目次
カランコエを育てる前に
カランコエの特徴
カランコエの育て方の前に特徴をご説明します。花の色が美しく、肉厚な葉が特徴的なカランコエは、たくさんの水分を蓄えている多肉植物の一種です。
カランコエの原産国
カランコエは、アフリカやマダガスカル、そして東アフリカなどの熱帯の地域が原産地なので、乾燥に強く育てやすい植物として人気があります。
分布している地域は広く、アジア圏だけでも約100種類のカランコエが自生しており、バリエーション豊かな植物です。
熱帯の植物のため、寒さや湿度に弱いので、日本で育てる場合は管理がしやすいように鉢に植えるのが一般的です。
カランコエの種類
草丈が15cm程度の低いものと30cm〜50cmに伸びる品種の2タイプがあり、花の容姿も一重咲き、八重咲、釣鐘型と豊富です。
花の色には、紅色やピンクの他にオレンジや白、紫、グリーン、クリーム色など、色彩豊かで美しさも際立つのでインテリアとしてもフラワーアレンジなどでも活躍しています。
このように、扱いやすいサイズであるのと、秋以降からたくさんの花を咲かせることができるので、花が少なくなる寒い季節に、部屋を明るく彩りたい時にはぴったりの植物ですね。
カランコエの選ぶ条件
良質なカランコエを選ぶために確認することはこの5つです。
- 葉に傷や害虫が付いていない
- 色艶が良い
- 葉と葉の間が間延びしていない
- 株は変色がなくぎゅっと締まっていて、鉢とのバランスが取れている
- 茎がグラグラせず根がしっかりと張り、ずっしりとしている
《 ポイント 》
- カランコエは乾燥に強く育てやすい植物として人気がある
- 寒さや湿度に弱いので、管理がしやすいように鉢植えにするとよい
- 良質なカランコエを選ぶ際は5つのポイントを見る
カランコエの置き場所と温度
「春~秋」のカランコエの育て方
10月から年を越して5月の間に花の咲かせるカランコエは、1年を通して日光を好む植物であるため、日当たりの良い部屋に置くようにします。
日光不足にならないように、真夏以外の花後の春から秋の期間は屋外で育てるとよいでしょう。
熱帯の植物なので対暑性はあるのですが、寒さには弱いので冬になって10℃を下回ってきたら暖かい室内へ移動させます。
カランコエはこの育て方で春~秋にかけて開花しますが、日照時間が短くなると花芽がつく短日植物なので、上手に開花させるには日照時間の管理も必要になってきます。
「真夏」のカランコエの育て方
日当たりの良い場所を好むカランコエですが、葉焼けを起こさないように、真夏は強い直射日光を避け、明るい日陰に移動させます。
カランコエを育てるのに適した気温は25℃くらいなので、真夏の高温で根が蒸れて腐ってしまわないよう、夏場はとくに風通しの良い場所に置くようにしてください。
「冬」のカランコエの育て方
冬は10度以上の場所で乾燥気味に育てるようにするのがポイントです。よって土の表面が乾いてから2~3日後に水やりを行うようにしましょう。
冬場に室内で管理をするようになると、暖房の熱や風が当たってしまいます。乾燥には強いというものの、暖房の風にやられてしわしわになってしまわないように、できるだけ暖房がある部屋は避けるようにしなくてはなりません。
どうしても暖房の風が当たってしまう場合には、葉水をしてあげてください。
気温が5度以下の場所では休眠してしまい、それが長く続くと枯れてしまう場合がありますので注意してください。
また、気温が低いとつぼみがつきにくくなって花付きが悪くなってしまうこともありますので、冬場はなるだけ暖房の熱や風が当たらない室内に移した方が得策でしょう。
夜も明るい場所は避ける
カランコエのような「短日植物」には、日照時間が開花に大きく影響してきます。「日照時間が12時間以下になると花が咲く」という特殊な条件で開花するカランコエは、日暮れが早まり、夜の時間が長くなる時期の秋以降に咲くというわけです。
