目次
たんぽぽとは?
春になると、散歩中などに黄色いたんぽぽの花をよく目にするようになります。
たんぽぽは、キク科のタンポポ属に属する多年草で、春になる3月から4月にかけて毎年花を咲かせる生命力あふれる野草です。
根を深く伸ばすので、庭での家庭菜園などでは少し厄介な草花と言われています。
今回は、たんぽぽの花言葉や由来について詳しくご紹介していきましょう。さらに、ちょっと怖いたんぽぽに関係する逸話もご紹介しています。
たんぽぽの名前の由来
「たんぽぽ」という名前にはいくつかの由来があります。
1つ目は、綿毛になった時の姿が拓本を採る際に使う道具「タンポ」に似ていることから「たんぽ穂」と付いたとされるものです。
たんぽぽの別名である「鼓草」から、鼓をたたいた音の響きで「たんぽぽ」と呼ばれるようになったという由来もあります。
また、田んぼ道でよく見かけることから、「田菜」という名前が少しずつ変化して「たんぽぽ」となったという由来もあります。
たんぽぽの英語の意味
たんぽぽは英語で、「dandelion(ダンデライオン)」と言います。
この「ダンデライオン」という名前は、たんぽぽの葉のギザギザした独特な形が、ライオンのギザギザした歯並びに似ていることから付けられた名前です。
この「ダンデライオン」には、ライオンの歯を意味とするフランスの「ダン.ド.リオン」の言葉に因んで「ダンデライオン」と呼ばれたという説もあります。
たんぽぽが誕生花の日にち
春に忍耐強く咲くイメージがあるたんぽぽは、2月の初めから初夏になる前の誕生花になっています。
たんぽぽが誕生花になる日にちは、2月7日、2月18日、2月19日、3月10日、3月13日、3月23日、3月29日、4月3日、5月3日です。
在来種と外来種の見分け方
たんぽぽには、在来種と外来種の2種類があります。
真夏には葉がなくなり、夏の間は成長しないのが在来種のたんぽぽの特徴で、外来種のたんぽぽは1年中成長を続けます。
外見にも違いがあり、たんぽぽの花の下の外総苞片(がいそうほうへん)という部分が反り返っていなければ在来種のたんぽぽで、反り返っていれば外来種のたんぽぽとされています。
花の下をよく観察することで、在来種か外来種かを見分けられるでしょう。
たんぽぽの花言葉6選
昔からヨーロッパでは、ふわふわで真っ白なたんぽぽの綿毛を使用した、愛の占いが行われていました。
日本でも、昔からの花占いに、恋人が「来る」「来ない」と花びらを一枚ずつ抜く占いがありますが、やはり同じようにヨーロッパでも花びらを使い「好き」「嫌い」と恋占いに使用されていたとのことです。
たんぽぽの花言葉に、恋愛に関する由来が多いのはそのためでしょう。
たんぽぽの花言葉1:「愛の神託」
たんぽぽには、「愛の神託」という花言葉があります。
これは古くからヨーロッパで行われていた、たんぽぽの綿毛を使った占いに由来します。「好き、嫌い」と心で唱えながら綿毛を「ふぅ」と吹き、綿毛がどのように残ったかで占う恋占いです。
最後の一吹きですべて飛ばせたら「凄く愛されている」、少し残ってしまったら「二人の心は離れています」、そして綿毛が飛ばずに全部残ってしまったら「あなたに関心がない」となります。
たんぽぽの花言葉2:「神託」
「神託」という言葉は、日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが「神様のお告げ」という意味があると言われています。
神からのお告げのアイテムとして、たんぽぽを恋占いや愛の占いで使うことから、たんぽぽに「信託」という花言葉がつきました。
黄色い小さな太陽のような、可愛らしいたんぽぽの花から考えると、「神託」や「愛の神託」、または怖いイメージなどは想像できないという人も多いことでしょう。
たんぽぽの花言葉3:「真心の愛」
「真心の愛」というたんぽぽの花言葉は、たんぽぽの明るいイメージに合った花言葉と言えるでしょう。
太陽の下で咲く黄色い花のイメージは、嘘のない「本当の心」が、また、真綿のようなイメージの白い綿毛には「真心」というイメージがぴったり合います。
