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アルコールは万能じゃない!使い方に注意しよう
アルコールは家の中の細菌を手軽に消毒できる便利なアイテムです。新型コロナウイルスの流行以降、多くの家庭でアルコールスプレーや除菌シートを日常的に使用するようになりました。しかし、実はアルコールで掃除すると、逆に物を傷つけたり破損させたりすることがあります。
掃除でアルコールを使う際は、使っていい場所とダメな場所をきちんと確認しましょう。特に材質によっては、アルコールが原因で変色、ひび割れ、劣化といったトラブルが起きやすいので注意が必要です。
この記事では、特にトラブルが起きやすいものを取り上げて解説します。
アルコールで拭いてはいけないもの8選
アルコールを使って掃除すると、素材が傷んでしまうことがあります。ここからは、身近にある「アルコールで拭いてはいけないもの」を理由とともに説明します。
①トイレの便座
便座はアルコールで拭くと、表面に細かなヒビ割れが入ることがあります。これは「ソルベントクラック」と呼ばれ、アルコールがプラスチック樹脂に浸透し、素材が脆くなり割れやすくなる現象です。最悪の場合、突然便座が割れてしまうこともあります。特に便座の蓋や操作パネルは樹脂製のため、アルコールとの相性が悪く、使うほどに劣化が進みます。
便座の掃除には中性洗剤を使い、柔らかい布で優しく水拭きをしましょう。
②液晶テレビ・スマートフォンの画面
スマホや液晶テレビの画面にアルコールを使うと、表面の特殊なコーティングが剥がれてしまいます。このコーティングは画面の反射防止や指紋の付着を防ぐ役割があり、アルコールで劣化すると画面がにじんだり、映像がぼやけてしまいます。また、カメラのレンズ部分も曇ってしまい、撮影がうまくできなくなることもあります。
液晶画面の掃除には専用のクリーナーを使うか、軽く湿らせたマイクロファイバークロスを使うのがおすすめです。
③フローリングや木製家具
フローリングや木製家具は、表面がワックスやニスでコーティングされています。アルコールを使うとコーティングが溶けてしまい、白く変色したりツヤがなくなったりします。特に無垢材のフローリングはコーティングがないことが多く、アルコールが木材に直接浸透し、変色やひび割れを起こしやすいです。
木製品の掃除は専用の木材クリーナーや薄めた中性洗剤を使用しましょう。もし変色した場合は、家具専用のワックスを塗ることで修復可能です。
④ピアノの鍵盤
ピアノの鍵盤には繊細なコーティングが施されています。アルコールで拭くと、そのコーティングが溶けて鍵盤が割れたり、触り心地が変わったりすることがあります。実際にアルコールで除菌した手でピアノを弾いたことで、鍵盤がひび割れたケースも報告されています。
ピアノ鍵盤の掃除には乾いた柔らかい布を使い、汚れがひどいときは薄めた中性洗剤を軽く含ませて拭き取り、必ず水拭きで洗剤を拭き取りましょう。
⑤革製品(バッグ・財布・ソファなど)
革製品はアルコールによって油分が奪われ、革が乾燥しひび割れてしまいます。また、色落ちや光沢が失われることも多く、一度劣化すると元に戻すのは困難です。特に手指消毒の際に革製品に触れると、その部分だけ変色することがあります。
革製品の掃除やケアには、専用の革用クリーナーやクリームを使いましょう。
⑥アクリル製品や透明プラスチック製品
アクリル板や透明なプラスチック製品(飛沫防止パネル、収納ケースなど)は、アルコールを使うと表面が白く曇り、微細なヒビ割れが入ります。これは「ケミカルクラック」と呼ばれる現象で、素材がもろくなり、軽く触れただけで割れることがあります。
プラスチック製品の掃除には薄めた中性洗剤を布に含ませて拭くのが安全です。
⑦車内の内装(ダッシュボード・シート)
車のダッシュボードや合皮シートなどの内装は、アルコールで拭くと表面のコーティングが溶けたり、白っぽくなったりします。特に高温の車内でアルコールを使うと、劣化が早まり、ヒビ割れや変色がひどくなる場合があります。