よって、室内で管理している場合は、どうしても蛍光灯の光が当たって暗い環境を作ることが難しいので、蛍光灯の光を遮断して暗い状態を作ってあげる必要が出てきます。その作業は、「短日処理」と言って、カランコエをすっぽりと覆うことが可能なサイズのダンボールを準備し、カランコエにかぶせて暗所を作ります。
この作業を30〜40日間繰り返すことにより開花するので、この性質を把握し活用することで、開花時期であれば毎年花を観賞することができるのです。
《 ポイント 》
- 春~秋は日当たりの良い室内、または屋外に置く
- 真夏は風通しの良い明るい日陰に移動させる
- 冬は暖房の熱や風が当たらない室内で乾燥気味に育てる
- 日照時間が12時間以下になるよう短日処理をする
カランコエの水やりと肥料
水のやりすぎには気を付ける
カランコエの水やりのコツは「与えすぎない」ということに尽きます。先にもお伝えしたように多肉植物ですから、ぷっくりとした葉の中に水分を蓄えていますので、水やりは、土がカラカラに乾いてからで十分です。
6月~8月の間と、12月~4月の間は乾かし気味に管理し、5月と、9月~11月の間は、用土の表面が乾いたら、たっぷりと与えるようにしましょう。
乾燥には非常に強いというものの、過湿には弱く根腐れを引き起こしやすいので、水をやりすぎないよう注意しなくてはいけません。また、葉に水をかけてしまうとぐったりと傷んでしまいますので、気をつけてくださいね。
肥料は夏以外に与える
カランコエに与える肥料として、花が咲く時期にはゆっくりと効果のある「緩効性肥料」を、花が終わってから、その年いっぱいは2週間に1度のペースで「液体肥料」が良いでしょう。
株を休ませるためにも、年が明けたあたりから次の花の季節までの冬の期間は肥料を与えないようにします。室内で管理しているものは、この間に花を咲かせることもあるのですが、それでも冬に肥料をあげる必要はありません。
また、高温時期である真夏も根腐れを引き起こしやすいので控えてください。花を長期間楽みたい方は、リン酸の成分を多く含んでいる肥料を与えてみましょう。
《 ポイント 》
- カランコエの水やりのコツは与えすぎないこと
- 真夏と冬場は肥料を与えなくてよい
カランコエの土と植え替え
適した土
カランコエには水はけの良い土を選ぶこと、これが第一条件です。初心者であれば、多肉植物専用培養土やサボテン専用の培養土を準備してください。
または、ご自身で配合土を配合する場合は、小粒か中粒の赤玉土と川砂とピートモスを5:3:2の割合で作ってみましょう。赤玉土を4割にして、腐葉土と川砂を4:2の割合で混ぜたものでもよいでしょう。
植え替え方法
植え替えのタイミングは、鉢植えであれば根がいっぱいになったときの5月~6月と、9月が適期です。2年に1回程度、切り戻しと同時に植え替えます。
鉢いっぱいに根が張った状態のまま育てていくと、水はけが悪くなり成長できませんので、花が咲き終わった後、まずは枝全体から半分に切り戻しを行います。
今までの鉢より一回り大きい鉢に植え替えし、たっぷりと水やりをした後は、やや乾燥気味になるようにその状態を保ちながら1週間程度は明るい日陰に置きます。
《 ポイント 》
- 水はけの良い土を選ぶこと
- 植え替えのタイミングは、2年に1回程度5月~6月と9月が適期
カランコエの育て方に関するQ&A
A.葉や花を枯れたまま放置していると、灰色かび病になる恐れがあります。また、春と秋に風通しが悪いと発生するうどんこ病などがあります。
A.カランコエは、オンシツコナジラミやアブラムシなどに食べられやすく、中でもカイガラムシやアブラムシは、毎年、新芽と蕾に多く発生します。
A.病害虫と対策は以下の通りです。
- 灰色かび病
