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家で作った麦茶の賞味期限はどれくらい?
暑い季節になると、家庭で麦茶を作り置きする人も多いと思います。しかし、家庭で作った麦茶には賞味期限の表示がないため、いつまで飲めるのか悩んでしまうことも多いでしょう。
自宅で作った麦茶は、市販品と違って特殊な保存方法がされておらず、傷みやすいため注意が必要です。まずは家庭で作った麦茶が安全に飲める賞味期限を詳しく確認していきます。
常温で保存した場合
自宅で麦茶を作った後、そのまま常温で放置してしまった経験がある人もいるかもしれません。しかし、麦茶を常温で保存するのは危険です。
特に夏場は気温が高いため、4~6時間ほどで雑菌が繁殖し始め、8時間を超えるとかなり傷んでしまいます。冬でも室温によっては半日程度で劣化が進むため、基本的には常温保存は避けることをおすすめします。
室内温度が30℃を超えるような日には、わずか数時間で飲めなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
冷蔵庫で保存した場合
麦茶を安全に飲むためには、冷蔵庫で保存することが基本です。しかし、冷蔵庫で保存していても永久に安全ではありません。
家庭で作った麦茶の賞味期限は冷蔵庫で保存して2~3日以内です。できれば作った翌日までに飲み切ると、より安全です。この期限はあくまで目安であり、保存容器や冷蔵庫の温度、衛生管理によって異なります。
乳幼児やお年寄りなど免疫が低い方が飲む場合は、必ず翌日までに飲み切るよう心がけてください。
麦茶はなぜ傷みやすいのか?
麦茶が他のお茶と比べて傷みやすい理由には、いくつかの科学的な根拠があります。この理由を理解すると、麦茶の扱い方や保存方法により注意を払う必要性が見えてきます。
雑菌の栄養源となる成分が多い
麦茶の原料である大麦には、デンプン質が多く含まれています。このデンプン質は水に溶け出しやすく、雑菌にとっては格好の栄養源となります。
特に水出しの場合は、ゆっくり抽出することでデンプン質が多く溶け出しやすくなり、雑菌が繁殖しやすい状態になります。そのため、パックを入れっぱなしにしたり、長時間常温で置いたりすることは麦茶を傷める大きな原因になるのです。
抗菌作用が少ないため雑菌が繁殖しやすい
緑茶やウーロン茶には、カテキンという抗菌作用がある成分が含まれています。カテキンは雑菌の繁殖を抑える役割を果たしているため、これらのお茶は比較的長持ちします。
しかし、麦茶にはカテキンがほとんど含まれていないため、雑菌が繁殖しやすい環境になっています。そのため、家庭で作った麦茶は他のお茶よりも賞味期限が短くなり、より厳密な保存管理が求められるのです。
作った麦茶を長持ちさせるための保存のコツ
家庭で作った麦茶は、市販品のように保存料や無菌充填がされていないため、ちょっとした工夫で保存期間に大きな差が出ます。
ここでは、麦茶をより長く安全に楽しむための基本的な保存のポイントを解説します。
煮出し後は素早く冷やす
やかんで煮出した麦茶は、火を止めた後にそのまま常温で放置すると、雑菌が繁殖しやすい温度帯(約30~40℃)に長くとどまってしまいます。この状態が長く続くほど、菌が一気に増えるため危険です。
煮出し後は粗熱を取ったあと、やかんや容器ごと氷水につけて急速に冷やし、できるだけ早く冷蔵庫に入れることが大切です。このひと手間で、雑菌の増殖を大幅に抑えることができます。
パックを入れっぱなしにしない
麦茶パックを抽出後にそのまま容器の中に入れっぱなしにしておくと、麦から溶け出すデンプン質が増え、雑菌がさらに繁殖しやすくなります。
煮出し麦茶の場合は火を止めて5分程度置いたあと、必ずパックを取り出しましょう。水出しの場合も、冷蔵庫で抽出が終わったらパックは早めに取り出すことが重要です。
清潔な容器を使う
麦茶を保存する容器が汚れていると、それだけで雑菌が繁殖するリスクが高まります。使用する前に中性洗剤でしっかり洗い、熱湯をかけて殺菌しておくことをおすすめします。
