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お金を使ってはいけない日とは?
日本では昔から、「縁起の良し悪し」が人々の行動を左右してきました。お金についても例外ではありません。
古くから伝わる暦(カレンダー)の中には、お金を使うのに適していない「縁起の悪い日」というものが存在しています。こうした日に無理にお金を使うと、その後の生活や金運に悪い影響があると考えられてきました。
特に、大きな買い物や借金をする場合、あえて縁起が悪いとされる日を避ける人が少なくありません。最近では「そんなの迷信だよ」と軽視されがちですが、文化的な知恵として大切にする人も多いです。また、こうした考え方は日本だけでなく、中国の旧正月や西洋の「13日の金曜日」など、世界にも似た例があります。
日本では、「六曜」(ろくよう)など暦に記される「吉日(良い日)・凶日(悪い日)」を判断基準としてきました。今回は、特にお金を使ってはいけないとされる日について詳しく見ていきます。
お金を使ってはいけない日とその理由
日本の暦には、「縁起が悪いため、お金の使用を避けるべき日」があります。以下では代表的なものを順番に説明します。なぜその日にお金を使わないほうがいいのか、丁寧に説明していきましょう。
① 正月の三が日(1月1日~3日)
日本ではお正月の「三が日」にお金を使うのは縁起が悪いと言われています。なぜなら、この期間に無駄遣いをすると、「一年を通してお金が貯まりにくくなる」という言い伝えがあるからです。
正月は年神様(歳神様)という神様が家に訪れ、一年間の福をもたらしてくれる時期です。この期間は神様がいるため、普段通りの買い物や浪費をするのは失礼と考えられました。そのため、元日や三が日に財布を開けるのは極力控えるのが良いとされているのです。
ただし、この期間中でも例外として認められているのがお賽銭やお年玉です。お賽銭は神様への感謝と祈りの行動であり、お年玉は子供に幸運を分け与える意味があるため、浪費とは異なる縁起物として区別されています。
また三が日には、水仕事(掃除や洗濯)や刃物を使うことも避ける風習があります。これらも、家に訪れた福を流したり縁を切ったりしないための配慮です。
現代では「初売りセール」などが開催され、完全にお金を使わないのは難しいこともあります。その場合でも、三が日にあえて無駄遣いせず、「一年の金運を整える」という意識で、計画的な出費を心がけるとよいでしょう。
② 不成就日(ふじょうじゅび)
「不成就日」は、文字通り「何をやってもうまくいかない日」とされます。特にお金に関しては、高額な買い物や重要な支払いは避けるべきだと昔から言われています。この日に支払いをすると、「お金が貯まらない」「後々トラブルが起きる」と言われるからです。
不成就日は月に3~5回ほどありますが、この日に特に避けるべき支払いは以下のようなものです。
- 財布の購入や使い始め
- 高額商品の購入や契約の締結
- 宝くじの購入や投資行動
- 借金やローンの契約・開始
また、一粒万倍日(良い日)や寅の日(良い日)などの吉日と重なった場合も、不成就日の凶の影響を受けてしまいます。ただし、年に数回訪れる「天赦日」(特に縁起の良い日)だけは、不成就日の影響を打ち消すほど強力な日とも言われます。
もし知らずに不成就日にお金を使ってしまった場合でも、あまり神経質になる必要はありません。ただし、今後は日取りを意識して「使う日・使わない日」を意識すると、気持ちよく金運アップを目指すことができるでしょう。
③ 一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)の落とし穴
一粒万倍日は、その名前の通り「一粒の種が万倍にも実る」と言われる縁起の良い日です。しかし、この日に関して注意が必要なのは、良いことだけでなく、悪いことも万倍になるという点です。
このため、一粒万倍日には以下のような行動を控えるべきだとされています。
- 借金やローンを組む
- クレジットカードの大きな支払い
- 衝動的な買い物や浪費
特にお金を借りる行動は、借金そのものが万倍に膨らむという象徴的な意味から、避けるべき行動とされています。この日には、借金をするのではなく、逆に少額でも貯金や返済を行うと、その良い行動が何倍にも膨らんで金運を高めることができます。
一粒万倍日は毎月3~5回ほどあるため、カレンダーなどで確認しながら上手に活用しましょう。小さな良い行動を積み重ねると、将来的な運気向上につながります。
④ 寅の日(とらのひ)
寅の日は、虎の黄金色の毛並みが金運を象徴するとされ、昔からお金に関して非常に縁起が良いとされてきました。しかし、この日にも注意すべき点があります。それは「お金が返ってくる」運気が強いため、逆に借金やお金の貸し借りをすると運気が乱れると考えられているのです。
寅の日に借金やローン契約を行うと、「お金が出て行って戻ってこない」という悪循環を招きかねないとされます。つまり、「お金が出ていく」という行動そのものが定着してしまう恐れがあるのです。
寅の日は12日に1回訪れますが、この日は財布の新調や銀行口座の開設、旅立ちなど、「お金が出ても戻ってくる行動」を選ぶと吉です。逆にお金の貸し借りや借金だけは避け、金運を味方につけましょう。
⑤ 巳の日(みのひ)
巳の日は、蛇が財運をもたらす弁財天様の使いとされ、特に金運に関して縁起の良い日です。ただし、注意すべき例外もあります。それは「財布の購入」に関することです。