- 低温で多湿の時期である11月~5月に発生しやすいようです。冬越しさせる時に、低温多湿にならないように注意しますが、枯れた葉やしぼんでいる花がらを見つけたら、その都度摘み取って被害を抑えるようにしましょう。
- うどんこ病
- 発生しやすい春と秋に、風通しのよい場所に置くようにします。
- アブラムシ
- アブラムシが発生したら、早急に薬剤を撒いて退治します。
- コナジラミ
- コナジラミは葉の裏にくっついて液汁を吸い取ってしまうので、見つけ次第薬剤を散布して駆除します。
- カイガラムシ
- 風通しが悪い3月~11月に発生するので、発生の初期にこすり落とすとよいでしょう。
《 ポイント 》
- 害虫や病気が発生した場合には、それぞれに相応しい対処方法で。
カランコエの育て方のポイント
花がら摘み
1月から5月に行います。カランコエは小さな花を次から次へと咲かせますが、全部一斉に咲くのではなく順番で咲いていくので、枯れ始めた花と咲いている花が入り混じる状態になってしまいます。この咲き終わった花がらをこまめに切り取っていきましょう。
ひとつの茎に咲く花の3割くらいが、枯れてしまったら付け根から切り取ってしまうことで、葉の過密や下のほうの葉が腐ることを防ぐことができます。
摘心(てきしん)
花を咲かせるために毎年、夏の時期に剪定の一種でもある「摘心」という作業を行います。
これは生えてきた新芽を摘む作業なのですが、新芽の先を摘み取ることで株全体の容姿を整えたり、花数を増やすために必要な作業なのです。
カランコエの摘心は、大きな花を咲かせるというより、たくさんの花を咲かせるためにおこないます。植物は先に出た芽に集中して栄養を送りこむ性質を持っていますので、新芽を摘むことで栄養が他の部分にも行き渡り、たくさんの芽が生長するというわけです。
まずは、はさみを使っても指で摘み取る方法でもどちらでも構いませんので、夏の生長期に葉の先端に出てきた新芽をすぐ下の葉の付け根のところから1~2センチほど摘み取ってみましょう。
短日処理
カランコエなどの「短日植物」を室内で管理している場合、蛍光灯などの光を遮断してあげなくてはいけないということは先にお伝えしたとおりです。
そのため、段ボールをカランコエにかぶせて暗所を作るという、暗い環境が必要なカランコエには欠かせない作業をする必要がでてきます。これを短日処理と言い、30〜40日間繰り返すことで開花させることができるのですから、試してみる価値がありますね。
挿し芽
挿し芽を行う時期は、夏を避けた4月か~6月、9月が適期です。
用土は酸度調整済みのピートモスや、さし芽専用の用土など、清潔で肥料分が少ないものを使用しましょう。
葉に子株ができるので、子株の茎をナイフやカッターなどで切り離して植えつければ、1ヶ月ほどで発根し簡単に増やすことができます。また、カランコエの中には葉から子株が出て、地面に落ちた葉から根が出て新しい株ができることもあります。
そのようにして根が出た葉は、植え替えの時期に鉢に植え替えてあげましょう。
《 ポイント 》
- 咲き終わった花がらをこまめに摘み取ることできれいな状態を維持する。
- 栄養が他の部分にも行き渡りやすくなるよう、新芽を摘心する。
- 段ボールをかぶせて蛍光灯などの光を遮断する短日処理をする。
- 子株の茎を切り挿し芽すると、1ヶ月ほどで発根し増やすことができる。
最後に
どうでしたか?カランコエの魅力、育て方、増やし方などがわかると初めての方でも育ててみたい気分になってしまいますよね?
園芸店やホームセンターでよく見かけるカランコエは、水やりの頻度が少なめで日向で管理していれば元気に育つ丈夫な植物なのでどなたにでも簡単に育てることができます。注意すべき点は、水やりを頻繁にしすぎないようにするくらいでしょうか。
種類も豊富で秋や冬にも花が咲くので、お世話をするのが楽しくなること間違いなしのカランコエを育ててお部屋に彩りを添えてみてくださいね。