たんぽぽの花が、「偽りのない素直な心からの愛情」を表しているような花言葉となっています。
たんぽぽの花言葉4:「別離」
「別離」というたんぽぽの花言葉は、飛んでいく「綿毛」に由来します。
黄色の花が終わり、ふわふわの綿毛になって旅立っていく姿から「別離」というたんぽぽの花言葉が生まれました。
明るいたんぽぽのイメージから考えると、少しネガティブな印象が残る花言葉と言えるでしょう。
たんぽぽの花言葉5:「私を探して 私を見つめて」
たんぽぽには、黄色い花だけではなく、白い花もあることをご存知でしょうか。白いたんぽぽの花言葉は、「私を探して、私を見つめて」です。
日本固有種である白いたんぽぽの和名は、白花蒲公英(シロバナタンポポ)です。白いたんぽぽは、日本の限られた場所で咲いているため、「私を探して、私を見つめて」は、そんな白いたんぽぽが由来となっています。
ロマンティックで不思議な花言葉と言えるでしょう。
たんぽぽの花言葉6:「幸せ」
数あるたんぽぽの花言葉の中で、一番たんぽぽにぴったりな花言葉が「幸せ」ではないでしょうか。太陽の下で元気に咲くたんぽぽの姿を見かけると、ふっと幸せな気持ちになる人も多いでしょう。
忙しく殺伐とした日々を過ごす中、ふっとたんぽぽを見て「幸せ」と思えるのは、その人の心が豊かな証拠です。
「足元の小さな幸せを見つけてみよう」という意味も含めてつけられた、たんぽぽの花言葉はとても素敵なものと言えるでしょう。
たんぽぽの種類5選
世界中にはたんぽぽの種類が無数にありますが、そのうちの約20種類は日本で生息しています。そして、さらにたんぽぽの種類を細かく分類していくと、100種類以上に分けられるとも言われています。
日本でも、元々日本で咲いていた「在来種」と外国から入ってきた「外来種」の2種類のたんぽぽが生息しています。
ここからは、日本に生息する主なたんぽぽの種類と特徴をご紹介していきましょう。
たんぽぽの種類1:カンサイタンポポ
「カンサイタンポポ」は、昔から日本に咲く在来種のたんぽぽで、西日本地方に多く自生しています。
この種類のたんぽぽは、近畿地方の他にも沖縄で自生していると言われています。
カンサイタンポポは、花の下の総苞片と言われる場所の幅が狭くなっています。セイヨウタンポポより一回り小さいのがこのカンサイタンポポの特徴です。
たんぽぽの種類2:セイヨウタンポポ
外来種のセイヨウタンポポは、黄色い小花が密になっていて、他の外来種のように総苞外片が反り返っているのが特徴です。
帰化植物の代表とまで言われたセイヨウタンポポですが、近頃では都市部に後から入ってきたアカミタンポポに押され、あまり見かけなくなったとも言われています。
かつては日本の在来種であるたんぽぽを追いやり、そこら中に自生していたセイヨウタンポポも、アカミタンポポにはかなわなかったのでしょう。
たんぽぽの種類3:シロバナタンポポ
「シロバナタンポポ」も日本の在来種ですが、カンサイタンポポと比べるとシロバナタンポポの花は背が高く大型に育ちます。
勢力が強く、中国地方で広く自生している場所が見られます。特に荒れた土地や広い野原に咲いているのを目にすることが多いでしょう。
たんぽぽの種類4:カントウタンポポ
「カントウタンポポ」とセイヨウタンポポの大きな違いは、花が咲く季節です。
春以外でも季節を問わずに咲いている方がセイヨウタンポポで、カントウタンポポは春にしか咲きません。
また、花の下の部分の総苞の外片が反り返っておらず、一枚ずつ花びらに重なり合って花をしっかりと包んでいるのが、カントウタンポポの特徴です。
たんぽぽの種類5:ツクシタンポポ
「ツクシタンポポ」は、他のたんぽぽから比べると、花の大きさがとても小さく、葉が茎からロゼット状に広がっています。
分布域は四国から九州と生育地が限られているため、そのためにツクシタンポポは極めて少ない品種といわれています。
日本の環境変化、または外来種のセイヨウタンポポの侵入により、ツクシタンポポは絶滅の危険性があります。
たんぽぽの花言葉が「怖い」と思われている理由とは?