巳の日はお金にまつわる願い事が叶いやすい日とされていますが、財布の購入だけは慎重に考える必要があります。なぜなら、巳の日は蛇が脱皮する日を象徴しているため、「お金が離れていく」という考え方も一部地域にはあるからです。
しかし、一般的には巳の日はお金の運気を上げるために銀行口座を開いたり、貯金を始めるのに良い日とされています。財布の新調をどうしてもこの日に行うなら、夜間(17時~23時の「金の刻」)を選ぶと運気が定着すると言われています。
巳の日は12日に一度訪れ、60日に一度はさらに強力な「己巳(つちのとみ)の日」が巡ります。この日は特別な開運日なので、弁財天を祀る神社への参拝や口座開設を行うとより効果的です。
⑥毎月1日
日本には、「毎月1日にお金を使わないほうがいい」という言い伝えもあります。これは「朔日(ついたち)参り」という神社参拝が一般的だった頃の名残りです。月の初日に神社を訪れ、その月の無事と幸せを祈る習慣がありました。
月の初日から無駄遣いや浪費をしてしまうと、その月はお金が貯まりにくくなるという戒めが込められています。そのため、毎月1日を節約デーにしたり、「ノーマネーデー」として設定している家庭も多くあります。
月初めに使わない日を決めておくことで、自然と節約意識が高まり、貯蓄への意識付けにもつながります。
お金を使うのに良い日と上手な活用法
縁起が悪い日がある一方で、日本の暦にはお金を使ったり、新しいことを始めるのに特に良いとされる吉日もあります。これらの日を意識して、うまく生活に取り入れると、金運アップや貯金のモチベーション維持につながります。
寅の日は財布を新しくする日
寅の日は「出て行ったお金がすぐ戻ってくる」と言われており、お財布を新調するのに最適な日です。寅の日に購入した財布は、使ったお金が巡り巡って戻ってくる運気をもたらすと言われています。また銀行口座の開設にも適しており、お金に良い循環を生むための日取りです。
天赦日(てんしゃにち)は最強の吉日
天赦日は、日本の暦の中でも最も縁起が良い日であり、「天がすべての罪を許す日」という意味があります。年に5~6回しか訪れない貴重な日ですが、この日に始めることはすべて吉とされ、特にお金の使用や新しい財布を使い始めるのに最適な日です。
また、一粒万倍日と重なるとさらに強力な日になるため、この日を逃さないように事前にカレンダーでチェックしておくとよいでしょう。
巳の日・己巳の日で金運アップを狙う
巳の日や60日に1回訪れる己巳の日は、弁財天と縁が深い日として金運に特化しています。貯金を始める日や口座開設、投資をスタートする日に向いています。特に己巳の日は年に数回しかないため、重要な決断や大きな行動をこの日に合わせると、金運が大きく好転すると言われます。
縁起を担いで楽しく貯金する方法
日本では古くから、縁起を大切にしてお金と向き合う知恵が受け継がれてきました。特に貯金に関しては、吉日を利用したり、縁起物を取り入れることで、楽しみながら継続的にお金を貯める工夫が多くあります。
ここでは、そんな縁起を担ぎながら、貯金がもっと楽しくなる方法を紹介しましょう。
吉日を使った自動積立で貯金を習慣にする
お金を増やす行動を始めるなら「一粒万倍日」や「天赦日」など吉日を選ぶのがおすすめです。特に、給料が振り込まれる日に合わせて自動積立を設定し、その日を「一粒万倍日」にすると「増える日にお金を増やす」という良いリズムが生まれます。
給料日直後に自動で貯金が行われる仕組みを作れば、気持ちよく、意識せずに貯金が継続できるようになります。特に吉日に始めると、心理的な後押しが強まり、楽しく続けられるでしょう。
縁起物の貯金箱で楽しさ倍増
縁起物のモチーフを使った貯金箱は、楽しみながらお金を貯められる人気の方法です。代表的なモチーフには以下のようなものがあります。
- 招き猫:商売繁盛や金運アップの象徴
- かえる:「お金が返る」とされる縁起物
- ふくろう:「福来郎」「不苦労」として幸運をもたらす
これらの貯金箱は見た目のかわいさだけでなく、入れるたびに「チャリン」と音がして達成感を感じられます。楽しみながらお金が増えていく様子を実感できるため、継続しやすくなります。
目標を決めて、ご褒美を設定する
貯金を長続きさせるには、具体的な目標設定が非常に有効です。たとえば、「3万円貯まったらお気に入りのランチ」「10万円で近場の旅行」といった小さなご褒美を設定すると、モチベーションが維持できます。
また、普段何気なく使ってしまうお金を「使ったつもり」で貯金する方法もおすすめです。特に不成就日など縁起が悪い日を節約デーとして利用すると、縁起と貯金が連動してさらに効果的です。
毎月1日を「ノー支出デー」にする
毎月1日は、日本では「朔日(ついたち)」と呼ばれ、新しい月の始まりの日として縁起が良いとされています。この日にお金を使わないよう意識すると、「その月を浪費せずに過ごす」という習慣が自然に身につきます。
家計簿アプリを使って「1日は絶対にノー支出」という目標を設定するのもおすすめです。こうすることで、節約のリズムが生まれ、無駄遣いを防ぐことができます。
まとめ
暦に書かれた吉日や凶日は、ただの迷信ではなく、昔から伝わる暮らしの知恵です。自分の行動に良いリズムをつけるための目安として活用するとよいでしょう。
暦を意識した貯金や節約は、生活にメリハリを生み、目標を明確にする手助けにもなります。また、暦をきっかけに神社や寺院を訪れてみると、思いがけない出会いや新しい発見があるかもしれません。
日常にちょっとした「縁起」を取り入れながら、自分に合った心地よいペースで、上手にお金と付き合っていきましょう。