車内は専用のクリーナーや濡れた布を使って優しく拭き取りましょう。
⑧ゴム製品(リモコンボタン・イヤホンパッド)
リモコンやイヤホンのゴムパーツはアルコールに弱く、使うとゴムが硬くなって亀裂が入ります。特に日常的に使う製品では、劣化が早く進みやすいので注意が必要です。
ゴム製品の掃除は水拭きで優しく拭き取り、乾燥させる方法がおすすめです。
アルコールで拭いても問題ないものと正しい使い方
ここまで、アルコールで掃除するとトラブルを起こしやすいものを説明しましたが、正しく使えばアルコールは便利な除菌剤です。この章では、アルコール掃除が適している場所や物、また安全に使うためのコツを紹介します。
アルコール掃除が向いている場所
アルコールは揮発性が高く、水を使いにくい場所や、菌が繁殖しやすい場所に効果的です。具体的には以下の場所での使用がおすすめです。
- キッチンの調理台やシンク周り
- 冷蔵庫の中(食品が直接触れる棚板や取っ手)
- ドアノブや電気スイッチなど、手が頻繁に触れる場所
- 食卓(食事前の仕上げの拭き掃除)
- 子どものおもちゃ(アルコール対応のプラスチック製品など)
ただし、家電製品や電気スイッチなどの掃除では、直接スプレーするのは避け、布にアルコールを染み込ませてから軽く拭き取るようにしましょう。
安全にアルコール掃除をするための4つのポイント
アルコール掃除は便利ですが、使用方法を間違えると危険を伴うこともあります。以下の4つのポイントを守って、安全にアルコールを使いましょう。
①火の近くで使わない(火気厳禁)
アルコールは引火しやすいため、キッチンのコンロ周りやヒーターのそばなど、火気のある場所では絶対に使用しないでください。特にアルコールをスプレーすると蒸気が広がり、引火事故につながる恐れがあります。掃除後もしばらくは火をつけないよう注意しましょう。
②しっかり換気をする
アルコールは空気より重いため、部屋の下の方に蒸気が溜まりやすくなります。使う時は必ず窓を開けたり換気扇を回すなどして換気を行いましょう。特に小さい子どもやペットがいる家庭では、十分な換気が健康への影響を防ぐために重要です。
③手袋を着用して肌荒れ防止
アルコールは皮膚の油分や水分を奪うため、長時間使用すると手荒れや乾燥を引き起こすことがあります。敏感肌の方や頻繁にアルコール掃除をする場合は、ニトリル製など耐アルコール性のある手袋を着用しましょう。
④アルコール濃度70~80%のものを選ぶ
除菌効果が最も高いのは、アルコール濃度が70~80%のものです。無水エタノール(濃度99.5%以上)は揮発が速すぎて十分な除菌効果を発揮しにくいため、水で希釈して使います。希釈する際は、精製水3:エタノール7の割合で混ぜ、必ず換気をしながら作業してください。
アルコール除菌シートを使う時の注意点
アルコール除菌シートも手軽で便利ですが、使い方によっては逆効果になる場合があります。以下の注意点を守りましょう。
- 力を入れて強くこすらない(表面が傷つく恐れ)
- 素材を確認して使用(NG素材は避ける)
- 目や口、傷口などの粘膜に使わない(刺激が強く炎症を起こす可能性がある)
特に「口を拭いても大丈夫?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、アルコール入りの除菌シートは刺激が強く、唇や口周りには使わないようにしましょう。口周りの汚れを拭く場合は、必ずノンアルコールタイプのウェットティッシュを使用してください。
まとめ
アルコール掃除は除菌に優れていますが、万能ではありません。素材や場所によっては逆にダメージを与えてしまうこともあります。掃除用品としてアルコールを家庭に常備する場合は、アルコール専用のスプレーボトルを用意し、「アルコール除菌液」とはっきり表示して保管することをおすすめします。
また、掃除道具の収納場所には子どもの手が届かない高い位置を選びましょう。安全な使い方を徹底することで、家の清潔さを保ちつつ、思わぬトラブルや事故を防ぐことができます。