ガラス製の容器はにおいや傷がつきにくく衛生的で、麦茶の保存に向いています。プラスチック製の容器を使う場合は、傷や変色がないか定期的に確認し、洗浄や消毒を丁寧に行うことが大切です。
飲み方や扱い方で変わる保存期間
麦茶は作り方や保存方法だけでなく、飲み方や扱い方によっても傷みやすさが変わります。ここでは、意外と見落としがちなポイントを解説します。
容器に直接口をつけない
ポットやピッチャーに直接口をつけて飲むと、唾液に含まれる雑菌が容器内に入り込みます。その後冷蔵庫に戻しても、菌は繁殖し続けるため劣化が早くなります。
必ず飲む分だけコップに注いで飲むことが、麦茶を長持ちさせる基本です。口をつけてしまった場合は、その日のうちに飲み切るようにしましょう。
継ぎ足しはしない
一度使った容器に新しい麦茶を継ぎ足すのも、雑菌繁殖の原因となります。見た目には問題がなくても、容器内に残っていた菌が新しく入れた麦茶に移ってしまいます。
必ず飲み切ってから容器を洗浄・消毒し、新しい麦茶を入れることが重要です。
麦茶が傷んでいるかどうかの簡単な見分け方
家庭で作った麦茶は見た目では問題ないように感じても、実は傷んでいることがあります。傷んだ麦茶を飲んでしまうと、お腹を壊したり気分が悪くなったりする可能性があります。
飲む前にチェックできる簡単な傷みの見分け方を紹介します。
酸っぱい臭いやカビ臭さを確認する
麦茶は新鮮な状態であれば香ばしい良い香りがしますが、傷むと酸っぱい臭いやカビのような嫌な臭いがしてきます。特に容器のフタを開けた瞬間に違和感を感じたら、飲むのは控えましょう。
酸っぱい臭いや不快な臭いがある場合、雑菌が増えて腐敗が進んでいる可能性が高いため、すぐに処分するようにしてください。
麦茶の色やとろみを確認する
麦茶は本来、透明感のある茶色が正常な状態です。しかし、傷んだ麦茶は色が濁っていたり、浮遊物が見られたり、表面に薄い膜のようなものが現れたりします。
特に「とろみ」や「ぬめり」が感じられる場合は、かなり雑菌が繁殖しています。見た目が少しでも異常だと感じたら、安全のために飲まずに捨てましょう。
少しでも変な味がしたらすぐに飲むのをやめる
臭いや見た目に問題がなくても、口に含んだときに酸味や異様な苦味などいつもと違う味がした場合、傷みが進んでいる可能性があります。
飲み込まずに吐き出し、残りの麦茶もすべて処分してください。「もったいない」という気持ちは分かりますが、体調を崩してしまっては元も子もありません。健康を第一に考えて、迷わず捨てる勇気を持ちましょう。
麦茶パックの正しい保存方法
麦茶の賞味期限を語るうえで、麦茶パック自体の扱い方も大切です。正しく保存すれば、安全でおいしい麦茶を長く楽しめます。パック麦茶の保存方法を改めて確認しましょう。
未開封の麦茶パックは冷暗所で保存する
市販されている麦茶パックの未開封状態での賞味期限は、約12ヶ月(1年)程度です。ただし、高温多湿な場所に保存すると、未開封であっても劣化が早く進んでしまいます。
保存場所は風通しのよい冷暗所が最適です。特に直射日光が当たったり、湿気が多かったりする場所は避けましょう。
開封後は密閉容器に移し替える
開封した麦茶パックは空気や湿気に触れると、風味が急速に落ちてしまいます。必ず缶や瓶、密封性の高い袋などに移し替えて保存するようにしましょう。また、パックを湿気から守るために乾燥剤を一緒に入れるのもおすすめです。
開封後はなるべく早く(目安として1~1.5ヶ月以内に)使い切るように意識してください。なお、冷蔵庫に保管すると他の食品の臭いが移る場合があるため、常温の冷暗所での保存を推奨します。
まとめ
麦茶は意外にも繊細な飲み物です。衛生的に保存するためには「雑菌を増やさない環境」を徹底することが一番のコツになります。
普段の容器洗浄の手間や、パックを取り出すタイミングなど、小さな気配りが賞味期限を大きく左右します。また、冷蔵庫の温度管理も重要で、できれば4℃以下の冷蔵室に保管すると、より安全でおいしく飲めます。
家庭で麦茶を作る際には「自分が思っているより短い期間しか持たない」という意識を持って、こまめに作り直すことを心がけましょう。