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高齢ドライバーによる交通事故が目立つように
近年、さまざまなメディアで高齢ドライバーによる交通事故のニュースが取り上げられる機会が増えた印象を受けます。
国や警察、自治体からは、70歳を超えた高齢ドライバーに対して、自主的に免許を返納することが推奨されていますが、実際に高齢者の免許返納率は5%前後と非常に低い割合です。
「自分はまだ若いから大丈夫」「体も健康的だから問題ない」という自負を持つ人が多く、それゆえに免許を返納するという行動は「長年運転してきた身として老人扱いされているようでプライドが許さない」という人もいます。
高齢ドライバーの事故割合は減少しているが…
さまざまなメディアで高齢ドライバーによる事故報道が多く見受けられますが、実際に高齢ドライバーによる事故割合が増えているかと問われると、そうでもありません。
実は年々、高齢ドライバーによる交通事故件数は減少傾向にあり、2019年に18.1%だった高齢ドライバーによる事故割合は、2023年には15.4%まで減少しています。これは家族や自治体から促され、免許を自主返納する人が増えたことも一因だと考えられるでしょう。
前述したように、全体の交通事故件数から見ると、高齢ドライバーによる事故割合は多くありません。しかし、実際に単独事故や他人を巻き込む事故を起こし、死亡事故につながるケースが非常に多いため、高齢になったら運転を他の人に任せたり、公共交通機関を利用したりするべきでしょう。
高齢ドライバーの事故が多い『5つの原因』
なぜ高齢ドライバーは交通事故を起こしがちなのでしょうか。ここでは高齢ドライバーの事故が多い原因を確認してみましょう。高齢者ならではの理由が見受けられますよ。
1.ペダルの踏み間違い
高齢ドライバーにありがちな事故原因に、「アクセルとブレーキを踏み間違えた」というペダルの踏み間違えによる事故が多く報告されています。
これは認知機能の低下や筋力低下に伴う姿勢の悪化により、以前よりもペダルの正確な位置を足のみで判断することが困難になっているのだと思われます。
ペダルの踏み間違いを防ぐためには、座席を調節して正確な位置に足を置けるよう工夫したり、より余裕を持って判断できるようにスピードを出し過ぎず、安全運転を心がけることがポイントです。
2.ハンドルの操作を誤る
ハンドルの操作の誤りも高齢ドライバーがやりがちな事故原因の上位です。これは、筋力が低下したことによってハンドルを正確に動かすことが難しくなっている人や、筋力低下に伴い、ハンドルを持つ手の位置が下がってきていることが原因だと考えられます。
また、突発的なトラブルに冷静に対処することができず、うっかりハンドルを横に切ってしまい、店舗や歩道に突っ込んでしまう非常に危険な事故も発生しているので気をつけましょう。
3.道路を逆走する
よくニュースなどでも取り上げられることが多い逆走トラブル。このトラブルの大半が高齢ドライバーによる凶行です。
原因として、認知機能が低下したことにより、自分がどこを走っているのか認識できなくなっていることや、視力低下に伴い、入ってはいけないところに侵入してしまうなどの理由が考えられます。
したがって、認知機能に不安のある高齢ドライバーの運転には、家族の誰かが必ず同乗したり、あるいは車の運転を近隣の運転し慣れている道だけにとどめるなど、周囲のサポートが必要です。
4.周囲の安全確認不足
高齢になると、視野が狭くなり視力が低下し、さらに多くのことに注意力や集中力が届かなくなるといった老化現象が起こります。この変化により、高齢ドライバーは周囲の安全確認が不足しがちです。
目の前の横断歩道を渡ろうとする小さな子供がいるのに気づかず突破しようとしたり、前方に停車している車に注意を向けず、距離感を見誤って衝突してしまう……といった事故が多発しています。
他にも道路標識の確認を怠るなどのトラブルもよく見かけるので、高齢ドライバーは自分の運転を過信せず、より周囲の安全確認を徹底する意識を持ちましょう。
5.咄嗟の状況に反応できない
認知機能の低下や瞬発力の低下など、高齢になるとさまざまな機能が低下します。そのため、今までは冷静に対応できていた咄嗟の状況に反応できず、周囲が恐怖を感じるような運転操作に走ったり、あるいは反応できずにそのまま突っ込んでしまうといった事故を起こしがちです。
前方の車が急停車した際、その行動に咄嗟に対応し、自身も車を急停車させることができますか。意外と高齢ドライバーの多くは、このような突発的な状況に慌ててしまい、ペダルの踏み間違えやハンドル操作不適を引き起こすことが多くあります。
なるべく周囲の車との車間距離をあけるように心がけたり、どのような状況にも対応できるよう余裕を持って運転することが重要です。
75歳を超えたら自主的に免許返納を
いかがでしたか。75歳を超えると、明らかに認知機能や身体機能などが低下し始めます。その状態で車を運転していると、他人を巻き込む死亡事故を起こす危険も高まるでしょう。したがって、75歳を超えたら自主的に運転免許の返納を検討してください。