ここまでのたんぽぽの花言葉には恋愛に関するものが多いため、「たんぽぽの花言葉が怖い」というイメージはあまり感じられないでしょう。
しかしながら、他の花にも怖い花言葉があるように、たんぽぽにも「怖い」と言われる花言葉や逸話が存在します。
ここでは、怖い花言葉の由来とされる「南風とたんぽぽ」の物語について詳しくご紹介していきましょう。
ネガティブな意味をもつ花言葉が原因?
たんぽぽには、恋愛に関する花言葉が多く見られますが、「別離」という花言葉は、ヨーロッパ地方では縁起が良くないと言われていました。
しかしながら、これはたんぽぽの花言葉が「怖い」とされる直接の理由ではありません。
たんぽぽの怖い花言葉のイメージの理由は他にあり、アメリカで古くから伝わる物語にあるとされています。
花言葉自体ではなく「別離」の由来となった物語が原因?
「別離」の由来となった物語があります。
昔、南風が美しい髪の少女と恋に落ち、その少女は草原に咲く「たんぽぽ」の姿でしたが、南風は少女がたんぽぽということに気づかずに、毎日その少女を眺めていたそうです。
やがて月日が経ち、黄色の髪の少女は白髪の老婆になります。その姿を見て悲しくなった南風はため息をつき、その風でたんぽぽの綿毛が飛ばされ、姿が見えなくなってしまったそうです。
この物語が「別離」という花言葉の由来となり、「怖い」と言われる原因のひとつに挙げられます。
たんぽぽの意外な利用法4つ
明るく黄色い花を咲かせるたんぽぽは、春になるとあちこちで見かける、親しみのある可愛らしい花です。そのたんぽぽには、意外な利用法があります。
たとえば、たんぽぽコーヒーや天ぷらなど、たんぽぽは食用にもできる野草です。また、たんぽぽの花を乾燥させたものは、蒲公英(ほこうえい)という生薬として今でも利用されています。
ここからは、たんぽぽの意外な利用法を見て行きましょう。
たんぽぽの意外な利用法1:たんぽぽコーヒー
たんぽぽコーヒーは、たんぽぽの根を焙煎して作ったコーヒーです。
普通のコーヒーとは違ってノンカフェインなので、子どもからお年寄りまで、睡眠前にも安心して飲むことができます。
たんぽぽコーヒーには自律神経を整える効果があるとも言われています。他にも、利尿作用があるので老廃物を排出したり、女性特有の冷え改善の効果も期待できるでしょう。
たんぽぽの意外な利用法2:タンポポ占い
先述のように、タンポポは恋占いにも使われます。
ヨーロッパでは、恋人を思いながらたんぽぽの綿毛を吹く占いがあるのは有名ですが、その他にも、たんぽぽの花びらを使って恋人の心を占うたんぽぽ占いがあります。
それは、可愛らしいたんぽぽの小さな花びらを一枚ずつ抜いて、二人のこれからの運命を占うものです。
花びらの枚数が多いたんぽぽの占いでどんな答えが出るのか、二人の未来が神様に託されます。
たんぽぽの意外な利用法3: 草笛
道端や草原など、さまざまな場所に自生しているたんぽぽの茎は、草笛としても利用することができます。柔らかく優しい音を出すので、春の訪れを感じることができるでしょう。
まず、たんぽぽの頭の部分と下の部分を切って3~4cmの長さにします。次に、茎の一方の切り口を噛みつぶします。
そして、つぶした方をくわえて吹けば、たんぽぽの草笛の出来上がりです。
たんぽぽの意外な利用法4:薬用
たんぽぽの根を乾燥させて煎じたお茶は健康に良いことから、広く人々に飲まれてきました。
他にも、たんぽぽの茎に傷をつけると白っぽい汁がでてくることから、たんぽぽの根を煎じたお茶を飲めば母乳の出が良くなるとも言われていました。
セイヨウタンポポも在来のたんぽぽも、同じように薬用として使用でき、胃や肝臓の働きの改善や、解熱や強壮などを目的として用いられていました。
たんぽぽの花言葉を楽しもう!
本記事では、たんぽぽの花言葉とその由来について紹介しました。
春になると、散歩中に目にするたんぽぽの黄色い花で季節が感じられます。そんなたんぽぽには恋愛の花言葉が多いのですが、春という季節には出会いと別れのイメージもあります。
そして、たんぽぽの花言葉にも季節同様、「別れ」のイメージがあることをお分かりいただけたでしょう。
たんぽぽの花言葉を知り、たんぽぽのさまざまな用途を楽しんでみてください。