや藁を地表に敷いて乾燥を防ぐようにするなど工夫してみましょう。
また、ハナミズキは寒さにとても強いので、冬場は特に気を付けることはありません。
水やり
鉢植えは土の表面が乾いたら水を与えます。水切れになってしまうと夏場に葉を落としてしまいますので、夏場は朝夕の涼しい時間帯に水をたっぷりとあげてください。
地植えをした場合は、植え付けをした直後に水をたっぷりとあげましょう。
その後は基本的に水の心配をする必要がないのですが、真夏で土の乾燥が続くときは植え付け後2年以内の苗木には十分に与えます。
肥料
ハナミズキの肥料は、鉢植えでも地植えでも年2回、2月、そして8月下旬から9月頃に追肥します。肥料は窒素、リン酸、カリが含まれた粒状堆肥や、油かすと骨粉を等量混ぜた肥料を与えます。
肥料が不足すると花付きが悪くなり、紅葉も色鮮やかでなくなってしまうので、気を付けてくださいね。
《 ポイント 》
- 強い風で倒れないように支柱を立てる
- 地植えと鉢植えでは用土の配合が違う
- 日当たりを好むが乾燥には弱い
- 鉢植えは土の表面が乾いたら水を与える
- 地植えは水の心配をする必要がない
- 2月と8月下旬~9月頃の年2回、追肥をする
ハナミズキを育てる時に気を付ける病害虫
風通しが悪いところでは、うどんこ病が発生しやすくなります。新芽や葉が白く粉をまぶしたようになるうどんこ病は、梅雨が明ける頃から発生しやすいので、
初夏から夏までに定期的に薬剤をまくようにします。また、4月~7月にはコウモリガの幼虫が、6月と8月下旬~9月上旬頃はアメリカシロヒトリが発生しやすくなります。
その対策として、幼虫が小さなうちにオルトランやスミチオンを散布して駆除することをおすすめします。早期に発見できるように、できるだけ観察するように心がけましょう。
《 ポイント 》
- 梅雨が明ける頃にうどんこ病が発生する
- 4月~7月にはコウモリガの幼虫が発生する
- 6月と8月下旬~9月上旬頃はアメリカシロヒトリが発生する
- 幼虫が小さなうちにオルトランやスミチオンを散布して駆除する
ハナミズキに関するQ&A
A.ヤマボウシとハナミズキを混同させている方が多いようですが、一番の違いはヤマボウシは日本が原産なのに対して、ハナミズキはアメリカからの外来種だということです。
他にも、ヤマボウシの総苞片は先端が尖っているのに対して、ハナミズキは丸みがあり、先端が窪んでいるという見た目の違いもあります。ハナミズキは、ヤマボウシより多くの花が咲き、秋の紅葉も色鮮やかで人の目を引き付け楽しませてくれます。
A.「華やかな恋」「私の想いを受けとめてください」「永続性」「返礼」「公平にする」など。
英語の花言葉は「durability」。永続性、耐久性という意味です。
A.「友情」さわやかで純潔な印象のある白い花のヤマボウシは、大切な友人へのプレゼントとしても人気があります。
《 ポイント 》
- ハナミズキは外来種、ヤマボウシは日本原産
- ハナミズキの花言葉は「華やかな恋」「永続性」など
- ヤマボウシの花言葉は「友情」
育てたハナミズキの剪定とふやし方
成長を止めるなら剪定を行う
ハナミズキは成長が遅く、枝数も少ないうえに自然と整いやすい植物なので、基本的には剪定をしなくてもよい樹木です。ですが、庭が狭くなったなどで剪定が必要な場合は、花が咲いた直後、または秋の落葉後に頂部の先端を切って成長を止めましょう。
剪定の適期は11月~3月です。込み合っている部分や絡みあった部分の枝を節の上で切って剪定するのですが、枝の先にある丸みを帯びた花芽を剪定してしまうと、翌年花が咲かなくなるので、花芽を切り取ってしまわないように気をつけましょう。
また、大枝を剪定した後は、切口に癒合剤を塗布しますが、仕立て直したときには、2年間は開花しません。
「挿し木」や「接ぎ木」で増やす
挿し木で増やす
これは難易度が高い方法です。6月頃に新しく出てきた枝を10cm程度に切って腐葉土に挿し、半日陰で管理しながら一日一回水やりをします。ただし、挿し木は発根する確率が高いとはいえず、成長も他の方法と比較して遅いです。
接ぎ木で増やす
3月頃に台木となるハナミズキに接ぎ木をして、根付くまで全体をしっかりと腐葉土や土で覆い、乾燥を防ぎます。
種で増やす
接ぎ木や挿し木で増やす方法の他に、種で増やすこともできます。9~10月に赤く熟した実を採り、果肉を取り除いて種をきれいに洗います。
種は乾燥すると発芽しないので、すぐにまいてしまうか、乾かないように注意しながら冷蔵庫で保存し、3月なったら水はけのよい土にまきましょう。
ただし、種まきの場合は花が咲くようになるまで、6~7年かかるようです。
《 ポイント 》
- 基本的には剪定をしなくてもよいが剪定の適期は11月~3月
- 頂部の先端を切って成長を止める
- 挿し木や接ぎ木、種まきで増やすことができる
- 種まきの場合は花が咲くまで6~7年かかる
最後に
春を代表するハナミズキは、華やかな雰囲気で人々を魅了す玄関先に植えるシンボルツリーに相応しい樹木です。
比較的お手入れや剪定も簡単であり、暖かい地域でも美しく紅葉し長い期間楽しめるので、街路樹や庭木として全国的に人気のある木です。
かわいい蕾が膨らむ春、そして美しい花を咲かせ、秋には葉が紅葉し赤い実が成り、夏秋冬色々な姿を楽しむことができるとても魅力的な樹木です。
丈夫な接ぎ木苗を選び、真夏の強烈な直射日光により株元が乾燥しないようにするなどのポイントを押さえておくことで、どなたでも気軽に育てることができるでしょう。
これを機に、見る人の心を和ませる表情豊かなハナミズキを育ててみませんか?